あなたの常識を揺さぶる!?「視点の違い」をテーマにした短編集

「無自覚」と「過去」がテーマの4編を収録した短編集です。どれもちょっとした記憶違いをきっかけに、主人公たちが次第に追い詰められていく物語ですが、そのちょっとした記憶違いが現実にありえそうなシチュエーションなのがミソ。過去の過ちから窮地に立たされる登場人物の姿が、苛酷な印象をもって読者に迫ります。

現代社会に潜む「明るすぎる闇」を描いた短編集。表題作の主人公は、一般的な倫理観から外れた人物として描かれますが、読み進めるうちにどこか共感できる部分も感じられ、価値観の多様さについて考えさせられます。本音と建前が明らかにされる物語は、どれもエッジが効きつつポップな文体で綴られているので、スラスラと読むことができます。

冷酷な物語を皮肉とユーモアで包み込む作家・サキ。欧米では短編の名手として知られる彼の代表的な21の短編をまとめた一冊です。本書に収録された「ある殺人犯の告白」は、とある理由から死刑を宣告された主人公の物語。世間で正しいとされている事実が、必ずしも真実ではないかもしれない・・・そう感じさせる救いのないお話です。

第14回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作を含む、3つの物語が収録された一冊。「鼻」は、「私」と「俺」という二つの視点から、ある事件の真相に迫るお話です。視点の切り替えを巧みに駆使したミステリー要素を含む物語で、世界が反転するかのようなラストにはうならされること請け合いです。

笑いからブラックまで、さまざまなジャンルの26の短編が収録された一冊です。当選した映画の試写会に向かった主人公を恐怖が襲う「試写会」は、とりわけブラック要素の強い物語。「普段の何気ない行動が自分の首を締めることになる」といった内容で、読み終わったあとには思わず日常の身の振り方を考えさせられる一編です。