その時代にしか成立しないトリック！史実と創作が入り混じった歴史ミステリー

織田信長に謀反し有岡城に籠城した荒木村重は、謀反を撤回させるためやってきた黒田官兵衛を土牢に幽閉します。城内では不可解な事件が次々起こり、頭を悩ませる村重は切れ者の官兵衛から事件のヒントをもらうように。しかし、謎解きを助ける官兵衛には真の狙いがあったのです。大スケールのトリックに、圧倒されること間違いなし！

昭和13年の満州国で官僚・岸信介の秘書が急死し、真相究明を依頼された私立探偵の月寒三四郎。聞き上手な月寒が関係者に丁寧に話を聞き、事件は満州の阿片利権や、シベリアでの日本軍の動きが関係していることを掴んでいきます。外国の地名が漢字で表記された文体から、当時の満州独特の空気を感じることができるでしょう。

平清盛の異母弟である平頼盛は、清盛から疎まれて平家一門と決別。しかし、頼盛が知恵者だという評判が広まると、木曾義仲や源頼朝が抱える問題の解決を押しつけられることに。間違えれば命はないという生死を懸けた推理戦にハラハラしますが、頭脳と度胸で切り抜ける頼盛が魅力的。謎解きと史実を融合させた展開が秀逸な連作集です。

豊臣秀吉の甥で大和豊臣家の当主である秀保は、戦国の世には不向きな気の弱い少年です。しかし家臣や芸人一座の仲間に支えられ、次々に起こる奇怪な事件の謎を解いていきます。本能寺の変以降の激動の史実を踏まえつつ、事件の裏で意外な歴史上の人物が数多く活躍する大胆な歴史の「if」を楽しめる物語です。

中国・南宋時代。年老いた武術の達人・梁泰隆は、奥義を伝授するため旧知の3人を自宅に招待します。しかし翌朝、泰隆が死体で発見される事態に。現場は密室状態で、弟子の紫苑は師の仇を討つため死の謎に迫ります。宋やモンゴル帝国の時代背景が丁寧に描かれ、中国の歴史と特殊設定ミステリーの両方が堪能できます。