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斜め上の展開!まったく信用できない人物を主人公にした悪漢小説
一般的に悪人と見なされる人物には、凡人には想像できないようなドラマ性があります。そこに興味を惹かれてしまうのは無理からぬことでしょう。フィクションの世界に限っての話ですが、倫理のタガが外れた者たちの強烈な個性には魅力を感じてしまうもの。そんな魅力的な悪党たちが登場する、オススメの悪漢小説をそろえました。
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ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 改版
会田 由(訳)
16世紀のスペインで出版された作者不明の中編小説。悪漢小説の祖と呼ばれる本書は、下層階級に生まれた少年が、一見善人そうで実はクセの強い人々と関わり合いながら、持ち前のしたたかさでしぶとく生き延びる姿を描いています。「毒をもって毒を制す」という言葉がぴったりな、悪辣さを武器に成り上がっていくさまが痛快です。
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グリフターズ
ジム・トンプスン(著) , 黒丸 尚(訳)
小さな詐欺を働いては小金を稼ぐ若者と彼の恋人、そして彼の母親。この三者三様の詐欺師による歪んだ愛憎劇。親しい者との間ですら手練手管で優位に立とうとする生来の詐欺師たちの哀れな生きざまが、ブラックユーモアたっぷりに描かれます。駆け引きを潜ませた洒落た会話に、時折ニヤリとさせられることでしょう。
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手下の2人を連れて刑務所を脱獄した凶悪犯罪者の暴力と快楽に満ちた壮絶な逃走劇。己の欲望のままに、限りある生を突っ走り続ける犯罪者たちの姿が瑞々しく描かれ、酷い悪党が非常に魅力的な存在となっています。彼らを追う保安官とのヒリヒリするようなガンアクションもたっぷり、読み応えの満点の超娯楽小説です。
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悪党パーカー/地獄の分け前
リチャード・スターク(著) , 小鷹 信光(訳)
大金の強奪に成功したものの、仲間の裏切りで窮地に陥った悪党の壮絶な復讐劇。「悪党パーカー・シリーズ」の第19作目ですが、シリーズでも1、2を争う傑作活劇に仕上がっています。冷酷な悪党でありながら、きっちりと筋を通すパーカーから目が離せなくなります。2013年公開の映画『PARKER/パーカー』の原作にもなった犯罪小説です。
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『レッド・ドラゴン』『羊たちの沈黙』『ハンニバル』に登場した、狂気の天才心理学者といえばハンニバル・レクター。本書は、彼の誕生を描いたファン待望の一冊。妹想いのやさしい少年が、狂気を宿した怪物になるまでの過程を重厚な筆致で描いています。若さのためか、前3作と比べると少々隙があるレクターの姿をお楽しみください。
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