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「洗練」という「エンタテイメント」
2007/08/22 21:14
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねねここねねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノワールなど呼ばれるジャンル。しかしこの当書、グラスホッパーでそう呼ぶことには抵抗があって、くどさ、けばけばしさ、妖艶、グロテスクはあまり感じなかった。肌で感じてくる、生理的・肉体的なものが薄いのだろうか。暴力にも、幻想にもやはり思えない。好みはあると思う。洗練と構成の妙はやはり感じる。一貫したエンタテイメント、ストーリの上手さとスピード、リズムはある。伊坂らしいというならば、確かに伊坂らしいのだろう。
この話は、ある意味掛け離れた世界の話かと思うが、それでも日常に盤がある。その割には「生活」というものの滲みが少なく感じてしまう。
洗練が確かにあるのだと思う。それはまた、良く云えば瀟洒、悪しかれならこれでも淡白なもの。距離を持ち、人物を程よく突き放す。ハードボイルドにあるような独善的突き放しの態度は濃くはならない。
亡霊が出てくるなど、どこかふわふわしたような思いもあり、その上で、論理を構築して展開を紡ぐ。伊坂的だとやはり思う。このようなものでありながら、それでも匂いがあるというか…。
誤解を承知で言うのならば、冷徹さをもって見つめるものでありつつも、ユーモアと論理が智で馳り、完全なる深い暗黒には沈んでいかない。
やられた、という気持ちはあるのだが、混沌の泥濘や虚無の只中に落ち込んで、抜け出せないものを感じてしまうところまでは一歩届かない。その点が僕にとって、好みに少し届かなかった。少しばかりの腑に落ちなさ。
日常から異端へ。または、ゆっくりとひたひた侵される別世界への扉。そのものには、やはり世界の転覆がある。しかしながら、その上で最後の三行も、誘導される「死」というものがやはり稀薄。単なる状態であるだけ。そのことをただただ提示させられただけのような。
(作者として、確かにその狙いであるのだろうが…)
ダークな色のあるものが嫌いなものではないのだが、思うところもう少し厚みが欲しかったように思う。
これはエンタテイメント。洗練された一つの高みではあって、幻想や異端を肌で思うべきものにはない。
その点での「知的」な評価を思う。
肉体的、臓腑で思うものではなく、脳で理解し愉しむもの。恐怖というものがどこか、知的なものとして提示がされる。ある側面それは真実にも思えるが、生理的、肌を覆うような怖さではない。
わかる、わかるし素晴らしいのだけど、3年記憶には留まらない。
作品への期待が非常に大き過ぎたためもあり、少しばかり個人で評価は低め(それでも優れたものを思うが)。以上、個人的好み以上ではありえない。これはもう一度念のため。
つまりは洗練されたエンタテイメントだろう。
死者の言葉
2008/10/26 21:50
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
「魔王」を読んでから「グラスホッパー」を読んだのだが、舞台装置は全く違うけれども、内容はかなり似ていると感じた。そもそも読もうと思ったきっかけは、週刊少年サンデーの連載なのだが、あちらでは2作品が再構成されている感じなので、そもそも言いたいことは同じだったのかもしれない。
最後まで救いはないし、結局は自分たちの知らない所で事件は収束してしまうわけだけれども、実際の世界もそんなものかもしれない。
テンポ良く進む洗練されたストーリー
2015/09/28 19:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:joe - この投稿者のレビュー一覧を見る
3人の登場人物が代わる代わる語り部となってストーリーが進んでいく。
それぞれが個性的でキャラ設定がわかりやすいので、
ややこしくなることもなくスムーズに世界観に入っていくことができる。
そしてその3人を取り巻く登場人物たちも非常に魅力的。
絶対的な悪党、情報屋、「押し屋」「劇団」「スズメバチ」といった、
裏の世界のグループ。
男子的には少しかっこわるい「蝉」や「鯨」といったコードネームも、
ミステリアスな印象を残し世界観を構築するピースになっている。
ノワールな世界観を重くなりすぎずに読ませる文体は、
伊坂氏らしくて個人的に好みであった。
展開は、余計な要素をそぎ落として必要な部分しかない、というくらい
凝縮されているように感じる。
3人の視点は徐々に近づき、やがて重なっていく。
それがとてもテンポよく小気味よく進んでいくので、
スリリングな展開がありありと浮かび、映画を見ているようだった。
ちなみに『オーデュボンの祈り』に登場する人物が本作にも登場。
オーデュボンを読んでから本作を読むと、少しニヤニヤできるのでオススメだ。
ラスト、律儀に伏線を回収しながら登場人物の行く末を暗示するような描写があり、
いま、とてもモヤモヤしている(いい意味で)。
そんなわけで、続編を読まないわけにはいかなくなった。
殺し屋多すぎ
2022/11/22 16:17
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投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろんな殺し屋が次から次へと登場してきます。それぞれに自分なりの流儀や信念があり、笑えるような笑えないような不思議な気持ちになりながら読みました。
殺し屋シリーズの原点ということで!
2021/11/15 20:40
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投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでみました。
「AX」を読み終わっているのですが、また全然違った雰囲気ですね。
グッとハードボイルドな感じ。
やはり、登場する殺し屋たちが皆ユニークで、「殺し屋」という恐ろしい存在の彼らに、どうしようもなく愛着が湧くのだから、やはり伊坂さんは凄いなと思います。
三つ巴のバトル
2021/07/04 09:36
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
名前も職業も平凡な鈴木が、愛する人を失い復讐にとり憑かれていく様は鬼気迫ります。一匹狼の殺し屋から犯罪組織までが入り乱れる、終盤戦も圧巻です。
この作家、暴力シーンが好みじゃないんですが、ついつい読んでしまう。
2020/06/01 22:12
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の鈴木は、妻を殺され、その男に復讐しようとするが、なにやら、わけのわからない展開に巻き込まれてゆくことになって...。この作家の本は、何冊か読んでいて、もちろん面白いとも思うが、暴力的シーンが好みじゃない。読んでて面白い小説だと思いながら、次々食指が動かないのは、そこだったよなぁ...と思い出す。
この物語も面白いのでスルスル読めるんですが、暴力シーンも満載。しかし、最後の最後。主人公の鈴木の中に、静かに芽生える生きる希望みたいなものに、不覚にも涙がでてしまいました。こうして、やはりもう一冊他の本も読みたいなと思わせる作家でもあります。
殺し屋3人
2020/05/31 07:07
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投稿者:JUN - この投稿者のレビュー一覧を見る
いや、もっといるのか??
主要として出てくる語り手は3人だけど。
伊坂先生の作品としては珍しい
(もしかして初?)のサスペンス。
しかも人がバンバン死んでいく
ダークストーリーです。
でもグロさは全くなく、
淡々と事実とか裏社会が流れていく感じ。
ラストへの収束は、
毎度のことながら気持ちよく裏切られました
殺し屋シリーズ 1
2020/04/17 08:44
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投稿者:うれい - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊坂幸太郎ワールド全開。妻の復讐を横取りされた鈴木、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの蝉が「押し屋」を追って同じ車の中に集結したときの緊張感。殺し屋シリーズというだけあって人体の破壊が細かく描写されている。寺原の息子が轢かれたシーンはまるで自分もスローモーションでその現場を見ているようだった。ラストは狐につままれた気分。怒濤の展開を追うのに必死になっていたが、細かい描写の中に「黄」とか「黒」とか「吊り下がる」とか巧妙に暗示が隠されていたようで、もう一度読んだらそういった視点からも楽しめそう。
グラスホッパー
2019/06/30 21:35
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投稿者:ぱーぷる - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画、グラスホッパーを観たことがきっかけで原作を読んでみたいと思いました。映画を観ていたので、情景が浮かびながら読み進めることができました。伊坂幸太郎先生ワールドが広がっていました。
面白い
2019/06/14 09:44
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投稿者:ftttsrikkg - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊坂幸太郎の作品ははじめて読んだのですが、話の進みかたは自分にとっては読みやすくて最後まで手が止まることなく楽しむことができました。
殺人のストーリーが巧妙で一気に読み切ってしまった
2019/06/13 18:53
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投稿者:@rikkha - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な殺人事件と人間の想いが重なり合っていくストーリー。
押し屋、自殺屋、殺人屋など多彩な人物が登場して、思い出しながら読み進めていくことになり、
後半になると登場人物が出会い、個人の特徴をだし、殺人になっていく。
一方で人間の心情や想いなども巡り、最後まで面白いと感じ、一気に読み切ってしまった。
殺し屋ってたいへん
2019/01/28 15:11
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投稿者:CHANRIE - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻の復讐を目論む鈴木と、2人の殺し屋、非合法な組織「令嬢」それぞれが、押して人を殺す殺し屋“押し屋”を追う。
伊坂さんの小説は情景がリアルに想像できる。
だからちょっとぐろいけど、緊迫感があって好き。
登場人物のキャラがたってて読んでても迷わず読みやすい。
所々の伏線が最後気持ちよくつながる。
瀧本智行監督映画化原作
2018/05/05 11:53
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻を殺害された男の復讐への執念と、3人の殺し屋のぶつかり合いが迫力満点でした。人畜無害な群衆が、突如として暴徒化するような危険性を感じました。
楽しい!
2016/09/28 15:52
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投稿者:ポージー - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近は純文学寄りの本ばっかり読んでいたので久々に単純におもしろいの読みたいなと思って買いました。
初期の伊坂作品(最近の伊坂さんはあまり知らない。すみません、、)にある、伏線回収、小気味良い会話、良い意味でさらっと終わるラストと爽やかな読後感は、いまさら僕が書く必要もないわけですが、グラスホッパーは殺し屋の物語なので全体に緊張感や重々しい空気がはりつめていて、さらに物語に引きずりこまれてしまいます。
誰にでも楽しいと思います!