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紙の本
傑作「悪人」以来の手ごたえを感じる
2016/09/26 22:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説にはたくさんの人々が出てくる。全く係わりのない人々の話が並行的に描かれていく。共通するのはそれらの人々の中に殺人事件の犯人ではないかと疑われるような人物が何人かいることだ。この後どんな展開になっていくのか予測がつかない。疑わしい何人かの中に犯人はいるのか?なかなか手に汗握る展開だ。まだ上巻だが、傑作「悪人」以来の手ごたえを感じる。
紙の本
今を真剣に考え直すことが迫られる
2016/03/04 10:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
この装幀だけでも書店で平積みされているとインパクトがありますが
中身も相当考えさせられます。
物語の時間設定は現代です。
あくまでもミステリーとしてエンターテイメントとして
読んだ人を楽しませるものとして高い完成度ですが、
その中で投げかけられる私たち社会の問題の多さ深さ!
知的障害者とその家族に対する
母子あるいは父子家庭対する
性的マイノリティに対する
基地問題も含めた沖縄に対する
私たち一人一人の理解と寛容性と共有感への
痛切な問いかけ。
今を真剣に考え直すことを迫ってくる作品でした。
紙の本
映画版の出演者が豪華すぎる
2020/08/06 22:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯に2016年9月 映画化決定!と書いてあり、その出演者を見て驚いた(渡辺謙・森山未來・松山ケンイチ・綾野剛・広瀬すず・宮崎あおい・妻夫木聡)、豪華なメンバーだ。この小説のあらすじも知らないし、無論誰が犯人かとか知る由もないのだが、読み進むうちに「あ、この人は渡辺謙が演じたんだろうな」とか「広瀬すずしかこの役は考えつかないな」とか想像するのも楽しかった。
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怒りの矛先は闇
2016/10/20 02:13
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
手に取ってはまた今度、と読むのをためらっていたが遂に読んでしまった!読みはじめたら最後、ページを繰る手が止まらない。一つの殺人事件を軸に3つの話が同時進行する。3人の身元不明の男。どの男も生きて生活しているのだからそれなりの人間関係が生まれてくる。女から愛される男、男から愛される男、少年と少女に慕われる男。一見いい人風、だけど素性が分からずどいつもこいつも、犯人なんでは?と思わせる構成がすごい。犯人考えながら読むと疲れてしまうので、ページ上で繰り広げられる「現実」だけを必死に読んだ。衝撃の下巻が楽しみだ。
紙の本
吉田修一氏の大好評作の上巻です!
2020/09/08 10:36
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『パレード』(山本周五郎賞)、『パーク・ライフ』(芥川賞)、『悪人』(毎日出版文化賞及び大佛次郎賞)、『横道世之介』(柴田錬三郎賞)などの傑作を次々に発表しておられる吉田修一氏の作品です。同書は中公文庫からは上下2巻で刊行されているもので、そのうちの上巻にあたる同書は、若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていたという事件から始まる物語です。犯人は山神一也、27歳と判明するのですが、その行方は杳として知れず捜査は難航します。そして事件から一年後の夏、房総の港町で働く槇洋平・愛子親子、大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れます。一体、この後、どう展開していくのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。
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怒りが生まれる
2016/08/16 14:26
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
「怒」あるいは憤りは、人が生きていく過程で生じる感情の噴出。ゆっくりと少しづつ堆積していき、なにかのきっかけで、あるいは一定の時間を経て、世間に出現することがある。怒りの元となる欠片は、傍から見れば大したことと思えないのに。読み進めるうちに、身元不明者の男たちの、ダークな思いがカサを増すのがわかる。どこで爆発するのか。