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素晴らしいです
2025/03/29 20:49
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
終戦間際あるいは直後にあった史実を集めた短編5編で、ずれも歴史の教科書にのるような、広く知られることではありません。しかし、それを丹念に掘り起こし記述していく、吉村昭さんの記録小説として真髄がつまっている感じの一冊であります。
平和のありがたさ
2024/05/03 19:21
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投稿者:バベル - この投稿者のレビュー一覧を見る
太平洋戦争には、世間に知られず伝わっていない出来事が数多くある。今回、短編5編ではあるが、どれも初めて知らないようであった。世界各地で戦争や紛争が今もなお続いているが、あらためて戦争は繰り返してはならないと思う。
戦争のむごさや冷酷さ
2019/10/22 07:37
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
徹底的に調査して書く吉村昭ならでは、の短編集です。
戦争のむごさや冷酷さが描かれます。
タイトルになった「総員起(オコ)シ」とは軍隊用語で、
「みんな起きろ」という意味ですが、
潜水艦の事故で亡くなった遺体がいまにも起きてきそうだ、
ということからつけられた題名です。
樺太で集団自決した看護婦達がその直前に君が代を歌い、
沈没した潜水艦に閉じ込められて死を覚悟した乗組員が
「皇居遙拝、君が代、万歳三唱」をしたという記録を読むと、
この歌の歴史をしみじみ感じます。
海が記憶する戦争
2019/04/28 18:34
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投稿者:ニック - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争というものが「すぐそこにあったこと」を実感できる短編集。とくに本作では「海が記憶する戦争」の物語群がじつに吉村氏らしく、迫力のある描写と細部へのリアリティが圧倒的。なお、表題作の「総員起シ」に関しては「歴史の影絵」(文春文庫)、「戦史の証言者たち」(文春文庫)にも同じ題材の小篇が所収されている。
戦争での混乱の物語
2017/05/22 08:51
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投稿者:ME - この投稿者のレビュー一覧を見る
終戦前後の事実に基づいた混乱を描いた短編集である。戦争での被害者は軍人も非軍人も等しく、いとも簡単に命を失うということが不思議に感じた。戦争が終わって70年以上経つが、当時を知る人は少なくなっている。平和な時代に生きていることを感謝し、絶対に戦争を起こしてはならないと思う。手首の記憶が印象に残っている。総員起シの遺書を読むと言葉もない。
心に刻んで
2015/10/15 09:23
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
5つの戦争にまつわる短編集。玉音放送後も北海道では戦争は終らなかった。ソ連は侵攻を止めない。重病患者をみすてられず、避難できずにいた看護婦たち。けれど、いよいよ敵兵がくる。女は陵辱され殺される。そんな死に方は絶対にあってはならない。最後はその患者たちに説得され、我々は大丈夫だからと説得され、看護婦たちだけで逃げる。そしてやられる前に皆で自害を試みるが、一人生き残ってしまった女性がいる。。少し前の日本の辛く悲しい話。涙は自然と頬を伝う。どんなに残酷でも心に刻もう、日本人として辛さを共有し明日へ繋げるために。
感動と恐怖!
2014/06/05 13:14
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投稿者:ほんだらぼっち - この投稿者のレビュー一覧を見る
身震いするほどの、感動と恐怖を味わいました。
夢に出そうです。
これぞノンフィクション戦争文学の真骨頂!
体験者による綿密な聴き込みと調査の為せる業か?
忘れようと思っても、生涯忘れることの出来ない物語です。
戦中の出来事を描く貴重な一冊
2014/07/11 22:31
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉村昭の戦史にまつわる短編集である。短編5編が集められている。戦史にまつわるといっても色々あるが、最初の3編は北海道における変事であり、もう1編は沖縄での将軍自決の謎、最後はタイトルにあるとおり潜水艦イ号33が艦の欠陥がもとになった沈没事故についてがテーマになっている。
最初の北海道の3編は、それぞれ「海の柩」、「手首の記憶」、「烏の浜」と題している。
いずれも全編どす黒い雲が立ち込めているような雰囲気で充満している。「海の柩」は北海道の太平洋岸に面した漁村の海岸に、兵士の遺体らしきものが打ち上げられたところから始まる。問題はその遺体がどこから流れてきたものか、なぜかくも多くの遺体が流れ着いてきたかである。それを間接的に描いている。それが「海の柩」である。
「手首の記憶」は日露戦争の結果、ロシアから日本に割譲された南樺太での出来事である。出来事とはいっても、終戦間際に日ソ不可侵条約を破棄して我が国領土になだれ込んできたソ連軍から逃避する民間人の苦労を描いてものである。続いて「烏の浜」は、増毛での終戦直後に出来事である。ソ連と思われる潜水艦に、樺太からの避難民を満載した日本の民間船舶が雷撃を受けて沈没した出来事を取り上げている。
これは「手首の記憶」とも連携するものであるが、戦争が日本の無条件降伏によって終戦となってにもかかわらず、知ってか、知らずか、この船舶沈没によって600名を越す人命を失った。いずれの話も戦争の悲惨さを描くもので、現代の多くの日本人が知らない事実であろう。それを小説という形式で戦後70年の日本人に問うている。
「剃刀」は終戦近い沖縄戦の話で、これ自体は皆が知っているのだが、これも従軍した民間人の目を通して描いている。最後はタイトルにもなっている「総員起シ」である。イ号33潜水艦が訓練中に沈没した事実をヒアリング調査によって明らかにしている。沈没前の故障歴から戦後引き揚げまでを追っている。
事故歴があるイ号33だが、ハッチの閉鎖操作で疑われるのがその事故歴であろう。引き上げ作業を引き受けたのは、スクラップ業者である。しかし、作業は困難を極めた。その経過を丹念に追っている。小説というよりはドキュメンタリーを読んでいるかのようだ。
戦時関係のストーリーは全編暗雲立ち込める雰囲気だが、もう戦後70年が経とうとしている現在、貴重な一冊だと思う。