おぞましき再登場
2021/11/04 13:18
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
山内が滅びるとしたら、山神との関わりなどではなく内側から崩れて行くのかもしれない。
そう思わせる新刊。
非命に倒れた奈月彦、孤独のうちにこわれた藤波も哀れだが、今回最も気の毒だったのは長束彦。
父親は無責任、母親は実の弟に執着。理解者だった奈月彦を失い、血縁に見捨てられた挙句、父親の愚かさの結果生まれた弟を目の当たりにする羽目になったのだから。
父親たる捺美彦は撤去的に無責任であることであらゆるものに復讐しているのかもしれない。その結果など気にしてもいないのだろう。
初代主人公とも言えるあせび復活。
こんなに復活して欲しくない主人公など前代未聞では?
最もおぞましい形での復活が恐ろしい。
この状況をお膳立てした策士気取りの青嗣はそのうち後悔することになるのでは?
高みに彼女を据えてただで済むはずがないのだから。
山内崩壊の危機を知っていて、陰謀と権力闘争を繰り広げる貴族たち。
その中で少しでも血の流れない道を選んだ雪哉。
それゆえ大切な人との決別。
亡くしてしまった友人。
結果、ずっと恐れていた一番なりたくない自分になった雪哉。
彼に光はあるのか。
紫苑の花の別名は鬼の醜草。
その花の名を持つ姫宮は心に鬼を住まわせて現れたのか?
......この先、どうなる?
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
猿との戦いを終え、真の金烏のもと政も落ち着きつつあり、雪哉は外界へ遊学へ…
山内に平和が訪れるかと期待したところが思わぬ凶刃が金烏を襲います。
二つの勢力に別れそうな事態を収めるために雪哉がとった行動は、その後の彼の姿へと繋がります。
そう、雪哉は奈月彦を選んだことはなかったんだ、と気が付かされる。
新たな展開を予想させる人物の登場まで。
雪哉が雪斎になるまで。
2021/11/10 20:48
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
雪哉に与えられた幸運は、
そのほとんどが秀でた能力に振り分けられていて、
その優秀さが、自分の甘ささえ許さず、
雪哉を孤独にするばかり。
彼が求めていたのは、
ただ、自分の居場所だけだったのに。
愛情深い雪哉が、
ただ自分のためだけに、
愛情を注げるようになりますように。
陰謀が目覚めさせたもの
2024/01/14 10:38
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一作目からエンターテイメント性とストーリー性を楽しめるシリーズです。
第二部のはじまりとなる前作の『楽園の烏』では、第一部から二十年後にうつっていた。
前作を読んだのがちょうど二年前だったので、内容を忘れかけていた部分もあったけど自分の書評を見返してどうにか思い出しました。
二十年後では金烏だった奈月彦はどうしたのか姿を見せず、雪哉が金烏の代わりに政治のトップとなる黄烏となって支配する八咫烏の世界となっていた。
奈月彦に、そして彼の妻と娘に何が起きたのかを描いたのが本作だ。
八咫烏の世界である山内に猿が攻め寄せ、八咫烏の世界を作り出した山神が姿を消して山内は崩壊するものと思われていた。
だがある日突然世界が滅びるのか、それとも端から徐々に綻びが広がっていくかのように崩壊していくのかはわからない。
その時に八咫烏たちが生き延びるために奈月彦は土地を開墾し備蓄を増やすとともに外界に八咫烏が移住する準備をするなど様々な策を打ち出していった。
それまで派閥争いに終始していた貴族たちも、山内の危機に一致して立ち向かうべく金や労働力を工面していたはずだったが。
時は流れ奈月彦と浜木綿の間に生まれた娘の紫苑が成長し、日嗣の御子として紹介されるシーンとなります。
女金烏の先例はほとんどなく、皇后が子供を産めないのなら側室を迎えればいいという意見の方が大きかったがここは奈月彦が我を通したのだろう。
新年のあいさつに始まり東家への行幸とまだ少女でも重責に向き合おうとする姫宮と、それを支えようとする雪哉の姿が描かれていきます。
凶事は「やっぱりお前も外界を見ておけ」という金烏の一声で人間の世界へ雪哉が送り込まれていた時に起きた。
黒幕は第一作目から陰謀の中心にいるような大紫の御前だったが、さらにその背後に陰謀の源があったのだった。
純粋に政治的な利害関係から北家を代表する形になった雪哉は、陰謀の元凶さえも飲み込み政治の中心に座ることになる。
権力を手にした彼が失ったものは何だったのだろう。
それを取り返すことができるのか、取り返すことに意味を持てるのか。
時を戻せないのと同じく、雪哉が心を開くことはもはやないのだろう。
だが行方不明となった少女が再び姿を現して八咫烏の世界はどう動いていくのか。
やはり続きに目が離せない。
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なるほどーと色々腑に落ちるし、懐かしい人もたくさんでてきた。あせびとか懐かしすぎる。
面白かった。夢中になって読んだんだけど、四家は腹ではそー考えてたのねっていうのが、どこにでもあるただの権力争いにも感じてしまい、ちょっと興醒め。
前作でも、思ったけど雪哉はやっぱり昔の雪哉の方が好きだったなぁ。
冷酷にならざるを得なかったのはわかるんだけど。
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好きな登場人物が亡くなってしまって悲しい。
お願いだから、いま生きている登場人物たちは幸せになってほしい!
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【第二部始動から一年。「八咫烏シリーズ」衝撃の最新刊!】猿との大戦の後、山内では一体何が起こっていたのかーー? 前作『楽園の烏』で描かれなかった山内の“その後”が明らかに!
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雪哉の手から次々と大切な人が失われてゆく様を見ているのがつらい…
きっと己が悪役に廻ってでも浜木綿と紫苑の君を、三内を、護ろうと決めたんだ…と、思いたい。
だって澄尾と真赭の君がこんな事をしている雪哉に何も言わないのがおかしいもの。浜木綿御乱心も裏に何かありそうだし。
そして何より嫌な女だな、あせび。
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『楽園の烏』で長束が言っていた「必要性の奴隷」ってやつに雪哉は自らなることをこの時決めたんだなと思った。元々、合理的な思考の持ち主で今までだって手段を選ばないところはあったけど、それでも主君である奈月彦は全八咫烏のために身を捧げてきた人だから、雪哉もそれを尊重していたし、奈月彦からの信頼を信じていたから、今まで奈月彦の望む未来に向けて身を捧げてきたのにね。最後「一緒に逃げてくれないか」と言った雪哉とそれを受けることが出来なかった紫苑の宮の関係は今後どうなるのかな。あの場面、雪哉の心情考えたら切なすぎるよ。
雪哉が好きな読者としては、雪哉に厳しすぎるよ〜っと読んでて辛くなる。せめて茂丸が生きていれば、明留が生きていれば、とかたらればを考えてしまうな。死ぬ前に奈月彦が雪哉に伝えようとしてた事は一体何だったのか。何か救いがあると良いな。
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どうして『楽園の烏』に至ったかというのと、1巻から蒔いた種が芽吹いて花開いたような巻だった。
藤波について。彼女がこれからどうなるのか、どうしているのか1巻から気になっていたので、今回で奈月彦を弑する結果になったのはさもありなんだった。逆にそれまで放置していたのかよと驚いた、あまりにも妹に対して冷たいなと思った。猿との大戦や娘の成長、奈月彦自身の資質からそうなるのは理解はできるが雪哉同様失策だったなと思った。
あせびや東家も1巻から存在感が薄いままだったので、今回表舞台に出てきてにっこり。凪彦も、まあそうだよなと受け止めた。
大紫の御前は、前回の短編集で人となりが分かったので、彼女の末路も、でしょうね感。融が何を考えているのかいまいちまだわからないけど、異母姉についても他の人間同様、道具としてしか見てなかったと思う。
早蕨は東家の小梅と会話した霞であると思われる。早蕨が暗殺の話を持ってきたし。また庭師の下男も、融の差し金だと思われる。融と東家の介入によって大紫の御前と藤波を引きはがし、藤波達に奈月彦暗殺を実行させるよう促したんじゃないかな。
雪哉はそれをどこまで見切っているか。たぶん、楽園の烏までにはその事実にはたどり着いての楽園ではないか。
また最後の澄生は紫苑の宮であり、幽霊であると考える。その上で雪哉と手を組んでいるのではないかとも考える。
幽霊がいう大切な人たちの中には雪哉も含まれており、雪哉との逃亡を拒否した結果、雪哉が死んで博陸候になったという暗喩じゃないかな~と。ここら辺はもう願望。
そのうえで彼らが信じるものというのは山神への信仰じゃないかなと。
招陽宮を燃やし浜木綿と紫苑の宮が逃げたのも雪哉の指図じゃないかな~と思ってる。わざわざ火の中に飛び込み誰もいなかったと証言してるけど、どこかに逃がしたのでは。それか痕跡を消したのか。
葵もとい澄生として戻ってくるのは意外だったとは思う。
追憶ラストで紫苑の宮と接触した雪哉が、山内の権利や山内の平和のために動く計画を立て、二人でやってるのかな~と。最後の最後に手を組んでいたことがわかると面白い。
二人が対立しているのを信じたくない願望の話だけど。
作者は今は外伝をいくつか書いてるらしいから、それを一つにまとめてから長編書くのかなと予想。年内に新作読めると良いな~。
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今までの様々なキャラが出てきて、
主要キャラもあっさり切り捨て、
ダイナミックな展開に。
情と信念、そのヒトがそっちをとるか、と
意外なようで、立場や時が流れるとそうなるの?
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楽園の烏を読んだ時に
雪哉どうしちゃったの?
って思った。
そんな、猿との闘いと楽園の間の話。
雪哉ー!ってなって、あのかわいかった雪哉を返して!って思いで、最初から読み直しておいてよかった。
どんでん返しからのどんでん返しは
シリーズ一貫して変わらず。
奈月彦が…
あせび!?
そして紫陽花の庭は辛かったけれど
だから、楽園での雪哉に至るのですね。
容赦ないかんじがシリーズ一貫していて、寧ろ、其れが良い。
ひっくり返される感じも。
楽園の幽霊は、誰?
紫苑の宮?葵?茜?
次が気になる一冊です。
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何から感想を書いていいやら…
読み終えた後もしばらくずっと追憶の烏の事を考えてしまった。
そして思い出す度に泣きそうになって必死に歯を食いしばるしかないという辛さ。
とりあえずハリポタで言うダンブルドア先生死んじゃったと言う展開。
そこからの展開が辛すぎて辛すぎて…
千早がどういう思いで明留の骨を継ぎ足したか…
でも何より雪哉が可哀想で仕方ない。
本当に心のない子だったら、あの雨の中で若宮や澄尾と一緒に分け合って食べたご飯の事や笑顔なんて思い出すはずないじゃないかバカタレ!!
雪哉の気持ちも誰か分かってあげてよ!!と、号泣しながらずっと読んでいた。
あんな展開になってしまったら楽園の烏で出てきた雪哉みたいになるわ…。
山内の崩壊はきっと山神がどうこうと言うより八咫烏側から崩れさるのでは?と思わずにはいられなかった。
雪哉に幸せは訪れるのかな…
とりあえず今回の巻で唯一の救いは澄尾と真赭が結婚して仲睦まじくやってる事だけだったよ。
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雪哉の「ねえお祖父様」がなんともいやらしいというか、こいつもしたたかになったなと感心してしまう。
澄生絶対紫苑だろ。
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シリーズ初巻「烏に単は似合わない」の時点でこの展開を用意していたのだろうか。符号する登場人物や台詞を鑑みるにそうとしか思えないが、だとしたらこの物語が行き着く先はどこなのか、何を描こうとしているのだろうか。あまりに辛すぎる第一部終幕には、山内崩壊を救う主上夫妻の考えが反映されていると思いたい。