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みんなのレビュー158件

みんなの評価4.0

評価内訳

158 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

文学の新生面を拓いた傑作

2011/07/19 21:15

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る

「勝ち組」「負け組」という不快な言葉が日本を覆うようになって久しい。そんな閉塞感漂う日本社会、生きづらい世の中に腹が立った時は、本書を読むことをオススメする。


主人公の楠木正行(この忠君愛国な名前が皮肉である)は3年前、ふと働くのが嫌になってミュージシャンを辞めた。以来、酒浸りの毎日を送っていたら、ついに妻の夏子が家を出ていってしまった。散らかった部屋に転がる「五寸ばかりの金属製の大黒様」は珍妙な面つきと言い「自立できない」点といい、自分そっくりで全く不愉快。自堕落な生活にピリオドを打つべく、ついに今日こそはこの大黒を捨てようと決意した・・・ユーモラスな語り口と奇妙な形で噴出する鬱勃たる感情が話題を呼び、日本近代文学の本流であった私小説を現代に再生させたと絶賛されたミュージシャン町田康の処女小説「くっすん大黒」ほか1篇を収録。

一見デタラメなようでいて音楽的なリズムを刻む地の文にそこはかとなく漂う詩情、上方落語や漫才を彷彿とさせるキビキビとした会話の心地良さは、絶品である。八方破れの主人公がどこかシャイな点は高橋源一郎を、登場する中年女性が揃いも揃って横暴で自己中心的でヒステリックな点は筒井康隆を思い起こさせる。


表題作主人公の楠木は大黒の捨て方など些末なことには異様なほどに粘着するくせに、日常生活を無難に送るための世俗的な知恵は決定的に欠落している。その意味で彼は落伍者、生活破綻者、社会不適応者であることは疑いないのだが、彼の社会に対する醒めた視線は存外に的確で、その諷刺精神は意外に真っ当なものだったりする。はっきり言って、彼が行く先々で出会う俗物たちの方が明らかに人間として終わっているのである。こんな奴らに媚びてまで生きたくない、と思っている彼はあえて社会的成功に背を向けていると言えよう。この社会に対して意味のあることを決して行うまいという、徹底的な無為・不毛を心に固く誓っているかのようである。だから彼は無気力なように見えて、世俗の価値を積極的に否定する情熱を内に秘めているのだ。
 
つまり楠木を突き動かしているのは凄まじいまでの反骨精神である。クールなパンクバンドをやってファンから拍手喝采を浴びるなんてのは、本当の「パンク」ではない、という認識がそこにはある。「愚にもつかぬたわごとをレコードに吹き込んだり、命じられるままにカメラの前で右往左往したり飛んだり跳ねたりという三年前までの自分の仕事」は真の意味での“反逆”ではない、と。楠木の自堕落な生活こそが「パンク」であり“俗世間への反逆”なのだ。


しかし町田康は「私小説」の形式を導入することで、話者・町田康(パンクロック歌手町田町蔵)と主人公・楠木正行(元ミュージシャンのダメ人間)との距離を巧妙に測定し、楠木の鬱屈と反抗に満ちた自意識過剰な語りをも笑いの対象にしている。これは言うまでもなく町田康自身のナルシシズムを相対化する作業に他ならない。一種、自虐的な笑いとも言える。この辺り、やはり町田康はタダモノではない。

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電子書籍

大黒さんは見ていた

2024/05/23 07:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る

金がない…やる事がない…いや、やるべき事は金を稼ぐことであって、糊口をしのがないとただ飢え死にを待つだけなのだが、どうすれば銭にありつけるのかが分からない。
気が付けば主人公の傍らにはふてぶてしい金物の大黒さんが残ったのみなのだが、どうもこの手の人形や、人でなくても神様や眷属をかたどった物って存在感が強くて捨てがたいところを、意を決してそれでも捨てに行くのだけれど、独特な風景を作ってしまうからどうにも目が離せない。
最初はそんなこんなで警察の厄介にまでなりながら、大黒さんの処分に奔走しただけだったと思うのだけれど、うどん屋でのアルバイトから自称アーチスト…と直接は関わらず、その取り巻きというか信者のファンアートに関わり、遺骨の搬送に、なにが起きるか分からない珍道中そのもののあらすじではある。世間というか世界は動いているので、否応なくその流れに巻き込まれてしまうこの感じっていいよねえ。話も思考も時には飛んで飛んで飛びまくるので、一瞬精神医学でいうところの『ワードサラダ』!?と勘違いしてしまう事とあって(統合失調症の患者さんがよく書くらしいよ)、文章と支離滅裂の間、みたいなところを泳いで泳いでどこにたどり着くのか?読後はともかく死にはしないから、安心して読まれたい。

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紙の本

解き放たれた小説

2015/08/08 09:18

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

人間誰しも仕事に行きたくない、一生遊んで暮らしたい、昼間から酒を飲んで寝ていたいと思うことがあるだろう。しかし社会の中ではさまざまなものにとらわれていてなかなか実行できない。そのような欲望を表現するのが映画であったり音楽の世界の中である。著者はパンク歌手や俳優、詩人などさまざまな活動をしている。その表現方法の1つとして、1996年本書を発表した。ストーリーがなく、結末を読んでも納得のいく人はすくないだろう。ただ常識にとらわれない表現方法は斬新だった。

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紙の本

私の知らない世界で、笑わせていただきました。

2003/05/27 22:29

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kaimin - この投稿者のレビュー一覧を見る

 職場の後輩に勧められて読みました。なんとまあ文章のうまい人かと、出だしから引き込まれ、くすくすと笑いながら読みすすむうち、これは夫にも教えてやらねばと夫が帰ってくるのを待ち構え、ねえねえここちょっと読んでみてと無理やり見せたのが良かったのか悪かったのか、すっかりはまってしまった夫のほうが私より先にガハハガハハと馬鹿笑いしながら読み上げてしまいました。
 本は買っても積んドクほうが多い夫がここまで短時間で読んだ本は初めてではないでしょうか。

 夫に遅れることまる1日、ついさっき読み終わりました。久しく文学から遠ざかっている私には、解説読んでも、え? そうなの? てなもんでわっかたようなわからん!!! 曖昧模糊な感じでございます。イメージ的には不条理の世界?といった私の感想はさておき(それでいいのか?)、夫はこの作家さんは女が嫌いなんだな〜としみじみ言っておりました。私はそういった感じは受けなかったのですが、確かに登場する女性は奇天烈な方ばかりです。夫にはチャアミイのインパクトが特に強かったらしく、チャアミイチャアミイとしばらく五月蝿かったです。
 それと、夫と私ではウける部分が微妙にずれていました。これは男と女という単なる性差のせいでありましょうか。フォーク並びのおおブレネリに夫は爆笑していましたが、私はフォーク並びとおおブレネリの因果関係のほうが気になって笑いを逃してしまいました。
 
 以上、ウチのように夫婦で読んで笑って討論するも良し、ひとりで笑って不気味がられるも良しで、読み方いろいろ、お得な一冊でありましょう。
 オーさん教えてくれてありがとうネ。

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紙の本

当たり前の一気読み。ズズチャー、ズズチャー

2002/06/08 22:22

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 町田康の本がそろそろどんどん文庫化される時期にきているのかな。待ってましたの、『くっすん大黒』の文庫化で、即買い。

 『くっすん大黒』の「大黒」って、私、「おおくろ」あるいは「おおぐろ」だと思ってました。人の名前だと思っていたのですが、違うのね。大黒様の「だいこく」だったのだ。
 座りが悪くすぐにコロンと倒れ、いつもニヤニヤ笑っている大黒様を、主人公の楠木が捨てに行くというお話。
 巻末の三浦雅士氏の解説を読むと、大黒様を捨てる場面を、梶井基次郎の『檸檬』からレモンを丸善に置く場面とかぶらせてみたり、町田康という作家を、坂口安吾、太宰治、織田作之助と比較してみたりと、色々にこねくりまわしている。
 私は、『くっすん大黒』を読んで、梶井基次郎の『檸檬』なんてこれっぽっちも思い出さなかったし、坂口安吾や太宰治のこともよう知らんのだが、とにかく笑いに笑って読了した。こんなにおもしろくてこんだけ笑ったんやから、それでえぇやん、という気分である。

 町田康は雰囲気に流されない目を持っていて、自分のことも第三者的に見つめる人だからこういうものが書けるのだろうなぁ。それはたとえば、『岬を目指してよちよち歩き始めたのである。』などという表現をしてしまうところからもわかる。「よちよち歩く」のは、幼児である。自分がそこいらを歩いている時に、「よちよち歩いている」なんて考えは持たない。しかし、一旦自分を取り合えず歩かせておいて、それを空から見たならば、全く「よちよち歩いて」いる場合があるのである。
 町田康の目に加えて、町田康のリズム感も、これがあるからこそ書けるのだろうなぁと思わせられ、強烈に印象に残るものである。この独特のリズムに乗せて、町田康が持っている言葉、彼の頭の中ではいつも自然に共存しているであろう、関西弁、東京弁、聞いたことのある訛り、それから、これまでに読書して身に付けた文章言葉が錯綜する。「「です、ます」調で書き始めたら「です、ます」調で終わる。「ちゃんちゃらおかしいやい」と書いてしまったなら、「アホらしぃてやってられへん」とは書かない。…って、だれが決めたんや? リズム、リズムやで。」と町田康に言われているような気がした。

 ありそうでなさそうでありそうな話、いい加減でズボラなようで真面目なようでもある主人公、こんな奴おらんやろと思いながらも、なんだかそこらにいてそうにも思えるとんでもない登場人物、伸び伸びと自由な雰囲気があるようで窮屈で息がつまりそうな空気。つかみどころがないような小説だが、笑いのツボを確実についてくるので大笑いしてしまう。そして、町田康の小説には、「今、おまえなんで笑ったの?」と一人ツッコミを入れて、考えを深める素養があるのが嬉しい。
 笑い〜始め! 笑い〜やめ! 笑い〜始め! 笑い〜…。町田康の小説を読んでいる自分って、変。

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紙の本

関西人ならではの世界観

2019/01/27 19:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「くっすん大黒」の冒頭は強烈だ。「おれは一生、Wヤングのギャグを言い続けてやる。君がとはってもウイスキー。ジーンときちゃうわ。スコッチでいいから頂戴よ。どや。滑って転んでオオイタ県。おまえはアオモリ県。そんなころはイワテ県」とハイテンションで突っ走る。関西出身者でないとわからないネタをかましてくる。痴女チャーミィに、怪しい芸術家の信者・桜井など登場人物もかなりいかれている。「河原のアバラ」にでてくる、怪女・天田は強烈だが、それ以上に偽津山と本物の津山が面白い。ダウンタウンの「ごっつうええ感じ」のコントを見ているような感覚になる。やはり。町田氏は関西人なのだ

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紙の本

「くっすん大黒」について

2002/05/25 15:02

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投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る

いつもの町田テイスト。ぐーたらで弱気な主人公がいろんなトラブルに巻き込まれる。家にある大黒の置物を捨てようと思って外に出たけど捨てられない。金がないからって知り合いんちに行って、服屋でバイトをはじめたはいいけど店員と客にけったいなババアがいた。気を取りなおして怪しげなドキュメンタリー番組の制作にかかわったけど混迷。話はだいたいこの3部に分けられる。
笑えたのは第2部、服屋での光景。「ぅあたしのビャアーグ」なるけったいなコトバをほざくババア、チャアミイがいい。

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2004/10/20 03:29

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2004/10/22 23:00

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2004/10/29 12:16

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2005/03/10 02:20

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2006/03/06 23:09

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2006/03/21 18:28

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