「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
クライマーズ・ハイ (文春文庫)
著者 横山 秀夫 (著)
1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されてい...
クライマーズ・ハイ (文春文庫)
クライマーズ・ハイ
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは—。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。【「BOOK」データベースの商品解説】
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
日航機墜落事故を舞台に新聞社内の人間模様を描く傑作
2006/08/13 22:12
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビでもドラマ化された横山秀夫の作品である。日航ジャンボ機墜落事故を背景に群馬県の地方新聞社の記者を主人公としたストーリーである。
横山自身が地方紙記者出身で、この事故の取材経験を持っていることから、テーマとしては長らく温存されてきたものである。予想通り、事故の取材、紙面づくりだけではなく、それまでの人間模様が反映される複数のストーリーが並列して走る。
新聞社の編集局の中では、主人公の悠木が日航事故の全権デスクに抜擢された。新聞社としては航空路がない群馬県で航空機事故が発生し、当惑気味であり、回避したかった雰囲気がよく分かる。犠牲者にも群馬県関係者はほんの僅かであった。
私にはこの新聞社内部の人間関係が抜群に面白かった。訳の分からないことをのたまい、どうしてこれが社長なのと聞いてみたくなる元編集局長の社長、その腰巾着の編集局次長、一方で社長と張り合う専務とその一派、調停屋と呼ばれ、実力の片鱗も見せない編集局長、記者上がりのはずだが組織の政治地図に染まってしまった社会部長など、多士済々である。役者は揃っている。
まさかこれだけでこの新聞社が動いている訳ではなかろうが、半分はこんなものだろうと想像がつく。かえって、このような規模の地方紙の方が新聞作りに関しては、自分が作っているという実感があるし、達成感もあるようだ。この他にも広告を扱う部署、総務部門、読者の反応などがダイレクトで返ってくる。
主人公の全権デスクが社会部長に食ってかかり、相手を罵る場面などは迫力がある。これは、サラリーマン社会では首か左遷を覚悟しないとできない芸当である。また部署間の争いもつかみ合い寸前まで行ってしまうが、これもあまり見ることができない。つかみ合いや罵倒の是非はともかく、職務に真剣に取り組んでいる証拠である。これらは20年前の出来事なので、この頃までの社会の活力を象徴しているような気がする。
バブル後遺症で不景気が続いているという台詞は、もう言い古されてきたが、この間に産業界は再編成の荒波を受けて肝腎の活力を削がれてしまったのではないだろうか。何となく漂う無気力感、責任感の喪失、箍の外れた業界モラル。
私は本書を読んで、ある種の懐かしさを感じ、活力のある職場、産業界のあり方を見直す契機になった。本書に描かれているのは、わずか20年前の事件ではあるが、遠い昔のことのように感じさせる。新聞社勤めの経験がある横山ならではの傑作であろう。
紙の本
世代交代
2008/05/10 08:03
11人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
クライマーズ・ハイ 横山秀夫 文春文庫
クライマーズ・ハイとは、登山者が登山中に気分が高揚していくことだと思います。
記述のスタイルが古い。21年前のことです。阪神18年ぶりのリーグ優勝、グリコ森永事件、週休二日制の未実施、電話ボックス、中曽根首相、福田赳夫元首相、小渕元首相、モーレツ社員、仕事の犠牲になる家族。「アサッテの人」諏訪哲史著とは大違いの書き方です。読みながら、もう50代後半以上世代の時代は終わったと感じます。私たち好みの記述手法です。
サラリーマン社会においては、仕事場で評判の良い人は家族関係が壊れている、家族を大切にする人は仕事がパッとしない。両立は無理なことです。
御巣鷹山の航空機墜落事故をきっかけにしているものの中身は地方新聞社の内輪話です。現代の若い作家、女性作家とは明らかに書き方が違います。2時間ドラマを意識して書いてあるようです。今の時代にそぐわない作品です。日航機墜落を素材としてありますが、別にそれが素材でなくともいい。
インターネット、携帯電話の到来とともに人間と人間が直接面と向かって感情をぶつけあう時代は終わりました。
なんだかんだと書きましたが、424ページで、胸がグッときて目頭がジンとにじみました。こどもをもったことのある人にはわかる、こどもとのむつかしい関係です。
クライマーズ・ハイとは、新米記者の神沢君のことです。彼は古い世代の生き残りです。
紙の本
読み終えた瞬間こそ、クライマーズ・ハイの境地
2006/06/23 22:03
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る
1985年新聞記者悠木は、友人安西と谷川岳登山を約束するが、おりしも日航ジャンボ機墜落という世界最大の航空機の悲劇に遭遇することになる。このスクープに忙殺されることに。一緒に登れなかったことを悔やむが、安西も谷川岳には行くことなく病院に運ばれていた。時はたち念願の谷川岳登山の果てに見たものは…。
もっとこの墜落という衝撃の中で日航関係者や被害者のことを書いているのかと思いました。
予想に反して、事故のことは舞台が新聞社だけに淡々と書かれていますが、新聞社ゆえのことです。この事故への怒りや、見てきたものにしかわからない現場の雰囲気が伝わってきます。
また横山さんの持ち味、「組織の中の個人の葛藤」がこの新聞社の中で、いかんなく描かれています。新聞は売れればいいのか?新聞社のモラルとは?スクープとは?真実とは?次から次にと読者に投げかけられてきます。
日本中が悲劇に哀しみ、生存者に涙し、日本航空への怒りが渦巻いた、暑い、熱い1週間の新聞社の内部をノンフィクションと間違うぐらいに熱く語られています。
そして、横糸がジャンボ機墜落なら、縦糸は友人安西の死。
「なぜ山に登るのか」「下りるために上るのさ」
この会話が最後まで投げかけられています。そう意味ではれっきとしたミステリー小説。
それぞれの人物が過去を持ち、過去を乗り越えるため、山を越えていく。人生には山を越えるときがある。
そして、上り切ったら、まさにクライマーズ・ハイ。極限状態を通り越して陶酔の境地になるという。そして次の高みへ。
主人公の行いについて、賛否が分かれると思います。
「組織の中でどうなのか」
わたしはそれでも主人公の一途といっていいわがままを支持します。過去から未来へ前を向くための手段だったのです。
お薦めします。違う側面から日航ジャンボ機墜落を扱ったこの小説。読みきったときまさにクライマーズ・ハイの境地。まれに見る傑作です。
紙の本
下りるから登る
2021/06/06 16:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はあまりにも有名な本。新聞で紹介されていたので読んでみたくなり購入。
「下りるから登る」この言葉の意味するところは読み終わって読者個々が必ず考える事。人生を送る人々個々には必ずと言って負の荷をおって生きている。その荷を引きずりながらも与えられた仕事・事件の報道に寸暇を惜しみながら向き合う主人公。その組織にいる過去の栄光にすがり年を重ね出世し今は社内派閥の頭目に使いまわされている元事件や達。でも事件の犠牲者たちの気持ちになりながら報道を貫き通そうとする面々。次の展開は?と考えながらも一気呵成に読んだ。新聞社と言う特殊な組織を描いているかと思うのは間違い。組織にいればぶち当たらないとは言えない場面が続く。解説の「人はなにをよすがに生きるのか」心に響く言葉。日航墜落事故。生存者がヘリに吊り上げられる映像を自分はどこで見たのだろうか思い出さされる。事故を忘れてはならない。
紙の本
航空史上最悪の事故
2020/08/13 11:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MR1110 - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時小学生だった私にとって人生初の衝撃的なニュースだったかもしれない。確か同年代の女の子が助かった記憶がある。そのニュースを題材にした報道記者目線の小説。携帯電話もない頃の凄まじい執念の取材。何度読んでも引き込まれます。
紙の本
クライミングがしたくなる
2018/09/20 21:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
先輩に勧められて読んだ本です。ドキドキワクワク最後まで楽しく読むことができました。読み終わったあと、山に登りたくなりました。
紙の本
どうしようもない祭
2017/08/22 07:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まんだかず - この投稿者のレビュー一覧を見る
大事件や大災害といったものはマスコミにとって
祭のようなものだ。
関係者だけが勝手な使命感に盛り上がって、傍から見れば冷笑そのものである。
作者は地方新聞の出身だけあって、
その辺の祭をよく描写しているのだと思う。
しかも、祭といえど関係者の担ぐお神輿の息はバラバラ。
地方新聞が大手新聞社にスクープをとられる口惜しさや社内の内部抗争まで
大事件を利用しようとする幹部たちの腹黒さと友人の突然の入院など、
主人公の北関東新聞社・日航全権デスクの悠木は翻弄される。
読者はすでに日航123便の墜落について知っているので、
そうだよ行け!そうじゃないよ!とついつい悠木を応援したくなる。
紙の本
ほぼ、一気に読めた。
2016/09/23 17:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オカメ八目 - この投稿者のレビュー一覧を見る
結構分厚い文庫本ですが、文章の流れにスピード感があって、その勢いに乗って、まるでラフティングでもするかの様に読めました。 そして何より、御巣鷹山への墜落事故当時の時代の空気感を、本の中より感じました。 もちろん、かなりの部分がフィクションですが、それとノンフィクションとが絶妙に絡み合って、兎に角「読ませ」ます。
紙の本
横山作品の代表作!力作です!
2016/01/24 09:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は、御巣鷹山で起こったJALの航空機事故を題材にした小説です。筆者が新聞記者時代に遭遇したこの大事故の取材経験をもとに小説に仕上げているのでそれぞれの場面の描写やその当時の社会が実に生き生きと描かれています。思わず、この作品に引き込まれ、一気に読み終えてしまいます。この作品は、横山作品の代表作といえるでしょう。
紙の本
この方の作品が好きで、読みました。
2014/10/13 01:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:shingo - この投稿者のレビュー一覧を見る
この方の作品が好きで、読みました。
ノンフィクションが苦手なので、今まで避けていたのですが、考えすぎでした。
説明が細かくて読みにくい感じもありますが、それに負けない楽しさです。
紙の本
ブン屋の御巣鷹山
2006/09/05 14:39
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
1985年8月12日、日本で世界最大の航空機事故が発生した。群馬県御巣鷹山で発生した事故は、520人もの尊い犠牲を伴う大惨事であった。真夏の山奥の森の中、木々は生い茂り救出活動は困難を極めた。
日々腐り行く520人分の遺体を回収し、散々になった肉片を、個人に仕分けていく。その様相はまさに、地獄絵図であったに違いない。実際の活動はまさに、戦いであったろう。しかしまた全く別の角度から、この大事件と闘っていた者達がいた。そう、マスコミである。
この世紀の大事件の発生地となった群馬県の地元新聞、「北関」が物語の舞台となっている。もう2度と起こらないであろうこの大事件を、誰が、どんな記事でスクープするのか。地元新聞の意地として、他の大新聞に負けるわけにはいかない。誰もがこの事件を担当したい。そして記者として、名を残したい。だから必然的に社内で諍いが起き、軋轢が生じてくる。怒鳴り合い叫び合い掴み合い、時間に追われ情報に振り回され、そしてその先で掴んだ、大スクープ。しかし、それを載せてしまって良いのか。人として記者として、完全に裏の取れない情報を発信してしまって良いのか。全権デスク悠木が悩み苦しみ抜いて、辿り着いた先は・・・。
そしてもう一つ、この物語の大きなテーマとなっているのが、家族愛。
山登り友達の安西と、伝説の谷川岳難壁に挑もうと約束したその日に、安西は不慮の病で急死してしまう。息子とのすれ違いに悩んでいた悠木は、安西の息子燐太郎を誘い息子と3人で山登りを始める。それでもすれ違い続ける、息子との気持ち。だが時が経ち、燐太郎と共に難壁に挑む中で、悠木が知る息子の真意とは・・・。
事故当時、地元の新聞社に勤めていた作者だからこそ書けた一作。
そういった意味でも、まさに奇跡の一作と言って過言では無いと思う。
紙の本
史実な事故
2020/04/16 19:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:chieeee - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際に起こった航空機事故を追う新聞社勤めの主人公の仕事と山登りの話が交互に出てくる。どちらも自分には遠い話だったので、興味深く読み終える事が出来た。この事故は史実でもあるので、当時は凄い事になってたんだろうなぁという事が文章を通してひしひしと感じられた。すでに何十年も前の事故をこのように知る事が出来るのはありがたい。そして攻撃的な仕事場での主人公と、繊細なお父さんである山登りのシーンを交互に持ってこられる事で引き込まれました。
電子書籍
記者として、夫として、父として、友としての苦悩、怖れ、義憤、怒りなど比較的淡々と描写
2018/12/05 08:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は北関東新聞の古参記者・悠木。現在の年齢は52歳。17年前の1985年に同僚の元クライマー・安西に誘われ、谷川岳に屹立する衝立岩に挑戦する筈でしたが、彼と待ち合わせしていたその日、御巣鷹山で日航機が墜落し、悠木は全権デスクを命じられて、安西との約束を守れませんでした。一方安西の方は、当日午前2時に繁華街で倒れているところを発見されて病院に運ばれ、そのまま意識が戻らず、植物状態に。「下りるために登るんさ」という謎の言葉を残して――。悠木は安西の息子と今衝立岩に挑戦します。17年前の出来事やそれ以前の彼の過去がフラッシュバックし、大半のページが過去に割かれます。日航機事故を彼がどう思い、全権デスクとして社内政治に翻弄されつつどう切り盛りして紙面を作っていったか。その一方で、安西の最後の日の足取りも追っていきます。また、以前に事故とも自殺ともとれる形で新米記者を死なせてしまったこと、その事件が悠木の身の振り方に与えた影響なども回想します。記者として、夫として、父として、友としての苦悩、怖れ、義憤、怒りなどが比較的淡々と描写されています。
そして、山登りを通じて、安西の息子の心細さを救い、悠木の息子・淳との親子関係を改善し、自分自身の過去を逡巡しつつも徐々に克服していく様子には山登りなどしない私でも共感できます。
電子書籍
真実に登り詰める
2018/05/11 05:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
日航機墜落事故の現場へと向かっていく、記者たちの姿が感動的でした。真実を伝えるための執念に圧倒されました。
紙の本
原田眞人監督映画化原作
2017/10/25 02:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
実在する事件からインスパイアされたストーリーになり、綿密なリサーチを感じました。ジャーナリズムについても考えさせられました。