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  • 発売日:2001/07/30
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/226p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-125332-3

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西の魔女が死んだ (新潮文庫)

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西の魔女が死んだ (新潮文庫)

税込 649 5pt

西の魔女が死んだ(新潮文庫)

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みんなの評価4.1

評価内訳

紙の本

「魔女は自分で決めるんですよ。分かっていますね」/「だって、この道きり、ほかにないんだもの……」

2010/07/21 23:33

37人中、32人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書には、「西の魔女が死んだ」と「渡りの一日」の
ふたつの物語が収録されている。

「西の魔女が死んだ」では、
「西の魔女」(おばあちゃん)が倒れたと知らされて、
ママの車でおばあちゃんのお家に向かうまでの約6時間、
2年前のおばあちゃんと過ごした1か月の日々を
主人公・まいが思い出している。

おばあちゃんは英国人で、
しかも、ママが「あの人は本物の魔女よ」と言ったことから、
まいとママふたりだけのときは、
おばあちゃんを「西の魔女」と呼ぶようになった。

当時中学1年生だったまいは、
「わたしはもう学校へは行かない。
あそこは私に苦痛を与える場でしかないの」
と宣言し、学校に行かなかった。

ママは理由を聞かず、
おばあちゃんのところでゆっくりさせるという選択をする。

まいは、おばあちゃんとの生活で、植物の名前を覚えたり、
野イチゴを摘んでジャムにしたり、鶏の卵を取ってきたり、
自然になじんだ生活をしていくようになる。

まいは、おばあちゃんから自分の祖母が
予知能力や透視の力を持っていたと聞かされる。

それをきいたまいは、
もし、そういった能力が出てきたら
ちょっと怖いような気がするけれど、
もう学校のことでこんなつらい思いをしなくても
すむんじゃないだろうかと思い、
自分もがんばったら、
その超能力が持てるようになるかしらとおばあちゃんに訊く。

まいには生まれつきそういう力があるわけではないので
相当の努力が必要といわれるが、
魔女になるための基礎トレーニングをすることになるのだ。

それは、精神力を付けること。

正しい方向をきちんとキャッチするアンテナをしっかりと立てて、
身体と心がそれをしっかり受け止めるようになること。

こうやってあらためてあらすじを書き出しながら、
そうかと気づいた。

これは、すでに起こるとわかっていた来るべきことに耐えうる心を
まいがもつための訓練でもあったのだ。

おばあちゃんは、
「一つ、いつ起きると分かっていることがあります」
と言っていた。

そう、彼女は知っていたのだ。

だからこそ、魔女のレッスンがあったのではないか。

人は死んだらどうなるのかという問いに対する、魂についての説明。

魂は身体を持つことによってしか物事を体験できない。

体験によってしか魂は成長できない。

成長を求めて生まれてくるのが魂の本質だ。

こういった、スピリチュアル系の本に書かれていそうなことが
どんどん出てくるが、
これを押し通そうというものでもない。

おばあちゃんは、このように考えているし、
まいの両親はまた違う物事のとらえ方をする人である。

まい自身は、どちらもバランス良く
無理せず受け入れているようなところがある。

そういった異なる考えをどれも包み込むように
共存させているような穏やかな力が
この作品世界全体を支えている。

直観の扱いやネガティブな感情に対する処し方など、
1か月で様々な経験をして、学ぶことになる。

パパの単身赴任先で、ママと一緒に住むことを選択する、
つまりは、新しい学校に転校することを選択したまいは、
おばあちゃんのところを去ることになるのだが、
おばあちゃんとあることでぶつかってしまい、
少しわだかまりを残してわかれることになってしまった。

そしてその後、2年間、「魔女が―倒れた。もうだめみたい」
と言われ、会いに行くまで、
両親も彼女も一度もおばあちゃんのところを訪ねていなかったのだ。

あんなに好きだったあの場所を思い出さなかった2年間。

最後だと分からずに別れた相手に対して、
やり残したこと、言い残したことがあったとき、
なんともやりきれない気持ちになる。

本書ではほとんど語られることのない、
おばあちゃんとママ、つまりは、母と娘は、
おばあちゃんとまい、よりも
もっと葛藤や思いがあったのかもしれない。

ママの悲しみ方に、描かれなかった物語の存在を感じた。

旅立った魂は、残された者に、
その人だけに分かる方法でメッセージを残すことがある。

それは、残された者が旅立った者を思う気持ちと受け取る心が
そのギフトに気付かせ、受け取らせるのだろうと思う。

本書にもそのようなメッセージが少なくとも3度現れる。

そのギフトは、残された者の後悔の気持ちや葛藤を和らげるのだ。

残るのは、愛されていたこと、愛していたこと。

「渡りの一日」は、新しい中学校での友人ショウコとまいの一日の物語。

予定通りに事が運ばないことを望まない、
というよりも、なぜか思った通りに事を運んでしまう、まいのことを
不思議に思ったショウコが、あえて予定を覆すような行動に出るのだが・・・。

ユーモラスにして、結局、人は望む場所に向かってしまうんだなぁというお話。

まいは、おばあちゃんに、
「魔女は自分で決めるんですよ。分かっていますね」
と言われていた。

まいは、本当に求めていたものに最終的に出会えたという経験を通して、
その出会えたものが発するメッセージを、一つの方向を目指す強力なエネルギーを
「だって、この道きり、ほかにないんだもの……」という思いで受け止める。

本書を私に薦めてくれたのは、私の妹だった。

私自身が大きな喪失経験をしてから少し後のことだったと思う。

「私はどうしてこうなんだ…」的なことは、
彼女に言ってしまうことがあった。

どこか魔女なところがある彼女は、
「結局は自分で選んでいるんだよ」と言い切る。

その通り。わかっているんだけどね…。

「結構流行っている本だよ。
お姉ちゃんは読まないかもしれないけど…」
という無理には薦めないというスタンスでの紹介だったので、
そのときは手にしなかった。

今落ち着いてから本書を読んで良かったと思うし、
おかげで、妹が本書を薦めてくれた意味を
心から味わうことができたと思っている。

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紙の本

ちょうど良い感じの終わり方に向かって筆を走らせる作者の息遣いが感じられる

2008/05/30 21:35

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 映画の予告編を何度か見て、見ているうちに良さそうな映画だなという気がして来て、たまたまそんな時にこの原作本を見つけた。
 「児童文学」という乱暴な括りが適当かどうかはともかくとして、うんと若い人向きの本であることは間違いない。少なくとも僕のような汚れっちまった大人(いや、枯れ始めた大人かな?)が読んでも(帯の宣伝文句にあるように)最後の3ページに涙があふれて止まらないということはない。でも、それは大人には理解できない本だということではないし、大人が読んで面白くない本でもない。是非とも人生のうちで一番感受性の強い時期に読んでほしいと、もうそれが不可能な読者として願うばかりなのである。
 「西の魔女」というのは主人公の中学生まいの母方の祖母である。イギリス人だ。別に彼女は黒い帽子をかぶって箒に乗って飛んでいる訳でもなく、野草をぐつぐつ煮詰めて毒薬を作っている訳でもない。ただ、薬草やハーブに関しては深い知識を持っているし、祖母の祖母には実際予知能力があったと言う。そして、なにごとにも揺るぎない自信と自主性をもって行動する祖母は自ら魔女である(「まいの思っているような魔女とは、ちょっと違うかもしれませんけれど」)と名乗り、いやなことがあって学校に行けなくなり、祖母の家に逃げこんできたまいに毎日の「魔女修行」を勧めたのだった。
 祖母の家での田園生活も、感性豊かな年代のちょっとした反応も、非常に鮮やかに描かれている。いつまでもこのまま読んでいたいような心地良ささえあるストーリーなのだが、逆にこの手の話をどう終わるのだろうかと気になってくるのである(大人の読者って奴はしようがないのである)。
 タイトルからしても、あるいは書き出しの文章からしても、祖母が死ぬのは明らかである。しかし、祖母が死んでまいがわあわあ泣いて終わるというのではあまりに残ないし、かと言っていきなり、祖母は死んだけど私はこんなに強い少女になりましたというのではこれまた空々しい。そのどちらでもない、ちょうど良い感じの終わり方に向かって筆を走らせる作者の息遣いが感じられる。そしてタイトルに違わず、そこにはちゃんと魔法が出てくるのである。この辺の感性がこの作家を作家たらしめているのだと解る。
 併録の『渡りの一日』はまいの後日談であり、落語の三題噺みたいな作品だが、作者の筋運びの巧さを改めて物語る掌編である。
 重ねて書くけれど、是非とも主人公と同年代の少女たちに読んでもらいたい。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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紙の本

2人の間にはお互いを認め信頼している絆があると思う

2005/07/17 15:56

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

魔女というと、鉤鼻で険しい顔をして、妖しい魔術を使う…という暗くて恐ろしいイメージがある。
本タイトルの「西の魔女」というのは主人公のおばあちゃんのことだ。よほど恐ろしいおばあちゃんなのだろうと考えていたのだが、実際のおばあちゃんは「魔女」どころか、おおらかで優しくチャーミングな女性だった。
本書には学校に行けなくなった主人公が、おばあちゃんと過ごした季節が描かれている。
自然に囲まれた家、裏庭の様子は瑞々しくて草の匂いさえ漂ってくるようだ。光と緑にあふれた空間。
そんな中で行なわれた「魔女修行」とは決して魔術の練習ではなく「何でも自分で決める」ということだった。
私も誤解していたが、時代の中でも同じように誤解され迫害を受けてきた魔女たちにとって、自分をしっかりと持つことは必要な事のひとつだったのだろう。
周囲に流されずに自分を信じる。
中学生の主人公にとってそれは少々重い修行かもしれないが、短い季節の中で、ささいな生活の中で、着実に自分を受け止めていく。
おばあちゃんは側で大きく包み込む。
「おばあちゃん大好き」
「アイ・ノウ」
というやりとりが優しくて暖かい。
おばあちゃんが最期に主人公に遺したメッセージは小さな約束事だった。
この世を無事に脱出したあとも、なんだか主人公の前に現れそうな気さえしてくる。

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紙の本

素敵なおばあちゃん

2006/10/06 13:07

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:アリオス - この投稿者のレビュー一覧を見る

「西の魔女」というのは、主人公まいの母方のおばあちゃんのこと。
タイトルと同じ一文で、物語は始まります。
中学校に行けなくなってしまったまいは、しばらくの間、田舎のおばあちゃんの家で暮らすことに。
おばあちゃんはイギリス人で、自然を愛し、自然と共に、自然の一部として暮らしている人。
野いちごを沢山摘んで大きな鍋でジャムを作ったり、洗ったシーツをラベンダーの茂みに広げて香りを移したり、というおばあちゃんの生活は、とても豊かで憧れてしまいます。
優しく、温かく、愛に溢れた、とってもとっても素敵なおばあちゃん。
そんなおばあちゃんと、自然に抱かれて暮らすうちに、まいは生きる力を取り戻していきます。
おばあちゃんに言われてまいが始めた「魔女修行」は、その特別な響きとは裏腹に、規則正しい生活をすること、自分で決めて、決めたことを最後までやり遂げること、という単純なこと。
けれど、そういった基本的なことで、人間の生きる力は鍛えられていくのでしょうね。そうして、五感が研ぎ澄まされた時、第六感が目覚めるのかもしれないと思いました。
最初は「まいのおばあちゃん」という記号でしかなかったおばあちゃんが、読み進めていくうちにどんどん私の心の中に息づいていって、ラスト3Pは、まいと一緒に涙が流れました。
私も聞きたいと思う声を聞けるようになったらどんなにいいだろう。魂の存在を感じられたらどんなにいいだろう。
また読み返したい一冊です。

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紙の本

まるで、童話のような小説でした。

2008/07/21 11:23

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

≪西の魔女が死んだ≫で始まるこの小説は、どんなメルヘンが待ち受けているのかと思いながら読み進んだが、リアリズムに即したものだった。
 友人関係の面倒くささから孤立してしまうまいを気遣ってくれたのは、一人暮らしのおばあちゃんだった。それも、日本人ではなくイギリス人。自称、魔女という。

 否定ではなく、肯定からおばあちゃんの言葉は始まるが、すべてを受け入れてくれる存在に、登校拒否、イジメ問題に悩む子供も親も羨望のまなざしでおばあちゃんを見ることができるのではと思う。
 おばあちゃんの口からは生活の知恵、ルーツ、生きる意味、死、それらが次々に言葉という魔法で繰り出されてくるのだが、それらがストンと納得づくで落ちてくる。
 学校で孤立する孫娘に自信を持って語りかけることができるおばあちゃんは、かつて、異国から東洋の国日本に渡るという、それは孤独を貫き通さなければならなかった人だから嘘がない。真実しかない。

 解説にも述べてあったが、文章の端々に生活の知恵、工夫が写実的に描かれていて、これがこの作品の言葉のひとつひとつに生きている。現実から逃避し、自身の逃げ込む仮想空間のシェルターを現代は作りたがるが、ある意味小説も仮想空間のシェルターだが、フィクションがノンフィクションにも似た空間を提供している。

 きちんとした生活習慣を身につける、それが魔女の修行に欠かせないとおばあちゃんは口にするが、その昔、祖父母から似たような何かを聞いた気がする。
 幾重にも複雑に価値観がからみあう現代、「死」という真実を知ることで生きることの基本は何なのかを示されました。

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紙の本

まいと“魔女”が過ごした、それは宝物のような時間

2006/01/16 23:27

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:永遠のかけら - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルに惹かれて読んだ『西の魔女が死んだ』。
全編を通して、期待以上にやさしさに溢れていて、温かい気持ちになった。
学校に行かなくなったまいが過ごした“魔女”との極上の毎日。何気ない家事も、景色も、おしゃべりも、すべてがきらきらと色鮮やかで、いつまでも読んでいたいと思える世界観が広がっている。
一度読んだ人でも、何かの折に西の魔女のやさしさに包まれたくなって、何度でも読み返してしまうハズ!
これは、そんな素敵なおはなしです。

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紙の本

ずうっと通じ合う、ふたりの魔法。

2012/03/01 17:54

7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんてもったいない!!!この本を積んだまま読んでいなかったなんて!
梨木香歩の本には心を深く揺さぶられてしまうのだが、これもまた然り。
なんだか透明感にあふれているのに、奥のほうに沁みてくる。
すてきだった。その一言に尽きる気がする。

この本を読みながら、幼いときに手に入れた『魔法の本』を思い出した。
それはちいさなサイズのピンクの表紙で市川みさこのイラストつきだった。
ルネ・ヴァンダールが書いた本だったと思う。
内容はよく覚えていないけれど、
魔法をつかうのは月の出ている晩がよいと書かれていたような気がする。
あのころは、魔法という言葉にいまよりもっと大きな力が込められていて、
秘密の儀式めいた、すこしだけ怪しいにおいに、ドキドキしたものだ。

「西の魔女」には、しめやかな月の晩よりも、からっとした太陽が似合う。
健康的に晴れた庭で草花のにおいが風にのってくる。
そういうのが似合う魔女なのだ。
こんなにかわいらしくて機知に富んだおばあちゃん、ぜひほしい。
箒にのれなくてもいいから、野いちごのジャムを一緒につくりたい。
まいは、かけがえのない思い出をつくったのだ。
箒にのることよりも、はるかに実用的な魔法を教わったのだから。
現実世界で想像力を駆使するという。
心がこわばって身動きがとれなかったまいは、居場所を見つけた。

続編の「渡りの一日」を読むと、
まいが、きちんとその魔法をつかいこなしていることに感動する。
「東の魔女」として、うまくやっているわけだ。
友だちとのつきあいや、色々な状況で思うことに、魔法が生かされている。
もしかしたら「西の魔女」の魔法がまだ有効なのかもしれないけれど。
いや、自由に跳べる「西の魔女」の魂が「東の魔女」の魂と共鳴しあって
小さな奇跡がたくさん起きるのかもしれないな。

大切な人をなくして、でも自分はまだ生きていて、
だけど泣いて暮らすのはほんの数日だけだ。また通常の毎日へ戻る。
ふと何かの瞬間に思い出して胸がいたむけれど、前よりはいたくない。
そしてその人の思い出は、ずっと生きつづける。
「西の魔女」は、
死んでも、まいの心に決して崩れることのない思い出を刻んだ。
めったなことではびくともしない、丈夫な思い出を。
かけがえのない仕事をやりとげて死を迎えることは潔い。
もちろんせつないけれど。この世界での永遠のお別れは。

考えてみたら、生まれた瞬間から死へカウントダウンしているのだ。
人間が死ぬというあたりまえのことについて、
こんなにあたたかく、やさしく、包み込むように考えさせてくれる。
しかも軽やかに。
そういう本はなかなか見つからないだろう。
ほんとうに、すてきな本だった。

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紙の本

感想

2015/07/28 03:11

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かいちょー - この投稿者のレビュー一覧を見る

小学校高学年の時に初めて読みました。わたしにとって初めて青い鳥文庫などのこども向けでない文庫の本を読んだ最初の本です。こどもでも読みやすく難しいことはありません。ですが、かといって内容が下らないわけでもなく、優しく感動できる物語です。よくおすすめの文庫などで紹介されていますが、長年そういわれるのもうなずける大切な本です。おばあさんの最後の言葉がわたしの泣くポイントで、その言葉はいつも胸にしまってあります。

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紙の本

かけがえの無い時間。

2010/03/30 08:10

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 学校生活に滅入ってしまいそうな女の子と、英国出身の祖母のお話。読んでいるうちに、心がほのぼのしてくる。思春期の子供達向けではあるかもしれないけれど、大人になってから読んでもそれはそれで違った視点から読めるのではないだろうか。おばあちゃんの言葉が身に染みるし、生活スタイルも現代の都会を生きる私から見たら微笑ましい。

 外国の血が入っているということで、クラスメイトに溶け込んでいけないという子は日本には大勢いるのではないだろうか。昔ほどではないにしろ、保守的な日本の文化はやはり、難しいのではと思う。ヨーロッパや、他の国々では幼い頃から外国語が身近にあるために、マルチリンガリズムになるケースが多い。一方、日本は周囲を海に囲まれた島国だし、かつて鎖国までしてしまった国家。人々は大抵、日本語しか話さない。主人公のまいは、ハーフの母を持つ女の子。具体的に学校で何があったかは話さないけれど、登校拒否をする。そんな状況の中、まいはしばらく大好きな英国人の祖母と暮らすことになる。

 祖母は規則正しく生活し、裏庭から香草を紡いで食事を作ったり、摘んできた野いちごでジャムを作ったり、西洋のカントリーの生活を彷彿とさせる。色んな草花の名前を知っていたり、その性質まで把握している。街に暮らすまいにとっては、博識な祖母に違いない。

 魔女の修行といいながら、規則正しく生活する方法を身につけたり、祖母の知恵を授かっていく女の子の姿は微笑ましい。周囲の刺激にイチイチ同様しない、大人である私にも刺さる言葉でもある。また、死についても重たく扱うのではなく、どこか軽やかに響かせているのが好感持てるところだと思う。そういえば、自分も幼い頃もそんなことを考えていたな、と思い出した。人は死んでしまったら、どうなるんだろうか。

 まいの変化と向上は、読み手をどこか前向きにさせるところがあると思う。祖母の、アイ・ノウという言葉に笑みがこぼれます。

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紙の本

思春期の頃に読みたかった

2009/11/01 18:13

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

西の魔女が死んだ 梨木香歩 新潮文庫

 この文庫は70刷もされています。人気があります。名作との評価がなされています。ただ、わたしには、残念ですが、本作品の良さが伝わってきませんでした。
 主人公まいさんの心は、せつない。登校拒否を続けていたまいさんが、西の魔女である祖母との関わりをもったのは、中学1年生のときで、彼女が、おばあちゃんの魔法で、学校に行けるようになるまでが記されています。
 動植物のお話が出てきます。鶏に関与する様子は優しげだけれど、卵も鶏本体も人間が食べるために飼育しているのです。
 まいさんは、甘やかされて育ちました。彼女は「良い子」という表示を張られた人形です。まいさんを見ながらわたしは、人間は、その成長過程のいつ頃から、自分を主体とする強い感情をもつようになるのかと考えました。14歳の時期が多いのでしょう。周囲を喜ばせるための「自分」を演じるのではなく、ありのままの「自分」として生きていく決心をしなければ「自分」は長続きしない。

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紙の本

心が疲れている人に読んでもらいたいと思える1冊

2016/06/16 18:05

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:透子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「西の魔女が死んだ」
「西の魔女」と「東の魔女」の、これは少しだけ不思議な絆の物語です。
集団の中で生活することに疲れてしまった少女まい。
祖母(西の魔女)と暮らす中で生きる力を取り戻していきますが……
西の魔女は、物語に出てくるような魔女より実際に魔女と呼ばれる人たちに近いようで、まいの魔女修行は特別なことをするわけでもなく、順調に前進するときもあれば、何かのきっかけで後退することもあります。私たちと一緒ですね。
ただ、その後退がしこりとなって、後からまいを苦しめることになります。
しかしそんなまいのもとへ、不思議なメッセージが……

「渡りの一日」
その後のまいの、とある1日です。
魔女修行も順調なまいですが、友達のショウコの思いつきにふりまわされたある日、素敵な人と出会います。

初めて読んだとき、
「疲れたなら休んでいいんだよ。歩き出すのは元気がたまってきてからでいい」
と、言われているような心地でした。
感じ方は人それぞれでしょうが、心が疲れている人に、ほんの少し読む気力が出てきた時に読んでもらいたいと思える1冊でした。

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紙の本

名作は色褪せず

2011/03/07 15:08

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BH惺 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ずばりテーマは「生きる力」と「人の死」でしょうか。おもわず宮崎駿の世界を連想してしまいました。
 学校生活での目に見えない確執に精神的に疲れてしまったまいの、再生の物語なんですが……。なんといっても「西の魔女」こと、まいのおばあちゃんの存在感が圧巻でした。清貧で高潔で優しくて、理想のおばあちゃん像を体現したような人物造形。素晴らしい。
 そして、実の母親から「扱いにくい子」と言われるまいも、流されやすいけれど、芯のしっかりとした少女で個性的。

 話の展開としては、この2人の淡々とした日常が綴られるのみなのだけれど、どうしてだか目が離せない。グイグイと作品世界に惹きこまれてしまって一気読み。

 外国の田舎を思わせる「西の魔女」の日常生活。そこにはおよそ「現代」を感じさせない。
 生みたて卵や手作り苺ジャム。洗濯機ではなく「たらい」で洗うシーツなど。時間から置き去りにされたような世界で繰り広げられるまいとおばあちゃんのつつましい生活こそが、まいの疲れた心を癒す最良の治療法。

 「この世には、悪魔がうようよしています」
 おばあちゃんのいう「悪魔」とは、誘惑であったり、イジメであったり、怠惰であったり、まいがおのずと経験してきたさまざまな負の体験。そんな彼女に、「魔女修行」と称して、現代社会を強く生きていく方法を伝授する、おばあちゃんの数々の言葉と教えがとても印象的。

 精神的に傷ついた孫とそれを癒す祖父母。という設定の物語は多々あります。が、なによりこの話が印象的なのは、「生きる」ということと共に「死」も描写しているからなのではないかなと。
 ラスト、「西の魔女」が死出の旅立ちの際に、「東の魔女」こと、まいに残したメッセージが強烈です。最高に泣けました。これで、まいは最愛のおばあちゃんの「死」を力強く乗り越えて行けると勝手に思い込んでしまうほど、激しく感情移入。

 作品の分類としてはYA(ヤングアダルト=青少年向き)なのですが、思った以上に硬質で一般向きの感じがしました。タイトルもインパクト強くて、とても良いと思います。

 発表されてから10年経ちますが、名作は色褪せず。古さをまったく感じさせません。

BIBLIO HOLICより

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紙の本

すぐれた「児童文学」

2010/05/29 15:37

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る

ある若手の作家の方のサイトをずっと見ている。
もう3年くらいになるかもしれない。
彼女はホームページで「読書の記録」を書いていて、
それを見たことが、僕の意識下に残っていて、
ふとした瞬間に、「浮かび上がって」くることがある。

この『西の魔女が死んだ』もそういう一冊だ。
僕と彼女では同じ作品に正反対の感想を持つことも多い。
それも含めて、僕は興味深いと思っているのだが、
『西の魔女が死んだ』に関しては僕と彼女の意見は一致している。

中学校にいけなくなった、「まい」。
まいはおばあちゃんの家に預けられる。
おばあちゃんは、まいとまいのママの間で、「魔女」と呼ばれている。

まいのおばあちゃんの家での生活というものが、本当に丁寧に描かれている。
一文一文が長く、凝った文体ではない。
でもよく考えられて、一文一文、短いながら、そこにこめられた作者の「メッセージ」のようなものを感じる。

おばあちゃんはあるとき、まいに自分の祖母が「魔女」だったことを明かす。
そして、まいは「魔女修行」をすることにする。

おばあちゃんは言う。
「まず、早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする」
そして、まいとの問答が続くのだが、
これは、「魔女」だけでなく、物書きのとっても「修行」になることだと思う。

まいの気持ち、植物たちの様子、そういったものが本当に活き活きと描かれている。
僕はこの本を読みながら、ずっと、
「ジブリが映画化したらぴったりだろうな」と思っていた。

ゲンジさんという男の存在がこの作品をただの「児童文学」ではなく、
大人にも読みうる作品にしているだろう。

この文庫の「解説」は表紙を描いている画家の方が書いているのだが、
僕はどうもこの文章にあまり賛同できない。
たしかに「自然」というものは『西の魔女が死んだ』の大きな要素だが、
まいのその後を書いた「渡りの一日」を読むと、
梨木香歩という作家はたんなる、「オーガニック」といったようなことがらよりも、
「大きな」ことを描いている、と思う。
それは単に「人工的」なものを排除すればいい、というわけではない、と個人的には思う。

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紙の本

1番お気に入りの本

2019/09/28 12:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いんこ同盟 - この投稿者のレビュー一覧を見る

もう300回以上読んでいて、何回読んでも飽きない。表現がとても綺麗で、すごく好きな本です。イチゴジャム食べたくなる。

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紙の本

ほっこり、な感じ。

2019/01/30 08:17

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公『まい』のおばあちゃんの家での生活、家事手伝い、自然とのふれあいから、彼女自身が様々な考え方・生き方を会得していく様子が具に描かれていて、流れる様に読了してしまいました。
 素朴な文体ながら、おばあちゃんの発言が意味深く、読んでいる自分に色々と考えさせられました。まるで私自身に語り掛けられているような感じでした。
 硬い人生書とは一味も二味も違う、ほっこり且つ深く沁みてくる一書でした。

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