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  • みんなの評価 5つ星のうち 4 1,279件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2009.5
  • 出版社: 新潮社
  • サイズ:20cm/554p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-353422-8

紙の本

1Q84 a novel BOOK1 4月−6月

著者 村上 春樹 (著)

「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。書き下ろし長編小説。【「BOOK」データベースの商品解説...

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1Q84 a novel BOOK1 4月−6月

税込 1,980 18pt

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1Q84 3巻セット

  • 税込価格:6,05055pt
  • 発送可能日:1~3日

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商品説明

「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。書き下ろし長編小説。【「BOOK」データベースの商品解説】

【毎日出版文化賞(第63回)】【新風賞(第44回)】「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ−。待望の書き下ろし長編小説。【「TRC MARC」の商品解説】

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みんなのレビュー1,279件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

並行

2022/02/27 21:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ただの人間 - この投稿者のレビュー一覧を見る

天吾、青豆という2人の主な登場人物ごとに1章ずつ話を切り替えて進めていく。まだどのように交錯するか読めてこない。
天吾の世界の方が全体的に登場人物のアクが強めな印象を受けた。

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紙の本

村上春樹は三島由紀夫を超えられない

2020/04/30 08:01

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ライサ - この投稿者のレビュー一覧を見る

どれだけ辛辣に三島を批判しようが、彼の浅はかさを露呈したように。
この作品は1984年が舞台となっている。それ自体は問題ではない。
ちょうど私が生まれた頃の時代であるがそれもさして問題ではない。
しかし村上作品はどれも「何かを読んだ」「何かを得た気分」にはしてくれてもそれを言語化できる人は少ない。他人に「どこがどうおすすめ」か説明する際に具体例をもって話せる人はさらに少ない
この小説も同じ特性を持っている
村上春樹が金太郎飴しか作れないと言われる所以でもある
読みやすい小説ではあるがだからと言って歴史に残る作品ではないレベルの小説にはやはり厳しい評価しかしにくいものだ。

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紙の本

大恋愛ストーリーですよね

2019/01/30 17:19

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

流行っているものに飛びつくのは格好が悪いというひねくれた性格をしている私なので、この作品が出版されてから8年経過してからの読書となった。私にしては珍しく純粋に青豆と天吾が最後はきちんと結ばれますように、どちらか一方、それともどちらもの死によって話が終わらないでほしいと強く願っていた。その意味では大満足、ひょっとしてもとの1984年ではない世界に移動していたとしても、二人が言っているようにそんなことは関係なく、二人が一緒ならばどんな世界でもOKだろう。そしてもう一人の主役、牛河がリトル・ピープルとこれからどんな関係を築いていくのか、とても興味がある。牛河ものの出版も望む

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紙の本

人が本当に救われるのは誰かを愛せたときなんだろう

2012/08/19 20:35

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:桔梗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

10年以上も前の ほんのわずかなひとときの繋がり
何かを言葉で伝えたわけではない 
一分にも満たない ただ見つめ合ってぎゅっと手を繋いだ時間 
互いにその温もりをずっと大事にして その情景をずっと心の支えにして
違う道をそれぞれ苦しみながら生きてきた「青豆」と「天吾」

ずっと重なることのなかったふたりの人生が
1Q84年 何かに引き寄せられるかのように近づいていく

現実の1984年と異なり ずれて存在するかのようなもうひとつの世界
1Q84年
その不思議な世界では 空にふたつの月が浮かんでいる

多分その世界の底 ずっとずっと深い底には 青豆の想いが沈んでる
長い時間をかけて澱のように溜まった青豆の強い想いが 作り出した世界のように思える


冷静な判断力と強い意志 鍛え上げられた身体をもつ クールな青豆
天吾を救うためなら自分は消えてしまってもかまわないと思う

会えなくてもいい 幸せでいてくれたらと願う その気持ちは嘘じゃない
でも会いたい 一瞬でもいいから触れたい その気持ちも嘘じゃない

ずっと昔のことを未だに覚えていて しかも会いたいなんて
そんなのは重いしうっとうしい 天吾だって気味が悪いに決まってる
相手が望んでいないであろうことは 自分もやはりどうしても願うことができずに
重みをひとりですべてを抱え込む青豆の姿が痛々しい


同じ空 同じ月を 同じ時間に見上げ
同じことを思う
それなのにすれちがってしまうふたり

ふたつめの月は誰にでも見えるものではない
同じもうひとつの月を見る目をもつひとというのは とても大事な存在なのに

結局1Q84年でふたりの道が交わることはないんだろうか…

『一人でもいいから、心から誰かを愛することができれば、人生には救いがある。たとえその人と一緒になることができなくても』
相手がどう思ってるかはあまり関係なくて 
自分の想いが一方通行な勘違いであっても 
そして幸せにはなれなくても 
それだけ好きになれた人がいるってこと自体に救われる気がするのかもしれない

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紙の本

実際には役に立たない、けれども可能性を含んだ物語を予感させる小説

2010/12/24 18:06

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る


 青豆は女性を虐待する男たちを法の埒外で仕留める仕置人的女性。ある日を境に月が二つある世界に紛れ込んでしまったようで、彼女は今の自分がいる時代を1Q84年と密かに名づける。その青豆はある宗教団体内で教祖が少女たちをレイプしているという情報を得た。
 天吾は予備校の数学講師。小説家志望であるがまだ一冊も本を世に送り出したことがない。出版編集者の小松に言われて、17歳の少女が書いた小説を仕立て直すことになる。その作品が見事新人賞を獲得するが、少女の父親はある宗教団体で教祖的な存在であることを知る。

 昨年ベストセラーとなった村上春樹の3部作を今さらながら手にしてみました。
 まずは第1巻の感想ですが、大変読みやすい作品だというのが第一印象です。もちろん物語はまだ緒に就いたばかりなのでしょうが、律儀なほどに交互に語られる青豆と天吾の不思議な日常は、興味がつきることなく、頁を繰る手が休まることがありませんでした。
 
 『アンダーグラウンド』以来、オウム真理教事件に関心をもってきたと思われる村上春樹ですし、オウム教徒の大半と同世代の私にとってこの『1Q84』は身近なものを感じさせる何かが全体を覆っているように感じられました。

 記憶が確かならば『約束された場所で―underground 2』の中で、ある理科系のオウム教徒が小説に関心をもてないということを語っていたと思います。
 彼らは理数の世界の物事が明快であることを愛でる一方で、フィクションの世界がそうではないということに居心地の悪さを感じているようでした。
 そのことを思い起こすと、この『1Q84』の中の天吾の次の言葉が、大変意味深いものに思えます。
 「物語の森では、どれだけものごとの関連性が明らかになったところで、明快な解答があたえられることはまずない。そこが数学との違いだ。物語の役割はおおまかな言い方をすれば、ひとつの問題をべつのかたちに置き換えることである。そしてその移動の質や方向性によって、解答のあり方が物語的に示唆される。(中略)
 それは理解できない呪文が書かれた紙片のようなものだ。時として整合性を欠いており、すぐに実際的な役には立たない。しかしそれは可能性を含んでいる。」(318頁)

 おそらくこの「実際には役には立たない」けれども「可能性を含んだ」呪文としての物語が、第2、第3巻で紡がれていくのだろうなと予感を抱きつつ、とりあえず第1巻の頁を閉じた次第です。

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紙の本

不思議な世界。

2010/07/09 09:19

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かず吉。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上春樹さんの著書は、今まであまり読んだことが
なかったけれど、あまりに本が騒がれるから、興味が湧いて
読んでみました。

二人の登場人物の視点で交互に描かれる世界。

二人の接点はまったく見えないまま、心のどこかで
「あれ?」と思いつつ読み進めていくと、徐々にだけど
確実に二人の世界はシンクロしていることに気づく。

性的暴力の酷さを考えさせられる部分があるかと思うと、
性的なことを普通に、もしくは過激に楽しんでいる人たちも
いて、なんだかいろんな面でこの小説は考えつくされて
バランスがとれているんだなぁと変なところで感心した。

二つの月の浮かぶ世界と1Q84。
なぜ1984ではなく、1Q84なのか。
本を読む前からずっと疑問に思っていた。
それがあっさり解決したのだけど、
いったい物語がこれからどういう風に進んでいくのか、
そして、Book3の結末はどうなるのか。
とても気になっている。

とても完成された、残酷だけど静かな世界。
そして二つの月にリトルピープル。

今は1Q84の世界の虜です。

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紙の本

怒涛のように物語が動き出すbook2への序章として

2010/02/26 15:21

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トグサ - この投稿者のレビュー一覧を見る

book1の導入部は比較的、引き込まれやすかったのですが、book1後半からbook2の前半部にかけての乱交パーティーも含めた性描写が延々と続くところは、非常に読みづらく、読書の進行も滞り気味でしたが、book2の前半を過ぎたら辺、物語が動き出すと先を知りたくて堪らず、1日で一気に読み終わりました。

読後感は、重要シーンがありありと目に浮かび、2人の主人公・青豆と天吾の恋愛体験を彼らの親しい者として、ごく近くで目撃したような僕の読書遍歴にもかつてないような読書“体験”を得ました。

どんなに感動したといっても、心は動かされるけれども、ここまで頭の中で映像がありありと現れたのは、僕にとって非常に珍しい読書経験でした。

『1Q84』に登場する2人の主人公
青豆
性的虐待を加える男達を別の世界に送り込む女性。渋滞する首都高を非常階段で降りた辺りから1Q84年の世界に降り立つ?
川奈天吾
ふかえりが書いたとされる摩訶不思議な物語『空気さなぎ』に手を加え、のっぴきならない状況へと追い込まれる。

2人の主人公を取り囲む人々
ふかえり 『空気さなぎ』の作者、『空気さなぎ』は川奈天吾に手を加えられた後、発表されベストセラーとなる
大塚環(たまき) 青豆の親友、“生まれながらの被害者”
あゆみ 青豆の友人(警官)
小松 天吾に『空気さなぎ』に手を加えさせ、天吾をのっぴきならない状況へと追いこまさせる編集者。
老婦人 性的虐待を受けた女性をかくまい、その性的虐待を加えた男性に青豆を送り込む。
つばさ 老婦人の下に逃げ込んだ大塚環(たまき)と同じく“生まれながらの被害者”?

物語に登場する集団
宗教法人 「さきがけ」、その「さきがけ」から派生した武闘派集団「あけぼの」
ビッグ・ブラザー(ジョージ・オーウェル 著『一九八四年 』に登場)⇔ リトル・ピープル(『1Q84』に登場)

物語のキーになる“ことば”
二つの月 ディスレクシア 数学 パラレル・ワールド 猫 性的暴力

『1Q84』の物語形式
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と同様に、青豆の章と天吾の章が交互に書かれている。
奇数章が青豆の章で偶数章が天吾の章となっている。

book1を読み終えて
やたら<性>が前面に出てくるなあと印象を持ち、物語が進行しないので読み進めるのに難儀いたしました。
また、第1章から青豆が警察官の制服と拳銃が新しくなった事にこだわっているのが気に掛かりました。
三人称で物語るという形式を村上春樹氏は初めてとった(それまでは「僕」ないし「私」という1人称を用いていた)のですが、この物語る形式を変えただけで読んでいて本当に、この『1Q84』という物語は村上春樹が書いたの?と思えるほど、印象が変わったように思えました。
それから、青豆の親友の大塚環(たまき)が“生まれながらの被害者”として登場するのですが、何故に“村上春樹”が“文学”の世界で“生まれながらの被害者”という一面的にしか見ない見方を、読者に与えるのかが疑問に持ちつつ『1Q84』book1を閉じた。
以上が私の率直な感想です。

僕の記事より。
現在、book2のレビューを作成中です。

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紙の本

村上春樹の存在を確かなものにした小説

2010/02/10 14:59

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 私のまわりには本好きな友達が多い。互いに読んだ本について話していると時間を忘れてしまう。彼女の書評を読むたび「小説を書いたらいいのに」と思う。それを口にすると、彼女は「それとこれとは別よ」と、一瞬目を伏せます。

 『1Q84 BOOK3』の発売が待たれる昨今、『1Q84 BOOK1』を読みました。本を開くとメッセージが
 「ここは見世物の世界・・・」
 “It’s Only a Paper Moon”
 次の目次には
 第1章  青豆 見かけにはだまされないように
 第24章  天吾 ここではない世界であることの意味はどこにあるのだろう

 魅惑的で困惑させるセンテンスが続きます。目次を読んだだけで村上春樹の世界にすーっと入っていきました。
 天吾は編集者・小松から17歳の美少女・ふかえりが書いた小説『空気さなぎ』の書き直しの依頼がきます。天吾は背信行為とわかっていながら、その小説を書き直したくてたまらなくなってしまうのです。書き直す場面で
 「いちばんむずかしくて手間がかかるのは、冒頭の部分なのだ。それさえ乗り越えてしまえば、あとは・・・。」(131頁)とあります。
 それは本書の冒頭を示唆しており、青豆を乗せたタクシーのラジオから流れるヤナーチェックの『シンフォニエッタ』のファンファーレは1Q84の始まりとなり、鳴り響きます。
 また「小説を書くとき、僕は言葉を使って僕のまわりにある風景を僕にとってより自然なものに置き換えていく。つまり再構成する。そうすることで、僕という人間がこの世界に間違いなく存在していることを確かめる。」(89頁)と、天吾はふかえりに話します。

 『1Q84 BOOK1』は村上春樹の存在を確かなものにした小説でした。

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紙の本

ムードで読むか?理屈で読むか?ファッションで読んだ初老族の酒席では議論沸騰

2009/11/18 00:23

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

しばらく前から
「『1Q84』を読んだか?」
と60歳をこえた何人もの仲間からたずねられた。
「村上春樹って読んだことがないのだが、販売企画力がメチャメチャうまく、発売前からベストセラーだったんで買ってはあるんだ。」
でもまだ読んではいなかったからそれ以上会話は発展しなかった。

最近になってようやく読み終えた。

同じような仲間と酒を飲んでいてこの話題になった。絶賛された作品であるからだろう、だれもけなすことはなかった。
なぜ1Q84でなければならないのか?
なぜ月がふたつあるのか?
あれはオームのことなのか?
なんでセックスシーンがやたらあるんだ?
疑問符ばかりのそんな会話があった。
そのうちに酔っ払って、わけがわからなくなったとかそんなことであった。ノーベル賞候補者の小説などまるで縁がなさそうなそのなかの一人に
「どうしてこれを読む気になったのか?」と聞くと
「それはファッションだよ」
なるほど60代のファッションかと、私も同じようなことかもしれない。

実に奇妙な味わいのする小説だった。いや、奇妙な味わいに終始しただけの作品だったような気がしている。読み終えてつかみどころのない、地に足がついていない浮遊感が残る。今生きている現実もわけがわからないでしょう。だからわけがわからない『1Q84』を読むことであなたもわけのわからなくなった世界を緩やかに体感しましょう、と著者に言われて、素直にそれに乗せられて、なるほどと、それでいい作品なのかもしれない。

少女、幼児に性的虐待を加え処罰を免れている「悪人」たちをこの世から消す女の必殺仕掛け人が青豆。
青豆は「本栖湖で過激派と銃撃戦、警官三人死亡」という大事件が3年前の1981年に勃発していた「事実」を知らない自分を発見する。やがて月は二つ存在するという「事実」を知ることになる。狂いが生じているのは青豆ではなく世界なのだ。
謎めいた少女・深田絵里子が新人賞に応募してきた小説「空気さなぎ」を受賞に持ち込みベストセラーに仕立て上げる。そのために元の荒削りな原稿に手を加えるといういかがわしい行為を引き受けるのが天吾。そして受賞に至り、『1Q84』同様に爆発的に売れた。
やがて、小説「空気さなぎ」に登場するリトルピープルがこの世に姿を現し、不穏な活動が開始される。どうやら時間の流れの歪みは「空気さなぎ」の真実が公表されたために生じたようだ。宇宙を支配する巨大な意志力が二つ存在し、善も悪もないのだが、その闘争が始まるのだろうか。

古くは中国戦国時代の荘子が語った「胡蝶の夢」の世界であり、最近では映画「マトリックス」の世界でもある………と勝手に解釈する。手の込んだ入れ子構造になっている。少年時代に書かれたノートが予言の書となって世界が征服される、そんな漫画か映画もあったような気がする。夢か現実かあえてよくわからないままに読者は放置される。「奇妙な味わい」はそこにある。

なにかとんでもないことが起こり、ラストにはいろいろ提起された謎が解き明かされるに違いないと読者をひきつけるエンタメ性の味付けがあるから、来年刊行の続編では天吾が降臨するなにものかと戦う大冒険を期待できそうで、大人の読む現代のおとぎ話だともいえる。が、一方で日本を代表する文化人なのだから必ず全世界の人びとに共感される強烈なメッセージがあるはずだとの思い込みがある。
さてそのメッセージとは何なのでしょうかと問いかけられて、答えを見出せなくなる私を発見する。
そういうちょっと人を食ったところのある作品なのかもしれない。

1Q84とは何かと、酔っ払った勢いでこんなことをしゃべった。
正確には1984年ではないのだが、その数年後のベルリンの壁崩壊をイメージしたものだ。ビッグブラザーが倒れ、それまでの価値観は覆る。過去の事実は新しい時代の担い手により書き換えられてそれが歴史となる。だから月は二つになる。その間は価値観が流動化し、それは混乱の元である。混乱をおさめるにはあらたな絶対的秩序が必要とされる。リトルピープルはそのための先兵なのだ。だが1Q84年はいつでもありうる。たとえば吸収される企業に働く人たちにとってその日が1Q84年となる。月が二つになる程度の激変があったはずだ。今年も1Q84年であることに間違いない。自民党政権は倒れ、民主党は過去の事実を自分たちの歴史観で書き換えようとしている。誰かが月が二つあったことに気づいている。しかも新秩序が未だ見当たらないものだから混乱を極めているではないか。すぐにリトルピープルが姿をあらわすのである。気をつけなさいよ。

エッ本当?その程度のことを言っているだけなのか?と詰問され、答えに窮した。
いやいやそれだけだはない。やりたい時に後腐れなくやる青豆の男漁り、女性リード型の人妻と快楽を共有する天吾。その不毛の性愛の果てに青豆と天吾の二人は宿命的な愛の絆で結ばれていることに気づくのだ。そしてその愛の実現に命をかけることにより、この不条理世界において自らの実存を確信する、というテーマも含まれているのではないか。

宗教と犯罪。古くはドストエフスキー、最近は高村薫との共通問題意識もあるぞ。

ムードで読むか、理屈で読むか。話題性に富んでおり、酒席では飛んだ議論も可能。

大人のおとぎ話にはもはやなじめない初老族としては、やはりファッションとして読むにこしたことはない。

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紙の本

娘とも話したんですが、どうしても腑に落ちないところがあって、面白いお話だけに気になって仕方がありません。皆さんはどう感じているんでしょう・・・

2009/10/02 20:00

8人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

あっさりしていて、存在感がある。配色もいいし、タイトルの字体がおしゃれ。ちょっと気になると言えば帯のデザインくらい。そんな装幀は新潮社装幀室、装画ともえいないようなそれはNASA/Roger Ressmeyer/CORBIS。

BOOK1は全24章で、青豆と天吾の章が交互にあります。BOOK2も同じ章の数で、青豆の章で始まり天吾の章で終ります。そこだけタイトルを書けば、BOOK1は第1章 青豆 見かけにだまされないように、で始まり、第24章 天吾 ここではない世界であることの意味はどこにあるのだろう、で終わります。 BOOK2は第1章 青豆 あれは世界でいちばん退屈な町だった、で始まり、第24章 天吾 まだ温もりが残っているうちに、で終わります。

新潮社がHPの、特に本の紹介のあり方を変更したのは今年の6月あたりです。試し読みができるのは以前と同じですが、形式が違います。なんていうのか分かりませんが、私の理解ではそれまではテキストデータ(?)だったものが、電子書籍のスタイル(なんていうのか分かりません、AdobeFlashPlayer でしょうか)に変わりました。結果としてコピペや紙に印刷できたものが、毎回ローディングする形式になって保存ができなくなった。

ま、そうやっている大手出版社さんは多いので、それはまた時代だな、で済みます。で、それに従って特設頁も変わりました。同じようなスタイルになった。ま、今のところ珍しくて、他社さんの特設頁はコピペや保存ができる形式をとっています。ま、それもいずれは電子書籍スタイルになるのでしょう。そこまでは時代の流れとして、理解できないわけではありません。

でも、です。それが目指すところが分かりません。著作権の保護?それとも携帯でも簡単にチェックできるようにした? データの形式統一? いいんですよ、どれでも。でもです、新潮社のHPから村上春樹『1Q84』を検索して、特設頁を開いた人は愕然とするんじゃないでしょうか。なにが、ってその内容のプアさに。もしかして、どこかヒットすれば壮大な世界が開く?なんて思ってディスプレイ上を色々クリックしましたが、その底の浅さといったら「ばかにしてんのか、こら!」もんです。

だって、桜庭一樹『青年のための読書クラブ』の特設頁とあまりに違うじゃありませんか。単に本の外観を見せて短いコメントを見せるだけのどこが「特設」なのよ、って思いません? たしかに過去の作品を一望できる、しかもビジュアル的に、は分かります。でも、それだけでしょ。肝心の今回の本について、殆ど触れられていません。以前だったら、書評がついていて、目次を覗くこともできましたが、今はそれも不可能です。改悪、といってはナンですが、これって読者のこと考えていないんじゃないか、そんな気がします。

閑話休題。楽しく読みました。特に前半は、「村上春樹が暗殺者を描く?」なんて驚きをもって読みました。青豆の勇姿に、いいなあ、なんて思いながら。とはいえ、そこで私は躓いてしまいました。この本を読み終わった娘ふたりに、私が引っ掛かった場所についてどう思うか尋ねましたら、同じ箇所で疑問を抱いたそうです。

小説のほうは、相変わらず面白いので、ちょっと路線を替えて、それについて書きましょう。気になったのは、26頁から28頁、61、62頁の高速道路の緊急駐車スペースにある非常階段の描写です。
             *
タイトなミニスカートをはいてその鉄柵を乗り越えるのはいささか面倒だが、人目さえ気にしなければ特に難しいことでもない。彼女は迷わずハイヒールを脱ぎ、ショルダーバッグの中に突っ込んだ。素足で歩けばストッキングはたぶんだめになるだろう。
             *             
非常階段は目の前にある。灰色に塗装された鉄の階段だ。簡素で、事務的で、機能性だけが追求された階段。ストッキングだけの素足に、タイトなミニスカートをはいた女性が昇り降りするように作られてはいない。
             *
がそれです。鉄柵を乗り越えるのに裸足になる、というのが腑に落ちません。だって、鉄柵って使ってある材料、細いですよね。靴脱いだら痛いじゃないですか。それに、今、話題になっているのは鉄柵を「乗り越える」ことでしょ、なんでそれが「素足で歩けば」っていうふうになるんだろう、って。

それと非常階段です。「簡素で、事務的で、機能性だけが追求された階段」は分かります。でもそのどこが「ストッキングだけの素足に、タイトなミニスカートをはいた女性が昇り降りするように作られてはいない。」なんでしょう。実は、この後を読むと、青豆が下りていくのは、階段ではなくてタラップとしか思えないんです。

階段とタラップというのは、構造が全く異なります。タラップは、要するにハシゴです。それであれば確かに、「ストッキングだけの素足に、タイトなミニスカートをはいた女性が昇り降りするように作られてはいない。」。でも、階段であれば、作り方にもよりますが「ミニスカート」には向かなくても、ハイヒールを履いた女性が利用することに不都合はありません。

私は実際に首都高の緊急駐車スペースに車をとめた事がないので、実際にそこにはタラップがついていて、それを公団が「非常階段」と表記しているかどうかは分かりません。もしそうだったとして、村上はそれをありのままに描いただけかも知れない。でも、私は引っ掛かりました。小説家として、どうよ? っていう感じです。

ハイヒールで歩いていて、コケたようなもので、しかも、そこは小説が始ったばかり、といっていいくらいのところ。青豆が自分の真の姿を垣間見せる、かなり格好いい場面です。いくらなんでもなあ、前菜食べている時に石噛んじゃった、そんな感じです。小説は一気に読み終えたものの、この嫌な感触は、いつまでも気になって仕方がありません。

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紙の本

「1Q84」今夜空には二つの月が見える

2009/10/02 17:18

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る

どんな内容かも分からず、
とりあえずネットで注文、
一日早く書店に並んだことを知り、
思わず届くのを待てずに、書店で
買ってしまおうかとさえ思った。


「村上春樹ブシが帰ってきた、
イミ不明の『空気さなぎ』や
『リトルピープル』という言葉を
記号に置き換えて
とりあえず文章の調子を確かめるように
読み進めた」


本を読むのは主に地下鉄の移動中、
でもこの時期、部屋に戻っても
鞄から本を取りだして
まさに読みふけった。
読み終えてもう一度読み返して
10日あまり、幸せな時間を過ごした。

何を言いたいのか本当のところは
分からないけれど、
何かの象徴としてのキーワードが
頻繁に登場し、
現実と空想の世界の間を
危うい綱渡りをしているような
奇妙な浮遊感を味わった。


それでも文章は平易で読みやすく、
とりあえずあれこれ考えて
思い悩んで立ち止まることもなく、
久しぶりに音楽もかけない、音のない空間で
コーヒーの香りだけを側に
本と向き合う時間を過ごして
本の感想もさることながら
こんな時間の使い方さえ新鮮だった。

ラスト近く、
「この後どうなるんだろう」と
Book3があるのかもと思いながらも
この次ってまた5年とか待たされるのだなと
物語の主人公の様な深いため息をついた、
声をかけても誰も答えてくれない
深い井戸の底の底をのぞきこむように。

発売2週間を待たずに100万部突破という
社会現象となっていながらも
内容について話す人は驚くほど少ない、
感嘆に「こうだ」と感想を言えるような
内容でもないし、
この本を多くの人が読んで
「他の人はこの本をどう読んだのだろう」と
様子を窺っているようで
その雰囲気も面白く思える。

これまでの集大成のように
オウムを思わせるものや、善なるものの
不完全さや、自分の立つ足下がいかに脆いか等々、
様々な部分に自分が引っかかる何かを
見つけられるような
不思議な読書体験だった。

★100店満点で90点★

http://yaplog.jp/sora2001/

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紙の本

プロットがすべて、登場人物の言葉となり、説明となり、文字となり、書き込まれている作品。

2009/08/15 23:33

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

続き物とわかっている場合、最後まで読んで、
「本書は、(私にとっての)~である」と言い切れる形にしてから、
上下巻の感想を1つにまとめて書くのが通常の自分のスタイルである。

本書については、個人的な感覚であるが、
BOOK1を読み終わった段階での思うところを
BOOK2を読む前に書いてみることに意味があるような気がして、
これを書いている。

もう結果がわかっていることのニュースを見ないようにしながら
早く追いつきたくて、今、必死に、ビデオを見ているような
滑稽な状態になっているんだろうなとわかっていながら、
それがやめられないような感じだ。

***

行間がない。

だから深読みする余地がない。

疑問がふっと立ち上がると次の瞬間に
登場人物の言葉や地の文の中に答えが書いてあるような感じだ。

登場人物が説明的にかなり話すし、地の文も説明が多い。

実際は、こんなにみんな説明的なしゃべり方はしないだろうなと思う。

もしこれがドラマで、
この通りにセリフをしゃべったら不自然だろうなとも思う。

副音声部分が要らないのではないかと思うようなほど
全部言葉になっている。

だけど、この作品にはすべてがちょうどいいような気がする。

きっとこういう世界なんだろうなという妙な説得力がある。

これは、なんなのだろう。

途中までは謎がかけられていて、語られないこともあるが、
その謎はわりと早い段階でわかって行き、明かされていく。

謎かけや謎ときが目的ではないのだろうと思う。

ほかには行間がないので、
その説明されていない部分は際立って気になることになる。

まるで、ここが伏線ですよとマークが入っているかのようだ。

ふたりの主人公がいて、交互に編まれる物語。

当然どこかでこのふたりは接触するのだろうと思う。

そして、過去にどこかで接触があったはずだ。

過去の接触は、すぐに明かされる。

そして、これからふたつの物語はどこで絡み合っていくのか。

登場人物の考え方や行動の裏づけに関する答えだけではなくて、
この本がなぜこのように書かれているのかの答えも
編みこまれているところも興味深い。

たとえば、説明が多いことについては、
登場人物の一人にこんなことを言わせている。

  ほとんどの読者がこれまで目にしたことのないものごとを、
  小説の中に持ち込むときには、
  なるたけ細かい的確な描写が必要になる。

  省いてかまわないのは、あるいは省かなくてはならないのは、
  ほとんどの読者が既に目にしたことのあるものごとについての描写だ。

  (p.309)

そして、本書の構成がこのようになっている理由は、たぶんこれだろう。

  『平均律クラヴィーヤ曲集』は数学者にとって、
  まさに天上の音楽である。

  12音階すべてを均等に使って、
  長調と短調でそれぞれに前奏曲とフーガが作られている。

  全部で24曲。第1巻と第2巻をあわせて48曲。
  完全なサイクルがそこに形成されている。

  (p.368)

ところで、私が本書を手にした最大の理由は、
登場人物の一人がディスレクシアであるという情報を得たからだった。

ディスレクシアがどのよう風に扱われているのか
興味を持って本書を読んだ。

現実の1984年の日本ならば、
「読むのにすごく時間がかかる」ということを聞いただけで
即座に「ディスレクシア」だとわかる人はほとんどいないだろう。

2009年の日本だって一握りだ。

特別支援教育のある今は、
「学習障害」かなと思う人はいるかもしれないけれど。

教職課程でディスレクシアをきちんと講義する大学もあるのかな。

しかも、主人公はそれを大学卒業後もきちんと覚えていて、
1ページ分くらいで
「ディスレクシアについて持っている知識を整理して」みせている。

彼に限らず、ディスレクシアは、
まるで普通によく知られていることのようだ。

この作品のこの時代では・・・。

この登場人物は、ディスレクシアということよりも
特殊な環境に育ったことにおいて
キャラクター付けされている部分が多いので、
なんとも言いがたいのだが、
ディスレクシアという要素の影響については
さらにBOOK2を読むときも引き続き考えてみたい。

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紙の本

予定調和の物語

2009/08/10 13:13

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:街で "二郎ラーメン" - この投稿者のレビュー一覧を見る

単純化することを恐れずに言えば、1Q84は偶数の物語である。青豆と壮吾(2人の主人公)を交互に一章ずつ、12X2=24章に纏める構成。2つの月、世界。感応するレシバと、それを受け行動するレシバ。空気さなぎに寄って作られるdaughterと原型であるmother.
作品は著者によって完全に統御され、様々なエピソードを紡ぎながら、エンディングへと向かう。銃口を喉に入れ、引き金を引く青豆。24章で壮吾の面前で空気さなぎから生まれる10才の青豆。
1Q84の世界は周到な構成を取りながら、決して作品自体を裏切り、物語そのものを「異なるもの」へと変幻することをしない。唯一、1Q84と言う表題で9をQとすることによって1+8+4=13と言う奇数、それも素数を紡ぐのみである。
小単位ではそれ相応に心を揺すぶるエピソードはあるが、究極に於いて、読者は作品を「読む」という行為に於いて、「異なるもの」、「生なる感覚」を感じ取ることが出来ない。
私は先に挙げたエピローグを正確に予想することが出来た。これは読者にとってとても不幸な事である。

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紙の本

図書館では358人待ちの本!

2009/08/01 22:02

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

いわずと知れた村上春樹さんの超話題作!
いつもは図書館派のワタクシ、図書館で予約しようかと思ってネット検索してみたら、358人待ちでした。
これは待てない…。
まわりをリサーチしてみたところ、買った友だちがいたので、
彼女が読んでから、ありがたくもお借りすることにしました。

上下巻ともに、借りるやいなやすぐに読みきりました。
ぽーんと違う世界に連れ去られたような気分…。
実に壮大なストーリーでした。

ある男女が、20年ものあいだ、互いの現状を知らずに、ずっと互いを思い続けた。
その二人の人生がクロスするときは来るのか…。

思い続ける力を、
一歩踏み出すときの力を、
もどかしい気持ちを持ち続けながら、そんな力を感じながら読み続けました。

過酷な事実をつきつけられて、
熟読できなかったところがいくつもありました。
その衝撃をうちやぶるような
静謐な場面もありました。

二人の共通の思い出の場所、
二人が10歳だったときの小学校の教室風景が、
ありありと脳裏に浮かびました。

二人が同じ月を見ていた(互いには気付かずに)シーンが美しいなぁ~と思いました。そして、月という存在はそもそも一つなのか、二つなのか…。
読みすすめながらも、なぜだか急に不安になるほど動揺してしまいました。いまだかつて体験したことのないような不思議な気持ちが、今も忘れられません。

続編、きっとありますよね。
おおいに期待しています。


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紙の本

ずいぶん社会と繋がっている村上春樹

2009/07/28 05:52

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:simplegg - この投稿者のレビュー一覧を見る

話題作,読み始めました.何とか1晩でBOOK 1を読み終えましたが,正直厚かったです.明日からは平日が始まるので,BOOK 2は我慢しようと考えいますが,どうなるやら.

僕自身は,村上春樹を大学1,2年のとき,ほぼ読み漁ったのだが(少なくとも有名どころは)リアルタイムで新刊を読むのは初めてかもしれない.僕にとっては,村上春樹はリアルタイムの人じゃない.ちょっとした古典といったほうがいい.

さて,BOOK 1は話の途中であるので,印象だけを記すことにする.

YO-SHIさんが言ってたように,“村上春樹ファンには肌になじむ感じの物語”である.特に,少々回りくどい言い回しや,独特だけれども的を得た比喩の使い方は,とても馴染みが深い.久しぶりに読んだだけに,心地よいものである.

一方,内容については,随分,社会性を帯びた作品だなとの印象を持った.昔読んだ作品については,もう記憶が曖昧だし,僕の勘違いかもしれないけれども….初期の作品には,少なくとも,常識的であるけども,社会とは切り離された主人公がいて,それゆえの爽やかさがあったように思う.これについては,ジョージ・オーウェルの「1984年」(僕が生まれた年でもある)を意識した作品であるというところがきいてきているのか,それとも程度の問題かもしれない.

2年半ほど前に,ジョージ・オーウェルを読んだときの感想は,今では薄れているのだけれども,僕なりに,“人間をコントロールできるのか”というところを問題としていたらしい.

一方,この“1Q84”は,人間の洗脳というよりは,自明なものとして人それぞれが持つ歴史や記憶の不確定さに焦点を当てているように見える.本書で語られる“記憶の非対称性”や“記憶の相対性”と言ったことからそう思った.感覚としては,オーウェルの反対側から世界を眺めた感じ.

色々,書いてしまったが,全てBOOK 1を読んでの印象です.どこに着地点があるのは,登場人物たちも,僕自身も見えていません.それについては,BOOK2を読んだ後に書くことにします.

最後に付け加えるとすれば,本書は読みやすいです.ストーリーがわかりやすいサスペンス仕立てになっていて,ぐんぐん読んでしまいます.そういう意味で,「ねじまき鳥」や「世界の終わり」とは一線を画すでしょう.

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