ホテルローヤル
著者 桜木紫乃
【第149回直木賞受賞作】北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く――。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事...
ホテルローヤル
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商品説明
【第149回直木賞受賞作】北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く――。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昂揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。
目次
- シャッターチャンス/本日開店/えっち屋/バブルバス/せんせぇ/星を見ていた/ギフト
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「グランドホテル」形式だけれど
2019/07/15 22:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホテルという場所でたまたま一夜を共にした人間を描くジャンルを映画ではそのタイトルから「グランドホテル」ものというらしい、そういえばこの作品が直木賞を取った時のテレビでの紹介でもそういった言い方をしていたのを覚えている。といっても、「グランドホテル」がベルリンの高級ホテルが舞台だったのとは対照的に「ホテルローレル」はせこいラブホテルで、経営不振で廃業している。この連作では、一番最初の「シャッターチャンス」が廃業後のホテルを扱っていて、最後の「ギフト」は開業前を描いている。ホテルの歴史を逆行していく。「せんせぇ」の二人が、このホテルとは関係のない設定なのかなあと思っていたら、関係大有りでこの二人のせいで、このホテルは廃業に追い込まれたようなものだ。
面白かった
2021/04/07 08:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白菜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家さん買いです。
流石ですね。
評価が高くても
自分の趣味に合わなかったりするのですが
読んでる間ずっと飲み込まれっぱなしでした。
転職
2021/01/08 11:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たく - この投稿者のレビュー一覧を見る
転職が当たり前になる時代だからこそ気を引き締めて結婚生活を送らないと何処かで破綻するんだろうな
おもしろかったです
2015/09/11 15:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とちうし - この投稿者のレビュー一覧を見る
始めはピンク色の小説かと思いましたが、読むにつれてさまざまな人間模様がリンクしているのがわかり面白かったです。
また時系列も行ったり来たりなので、またあとで読み直したいと思うところもありますね。
性愛に対するあっけらかんとしたリアリズムと同時に妙に冷めた距離感
2018/12/05 09:12
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ホテルローヤル」は著者の父親が釧路市で経営していたラブホテルの名前だそうで、ご本人も部屋の清掃などで家業のお手伝いをしたようです。そのせいかこの短編集には性愛に対するあっけらかんとしたリアリズムと同時に妙に冷めた距離感がにじみ出ているように感じました。つまり、そこに恋愛的ときめきがないのです。描かれている男女関係もどこかいびつで。
収録作品は、「シャッターチャンス」、「本日開店」、「えっち屋」、「バブルバス」、「せんせぇ」、「星を見ていた」、「ギフト」の7編。
「シャッターチャンス」は、恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員が、誘われるまま廃墟となった北国の湿原を背にするラブホテル「ローヤルホテル」の一室で撮影のリクエストに応えつつも違和感を感じ、抵抗を試みて、また言いくるめられる倦怠感漂う女性の話。挫折から立ち直ろうとなぜか投稿ヌード写真に熱を上げる男との温度差は激しい。
「本日開店」では、小さなお寺の大黒が檀家からお布施をもらうために肉体関係を持つというお話。檀家総代が代替わりして、今まで枯れたおじいさんを介護するような感覚でお相手をしていた彼女はちょっとときめいてしまい、罪悪感に心が揺れるお話。ここでは「ホテルローヤル」の社長だった男のお骨の引き取り手がないために、彼と親しくしていた檀家の一人がそのお骨を大黒に預けます。
「えっち屋」は、母親が家出して10年後、70代半ばの父親が肺を患って入院中のため、「ホテルローヤル」を廃業作業をする娘の話。就職試験に全部失敗したので家業を手伝っていた彼女は廃業を機に旅に出る決意をします。無謀かもしれませんが、前向きな感じがいいと思いました。「えっち屋」と呼ばれる取引業者の境遇も興味深いです。
「バブルバス」は、お墓参り帰りの夫婦が久々の夫婦の時間を「ホテルローヤル」の一室で過ごすというお話。お寺の住職がダブルブッキングで来れなかったために浮いたお金を使って。「本日開店」の大黒がちょっとだけ再登場します。
「せんせぇ」には「ホテルローヤル」は全く登場しません。妻が高校3年の頃からずっと付き合ってきた高校教師で現校長の仲人で結婚した小心の高校教師。妻は結婚後も校長との関係を保ったままだったことが発覚して、なおも怒れない小心さ。単身赴任先から連休に釧路の自宅へ予告なしに帰ろうと電車に乗ります。彼を追いかけるように電車に乗ってきた彼の生徒。借金をきっかけに母親が出ていき、父親もいなくなってしまい行き場をなくしてキャバクラ嬢にでもなるかと函館へ向かおうとする彼女。全体的に悲哀が漂うストーリーです。
「星を見ていた」は、「ホテルローヤル」で清掃婦として働く60歳女性の話。元漁師の夫は10歳年下で現在無職。長男長女は中学卒業後すぐに家を出てしまい、消息不明。唯一次男だけが左官職人に弟子入りして、夜間高校を自力で卒業し、定期的に連絡してきていました。この短編が一番インパクトが強かったです。「毎晩下着の中のものを大きくして妻の帰りを待っている夫(50)」もアレですが、なによりも主人公の彼女が指針としている母親の教えが凄い。
「ギフト」は「ホテルローヤル」サーガの始まりの話で、「大吉」という縁起のいい名前を持つ男がラブホテル建設の契約をした途端に妻に離婚届を突き付けられ、戻る気配がないので、今までかわいがっていた愛人が妊娠したこともあって、彼女と結婚することを決意し、ラブホテル事業に夢見るお話です。「えっち屋」ですでにこの愛人が逃げ出してしまう結末が分かっているだけに、人の営みの悲哀を感じてしまいますね。
さすが直木賞作品
2018/09/26 13:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は、直木賞受賞の際に、雑誌に抄出していたのを以前読んで、通しで読みたいと思っていました。その時読んだ印象と比べて、やはり桜木さんは連作短編にこそ、最大の力を発揮されるのだと実感しました。まさに無名から突然直木賞受賞まで、一息に上り詰めたのは、それだけ、この賞の趣旨にマッチしていたのだと、納得できました。一話一話の物語が絶妙に絡み合って、一つの作品となった時に、大きなうねりがどんとできているという感じです。個々の文章のうまさだけでなく、物語の作り方もうまいと思います。女性らしい観察力と、心情描写が丁寧で、スムーズに流れができています。長篇の霧は、ちょっと合わなかったのですが、本作を読んで、今後も連作短編集を期待します。
ラブホテル舞台の群像劇
2021/06/06 19:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:再版 - この投稿者のレビュー一覧を見る
7編からなるオムニバス。(たぶん)1980年代半ばから2010年代までの30年間営業したラブホテルを舞台とした群像劇。
著者の実家であった同名のラブホテルは執筆時点ではまだ健在で、刊行前に廃業したのだそうです。直木賞受賞後も営業していたら儲かったろうに。
ホテルの歴史を紐解く
2020/01/14 23:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
バブル時代に誕生したラブホテルが、廃墟と化していく過程がリアルです。入れ替わり立ち替わりやって来る男女の、それぞれが抱える複雑な事情も味わいがありました。
情念ホテル
2016/11/16 11:43
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投稿者:Pow - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラブホテル「ホテルローヤル」にまつわる短編集。
どの話からも、男と女の情念が立ち上ってきます。
逆回転のおもしろさ
2016/03/02 06:34
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
北海道の寂しいどこかにひっそりとあったホテルローヤル。大吉さんの夢と男の甲斐性と背負って建築されたはいいものの、いつの間にか廃屋に。廃屋になってからも、ある男の夢の舞台になったりそれはそれで忙しい。現在から過去へ流れて行く形式は珍しいけれど、だんだん勢いが増してくるから面白く読めた。ミコさんのお話がいちばん好きかな。ミコさん60歳。ホテルローヤルのパートさん。無心に働いて働いて、甲斐性はないが性欲は強い10歳年下の旦那を養っている。この旦那ダメ男だけど、ミコさんのこと心底愛してる。だから逆に微笑ましい。
いろいろな人生!
2015/11/21 09:22
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
寂れたラブホテルにまつわる様々な人々の人生が投影された作品です。こんなホテル一つにもいろいろな人生(ホテル生?)があるのだな~と感じさせてくれます。
ストーリー構成がとても巧妙で、なかなかユニークな作品です。
風のように…
2015/09/09 19:35
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投稿者:スリーピングドッグ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつもながらの紫乃流、この世とあの世の狭間を漂っているような世界感はすばらしい。物悲しく、人の心の奥深くを、サッと吹き抜けていく一陣の風のような作品。しかし、純文学ならでは…(?)か、なにかつかみどころがなく、何とはなく過ぎていってしまった。
全七話の短編集
2022/12/20 10:51
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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
前半は淡々とした話が多く退屈だったが、後半は心に残る興味深い話がいくつか。特に「せんせぇ」が個人的にお気に入りです。
ホテルローヤル
2021/02/27 10:10
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投稿者:yukko - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞受賞作品というので読み始めました
正直 最初から最後までずっとずーっと辛かったです
短編なのに各話の登場人物が微妙につながっている
のが面白かったからでしょうか、途中で止められなくて
最後まで読み切りました
好き好きがあるかな
2020/08/05 13:56
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投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「星を見ていた」と「バブルバス」が割とストーリー的には好きかも。
けれど、これらでは賞は取れなかったんだろうなぁ。
好きでは無いけれど、表題作の女の虚無感と男のあほくさい熱量の対比が「文学」なのかな?