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バカの壁 みんなのレビュー

新書 第38回新風賞 受賞作品

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みんなのレビュー861件

みんなの評価3.4

評価内訳

高い評価の役に立ったレビュー

38人中、23人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/03/24 11:43

本=タイトル、人間=表情、両者とも中身は評価に連動しない。これも「バカの壁」か?

投稿者:トム君 - この投稿者のレビュー一覧を見る

こんな本が400万部超も売れたというのだから驚きである。内容を仔細に見れば、これは100万人以上の共感を勝ち得るような本ではない。むしろ特定少数のアッパーな人(東大等超一流の国立大学を卒業し、頭脳明晰で高い教養を積んだ秀才で金持ち)以外、多くの人は反発を覚える内容ばかり書いてあるように思えて仕方がないのである。辛口の批評で知られたコラムニスト山本夏彦の大ファンである私には、養老さんのコメントは、ほとんど山本夏彦が言っている内容と瓜二つに思えた。例を挙げると、「二軍の選手がイチローの10倍練習したからといって、彼に追いつけるようになるものではない。私たちには、もともと与えられているものしかないのです」と養老さんは言う。これって、山本さん流に言えば「ロバが旅に出たからといって、馬になって帰ってくるわけではない(だから凡百の阿呆どもがいくら海外旅行したって何も学ばないし何も理解できないで終わる。故に日本人の大多数にとって、海外旅行はムダである)」と言うことになるし、「分際を知れ、分際を」という罵声にもつながる話だ。しかし、私たち「巨人の星」を見て育った昭和の人間は「アメリカ人も日本人も同じ五本の指でボールを投げている。大リーグの人間に出来て日本人に出来ないはずがない」という努力至上主義を信じて研鑽を重ね、ここまで偉大で豊かな国を作り上げることに成功したのだ。養老さんの大脳決定論は、一歩間違うと、「人種決定論」に変化し、「所詮すべての文明は神にもっとも近い存在=白色人種が生み出したのだ。白色人種は文明を創造し人類を主導する崇高な使命を神から与えられているのだ。黄色人種や黒人土人は、所詮、いくら努力しても白人様には敵わないのだ」という人種差別にショートカットしかねない危険性を持っている。こんなこと、養老さんの文章を読めば、すぐに鼻についてくるはずなんだが、多くの人は、この点に気がつかなかったのだろうか。養老さんは別のところで「猫も杓子も学習塾に子どもを通わせて進学熱が高まっているそうだが、あんな無駄なことどうしてやるのか。バカな子はいくら詰め込んでも利口にはならない」とも書いていた。こんなこと言われて多くの読者は平気なのだろうか。不思議だ。

また養老さんは、脳の研究の重要性を繰り返し説く。基本的にはすべての国民の脳の構造をまず徹底的に調べてデータベース化し、次に異常犯罪者や精神疾患者、殺人犯、例えば宮崎勤の脳を徹底的に調べてその特徴を洗い出せば、もしかすると今後、類似の犯罪を予防することが出来ると養老さんは説く。人間の脳を類型化すれば、そこから「あなたはキレやすい衝動殺人を犯しやすいタイプ」「あなたは快楽殺人を犯しやすいタイプ」「あなたは連続殺人を犯しやすいタイプ」等の分類が明らかになるので、タイプ別に指導教育を施せば、より円満な社会が構築出来るかのように養老さんは提案する。しかし、これって神をも恐れぬ所業と私には思える。これも一歩間違えるとナチスドイツ顔負けの優性医学思想をダイレクトに社会に適用し、不具者を社会から駆逐するという思想に迷い込みやすいと私は恐れるのである。こういう極端な思想を平然と養老さんは垂れ流すのである。

それなのにどうして「こんな本」が400万部超も売れたのか。答えはタイトルにある。「バカの壁」というタイトルこそが、本書の売れ行きを決定付けた唯一の理由であり、それ以上でもそれ以下でもない。本書に書いてあることを仔細に知れば、多くの読者は本書を投げ捨てたことだろう。本の売れ行きは中身とは関係ない。タイトルで全てが決まるのである。同様のことは養老さん自身にも言える。これだけ辛らつで厳しいコメント、突拍子もなく危険な発想を垂れ流す養老さんは、別に個人的に批判もされず、マスメディアからも追放されず、いまだにご意見番としてテレビや雑誌に登場し続けている。こんなに弱者を見下した意見の持ち主が、どうして大衆に受け入れられ続けているのか。その理由は、ひとえに養老さんの表情にあるのではないかと私は疑っている。養老さんの口から出たことを文字にすると、読みようによっては実に辛らつで救いがなく危険なことを言っているように思える。しかし、その危険な差別思想を、養老さんは常にニコニコニコニコしながら楽しげに語るのである。あの独特のイントネーションとリズム、周波数とニコニコ顔に大衆は騙されているのではないか。非常に辛らつなことを言われているにもかかわらず、養老さんのニコニコ顔を見ると「ありがたいお話」に聞こえてしまうのではないか。脳科学を知り抜いた脳学者養老孟司は、もしかするととんでもない極悪人で、人間の脳のメカニズムを悪用して、大衆を欺いているのかもしれない。少なくとも養老さんと同じことを舛添要一が目じりを吊り上げて早口でまくし立てたら、彼は即日マスコミはもちろん日本社会からも永遠に追放されてしまうのではないか。人間の評価で一番重要なのは中身ではない。それが他人にどう映るかである。その点において表情というのは極めて重要なファクターなのである。

一冊100円とすれば、これで養老さんの手元には4億円超の印税が転がり込んだことになる。65歳を超えた老人に4億のカネは使いきれない額である。これをわたし続けるのを養老さんは「強欲」と決めつけ、「欲をかくのは良くないというのが仏教の教え」と本書にも書いているので、それが養老さんの信念なら、使いきれない印税を養老さんは寄付するなり寄贈するなりするはずだ。本書の印税で稼いだアブク銭を養老さんがどのように処分しているのか、是非、知りたいところである。

厳しいことばかり書いてきたが、私は基本的に養老さんの発想が好きだ。特にキリスト教やイスラム教のような一神教は、要するに「自分だけが正しい」「真実はひとつ」という強烈な思い込みを具現した危険思想であり争いの元であるという考えに私は200%同意する。「真実はひとつではない」「それぞれに言い分がある」「喧嘩両成敗」を旨とする日本の発想が世界を平和にするうえで、案外ユニバーサルな可能性を持っているという養老さんの発想に私は「我が意を得たり」と膝を打つのである。

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低い評価の役に立ったレビュー

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2003/09/08 22:30

一人揚げ足取り

投稿者:bamboobat - この投稿者のレビュー一覧を見る

まず第一章、ピーター・バラカンの「日本人は常識を雑学のことだと思っているのではないか」という意見に著者は諸手を挙げて賛同する。しかし、恐らくそんな風に思っている日本人は皆無に近いだろう。雑学のある人は、単に物知りとして片付けられてしまうのが現実だろう。誰もが知っているべき常識と異なるのは明らかだ。
9・11の同時テロ事件について、テレビを見ただけで分かったような気になっている、と著者は述べるが、ええ、分かっていますよ、分かるにも色々なレベルがあるというのも分かっていますよ、とでもお答えするしかなかろう。
また第二章で、出産ビデオに対する女子学生の熱心さと男子学生の無感動について、著者はa=0などと方程式まで持ち出して説明するが、単に「男子は出産できないから自ずと関心の度合いが女子と異なる」じゃ何かまずいことあるんですか、とツッコミを入れたくなる。このようなバカバカしいくどい説明がこの本全体に散見された。
著者は本の中で何度も「誤解なきよう」などと断っているが、読者が誤解する前に著者が誤解しているケースがほとんどではあるまいか。
はっきり言って、第一、第二章を読んだだけで著者の独り善がりにウンザリさせられる。いくら編集部の聞き書きによるアルバイト出版だからといって、あんまりではないか。
(古舘伊知郎風に)おーとっ、出ました! 歩く脳内常識、養老孟司の必殺技、一人揚げ足取りだあぁぁーーー!(ちと古いか)

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861 件中 16 件~ 30 件を表示

紙の本

決して悪い本ではない

2003/07/14 23:40

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 異論があることを承知で書くが、このタイトルは良くない。何故こんな粗野な題をつけなければならないのだろう?
 わかりやすくアピールしたい、少し煽りたい──そういう気持ちは判らないでもないが、著者が少し頭に来ているのが透けて見える。となると、怒りは伝染しがちなので、読者の反発を買うこともあるのではないだろうか?
 例えば、「わがままな脳」とか「係数ゼロと無限大」とか(この両例だとあまりキャッチーではないが)その手のタイトルをつけたほうが良かったような気がする。
 驚くようなことはほとんど書いていない。特に第1章から第4章まではその感が強い。ただし、驚きがない代わりに説得力はある。第5章以降で漸く脳の専門家らしい話が出てくるのだが、同時に教育や環境、経済、古典文学などと視野を広げすぎている分、比例して危うさも増してくる。危うさが増す分、後半の説得力はやや落ちる。
 全体を通して「ふんふん」と読み進めるのだが「なるほど」と膝を打つほどのことはない。
 何故この本がそんなに絶賛されるのだろうと不思議になってくる。「読者は皆、今までこんなことにさえ気づいていなかったのだろうか」と思うと、読んでいて恐ろしくなってくる。当たり前のことが多く書き連ねてあるので、概ね反論の余地はない。しかし、逆に新鮮さに欠ける感じさえある。一方、ところどころに「これはやや牽強付会」「これはちょっと暴論か」と言わざるを得ない部分も出てくる。
 思うにこれは独白を文章にしてもらって出版したためだろう。そのためにやや独善的な文章になってしまっている。もし、多くの人がこれを読んで「へえ」と思ったのであれば、それはそれで意味があったのだろう。そこそこ筋の通った本ではある。ただ、喋って、書き起こしてそれで良い本ができると思ったら大間違いである。
 私は著者の書いていることに異論を唱えているのではない。彼の書いていることに新味は感じないが情報性はあり、その論旨には概ね同意できる。このまとまった思想をもっと上手に表現する方法があったのではないかと思うのである。
 本論からはみ出した部分で少し独善的になる嫌いはあるが、決して悪い本ではない。繰り返して書くが、新味は感じないが情報性はあり、論旨はそこそこ通っている。

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紙の本

「壁」を越えるものは何

2003/06/07 10:11

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yurippe - この投稿者のレビュー一覧を見る

まずは表題のインパクトが見事です。目にしたら思わず手に取りたくなってしまう誘引力を秘めています。

表題の「バカの壁」とは養老先生が命名した“知りたくないことに耳を貸さない”人間の習性です。この習性があるため“「話せばわかる」は欺瞞である”とも断じています。解剖学者の養老先生ですが、書中では人間の肉体にではなく「わかっている」「知っている」と安易に思ってしまう人間の意識の危うさに鋭くメスを入れていきます。以下は文中からの抜粋です。

「話してもわからない」ということを大学で痛感した例があります。イギリスのBBC放送が制作した、ある夫婦の妊娠から出産までを詳細に追ったドキュメンタリー番組を、北里大学薬学部の学生に見せたときのことです。ビデオを見た女子学生のほとんどは「大変勉強になりました。新しい発見が沢山ありました」という感想でした。一方、それに対して、男子学生は皆一様に「こんなことは既に保健の授業で知っているようなことばかりだ」という答え。同じものを見ても正反対といってもよいくらいの違いが出てきたのです。男というものは、「出産」ということについて実感を持ちたくない。だから同じビデオを見ても、女子のような発見ができなかった、むしろ積極的に発見をしようとしなかったということです。つまり、自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在しています。(文中より)

また、2001年9月11日の米同時多発テロを例にとって、“テレビで二機の飛行機がツインタワーに突撃する映像を繰り返し見ただけで、あのときニューヨークで起きたことを本当に「わかって」いると言えるのか”と問いを投げかけてもいます。

他者と同じ情報を共有している、という意味での「わかる」ことの危うさを軸に、
養老先生は現在の教育の怪しさや、子どもたちがキレる現象へと議論を発展させていきます。その論旨には諭される部分も多々あり、読み応えも確かにあります。

しかしこの本で残念な点は、「バカの壁」をどうすれば越えられるのか、あるいはどうすれば少しでも壁を低くできるのかについての提議がなされていないことです。自ら理解を遮断してしまう、その心理的バリアを越えることができるもの。それが「想像力」なのではないでしょうか。

生まれた国、育った環境、家庭の事情…。それらが人間をつくり、同時に異なる事情の人間への理解を遮断します。けれども、人間には想像力があります。全く異なる事情の人間が生み出した多くの書物や文化には、それに触れるものの想像力をかきたて壁を越えさせる力があるのではないでしょうか。もう少し壁を克服する手段についての言及が欲しかったように思いました。

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紙の本

僕はバカ側の人間でした

2023/09/01 12:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:もゆ - この投稿者のレビュー一覧を見る

全体を通して何を言いたいのかわからなかったです。しかし、有名な本なのでいつかは必ず理解したいと思います。

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紙の本

気づかなかったことに、意識が向きました。

2022/01/30 16:12

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投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る

やっと読んだのですが、よくわからない本でした。
しかし、全く気づかずにいたことに気づかされたのはラッキーでした。
養老さんの考えが正しいかどうかなんて、わかりません。けれど、いろんな考え方受け止め方があることを心に留めておかないと、もったいない生き方をしてしまいそうだなと、ドキッとしました。
そういう価値は十分にありました。

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紙の本

新書としては期待外れ

2015/09/02 18:28

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投稿者:あじぇんだ - この投稿者のレビュー一覧を見る

非常に有名な新書であるということから本屋でこの本を手に取り、しばらく読み進めた。期待しすぎたことにも起因しているかもしれないが、かなり期待外れであった。
筆者の考えは非常に新鮮で痛快なもので、そこはなかなか面白かったが、一つ一つの話題があまりつながっておらず、コラム集を読んでいるようで、読み進めていくにつれて内容が発展していることもなく、一冊の新書としては連続性に欠けている。ただしそれぞれの話題に対する筆者の考えはかなり面白いので読む価値はあり。

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紙の本

参考になる点もありました

2004/09/23 22:22

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投稿者:futti - この投稿者のレビュー一覧を見る

他の書評と同じく、全体としては「爺の小言」という印象を受けたが、「リンゴ」を例とした、意識の共通性に関する記述は参考になった。

言葉「リンゴ」は同じでも、その言葉が指し示す実物の「リンゴ」1つ1つが異物である。

しかし、言葉「リンゴ」をインプットしたときに脳内で起こる「リンゴ活動」が、皆同一であるからこそ、「リンゴ」という言葉を使った相互理解ができる…。

わかっているつもりのことを、身近な例と、脳の動きを絡めた解説によって、より明確に理解することができた。

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紙の本

少なくとも「バカの壁」原理主義者は周りにはいないみたいです

2004/04/25 12:52

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投稿者:未熟者 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ずっと売れ続けているので興味を持ちました。同じことを情報としてインプットされても、受ける側の回路の違いで結果は全然違ってしまう…それはそうですね。回路の係数は0から無限大まであって、0の例は人の話を全然聞いてない人、無限大の例は原理主義者…これもよくわかります。この本は読んでいて冷たい感じをずっと受けます。話しても無駄ということではないけど、そういう諦め感をベースに淡々と話が進みます。この本と同時期に池上彰さんの本も読みました。そちらは話を工夫すればわかってもらえるという内容で読んでなんとなくほっとしました。「バカの壁」はずっと売れ続けていますが、この本に書かれている内容を前提に何か会話が進んだことをあまり経験しません。「バカの壁」に対する係数が大きな人はあまりいないのかな…少なくとも「バカの壁」原理主義者は周りにはいないみたいだと思ったりします。

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紙の本

わからない世界があることを知ろう

2003/10/13 10:51

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投稿者:BAMB - この投稿者のレビュー一覧を見る

自分の五感を通して分かることの大切さ。しかし、分かったと思っても、別の見方や考え方もあるんだよ。ということを常に意識しておくこと。「人間であればこうだよ」考えることが普遍な価値を作っていくこと。
この頃、短絡的に考えようとしている自分を反省。

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紙の本

借りて読むもの

2003/08/27 06:58

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投稿者:ひつじつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

別なサイトで見た書評の一節に深く共鳴しました。いわく「これは買って読む本ではなく、借りて読む本だ」。内容は面白いし、いろいろ共感できること、納得行くことが盛りだくさんですが、とにかく軽い。軽くするために「語り下ろし」の形を取ったのでしょうけれど、なんか物足りない。こういった本が借りられる環境に住んでいたら、借りられるまで待っていただろうなと思います。

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紙の本

唯脳論者の認知学

2003/07/05 17:27

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投稿者:Kay - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本は、短くない時間の流れの中でじっくりと日本という国を見つめ続けてきた解剖学者養老孟司の思想のエッセンスだ。
 前半は意識と身体について割合系統だった議論が成されているけれど、後半は思考の流れるままに綴られている印象を受ける。しかしこの本は、敢えてその思考の飛躍を楽しむ種類の本である。
 解剖学はソフトウェアとハードウェア、どちらについての学問かと言えば圧倒的に後者についてだ。そのフィルターを通して見た社会現象は、ありふれているようで新鮮だ。例えば『子供に「自分は自分だ」と説いて個性化教育を施すことは共同体社会においてどういう事なのか?』など。養老節は知識の哲学としては成立せずに未だ個人的意見の域を超えないが、それでもそれに耳を傾けることは現代日本にとって益となるだろう。

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紙の本

実験作かな?

2003/04/16 11:38

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投稿者:マイマイカブリ - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本は養老先生が話した事を編集部の人が書いてまとめた形を取っているため、
内容はいつもの養老先生の考えをまとめたようなものになっているが、
あの「養老節」は感じられない。そこがちょっと残念かな。
養老先生の考えを客観的にまとめるとこんなかんじになりましたー、
的な本だったと思います。

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紙の本

教育ママ(パパ)に成り下がってしまった親権保有者には必読

2006/09/16 16:18

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る

第1章 「バカの壁」とは何か
第2章 脳の中の係数
第3章 「個性を伸ばせ」という欺瞞
第4章 万物流転、情報不変
第5章 無意識・身体・共同体
第6章 バカの脳
第7章 教育の怪しさ
第8章 一元論を超えて
 1937(昭和12)年(神奈川県鎌倉市)生まれ。62年東京大学医学部卒業後(25歳),解剖学教室に入る。95年東京大学医学部教授を退官し(58歳!),現在北里大学教授,東京大学名誉教授。著書に『唯脳論』『人間科学』『からだを読む』など(私は未読)。語りおろしの本書は著者66歳時の作品。手許のは2刷だが,バカ売れした。
 最近流行の脳科学者,川島隆太(東北大学),澤口俊之(元北海道大学,セクハラで退職)らの代表格。
 「バカの壁」とは,同著『形を読む』から採られたものらしい(3頁)。要するに,諸個人間意思疎通の難しさ(不可能性?)を論じたもの。楽観的意思疎通重視派からの反論はとうぜん予想される。私も養老派。諸個人間の利益調整さえ難しいのに,思想や考え方の一致は困難を極めて当然。もっとも,それでは社会が成り立たないので,ルールを決める。
 第3章「『個性を伸ばせ』という欺瞞」と第7章「教育の怪しさ」は,最も同感できた。自分の学校成績は悪かったのに教育ママ(パパ)に成り下がってしまった親権保有者には必読と思う。英数国社理なんてできなくたって,生きていけますよ。人に迷惑をかけない,礼儀正しい,お友達の多い人になってくれれば,それで人格育成手段としての教育は成功と見るべき。僕もせいぜい頑張ってます! (652字)

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紙の本

この本が売れて、講演会にひっぱりだことなると、きっと養老の目には会場にカボチャがいっぱいある、と見えるんだろうなあ。所得ウン千万じゃあ無理もないか

2003/10/24 20:05

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

これは、養老が独白を続け、新潮社編集部がそれを文章化したという、養老としては初めての試みの本だそうだ。対談、講演とも違い、一種の実験だとことわる「まえがき」、第一章「「バカの壁」とは何か」。以下、「脳の中の係数」、「「個性を伸ばせ」という欺瞞」、「万物流転、情報不変」、「無意識・身体・共同体」、「バカの脳」、「教育の怪しさ」、「一元論を超えて」と全八章の構成。

これくらい多くの人が読む本となると、正攻法の書評ってのは意味を失う。だから搦め手から攻める、それが個性だ、なんて書くと、この本の第三章「「個性を伸ばせ」という欺瞞」にバッティングする。要するに、そう目立ちたがりなさるな、個性なんてものは生まれついてのもので、むしろ他の人と同じ意見であることが重要らしい。でも、それじゃあやっぱり面白くない。

実は、私はこの本を完全に誤解していた。勿論、タイトル『バカの壁』が与える先入観。それには背景がある。カバーに載っている養老の顔が、やけに丸みを帯びていることに気づくだろうか。TVで見てもその印象は変わらなくて、それが目立つようになったのはこの数年だけれど、きっかけは著者の略歴にある1995年の東大教授退官にある、と私は思う。

で、体形だけでなく彼の発言の質も変わったのもこの頃。この本に従って云えば、養老自身が変化したことで、彼から発せられる情報が変化し、その変遷は、一度発せられることで固定化した情報の軌跡をたとれば分ることになる。私にとって、養老の変化は、立花隆、上野千鶴子のそれと同じく「傲慢化」の一言に尽きる。きっとこの本も、読者のことをバカ呼ばわりする、苛つくような話なんだろうなあ、と思い込んだのである。

とりあえず、私は「どうもなあ」と引っかかった項目についてを書く。それは、私の友人が褒める第三章「「個性を伸ばせ」という欺瞞」である。ここで著者は、他人の感情を無視し、殆ど会話が成り立たない時には英語だけで語るような行動を取る人間を、個性的というのだそうだ。それって、個性的ではなく、非常識、無節操、痴愚魯鈍ではない?

教育の現場やマスコミが望むのは、一つの解に拘らない、まさに著者が言う「バカの壁」の存在を認めた「世の役に立つ」範囲内での、個性的だろう。日本人にとっての個性とは、バカの一つ覚えのように言われる「一芸に秀づる人は百芸に秀づ」という役に立つものでしかない。むしろ、その範囲のあまりの狭さに呆れるのは、現実に教育を受けている側だろう。この章は、明らかにケチをつけるためのヤクザの議論である。養老が、個性的としてあげるのが松井秀喜、イチロー、中田英寿。あれ、彼らは確かに群を抜いた一流選手ではあるけれど、あれが個性的。それこそ、養老の視野の狭さの証明ではないか。

あるいはワーク・シェアリングについてだ。養老は、社会のあり方として誰もが職につくワーク・シェアリングがよい、とする。効率ではない、というのだ。しかし、外務省となると、その存在は実に無駄だと説く。無駄が嫌ならば、ワーク・シェアリングという言葉はないだろう。職場で働いていない人間がいるだけで労働意欲がなくなってしまう私にとっては、仕事の分け合いも、外務省も官僚も無用のものでしかないのだが、養老はそうは言わない。存在してもいいけれど、その評価を低くしろという。しかし、それは結局体制の温存にしか働かないであろうことには目を瞑る。全体として、脱帽と意義ありが半々といった感じ。

で、全体のトーンが最近の養老の本よりソフトである原因は、多分、著者の独白を出版社が文章化するというあたりにあると思うのだがどうだろう。編集者は、養老に遠慮し本当の言葉を美しいものに置き換え、養老は自分の言葉がこのように受け止められるのか、まいいか、自分の文章じゃないしと身をかわす。け、こんな本、ありがたがるなよ、日本人。

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紙の本

自分を変えていこう!

2003/09/25 07:50

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Yostos - この投稿者のレビュー一覧を見る

この著者は有名な方らしいが、私は存じ上げなかった。この本を手に取ったのは、そのタイトルに惹かれたからだ。私自身、仕事やプライベートでまわりにいる簡単な正しい道理を理解できない「バカ」に翻弄されなんとかしたいと思っていたからだ。


本書は、簡単にいうと人の脳の働きをコンピュータのように捉え、人の思考とは入力に対して処理を行い出力をすることとする。処理の能力はほとんどの人が大きく変わるものではなく、バカと頭のよい人の違いとは入力をどれだけ有効に処理に回しているかだという。まさに私が回りに感じていたバカさ加減とはこの「入力(簡単な道理)」が通じていなかったのだ。

そして、この脳という処理装置は自己のソフトウェアを常に書き換えて処理を最適化しようとしているAIのようなものである。現代は多量な情報が入力として入ってくるが個々の情報は変化するものではなく、大量な情報に接して自分が変わっていくものなのだという。問題は情報は変化し自分は普遍であると逆の思いこみをしている場合が多いことであるという。目から鱗だった。そういえば、「仕事は楽しいかね」(ティム・バートン著)でも、常に自分を変えていこうということが提案されていた。自分は不変であるという思いこみもバカの壁の一つだと思う。変化しているという情報を正しく理解しそれに対処して変化を意識的に取り入れていくことは重要だと思った。

本書は著者の口述を編集者が文書にするという形で書かれているらしい。このためかときどき話が脇へそれていく。著者の著作になじんでいる読者であれば、楽しいかもしれない。私は初めてなので何度か読み返しが必要となった。

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紙の本

教育関係者の方へ…

2004/09/09 18:45

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みzゆチー - この投稿者のレビュー一覧を見る

批判的な意見も多いこの本ですが私は読む価値は大いにあると思います。特に教育関係に携わる人には読んでほしいと思います。学生さんにもお勧めです。できれば高校生くらいから読むのが良いのではないかと思います。
初めのほうは難しいですがそこで断念せずよみつずけてみて下さい。最後のほうになると何か、答えというかヒントみたいなものが個個の頭の中に浮かんでくると思います。
バカな人はいないという人はいますが私はいると思います。

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