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たそがれ清兵衛 改版 みんなのレビュー

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みんなのレビュー129件

みんなの評価3.9

評価内訳

129 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

癖のある下級武士達が作り出すユニークな物語と繰り出す剣技に酔う8編

2010/01/29 19:16

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書に登場する主人公はどれも癖のある人物ばかり。
影で嘲笑され、あだ名まで付けられているが、本人はいっこうに気にせず、自分のやるべき事をやっている。
そして剣の腕は皆一流。しかも周りには魅力ある女達がいる。
そんな共通した部分を持ちながら、8編それぞれに物語があり、心暖かくさせ、切なくさせ、愉快にさせる。

一編読み終わると次の癖のある人物が気になり、ちょっとさわりだけ読んでみようと読み始めると、ユニークな人物と登場人物達が作り出す物語に引き込まれ、そのまま読まずにはいられなくなる、何度読んでも飽きない作品集。

『たそがれ清兵衛』
井口清兵衛は下城後、家に帰ると元気に働き回る事から「たそがれ清兵衛」と呼ばれている。
剣の腕が立つため、上意討ちの討手としての任を命じられた清兵衛は、一度は断った。
上意討ちの時刻には、病に伏している妻が尿(しし)を我慢して待っているのだ。

兄妹として育ち夫婦となった清兵衛夫婦の、それぞれに対する思いが緻密に描かれていて、兄妹そして夫婦の絆に心暖かくさせられる。
討手というやっかいな仕事を断る清兵衛によって、藩命より妻を思う強い気持ちが印象に残る。

『うらなり与右衛門』
三栗与右衛門は顔がへちまのうらなりを連想させることから、うらなり与右衛門と陰で呼ばれている。
与右衛門はうらなりづらとは裏腹に、穏和な人柄と剣の腕前を買われ三栗家の婿となっていた。
そんな与右衛門は、どこから漏れたのか上役の寡婦との醜聞を咎められ二十日間の遠慮となった。

うらなりづらと陰で笑われている与右衛門が、剣の腕を存分に見せつける後半からの話は読み応え十分。

『ごますり甚内』
川波甚内は武士にあるまじき、へつらい、ごまをする事からごますり甚内と陰口を叩かれていた。
しかしそれは武士としての面目を保つためやっている事なのだが、その理由は誰にも言えない。
そんなごますりの真意を気付いた上役は、自分の頼みを聞いてくれれば骨を折ってもいいと持ちかける。

甚内のごますり具合にほのぼのさせられ、剣の腕に息を飲まされる。
武士の面目を保った甚内の、気持ちがはずんで「習い性」が止まらない様子が面白い。

『ど忘れ万六』
ど忘れが酷くなり隠居した樋口万六は、いたわり丁重だった隠居当時から月日が経つと、嫁亀代に畑の手伝いにこき使われる。
ある日、普段冷たい亀代の様子がおかしく、泣き出した。
内職の会所を束ねている普請組組頭の大場に脅されていると聞いた万六は、大場の元へ話し合いに向かう。

万六と大場の闘いも見物だが、嫁との微妙な関係やど忘れ具合が魅力的な作品。

『だんまり弥助』
杉内弥助は、だんまり弥助と陰口を言われるほど極端な無口である。
それは前から来る上役に挨拶したくないばかりに、用もない角を曲がるほど。
しかしその無口は、ある事件から無意識のうちに世の中から一歩身を引く気分が巣くったからだった。

これまでの収録作品と色合いが異なり、少々シリアスな作品。
無口の原因となる人物に徐々に近づいていく展開が楽しめ、ある人物と自分の心を救う光景は、胸のつかえがとれる開放感に満ちている。

『かが泣き半平』
鏑木半平は、ちょっとした苦痛でも大げさに言い、周囲に訴えるという「かが泣き」だった。
周囲の人間はうす笑いして聞き流し、妻にいたってはほとんど聞いていない。
ある時、半平が用事で訪れた後家の家で、いつものように疲れたとかが泣くと、女はそれを真に受けて肩を揉みだした。

藩のために働いた半平の、かが泣くに泣けない何ともやりきれない気持ちが面白く、半平の表情を想像すると思わず笑ってしまう。

『日和見与次郎』
藤江与次郎の父は、派閥抗争に巻き込まれた結果、家禄を半分に減らされ、郷方勤めに変えられた。
家禄が半分になり村回りになった与次郎に嫁いできた瑞江は、不服があるのかどこか楽しくない様子があった。
派閥抗争に巻き込まれてしまった父を見ていた与次郎は、派閥争いには関わるまいと中立を守ろうとするが。

与次郎が日和見なのは、自分のためでなく、回りの人を大切にしたいからだ。
派閥抗争が大切な人たちに迫ったとき、真っ直ぐな意志で立ち向かう与次郎の姿は美しい。

『祝い人(ほいと)助八』
伊部助八は汚い身なりで髭も剃らず、時々身体から悪臭が漂ってくる。そういう訳で助八は祝い人助八と呼ばれている。
そんな助八の元に、親友倫之丞の美しくなった妹波津が匿って欲しいと訪ねてきた。
波津に付きまとい、実家に押し掛けて暴れているという元亭主を簡単にやりこめた助八は、その腕を買われ上役から剣客の討手を命じられた。

祝い人(物乞い)のような身なりになってしまった助八の開放感やその原因が物語の世界を作り、大切に思いすぎるがゆえに身を引いてしまう人の情を支えている。
死を覚悟させる緊張と、討手の身支度を手伝う波津のテキパキした行為からくる助八の幸福が印象に残る作品。
映画「たそがれ清兵衛」のストーリーの大部分は、この「祝い人助八」が占めている。

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紙の本

実はスーパーマン

2005/01/23 09:11

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぶたころちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 映画化のもとになった「たそがれ清兵衛」他の短編集である。ここのところ藤沢さんの本を読み漁っているが、一連の藤沢作品のカタログのような本だと思った。
 主役はうだつのあがらない下級武士。いわゆる目立つところの無い、むしろ「かっこ悪い」普通の人間である。しかし目立つのは本人はかっこ悪いが、奥方は本人に似合わずみな美人で出来た人が多い。友人など周囲の人に恵まれている場合もある。ところがである、ただの生きていく要領が悪いうだつの上がらない人間ではないのはどの主人公も無敵の腕を持つ事である。普段のかっこ悪さはそういう場面での活躍を引き立てるスパイスになっている。そこにはうだつのあがらないドジなサラリーマンがいざという時無敵のスーパーマンに変身するかっこよさがあるのだ。 文章が優れているので、洋物の下手な翻訳本のように目が活字の表面をすべる事もなく、流れるように展開していく小気味よさにあわせていざとなったら無敵の活躍をするストーリーは読み終えた後消化不良をおこす事が無い。
 そういう主人公の本質に惚れて結婚している(あるいはする)美人の奥さんはさすが物を見る目があると感心して納得するのである。

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紙の本

人情武士

2020/05/07 05:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

藤沢周平作品の短編集。表題作は家庭を重視する武士の物語。こんな武士もいたのだろうなぁとほんわかさせられる。著者独特の醍醐味を味わえる。

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紙の本

痛快だけど哀愁漂う

2015/08/16 14:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る

普段は馬鹿にされがちな主人公がここぞというときに隠し持っていた剣の腕をふるって活躍する、というパターンの短編集。馬鹿にされているという設定なので主人公に感情移入しやすく、その主人公が隠していた爪をむき出して敵を斬るところが痛快です。まあ哀愁漂う後日譚もあり、痛快なだけでは終わらないのですが・・・。一読の価値あり。映画化もされており、確か日本アカデミー賞を取っていました。

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紙の本

かっこわるい男たちのダンディズム

2006/07/05 16:22

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 うらなり顔の醜男、だれかれかまわず愛想振りまくおべっか使い、異臭を放つやもめ男...人から冷笑される、かっこわるい下級藩士たちを主人公にした短編集。彼らはみな人の風評など気にも留めず、というか留める余裕もないほど、せっせとわが道を歩んでいる。しかし、同時に彼らに共通するのは、人をいたわるやさしい心と、その風貌に似つかない凄腕の剣である。いざ彼らが秘蔵の技を見せるとき、それまでのうだつのあがらない姿が一転して、弱者を助け、悪者どもを倒すかっこいいヒーローとなる。
 個人的には、『かが泣き半兵』という作品を気に入っている。仕事場、家庭でさまざまなことを針小棒大に愚痴る(かが泣く)くせをもつ半兵は、ふとしたことから美人の後家と知り合う。普段だれにも相手にされない自分の愚痴を聞き、苦労をねぎらってくれる彼女と、甘い禁断の関係に入っていく彼を待っていたものは...。命がけの仕事のあと、何の報酬もないばかりか、はかなく消えた恋を苦々しく眺める、ラストシーンでの半兵のなさけない表情は、直前に展開された気魄にみちた立ち回りと小気味よい対照をなし、実にユーモラスな可愛いげのある人物像を浮き上がらせている。
 ダサい、かっこわるい男に焦点を当てて活躍をさせる手法は、月並みとはいえ、藤沢周平の手にかかるとこれほどまでにすがすがしく、痛快な時代小説になるのかとあらためて感心させられる。ただ、この作者の小説一般にいえると思うのだが、藩の権力抗争にまきこまれる主人公たちのかたき役がどれもきまって、悪人であるというのはいささか都合のよすぎる設定ではないか?ことの成行きで、ある派閥の刺客になり暗殺を敢行することには、たいがい道義的・感情的な問題がからむものだ。しかしこれらの作品群では、相手を悪人に仕立てることにより、その辺の矛盾や葛藤というものを、感じずに済むようになっている。そんなところに正直、軽さを感じてしまう。そもそもそのようなタイプの文学ではないのだと言ってしまえば、それまでだが。

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紙の本

映画とは違うけど

2023/06/17 14:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ランディ・B/M - この投稿者のレビュー一覧を見る

映画のたそがれ清兵衛は、いくつかの短編集からの創作とは聞いていたが、実際に読むと映画とは全く違った。しかし、どの短編集も一見要領よく生きていない主人公達が思わぬ剣客で、私利私欲の要人を始末する様は映画とは違う面白さを感じた。

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紙の本

代表作の一つ

2022/10/13 16:41

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る

目立たない人物 むしろ普段は陰でバカにされている人物が実は剣の達人で、という作者藤沢周平好みのキャラクターを集めた短編集8篇である。どの作品も面白いが、一つだけ選ぶとしたら表題作の「たそがれ清兵衛」かな。

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紙の本

強さを秘める者

2021/02/18 23:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

不本意な渾名を付けられながらも、普段は息を潜めている強者ばかりです。耐え忍んだ果てに、ラストで力を発揮する瞬間にスカッとしました。

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2004/10/26 03:29

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2005/02/03 17:08

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2006/01/18 20:04

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2005/11/09 20:19

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2006/01/15 13:02

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2006/06/06 22:12

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2007/01/17 18:08

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