人間の核心に迫る！衝撃的な展開で心が強く揺さぶられる小説

情報交換がキモとなる就活を円滑に進めるために仲間を作り、就活に励む大学生たちを描いた物語です。まだ何者でもない存在である自分に不安を抱えている彼らは、他社を否定して自分を肯定しようとしていきます。他人に隠している負の部分をみなが抱えていながらも、最後に出る結果は人それぞれ。人生の不条理さを詰め込んだような一冊です。

幼い娘を自分の職場である学校で殺された女性教師が、教え子の少年2人を裁判にかけるかのように迫る衝撃的な展開から始まる小説です。絶対的な「悪」というものは存在しない、と考えさせられるとともにやるせなさを感じます。犯人の家庭の問題にも踏み込んでいて、彼の人間性が築かれた過程を追っていると、それがさらにやるせなさを助長させています。

ある施設で育てられた「提供者」と呼ばれる少年少女たちを描いた小説です。物語が展開していくにつれ、自分自身を正当化するために人の物を奪う悲しい人間の性がしだいに見えてきます。ハッピーエンドともバッドエンドともいえないラストに強く心を揺さぶられ、なんともいえない余韻を残します。

大庭葉蔵は物心ついた頃から世間の常識になじめず、道化を演じることに徹していました。しかし、道化を演じているうちに自分自身の本質さえも見失ってしまいます。他者の目を気にせずに生きていくことは、本当に難しいことです。恵まれているからこその生きにくさ、というテーマも現代日本に生きるわれわれには迫ってくるものがあります。

病院で子どもを取り違えられ、すでに6年という歳月をともにした「息子」の処遇をめぐる二つの家族のドラマを描かれています。実の子ではないとはいえ、一緒に過ごした時間が子どもへの愛着を生み出します。だけど自分本位の父親による傲慢な行動が波乱を呼び・・・。常識が通用しない状況で、「人の心」というものが問われている小説です。