進化？それとも堕落？脳を改造して超人になる苦悩を描くSF

実験ネズミのアルジャーノンは最新の外科手術を受けて天才になりました。知的障害者のチャーリイも同じ手術を受け、大学で勉強を始めます。ところがある日、アルジャーノンの知能が下がり始めました。次は自分の番だとチャーリイは思い、必死で退行を止めようとします。読み終えてタイトルの意味がわかると、涙があふれてくる名作です。

へんぴな山の中にある研究施設「ブレインテック」は、脳科学、霊長類学、人工知能など、脳と知性についての総合研究所でした。この科学の殿堂でなぜか、光る女、幽体離脱、エイリアンによる誘拐といった怪奇現象が頻発します。やがて明らかになる恐るべき計画とは・・・。オカルトと科学が融合して渦巻くクライマックスは圧巻です。

脳にスマホのような装置を埋め込むことが義務化された未来社会では、なんでもすぐに知ることができます。そんな世界に現われた少女「知ル」はさらに脳機能が拡張され、ケタ違いの情報処理能力を持っていました。「究極の知」を求めて旅に出た彼女が、辿り着いた境地とは・・・。「考え殺されたいのか」という奇妙な脅しも読みどころです。

本書は、「脳を改変することは倫理的に善いことなのか」と問い掛けています。登場する技術は目に見えない分子の機械「ナノマシン」で、胃で吸収されて脳に入り込みます。すると脳同士で通信ができたり、脳で一種のアプリを使ったりできるようになるのです。さらに、米国政府と中国の科学者の間で激しい争奪戦が始まります。

ライダたちが精神病の新薬として開発した薬は過剰に摂取すると脳組織を作り替え、それぞれの神の幻を見せます。二度と世に出さないと誓ったはずのその薬、通称「ヌミナス」が世間に広まり始めていました。ライダは拡散の阻止を決意します。ライダの神、天使の姿をしたドクター・グロリアがとてもチャーミングに描かれています。