ブックキュレーター主婦の友社 石井美奈子
樹木希林さんの人生を知り、ちょっと立ち止まってみるための5冊
2018年9月15日に亡くなった樹木希林さん。TVドラマ・歌手・CM・映画と、世代によってどの仕事が印象的なのかに違いはあれど、多くの人が「気になって」「ついつい見てしまう」存在であり続けた。私は「寺内貫太郎一家」のおばあさん役も、「林檎殺人事件」の郷ひろみとのデュエットも『日々是好日』の茶道の武田先生役も全部楽しんだ世代。ドラマや映画を見るだけではわからなかった樹木さんの言葉や生き様が話題となっているが、それらの姿を伝える本の私なりの読み方をお伝えしたいと思う。
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一般人と手紙で交流していた秘話を紹介している。中でも圧巻なのはカラーページで紹介されている手紙。達筆な毛筆で書かれており、その中身は仏典から外国の言葉まで古今東西のことばや考え方を引用しながら、相手のことを思いやる「慈愛」に満ちたものとなっている。自分にあてて手紙をもらった気分になれる本。
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亡くなってからわずか3ヶ月後の発売に度肝を抜いた。多くの発言を丹念に集めており、読みやすい文字量。手に取りやすいから何気なく買ったこの本で樹木さんのファンになった人も多いのではないか。私が好きなのは若い頃のかわいらしい写真と夫である内田裕也さんへの愛に満ちているところ。樹木さんの可愛さを味わう本。
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いつも心に樹木希林 ひとりの役者の咲きざま、死にざま
樹木希林(著)
これはデビューから亡くなるまでの時代に合わせて発言したり書いたものが掲載されていて、特に若いころの文章が多いので、初めて知ることが多かった。ほぼ文字。向田邦子が「寺内貫太郎一家」の秘密を語り、市原悦子や吉永小百合と対談している。昭和から平成の樹木さんを通じての芸能史を読んでいるようでおもしろい。
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読みやすい言葉集。280Pもあるけれど、デザインもこの本で紹介されている写真もおしゃれ。センスが抜群に良かった樹木さんの世界をのぞいてみるのならこの本はおすすめ。装丁からして、宝島社の広告にかつて使われたイメージビジュアルが使われており、樹木さん本の中でも比較的若い読者が多めらしい点にはうなづける。
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33才のときに雑誌連載された男性有名人との対談集。各界を代表する男性陣も、樹木さんの前では、タジタジになっていて、ちょっと可愛い。これだけ才能あふれる女性を妻に持つことは並大抵のことではないだろうと、最初の夫である岸田森さんに同情し、先日樹木さんの元へ逝かれた内田裕也さんの偉大さを再発見した本。
ブックキュレーター
主婦の友社 石井美奈子主婦の友社(http://www.shufunotomo.co.jp/)で編集の仕事をしています。根っからの本好き、そして、本屋さんが好きで、この業界に飛び込みました。好きな旅・食についてや、女性の視点での健康や老後について本を広く紹介していきます。
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