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「すべては仮説に始まり、仮説に終わる」、という仮説の行きつく先は意外と深い。
2009/03/10 17:28
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
プロローグはいきなり「飛行機はなぜ飛ぶか?実はよくわかっていない」。え、と思わせて「つかみはばっちり」と言ったところでしょうか。目次も、章のタイトルに4~5行のまとめ的な文章。目次だけ読んでも、いいたいことはわかってしまいそうです。(でも、立ち読みだけだと、大事なところ、よい表現を見逃してしまいますよ。)本文自身もポイントが「太文字」にしてあって親切すぎるぐらい。
「宇宙のかけら」の、難しい宇宙物理の説明がとてもよかったので、これまで読んでなかった本書も読んでみました。著者はわかりやすく説明するのがほんとにうまいですね。
著者が書いていることは『頭ごなしに否定しない、せめておかしいと思ったらまずは「自分で」考える』ということ。「とても普通」のことのようですが、その意味を「仮説」という言葉を使ってやさしく具体的に説明しています。どんな「定説」でも、その時代の人が決めたこと、ということがいろいろな例でわかりやすく説明されていて、それが科学史や科学哲学の重要性の主張にまでつながっています。
しっかりと、とにかく自分で考えること、というのは繰り返し「良識ある」人々が書き残してきた事柄です。それでも、繰り返し書かれている、ということはそれだけ人間は「できるだけ手を抜きたい」「考えなくてすむものなら考えない」特性をもっているということでもあるでしょう。どうしても引きずられてしまう、楽をしたい、のが「人間のさが」。
そういう特性もなにかしら生きることに有利なものがあるから備わっているのでしょう(これも仮説だ)し、だとしたら(仮説を前提にしたさらなる仮説)、考える努力を続けること、それしかないのかもしれません。食べ続けることと同様、取り込んで消化し、更新し続けること。人間として生きることってそういうことなのかしら、・・・これもまた一つの「仮説」でしかないのですけれど。
きっと、こうやって自分なりの仮説、解釈をし続けないと、混沌にのみこまれてしまう、ということなのではないでしょうか。混沌にのみこまれてしまうこともよし、とするかどうか、はまた別の問題ですし。
「すべては仮説に始まり、仮説に終わる」、という仮説。この考えの行きつく先は意外と深いようです。
本書は、科学的か否か?
2006/09/11 18:14
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
飛行機は、何故飛ぶのか、本当の理論は、分かっていないと、最先端技術を大上段に切り捨てる事から書き始められる本書は、「全ての事象は、仮説にすぎない」という結論へと理論展開される。理路整然と説明出来るものが科学と言う思い込みは、全くの間違いである。また、科学以外の一般常識に至っても、それは仮説に過ぎない。仮説には、「白い仮説」(一般に常識と言われる仮説)と「黒い仮説」(一般に間違っていると考えられる仮説)、そして「グレーゾーンの仮説」(良く分かっていない仮説)とが有り、それを認識する柔軟な頭脳を持ってこそ、本当の世の中が理解出来ると解説する。この考えは、すなわち、「客観から主観へ」という意味である。客観とは、世間の誰もが白いと認める仮説に従うということ。主観とは、世間とは関係無しに自分だけが白だと考える仮説に従うということ。私は、常日頃、誰々の発言だから正しいという姿勢で無く、私が正しいと思うから正しいという姿勢で、仕事でも生活でも対応している。すなわち、私自身は、著者の言う「客観から主観へ」を実践しているという自負が有る。従って、本書の内容は、良く理解出来たし、楽しんで、あっと言う間に読み終えてしまった。
「共訳不可能性」という話も記載されていた。すなわち、同じ言葉を話していても、各人のバックボーン相違の為に、お互いが同じ意味に理解して会話していない為に誤解を生じると言う事である。全てが仮設という事は、自分の立場でものを考えるので無く、相手の立場でも物を考える事の必要性を説く。即ち、これが実現出来れば、「共訳不可能性」は回避出来るのである。
本書は、科学的な事象を多く取り上げていた。その中の一つに冥王星が惑星で無くなる時が来るというものである。惑星の定義からすれば、冥王星は、その他多くの小惑星にすぎぬというのである。これは、つい最近になって、国際学会で特異な小惑星という事に落ち着いて、本書の予言が的中したという事である。このように、科学が進めば、「仮説」は進化し、変動するものなのである。この世は、映画「マトリックス」の如く誰かのバーチャル世界であるという仮説も成り立つ。これを完全に否定出来る人は居ないし、その方法も分からないのである。
全ては、仮説。こう考えると、楽に生きていけそうな気がする。最後に著者は読者に「「すべては仮説に始まり、仮説に終わる」という私の科学的な主張は、はたして反証可能でしょうか?」と問い掛けて、論を閉じている。この私の答えは、科学であるなら反証可能と著者の論を引用して答えたいと思う。
「全ては、仮説」と考えると、世の中の見え方が、変わってくる気がする。
驚きあふれる本です・・・
2012/12/14 05:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:モモネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな考え方があったんだ! とびっくりする本です。
全てを鵜呑みにしてはいけない内容ですが、考え方がとても面白いです。
科学とは仮説の上に構築された虚構に過ぎないものである
2006/02/24 07:06
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちょーさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
よく言われる「真理はひとつ」という真理も、本当に真なのでしょうか。本書は、こうした世間で一般に真理だと見られているような公理、科学だと思われている定理は、実は仮説にすぎないことを、具体例をあげながら述べています。
自然科学、社会科学、哲学などで、証明済みだと思い込んでいるようなモノを題材にしております。たとえば、飛行機はなぜ飛ぶのか、ということは、素人向けでは、「ベルヌーイの定理」で、専門家向けには、「渦理論」で説明できるといわれています。しかし、これらの定理、理論には、その大前提として既知(与件)としている事柄を無意識あるいは意識的に認めているので、その大前提をよくよく調べてみると、その大前提そのものが成り立たないといった矛盾がでてきて、その定理、理論が空無なものになってしまう。
とすれば、わたしたちが科学だ、あるいは科学的(客観的)だと考えていることも、甚だ不安定なモノであることが判るとおもいます。たとえば、時代によって、あるいはパラダイムの遷移によって、いままで科学と言われていた定理が、一瞬のうちに非科学と断定されることも、歴史が証明してくれています。天動説、唯物史観などを考えれば、このことは納得できるでしょう。
つまり、科学というものは、あくまで仮説に過ぎないのです。近代科学が17世紀から僅か400年くらいしか時を経ていないのに、それで真理が解き明かせると考える人間の浅はかさを感じることができるのではないでしょうか。本書は、そうした科学的だと一般に認められている考え方を安易に採らないことの大切さを強調しています。
「99.9%が仮説」ということは、フランスの数学・物理学者アンリ・ポアンカレが1902年の「科学と仮説」で既に述べているところです。彼は、真理は自明な命題から欠点のない推理の鎖によって導かれることから、100年前の人々は経験から得られたわずかの材料を借りて世界を構築しようと夢見たと批判し、如何に仮説の占める割合が大きいかを説きました。
私論すれば、そういった科学というものは、そもそも、客観的といわれています。しかし、客観的ということは、それを客観的と見る主観があるわけで、こうした2元論に基づく近代科学の思考方法の抱かえている根本的矛盾だとおもいます。
いづれにしても、現代では常識、科学だと信じられていることのほとんどが、実は、何の確固たる「真理」に基づいていない、換言すれば、「仮説」という虚構の上に構築された砂上の楼閣にすぎないことを、証明しているのが本書の謂わんとするところです。もっとも、この「99.9%が仮説」という真理も、やはり「仮説」ではないかと個人的にはおもいます。
「世の中は仮説だらけ」と意識すれば、頭は柔らかくなり、ものごとの見方が変わる
2006/11/22 00:24
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ますたぁ - この投稿者のレビュー一覧を見る
仮説思考を身につければ、頭が柔らかくなる、つまり、ものごとを思いこみで判断しないようになれるという話。著者は科学作家兼ミステリー作家。というわけで、この本では、おもに科学の事例を取り上げ、思いこみで判断しないためのコツを紹介している。そのコツとは、「世の中は仮説だらけ」と意識することだという。
著者によると、世の中は仮説だらけであるという。例えば、飛行機が飛ぶしくみ。実は、なぜ飛ぶのかよくわかっていないらしい。もちろん、飛ぶことはわかっている。しかし、その原理については、いくつかの説があるものの、1つには決まっていないという。つまり、ある現象がうまくいくということと、その科学的な根拠が完璧にわかっていることとは、全く別の話なのである。そのような、実はよくわかっていない常識や定説が他にも多く紹介されている。
また、正しいと思われていた常識や定説が、あとから覆された事例も取り上げられている。例えば、ガリレイの地動説によって否定された天動説など。このことは、現時点で常識や定説と思われているものでも、将来において逆転することがありえることを意味する。事実、本書でも言及されていた「冥王星の(小惑星)格下げ問題」は現実のものとなり、冥王星は惑星ではなくなってしまった。
もちろん、著者はあらゆるものごとを疑え、といっているわけではない。そういうことではなく、一度は常識や定説あるいは先入観や固定観念などを捨ててみることで、それまでとは違った見方ができるかもしれないというわけだ。
要するに、仮説思考をしてみようということ。「世の中は仮説だらけ」と意識するだけでも、ものごとの見方が変わってくる。そうするうちに、少なくとも見聞きした話や知識をそのまま鵜呑みにしたりせず、一度は自分で考えようという習慣が身についているはず。
最近、頭が固くなったかもしれないと感じ始めている方にオススメの一冊。
ますたぁ@BAYSIDE BREATH
残りの0.1%は、「99.9%は仮説」という真理?
2006/06/26 21:08
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、ここで俎上に上がった仮説をいくつか
飛行機はなぜ飛ぶのか?
BSEの原因
地球温暖化の理由
地震が起こる理由
麻酔がなぜ効くのか?
マイナスイオンはからだにいい?
地球の内部がどうなっているのか?
などである。
著者はこの本で、常識に囚われずにものを考えることの大切さを説いている。疑似科学に騙されないための視点も多く教えてくれる。唐突に、「微生物(!)が地震を引き起こしているかもしれない」(p.30)というような極論があって少し読む気が萎えるが、全体としては科学的思考法をやさしく語ってくれている。
この世にはこんなに分かっていないことがいっぱいあるんだとういことを伝えて、理系離れを防ごうという意図もあるように感じた。ただ、科学のおもしろさを伝えたかったのならば、発見のよろこびをもっと強調するとよかったのではないかと思う。
さらに言えば、著者の竹内薫といい、森博嗣といい、最近、作家を兼業する理系大学教授(広義では養老孟司や藤原正彦なども含まれると思う。)が多いが、理系の研究者が儲からないからではないか。そう考えると、理系研究者の待遇改善も、理系離れをふせぐのに必要だろう。金のために研究をする人ばかりではないだろうが、研究者も職場を離れれば家庭人であり、消費者でもあるし、文才はないがまじめにコツコツやっている研究者が報われるように。ただし、青色ダイオードのような一つの発見・発明に多額を支払うのではなく、研究者全般に手厚くがよい。でないと金になりそうな研究ばかり自分勝手にやるようになってしまうから。
疑問が次々とすっきりする。
2008/02/02 01:41
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ショートチョット - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずーと疑問に思っていた事それは「なぜ、太陽と地球の距離が実際に測ったこともないのに、わかるのか?、ついでに誰も太陽の周りを地球が回っているのを見たことがないのに、太陽の周りを回っていると、わかるのか?」、地球上では、「なぜ、誰も見守っていなかったのに、発掘された遺跡が、何千年も前のものと、わかるのか」そして禁句「なぜ星と星の距離が、わかるのか」これらがすべて仮説であったならば、合点がいく。
本書はこれらの疑問に直接的には答えてはいないが、自分なりにこれらの疑問が解けていく。本書では、もっと具体的なこと、例えば「飛行機はなぜ飛ぶのか実は、わかっていない」、「思い込みで判断してしまっていること」などなど、生活にそくして、解説してある実に興味深い本である。
そのいわんとしているところは、仮説である。
私の疑問は常識とされることなので、なかなか口にできない。
例えば、星と地球の距離を「光が一年間に進む距離で計ってある」とされている。ここでひとつの疑問がわいてくる。「光は劣化しないのか。たかが短い時間の観察で、何年間も光が進んでいるのを見たこともないのに、なぜ、同じ性質を保ちながら進み続けると言えるのだろう」等と人には言えない。そして、「宇宙空間はどこも光の速度は一定であるとなぜ言えるのか」、なんてことは、間違っても人前では口に出来ない。
そんな数々の思いを、「仮説」としてとらえることにより、すっきりさせる事が出来た。
仮説と真実をごっちゃにしている方が理解しやすいだけだったのだ。私には逆に疑問がわいていたのだが。すべて仮説の世界で人々は生きている事がよく分かる逸品である。
科学哲学を知らない人には手軽で好適な入門書
2012/01/10 21:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は1960年(東京都)生まれ。横浜市在住。湯川薫名義で小説も執筆している。筑波大学附属卒業(79年),東大(教養)卒業(83年,科学史・科学哲学),同大学院(物理学科)卒業(85年), マギル大学(カナダ)大学院博士課程修了(理学博士 Ph.D. 92年),成城大学(93-00年)や千葉大学(03-04年)で非常勤講師。妻はヨガインストラクターの藤井かおり。妹は翻訳・文筆家の竹内さなみ。
プロローグ 飛行機はなぜ飛ぶのか? 実はよくわかっていない
第1章 世界は仮説でできている
第2章 自分のなかの仮説に気づく
第3章 仮説は180度くつがえる
第4章 仮説と真理は切ない関係
第5章 「大仮説」はありえる世界
第6章 仮説をはずして考える
第7章 相対的にものごとをみる
第8章 すべては仮説にはじまり,仮説におわる
手許のは2006年5月で9刷。2月の刊行なので,3ヶ月で9刷,一と月で3刷にもなったことになる。刊行当時は話題の書籍だった。
趣旨は,科学哲学の入門書。中高生にも読めるので,読者層の年齢は不問だろう。取り敢えず,ポパーとファイアーアーベントの名前が後半に少し出てくるが,彼らの(学説の)解説に“堕して”はいない。ラカトシュは名前さえ出てこなかった。
個人的な話だが,大学で科学哲学の授業をとった。これだけは興味深かった。ちゃんと授業にも出た。高校までは,“客観的に考えろ”などと説かれ,なんだか客観的であることが正しく優位であるという先入観を植え付けられ,それを疑わなかった。しかし,大学での科学哲学の授業はそれをまったく否定した。私の“絶対客観”の世界観を破壊した。「堅固な核」(ハードコア)とかリサーチプログラムとかパラダイムとか,本書には出てこない概念は私を知的に刺激した。科学は時代精神に過ぎないと悟った。
ただし,本書ではこれを人間関係に応用している。なんとなく虫の好かない相手に対する偏見もまた同じ論理だというのはどうだろうか。これは無理筋という気がする。
本書は科学哲学を知らない中高生や大学生には手軽で好適な入門書だろう。本当に面白い著作だと思う。竹内先生には失礼だが,なんでこんなんが売れたんだろうか? 出版事業というのはわからない。
(889字)
序盤の飛行機のエピソードは面白かった
2022/10/29 12:47
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投稿者:忍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
SFを読んでいると、超古代文明やエイリアンの遺跡から発掘されたテクノロジーの原理を理解はできないけれど、とりあえず利用することはできるので、使っていたものの、あるときに大事故が発生、というのがよくあるパターンなのだが、飛行機にもそういう側面がある、というのは知りませんでした。
理系をかじったものとしては、本書の考え方自体は特に目新しいものではなく、具体的な事例を詳しく上げてもらった方が楽しめるかと思いました。
疑問を持て
2019/06/17 13:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
光文社新書の『99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』(竹内薫)を読みました。
当たり前と思っていることや、科学的と思っていることが、実はあやしい仮説に過ぎない、「疑問に思う能力」が大事だと説く本です。
「疑問に思う能力」が大事だと、私も思うけど、この本の中身にも疑問を持たなくちゃ。
「疑問を持て」に疑問を持て、ということか?
常識は疑え
2016/11/23 15:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
「常識は疑え」という本。
第6章と第7章は「相対性理論」が出てきて、私には難しかったですが、全体的に平易な科学エッセイです。内容は、「飛行機が飛ぶ仕組みは良く分からない」という話から始まり、「世の中はすべて仮説」「自分の頭は固い」ということが思い知らされます。科学は反証することで180度覆る、つまり昨日までの常識が今日から非常識となる可能性があるとのこと。実生活においても昨日までの常識が、あっけなく崩れることは現実に起きる話です。
仕事や人生に行き詰まった時に、何らかのヒントとなりそうな本でした。