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コロナ禍に伴走するかのような新聞連載小説
2023/03/14 14:01
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつてない疾走感に後半の祝祭感もあいまって、押し流されるように一気に読了。格差や貧困といった現代社会の中で生きる女性たちの試練とエネルギーを描いた長編小説。大きな生き物に引きずり回され、なすすべもなく身を任せるしかない。そんな読書の快楽を思う存分味わえる小説。葬っていた記憶や過去が、現在を不安にさせるような雰囲気だけがまずあって、お金、家、犯罪をしっかり描く。みんながわーっとなっていくカーニバル感。社会からはじき出され、肩を寄せ合うようにして生きる彼女たちは懸命に働くが、次々と試練に見舞われる。貧困の連鎖から抜け出そうともがくことで、どうしようもなく罪を犯してしまう。主人公の花が物語の中ほどで、絞り出すようにして語る言葉「正しくないよ、そりゃ正しくはないけど、でも間違ってるわけじゃない。そう感じるの。」人間の責任感とか一生懸命さは、場所や状況を選ばない。誰が花を責められようか、というシリアスな話ではあるけれども、生きるって、もっとドタバタだから。泣き笑いで倒れ込んでいくようなエネルギーを感じてほしい。
深く悲しく、やさしさに泣く
2023/07/22 08:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ろろろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
貧困の中を生きていることを成長するにつれ自覚を深めていくが、抜け出すことは外を知らないから狭い中でもがくばかり。それでも花ちゃんは大切だと思ったものを守るため純粋に走り抜けようとするから、胸が痛い。
そして黄美子さん、軽度の知的障害を思わせるように散りばめられたエピソード。右手と左手の区別が分かるように親に刻まれた右手の刺青、お金の細かいことは話さないように花ちゃんに忠告する映水さん。黄美子さんの優先することはひとがお腹が空いてないかどうか、そして身の回りを拭き上げ、整えること。これはおそらく幼い頃からの身についた行動かな…彼女の持つ障害には誰も積極的に関わってこなかったのでは、と気持ちが沈む。しかし、それに花ちゃんが気づかずとも黄身美子さんを守るべき人として描かれていることは救いであった。
冷蔵庫をぱんぱんにするところ、安岡章太郎の「ガラスの靴」を想起した。冷蔵庫にたくさん食べるものがあるうちは人生は終わらない、希望のように感じた。
金、運、縁
2024/08/13 11:56
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:fuku - この投稿者のレビュー一覧を見る
金の切れ目が縁の切れ目と言うが、
そう簡単に線引きできるものでもない。
だからストーリーに引き込まれる。
切ってしまう人が悪いわけではない。皆必死なのだから。
全然違うジャンルの本だが、『実力も運のうち』を思い出した。
主人公は1980、81年あたりの設定だろうか。
時折言及される社会情勢の話も懐かしかった。
一気読みを強いられる
2023/03/27 19:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
『乳と卵』で川上未映子作品に引き寄せられ、その後も全部ではないが作品を読んできたファンからすると、読み始めたときの第一印象は「これまでと違う」だった。
何か普通の(何が普通かという問題はさておき)社会派エンタメ作品、だと感じたのだ。
独特な文体や奇妙な登場人物で、読者が感情移入することを拒んで引っ張る文学ではない。
登場人物と、たとえ境遇や生まれた時代は違っても、ぐいぐい入り込んでしまう不思議な物語。大部な1冊を一気読みしてしまった。
とうとう受け子に・・・ 現代問題になってることだ
2024/10/27 16:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タカミー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本屋大賞ノミネートされてたことで気になってて読み始めました。
雇われホステスをしてる母 時折帰って来る父。 一緒にご飯を食べるけど ちょっと育児放棄な母親。花はこの家を出るための資金作りにファミレスでお金を貯め家に隠してたが 留守中に盗られてしまい 茫然としてるときに黄美子に再会。黄美子を通して知り合う人々が お金持ちだけど家族に恵まれてない子 学校を辞めてキャバクラで働く子と知り合う。 在日韓国人、 片親が犯罪を犯して施設で育った、学校に行かなくなってからの知り合いでずるずる続いてる黄美子の友人関係。
軌道修正できるような人との出会いがあれば と、読みながら考えた。
花は母親がいなかった時に面倒をみてくれた黄美子の事を その当時のまま記憶に残ってて頼りになる人であり面倒を自分が見なきゃと思い続けてるんだなと最後思った。自立できない年齢の頃の記憶って間違ってることがあるんだよね。
どういう人と関係をもつか 人選が大事だし、気付かないといけないと思った。
重たい話だけど、犯罪者の育ちや知的ハンディに気を配る必要があると思わされた。
風水的に黄色は金運を上げる
2024/02/10 12:47
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
人は、いろいろな人の親切、手助けで生きていくのだが、それが相互依存のような状態ならば、どのような人生になるだろうか。一人で生きていくには不安で、互いに関わりながら一時疑似家族をつくり過ごした女たちを描く。いわゆるセフティーネットワークには救われない人たちが、法的には犯罪であることで金を稼ぎ、互助する状況は、確かにあるかもしれないなあと思う。貧乏は、確かに暴力だ。
何となく期待外れ
2023/02/25 20:14
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み応えがあり、とても続きが気になる作品ではありました。ただ、登場人物の独白部分がやけに長かったり、途中でキャラが微妙に変わってしまったように感じてしまい、力作ではありますが自分にとっては期待外れでした。
ミレニアル世代の回顧ノワール小説
2023/02/24 05:08
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代と環境が生み出す闇に取り込まれたJK主人公が、謎だらけの女と少女たちとの過去の朧々とした共同生活を回顧するノワール小説。
裏社会の仕組みや用語説明などに多くを割かれていて、読みやすさが余計に淡々とした空気を醸し、600ページの中にあまり登場人物の感情が見て取れない印象だった。2000年前後の犯罪の変遷や、ミレニアル世代のJKの漠然とした考え方の描写など、今の時代からは考えられない現実味のなさには変な説得力があった。不安が伝播して、揺るぎない何かに縋ろうとする心。気持ちは不確かで変化するもの、お金は変わらず安心を与えるもの、でも「もの」である以上は一瞬で失う事もある。長編だけどすごく刹那的なものを感じた。
今にして思えば
2024/06/22 14:16
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
恵まれたとは言い難い環境で育った主人公。スナック勤めでどことなくふわふわした母と暮らす伊藤花は黄美子と出会う。まだ幼い花は黄美子が優しく世話してくれる女性だと思う。高校生になって再会し、花は黄美子に付いていく。
子どもの頃、思春期に出会った人間に人は影響を受けやすい。でもその人は本当に頼りになるの? いい人なの?
花はヤングケアラーとも言える。母親や母親代わりの女性、不安定な環境の友二人を知らず知らず支え、闇の世界に一歩踏み込んでいく。
後戻りできて、悪影響を及ぼす人たちから離れられて良かった、と言えるだろう。幻想は醒めない方が残酷だ。
連載中に少し……
2023/03/22 23:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞だったと思うのですが、連載中に少し読みました。こうして、完結して、あらためて、最初から読むと、なんとも言えない……。ストーリーは、2020年春、惣菜店に勤めている花が、ニュース記事に60歳の黄美子の名を発見するところから。
ハッピーではないと分かっている
2024/09/24 14:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
最終的にハッピーではないと分かっている話を、
単行本600ページに渡って読む。
うーん。
救いがないなあ。
最初に出てきた新聞記事、結局のところ、意味なかったよね。