- 販売開始日: 2014/08/16
- 出版社: 早川書房
- ISBN:978-4-15-011955-3
華氏451度〔新訳版〕
華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に...
華氏451度〔新訳版〕
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商品説明
華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士(ファイアマン)のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく……本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、SF界きっての抒情詩人が現代文明を鋭く風刺した不朽の名作、新訳で登場!/掲出の書影は底本のものです
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本の所持が禁止された世界
2017/04/29 12:59
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
ディストピア小説の古典の代表作です。
テレビやラジオといった感覚的な情報しか提供されない社会。市民は相互に監視し合い、本を所持している場合は密告される。表面的には穏やかな社会だが、人々は思考力と記憶力を失った愚民になっていた・・・。
インターネットが普及している現代にも通ずるところがあるので、多くの人々に読んでもらいたいです。
活字中毒者のための1冊。
2015/08/19 13:31
9人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:451 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本で最初に出版されてから、何度も装丁が変更されてきたSFの名作。今回は訳も一新され、日本語として読みやすくなった。活字中毒者ももちろん、書籍の未来を憂う人に読んでもらいたい。
あったかもしれない未来
2020/07/10 13:45
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本が禁制品とされる世界の話で、これはなんというか、私たちが暮らしてる現実の世界でも、一歩間違えばこんな風になったのかも知れないなと感じた。
なったのかもしれないと言うよりは、これから先もこの話のような未来を辿る可能性は残っているなと。
思考することは手放してはいけないんだなぁ。
新訳読みやすい
2023/08/10 12:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:び - この投稿者のレビュー一覧を見る
多少ネタバレ
以前読んだことのある過去の訳と原文とこれとで比較してみたところ、こちらは読みやすく誤訳もなさそうだった(素人なので詳しいことはわからないけど、過去の訳にはぱっと見でわかる誤訳もある)。
モンターグと所長とのやりとりは特徴的で、所長の長回しの場面では畳み掛けるような「諦観の入り混じる空虚な圧」の感じにぞっとしながらも、初めて読んだ時のように新鮮に読めた。原文の語調が今見るとラップみたい(何でも簡約・省略の世界で、字数からそうしている)だから、ある意味忠実なのかな。あそこは気持ち悪い場面の筆頭だけど、一番の見どころだと思う。
面白いSF小説
2021/07/10 07:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKでこの本の存在を知り、購入しました。
難しい文学作品なのかな?と最初は思いましたが、読んでみると、そのようなことは全然なかったです。
罫線
2024/01/30 14:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じゃび - この投稿者のレビュー一覧を見る
女ばかにしてんな~~~~~~~とか、特に後半に登場する元大学教授などの皆さんが白人を想定して書かれていない可能性ってほんのちょっとでもあるんだろうかとか、刊行された時代というものを差し引いてもなお思うところはありつつも。50年代にこれほど未来を予見した小説を書いてしまうってすごいな!のっけから出てくる「巻貝」がBluetoothイヤホンにしか思えない。元ネタはラジオかあ…
焚書が権力側の強権ではなく、知的なものを敬遠するようになった市民の需要で行われているという想定もすごい。最後は悲観的だが、口頭伝承というもののパワーみたいなものも感じさせられた。
ぶっ飛んだ世界観のディストピア
2022/11/10 02:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wink chain sword - この投稿者のレビュー一覧を見る
現世界からは想像しにくいような物語。決してハッピーエンドではないけれども、たまにはこういう作品を読んでみるのもありだと思った。
古典を再読しての感想
2016/01/31 17:32
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あられ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「だれもが知っている」と言ってかまわないほどの古典的名作となっているこの小説は、30年くらい前に学校の図書館で借りて読んでいました。今回、新訳になっていることを知り、改めて読みました。
最初に読んだときに記憶に残っていたのは、全体のごく一部であったということが確認できました。それは、この本を読んでいるときに、本のページの外で、私の視界に入っている世界の広さによるものかもしれません。最初に読んだときは、「本を燃やす」ということが怖かった。モンターグの心を決定的にぐらつかせる老婦人のくだりも、とても怖かった。「すべてを燃やす」炎は、私の中で、東京大空襲や原爆のイメージと重なり、ただ「恐怖」を抱かせました。しかし、再読したら、もっと静謐な印象を受けました。ミルドレッドが飲み干してしまったもののように。
おそろしいのは、「本が燃やされる世界」ではなく、「ファイアマンについての改変された歴史が信じられている世界」ではないかと。
ブラッドベリは、この作品を書いたとき、きっと「現代アメリカの大量消費社会」を憂えていたのではないかと思います。「情報」が、人々に考える時間を与えることなく、次から次へと流れてきて、大量に消費される社会。一口サイズに切り分けられた「情報」は、1冊の本としてまとまることはなく、ただスクリーンに表示されていく。それを享受すること、消費することが生きるということになっている……ミルドレッドはソーシャル・メディアで『私ではないキャラ』を演じている人のようです。
新訳は、弾力に富んでいて魅力的な訳文でした。「ファイアマン」にあてられた「昇火士」の訳語は、「正しい仕事である」と語られている彼らの仕事をぴったり表しえています。触発的な訳業です。(ただクラリスの「お嬢さん」口調には、私は違和感がありました。もっと「自由」な感じのする子ではないか、と。)
ただ、読んで楽しいと思うためには、アメリカでの基本的な文学素養が必要かもしれません(この作品を通じてそれを知ることもできます。私はかつて、そうしました)。日本人が「つれづれなるままに」や、「春はあけぼの」や、「吾輩は……」と聞いたら即座に思い浮かべることができるものがあるように、アメリカでも、ほかのどこの国でも、文学的な連想が喚起されるフレーズというものがあります。それがちりばめられています。そして新訳の文庫本では、それについて、訳者が調べた「出典」が、巻末にまとめて記載されています。
知を継承していく、ということを語る小説にふさわしい体裁を与えた翻訳家と編集部の仕事に敬意を表します。
訳文が見事な古典SF
2017/11/09 00:12
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
焚書を題材にしたディストピア古典の名作。人々から「考える」行動を奪って、均質化して、ぬるま湯の中で管理する未来像は1953年に書かれたとは思えないくらいリアルでした。中盤に主人公が焚書に疑問を持ち始めてからのスピード感はエンタメ小説としても充分面白いです。
また、新訳の中で本を燃やす職業を「焚書官」から「昇火士」に改訳したところも面白かったです。より獰猛さが強調されて作中のイメージ的にも新訳の方がマッチしてる気がしました。
個人的な好みとしては…
2019/08/21 08:50
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:梅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新訳旧訳で軽く読み比べしましたが、たぶん新訳のほうが色々わかりやすいけど、言葉遣いは旧訳のほうが好みです。原書を読むのが一番ですが。
本が燃やされるディストピア
2023/10/02 20:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本好きのカメ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本が禁制品として、昇火士(ファイアマン)に燃やされる世界。
本を焼く者は、やがて人間も焼くようになる。というハイネの言葉がある。主人公が焚書に疑問を持つようになり、それが決定的になった老婦人の事件のとき、その言葉を思い出した。
本を焼くディストピアは非現実的で、活字中毒者にとって恐ろしいもの。小説内でも愛書家が、本が焼かれていく状況に絶望感を持っている。が、実際のところ本が燃やされることより、誰も本を読まなくなるまでの過程のほうが恐ろしいと感じた。やけに現実味があったからだ。
華氏451度のような世界にならないよう願っている。
本好きさんは読むべし!
2023/01/31 12:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えいおん - この投稿者のレビュー一覧を見る
短めなので、サクッと読み切れる良書です。娯楽が短時間に消化できるものになっているという描写が、今の娯楽のありように酷似していて、ちょっとゾッとしました。良いSFは未来を言い当てる、の見本です。
私自身、本が大好きなので、紙の本がなくなる未来だけは嫌ですね~。電子書籍も、あり方としては良いのですが、私は紙の本が良いのです。ページをめくりながら思考し想像するという作業を、一生楽しみ続けたいです。
昇火士
2021/09/24 17:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
消防士?が本を燃やすという究極の検閲。個人の尊厳や精神の自由に危機をもたらす科学と技術と戦争。読書好きにはぞっとする焚書版1984年。
ディストピアはすぐそこに。
2021/07/14 14:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
近未来、もしくは現代のアメリカ合衆国の姿。読書、本の所持を禁止され、主人公モンターグは本を燃やす昇火士だ。妻は一日中、部屋の壁面を使ったテレビを観て過し、睡眠薬を常習する。
難しいことを考えず、悩まず、娯楽に満ちているはずなのに生活は空虚。モンターグは隣に引っ越してきた少女クラリスの好奇心の強さと不思議ちゃんな様子に、気付きを与えられる。
深く考えるのを止め、過去の叡智に触れなくなって、それで短期消費を繰り返して、しあわせなのか、考えさせられる。
本が燃やされる時代
2020/02/13 23:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うれい - この投稿者のレビュー一覧を見る
華氏451度。この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。主人公モンターグは本を燃やすことを生業とする昇火士である。(「焚書士」ではなく「昇火士」と訳しているのがすごいな、と思った)勘違いしてはならないのは、多くの本は燃やされたからではなく、人々が読まなくなり忘れ去られたからなくなっていったのである。「せっかち屋」は思考をやめた。ものを考えず、沈黙に耐えられない。刺激的なものをコンスタントに摂取していないと落ち着かない。口を半開きにしてずっと画面に見入っている。どうしても、遠い未来のことだとは思えない。