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商品説明
【柴田錬三郎賞(第34回)】生き延びるために、手を組みませんか−。いびつで孤独な魂が奇跡のように巡り遭い…。共感を呼ぶ傑作か? 目を背けたくなる問題作か? 朝井リョウの作家生活10周年を記念した書下ろし長篇小説。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
朝井リョウ
- 略歴
- 〈朝井リョウ〉1989年岐阜県生まれ。小説家。「桐島、部活やめるってよ」で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。「何者」で直木賞、「世界地図の下書き」で坪田譲治文学賞を受賞。
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紙の本
ニュースを見る目が変わってしまう問題作
2021/06/19 07:19
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作品の評価は人によって分かれると思います。
しかし、読む前と読んだ後ではニュースで報道される事件を見る目が変わってしまう問題作だと思います。
報道される容疑者の供述に「そんな事ある訳ないだろ。口実だろ」と思った事は何度もある。
でもそれが真実だとしたら?
世の中には多様な価値観があり、自分には理解できない趣味趣向の人間はいる
さまざまな価値観を認めるという事の持つ矛盾点を読み応えのある作品に仕上げた作者の力量に感服した。
紙の本
これぞ朝井リョウの真骨頂と言える作品!
2021/05/28 13:08
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うにょ〜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は朝井リョウさんの作品で単行本となっているものは全て読んできました。そんな中でも本作は10周年記念に相応しい素晴らしい作品だと思いました。本作品は「これは、共感を呼ぶ傑作か?目を背けたくなる問題作か?」というキャッチコピーが掲げられていますが、個人的には「共感を呼ぶ傑作」だったのではないかと思います。決して安易な共感をすることは許されない登場人物たちではありますが、作品の軸となるテーマは私が抱いていた現代の風潮に対する違和感を代弁してくれているように感じるほど共感できるものでした。ただ、作品に登場してくるもの(人物等)の引用元が露骨というか、明らかに特定のものを想起してしまうのがやや気になりました。しかし、描写や構成が素晴らしく、やっぱり朝井リョウさんの作品は好きだと思える作品でした。次回作も楽しみです(エッセイも期待してます笑)。
紙の本
読める人には読んでほしい
2021/05/07 19:49
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
多分、読めない人もいるのではないかなと思います。
性的描写が苦手な方には注意…だけど!読めるのなら!読んでほしい!と思いました…。
まさに、読む前の自分には戻れません。
だってもう、読んでしまったし、納得してしまったから。
改めて、小説家さんというのは凄いなぁなんてポカンと口が開いてしまいました。
実は朝井リョウさんの作品は読んだことがなかったのですが、片っ端から読みたいなと思います。
決して無理強いはしないように、でもさりげなくこの本を、知り合いに布教したいという気持ちでいっぱいです。
(ああでもこれも良くないことなのだろうか…)
紙の本
あらすじをかんたんに書けない衝撃作
2022/01/13 11:54
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」―。なにやら突然、鋭利な刃物を突きつけられたような一文である。朝井リョウさんの作家生活10周年記念作品。本書は「絶望から始まる痛快。あなたの想像力の外側を行く」気迫の書下ろし長篇小説。「読む前の自分には戻れない」...そう心して読み始めたほうがいい。本書は、曇りなく讃美される「誰もが自分らしく生きやすい、新しい時代」の虚像を引きはがし、白日の下に晒す―。ザックリ言うと、これまで特に深く考えもしなかった常識や価値観というものをことごとくぶった斬られ、一から出直しを迫られる感じである。
紙の本
共感や楽しさだけでなく
2021/06/04 23:30
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:めろんじゃない - この投稿者のレビュー一覧を見る
良くも悪くも、筆者の変態性を感じられます。
「読む前には戻れない」というレビューを頻繁に見ますが、想像力の問題です。この本を読んで、「多様性について考えさせられた」等というレベルの感想しか抱けないのであれば、全くもって不十分だと思います。
一度と言わず何度でも読み返して、これ以上ないくらい、考え尽くしてほしいです。
紙の本
クセになる
2021/11/19 14:34
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ムズ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『何者』を読んだ時にも感じましたが、この本で朝井リョウさんに痛いところを突かれる快感が確実にクセになりました。手に取ったきっかけは、目を引くタイトルと、また面白いテーマを書かれたなと思ったこと。時間を経てまた読み返します。購入して良かったです。
紙の本
建て前と現実の差
2021/08/01 17:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
多様性や個性を認め、少数派に理解を示すことこそが正しいとされる世情にあってさえ、一般の感覚からかけ離れた極少数派は世間からはまったく理解されないのだな・・・と感じるお話でした。
「繋がり」という耳心地いい言葉に感じていた押しつけがましさや気持ち悪さが言葉になっている気がしました。
紙の本
世の中の見方が変わる
2022/06/23 19:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のん - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段何気なく生活している中では、到底思いつかないような考え方が世の中には沢山あるのだと知ることができました。マイノリティにも当てはまらない人がいる、ということは私たちが普段なんとなく使っている「多様性」という言葉の重さや意味も変わってくるのだと思います。また、冒頭に述べていたこれらの情報はみんな明日死にたくないに繋がる、と言ったような言葉にはとても衝撃を受けました。とても勉強になるし、新しい視点を持つきっかけにもなった一冊です。読んでよかったです!
紙の本
最初の6ページが全て。
2021/06/23 17:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わに♂ - この投稿者のレビュー一覧を見る
全部読まなければその6ページの意味は分からないだろう。僕も内容に少し共感しつつも、最初は『気持ち悪い』と感じた。なんなら無理に共感しにいこうとまでしていた。本を読むならそれに移入する方が好きなので。
移入は、運動前に身体を温めるのと同じでゆっくりと入る。だから最初にその6ページを読んだ時は、移入中なので嫌悪を隠すのに必死だった。嫌悪を抱く自分と闘うことが読書に邪魔だった。
僕が考え得ない、誰しもが考え得ない領域の『多様性』。それが存在することは“こちら側”には理解し得ない。
自分の中での在るべき姿も社会の中で生きるためになっている可能性もある。人と人がいる限りどこまでも「社会」である。「個性」「欲」「感情」それらを表出した時、社会に許されるものであれば評価され、そうでなければ排除される。自分を出したにも関わらず、社会に淘汰される。
どこまでも僕たちは社会の中でしか生きられない。
出てきた欲が社会では許されない・認められない・理解されないと知っている時、その欲は皆と同じようには消化されない。
一度も満たした・されたことがないことと、満たしても満たされないことは別義だが、求めてる欲の概念は同義。ないものを求めたがる人間の性はなんと醜いんだ。
紙の本
大多数の分かり合えない人達と分かり合える僅かな人達
2021/05/16 10:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
人にはいろんな嗜好、ツボのようなものが当たり前にあって当然だと思っていた。その当たり前が、この本を読んでから、不気味な存在に変わってしまった。
そんな物凄い小説を、朝井さんは書いている。
帯の高橋源一郎さんのコメントはそんな辺りをついていると思われる。
大多数の人達が「明日生きていたいと思う」側にいたくて、不安から確かめずにいられない。そして排除する者を見つけて、大多数の側を維持している。
大多数の側にいて家族にもその側にいる事を守ろうとしていた検事の寺井啓喜のラストと大多数の側にいなかった容疑者佐々木佳道と妻とのラスト。
そして大也と繋がれたと思えていた八重子。
最悪の結末のはずなのに救われている人たち。
閉塞感に覆われていて、将来にも希望を持てないと思う今の社会に、生きづらさを感じている人たちに、何かを投げかけらる一冊になるはず。
今年度最高の読むべき一冊。
紙の本
社会とは、何だろうか
2021/04/26 18:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
人が生活する社会の中で、マジョリティとかマイノリティとか分類され、それぞれの立場が、生き方が尊重されるのが、望ましい社会であり、多様性を受け入れる社会だと言われる。ではその多様性とは何か。自分の想像力が及ぶ限りの多様性なのではないか。そんな想いにさせる物語である。社会とは、自分の想像力が及ばなさを自覚していない狭い視野しか持ち合わせていない個人の集まりなのではないか。自分にとって不快なものを排除していくことが、世の中の健全さに繋がると信じる人たち、彼らが「まとも」であるとされる社会が、現代なのだろう。
紙の本
異端というマイノリティ
2023/02/05 22:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読了してから脳裡には2つの事が浮かびました。1つ目は、本作品を書き上げるに当たって、かなり緻密に構成を練ったのでは、という事。2つ目は本作品の中心となる『水』をよくぞネタに思いつく事が出来たという事。
まず構成として、『語り手』が順番に主体となって話を進めていく形式。この形式はミステリ小説では時折見掛けます。近時では湊かなえさんの『白ゆき姫殺人事件』が一例です。ただ本作品は更に拘りがあり、それは前章の一文にあるワードやセンテンスが次章の冒頭に引き継がれるというスタイルです。テレビCMでもありますが、A君が持っていたカメラにどんどんクローズアップされ、更にその後再び引き下がっていくと別のBさんが同じカメラを持っていた、みたいなやつです。
2つ目であるテーマの『水』については、よくこんな発想が湧いたなぁ、です。マイノリティというものは殊更日本人が最も敏感になる分野であり、その分野に向けて昨今世間を賑わす(もう今や昨今ではなく、かなり前の時代からも陰々とあったでしょうが)社会的事件を根底にして抉り出したキーワードを鋭く描いています。社会ネタと言えば宮部みゆきさんの『模倣犯』を少し彷彿とさせるような気もしました。
さて、本作品の最大ネタである『マイノリティ』。このワードを、どう捉えるか。現代に於いてとても複雑で難しい内容だと思います。島国である日本という古来から横たわる根深い思想文化から考える必要は多分にあるでしょうし、随所に出てきていた『多様性(ダイバーシティ)』と関連付けてみると、一絡げに纏め上げる事が出来ない様相もあります。まさに現代ネタです。そういった複雑な様相を本作品で読み手に呈ずる著者は、なかなかに凄いと感じました。
朝井リョウさんの作品と言えば過去に2つ程読了しましたが、今一つピンと来ず、の印象でした。ですが、本作品はかなりズッシリと応えました。一方で同氏の作品のタイトルはパロディー的なものが幾つかあり、本作品もおそらく『性欲』からもじった『衒い』感がします。『正欲』の『正』について、食欲・睡眠欲・性欲が3大欲求と言われ、その3つは人間として大多数、マジョリティとしての欲求であり、また追究すると人間或いは日本人が持つマジョリティの感覚という意味で『正』を使い、そこから対比的クローズアップでマイノリティを炙り出す暗喩的な狙いがあったと解釈しました。
電子書籍
上品過ぎ
2023/11/27 18:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Jeu - この投稿者のレビュー一覧を見る
食欲も睡眠欲も裏切らないのは心身共に健康な人だけで、どっちも割と簡単に裏切ってくるものだと思う(現に本作にも過食嘔吐の人物が登場する)が、そこがまず冒頭から違和感。食欲、睡眠欲ときてじゃあ性欲は、という提起かなと思いつつ途中で物欲も出てきて、なんか中途半端(「物欲は裏切らない」ってもはや文として?)。
水に興奮するのはいいが、興奮した後の行為の描写がほとんどないのが説得力に欠けて、じゃあ毎日お風呂場で一人でしてるの、とか、公園で盛大に水遊びしたとしてその場でしたくならないの、抑えられるくらいの興奮なの、とか、なんか上品過ぎ。
もっと読者が不快になる描写があってもいいのに。
異性を好きになることと性欲は必ずしもイコールではない(幼稚園児が異性を好きになってもそこに性欲はない)けど、夏月と佳道が繋がりを持ちたいと思えたのはやっぱり異性だったからなの、とか、同性に体の上に乗られても同じように安心できるの、とか、色々しっくりこなくて読後の満足感なし。
電子書籍
月並みな表現ですが衝撃を受けました
2024/05/22 20:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りばい - この投稿者のレビュー一覧を見る
生きづらさへの解像度があまりにも高い。
この本の主人公達のような特殊性癖の持ち主ではないけれど、バイト先の必要としていない人間関係や男同士の集まりの描写、自殺の方法を調べたことがあったり両親の死のその先を想像したり、自分自身の誰にも言ったことがない過去を主人公が辿っていて見透かされているようで気味が悪かった。
こういった気持ちは周囲のマジョリティ側の人間には理解されず、ただ「ネガティブ」みたいなラベリングをされるから結局考えを吐き出すこと自体を諦める。
泰希や由美は啓喜に伝わらずとも自分なりに伝えようとするが、佳道や夏月は伝わらないことが分かってしまっているから心も口を閉ざす。
そうすると田吉から見た佳道のように「何を考えているのか分からない奴」ができあがる。
でも佳道が全てを曝け出したとしても結局理解されないのだから狂った人間と思われるよりは分からない奴でいるのが正解なのかもしれない。
他人同士分かり合えなくて当然だと改めて教えてくれる。
今作ではたまたま性癖にフォーカスが当たっているだけで、他人と決定的に感覚が違うことは誰にでもありえることだというリアルさがある。
何の疑いもなく明日を生きることが当たり前だと思いたいし、中盤の「他者が登場しない人生は、自分がいきていくためだけに生きていく時間は、本当に虚しい」という一文は20代半ばの自分が感じていたことを端的に、完璧に表現していて恐ろしさすら感じる。
佳道と夏月のように世界中に1人でも自分を理解し、繋がれる人が現れてくれることを願って今日も生きていきたい。
電子書籍
考えさせられた作品でした
2023/11/01 15:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
不登校の息子がユーチューバーに生き甲斐を見つけ、父親として「まとも」な人生を送らせたいと思う検事が、仕事の中で出会う異常な事件の被疑者と向き合う設定が絶妙だった。ラブホテルで性欲を満たす事は「普通」で、別の少数の物に性欲を感じる事が犯罪になる可能性がある。同じ人間で、感受性はみな違う筈なのに多勢側につけない人間が異常者として裁かれる事がある。生きにくい人生を生きている人がいるんだろな、そんな作品でした。