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紙の本
魅力的世界感
2001/03/08 23:01
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投稿者:豆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私はSFは、あまり読まない方だったのけれどこの本は面白くて面白くて、読み終わるのがもったいないくらいだった。
おそらく近未来のある『戦後』、謎の勢力『北政府』や、武力集団がいて、海や河川は油で汚染され遺伝子操作された生物が蠢いている、そんな世界を生きる男達の話。
特にこの世界をどうにかしようとかではなく、自分の体一つで生きているいたって普通?のしかし、力強い男達なのだ。
連作短編形式で、世界はもちろん同じなので登場人物がリンクしていたりして、そんなのを見つけるのもまた楽しい。
後書きで、この本を生み出した時の苦しさと、楽しさをいい、またこの島田倉庫の世界に戻ってきたい、と言っていた。ぜひぜひぜひぜひ戻ってきて続編を書いて欲しい!!
のです。
紙の本
混沌と平穏の間
2004/05/19 23:22
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性に人気のあるエッセイストというだけでほんとはなんかイヤなのだけど、長編「アド・バード」や本書、やや最近に出た「みるなの木」といった一連の作品群は面白いので仕方ない。
本書連作短編集などの共通の舞台になっている世界は、何か大きな戦争の起きた後ということらしい。いつ頃のどんな戦争なのかは明らかでない。ただ世界を破壊し尽くす大きな戦争で、文明は廃虚を残して失われ、そしてどうやらバイオテクノロジーの暴走が起きたらしい。その結果、海は汚泥となり、動物や植物はみな奇怪な形態となり人々を脅かすようになっている。
生物達の変形は、「アフターマン」のように進化の過程の説明もなく、まったく唐突に放り出されるので、環境に応じた淘汰の成りゆきか、本当に遺伝子の異常なのか分からないままでストーリーは進み、ますます異世界感は増大する。
生物達の異形とともに特徴的なのは、それらのネーミングや言葉遣いのセンスの、なんちうの、キッチュな感じっていうのか、が醸し出すものが、実にイイ!のだ。例えば、油脂水母(あぶらくらげ)、ヒラヌルトゲトゲ藻、三足踊豆、地名が阿古張湾、総崩川、灰坊市、といった具合。人名は百舌、灰汁(あく)、捨三など。可児なんて名前が出てくるのは、舞台が名古屋近辺なのか、湾の多い地形だし。
このいっさいが崩壊したような世界でも、法治局や北政府なんてのも登場して、また町があり商店があり、なんらかの秩序をここの人々は指向しているようでもある。旧世界のテクノロジーの残滓もかろうじて使いこなせる人がいる。それでいて盗賊ありゲリラあり戦闘ありで人もぼろぼろ死ぬ。登場人物達はそれを悲観するでもなく、ただ黙々と生きているようだ(人によっては饒舌ではある)。ただその黙々さ,死も餓えも油まみれの体も粛々と受け入れて生活する姿に平穏を感じてしまうのだ。
各作品はそれぞればらばらのようでいて、話を重ねてくると、意外なつながりが現われてきたりして、読む方は、ああこれはあの時の、という具合にニヤリとしてしまう趣向も楽しい。それは荒廃した世界の中であるからこそ、懐かしい人に会った時の安堵感も強く働いているのだろう。
紙の本
『BLAME!』のファンは要チェック
2002/05/30 04:04
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投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
椎名誠氏の本はまったく読んだことがなかったのだが、『BLAME!』
がこの作品の影響を受けているとのことで興味をもって読んでみた。
こんなおかしな世界を今まで逃していたとはと歯軋りすることしき
りである。
文明が崩壊した未来世界。油泥に覆われた海。酸性雨が降りしきり、
重装甲の巨大なトラックがつっ走る。欧米のSFでも良く見る光景だ。
しかし出てくる名前が詰腹岬(つめはらみさき)に蟹割街道(かにわ
りかいどう)、定吉に捨三に漬汁屋と来た。なんとも脱力させてく
れる、親しみのある泥くさい世界である。
ハードSFなコミック『BLAME!』を好きな人は、影響を与えた作品と
してチェックしておきましょう。