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梟の城 改版 みんなのレビュー

文庫 42(1959下半期)直木賞 受賞作品

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みんなのレビュー167件

みんなの評価4.1

評価内訳

164 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

正反対

2008/05/08 23:58

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ももんじゃ05号 - この投稿者のレビュー一覧を見る

1 織田信長に伊賀の里がつぶされ、伊賀の忍者たちはバラバラになった。しかし、技はその身体に宿る。伊賀という土地に宿るのではない。したがって、バラバラになってもやっぱり忍者は忍者だった。
2(1)本書の主人公の葛籠重蔵もその忍者の一人である。あるとき、豊臣秀吉暗殺の命を受け、これを達成しようと試みる。しかし、この人、根本的にちょっと普通の忍者でないのである。忍者は、変転自在で自分の心もとらえどころのないようにしておかねばならない(らしい)。しかし、この人、変に情があるというか、どことなく愛嬌がある人である(お付きの黒阿弥は困っているが)。
 しかし、その技は伊賀屈指。本人もその忍術の精緻を凝らすことに命をかけている。
 (2)一方、この重蔵を追っかけて、豊臣秀吉暗殺の首魁をとらえて手柄を立てようとする忍者がいる。重蔵の旧友で風間五平という伊賀忍者である。しかし、この人、忍者という境遇にほとほと嫌気がさしている。とっとと手柄を立てて侍として出世したいと願っている。わずかな金で危ない橋を渡ろうとするのが嫌なのである。しかし、根本的には忍者の性根が骨の髄まで達していて、その心は変転自在、自分の目的を達成するためなら旧友の重蔵を売ったり、許嫁だっておとりにするのである。
 (3)結局この2人、忍者の腕がすこぶる立つという点で共通点はある。しかし、重蔵の方は、忍者でありたいが、根本的なところで忍者の性根が欠けている。一方、五平の方は、忍者を辞めたいが、根本的なところで忍者の性根が残っているのである。
 まるで、盾の両面、陰と陽、乾と坤の正反対。
3 他方、これを取り巻く甲賀の忍者がいる。忍者でありたいと望み、根本的なところでもやっぱり忍者で凄腕の摩利洞玄(ある意味幸せ)と、腕は立つものの、忍者はもうやめたくて、根本的なところでもやっぱり忍者っぽくない小萩である(こっちは大変)。
4 以上が、闘ったり、くっついたりしながら縦横無尽に活躍する話。世の中なかなか自分の思う通りにはいかんのですなあ。まあ、この辺の葛藤が面白いんでしょうが。

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紙の本

司馬遼太郎はそもそも活劇屋だった

2007/06/30 12:28

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 司馬遼太郎は 「司馬史観」という異名を取るほど 歴史を日本人の身近にした点が最大の功績だと思う。実際 「新社長紹介」というような 日経新聞のコラムやインタビューでは 多くの「新社長」が愛読書として司馬遼太郎を挙げているさまは いささか滑稽なほどである。「滑稽」といっている僕にしても 司馬の本は面白いし その歴史観には感銘を受けるのだが。


 但し 司馬の 元々の資質は「活劇」にある点は忘れるべきではないと思う。


 実際 本書を読んでいると 司馬の「活劇魂」とでも言うべき精神の躍動が実に楽しい。話は 忍者であり 当然ながら荒唐無稽なわけだが もう むちゃくちゃに面白い。再読に耐えるという点でも 司馬のその後の傑作群と比べても遜色な無いと思う。
 また そんな「活劇」があればこそ 人は司馬の作品を愛読するわけであり その「活劇」を超えた部分で司馬が語ってきた「史観」が 奇妙な程の説得力を持ったということなのかと思う。

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紙の本

身勝手で格好よい男たち

2006/10/03 22:43

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る

司馬遼太郎の長編一作目にして、第42回昭和34年下半期の直木賞受賞作。
織田信長の伊賀攻めで家族と仲間を皆殺しにされた忍者葛籠重蔵は、忍術の師匠だった男の頼みで、信長の後を継いだ豊臣秀吉の命を狙うことに。やはり伊賀攻めを生き延び、重蔵と技の腕を競っていた風間五平は、闇に生き使い捨てにされる忍者の生活に嫌気がさし、名を替え身分を偽り、豊臣政権の有力武将前田玄以へと仕官する。怨みをはらし忍者としてのプライドと生きがいを懸けて命を狙う男と、それを材料にさらなる出世をしようとする男、二人の忍者の中心に、秀吉暗殺という大陰謀に関わる人々の姿を描き出す時代小説です。
久しぶりに再読してみて目に付いたことは、男たちはなんて身勝手なんだろうということ。掟に従い仕事を全うしようとする重蔵と、仕官し少しでも多くの禄を得、地位を得ようとする五平。二人の忍者のまるで正反対な身の処し方を通して男たちの生き様を問う、と書けば格好もよいのですが、二人に関わった女性たちから見れば、使命のため出世のためなどどんな理由理屈をつけたとしても、重蔵五平どちらも女を生きていく上で利用するための道具としかみていない身勝手な生き物としか写っていなかったことでしょう。逆に見れば、目的のためにどこまでもストイックになれる、格好よい男たちと言えるのですが。
それにしても、司馬遼太郎の初期の忍者を題材にした小説は、どれもよいですねぇ。

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紙の本

一気に読ませるパワーのある本

2001/02/28 22:09

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 夜中までかかって一気に読んだ。そんなに夢中になって読んだ本はしばらくぶりだった。
 しのびの話だが、くのいちもでてきて、恋も絡めてある。途中でページを閉じることは不可能、というくらい面白い。
 また最後の終わりかたもいい。ほっとした。
 くのいちが恋をして変わる姿がちょっと極端かな、という気もするし、女をうまく描いているかというと疑問だが、男を書いているところはすごくいい。
 危険を冒しても破滅につながりそうでも、自分の生き方を貫くことが結局は自分を守ることになる。それを見守るくのいちもすごくいい女だった。

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紙の本

良い本です

2024/03/29 15:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る

忍びの者の宿命はもはや人生ガチャでさえあります。それ故、ハードボイルドにならざるを得ないのですが、そんな中でも恋はその宿命のガス抜きではなく、対極に存在するものとして描かれているように思います。

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紙の本

戦後社会と忍者の生き方

2023/11/19 20:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

織田信長によって壊滅させられた伊賀の里の忍者の生き残りたちは、散り散りになって、それぞれの生き方を見つけなくてはならなくなる。
ある者は復讐のために信長や秀吉を付け狙い、ある者は新しい権力者に仕える道を選ぶ。伊賀者同士が敵となって争うことにもなる。言ってみれば組織や土地のくびきから放たれて、自らの意志で忍者として生きることを選んだ者たちだ。
その彼らの、忍者であり続ける動機、その生き方、何に生きがいを見出すのかが、物語を通して掘り下げられている。一般的な忍者像ではないかもしれないが、これから太平の世に向かい忍者の役目も少なくなっていく時代の一つの典型にはなるだろう。その感情や生き様を、現代人の感性に引きつけて描かれているところに、納得感がある。
歴史を題材にしたときに、現代の大衆に共通して迫ってくる最大公約数的な手法として、かつては勧善懲悪や義理人情というものが使われていたが、自分の進路を自ら切り開いていくという主題は戦後の経済成長期にマッチしていて、時代の変化をとらえた歴史小説の新しい形を生み出しているのだろう。
戦国時代において忍者(作中では「乱波」)にスポットを当てたのは、武士のように封建制度のコード、道徳や価値観、組織のしがらみに縛られることなく、まったく個人で大乱の世に立ち向かわざるをえない立場として、現代人に近づきやすいポジションと言える。さらに、その個人の力で最高権力者の居城、居室にまで侵入することができ、天下を動かすこともできるのだから、それなりのモチベーションを持つことにも説得力がある。
対立する伊賀忍者同士、依然として組織を維持する甲賀忍者、莫大な資金力を持ち天下を動かしていると自認する堺の商人などが絡み合って、秀吉と天下の行方を左右するが、その戦いは表面には現れないところで繰り広げられている。彼ら選択はそれぞれの自信のみにもとづいて自由であり、現代のわれわれよりも自由度は高いぐらいかもしれない。
自由すぎるゆえに、敵と味方といった単純な構造に固定されず、情勢に従い、利害や心情に応じて敵になったり味方になったりも流動的で、自分の目的意識も常に再確認していかなければならない。そういうところでも、現代の我々に多くの示唆を与えられる物語であると言えそうだ。

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電子書籍

初期の傑作

2021/07/14 11:27

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る

中期後期の歴史観 人物観を拝聴する という作品ではなく、エンタメとして純粋に面白い。単に筆が踊っているだけではなく、登場人物たちの性格描写 メリハリ付 そして裏表の対比づけが見事である。このままエンタメ小説を書き続けていたとしても柴田錬三郎のように名前を残せたのではないかと思わせる作品である。

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紙の本

秀吉の世で暗躍する忍者の生き様に圧倒される1冊

2020/12/31 17:05

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

お金や地位などに固執せず、自らの技をたのしみに生きている忍者。彼らは金で雇われれば誰にでも仕える。しかしその仕事は命懸けである。
そんな忍者たちの暮らす伊賀を織田信長は伊賀者を根絶やしにすべく攻め、壊滅的な被害を受け生き残った忍者たちは織田信長亡きあとも恨みを抱き暮らしていた。そこに天下人となった秀吉暗殺の依頼が伊賀随一の忍者と言われた葛城重蔵の元に舞い込み、物語が始まる。
伊賀者を使ってのし上がろうとする者、また伊賀を捨て地位を手に入れようとする者、さらに伊賀の宿敵の甲賀忍者など様々な者たちの思惑が入り乱れ作戦は大混乱。さらに重蔵を巡る恋の行方から目が離せない。
魅力的な登場人物ばかりで大作ながらあっという間に読めてしまった。

身近な人間にも心から打ち解けることはなく、むしろ情は命を落とすきっかけになるとして冷酷なまでの心を求められる忍者。そうやって生きてきた忍者の生き方を憐れに思ったり、蔑んだ目で見る人もいるが、物語に出てきた僧侶が語った"人の生涯の生き方はさまざまにある。おのれの樹てた生き方が、当人にとって美しければそれでよい。それぞれのいのちを、思うさまに生きていってよい。"という言葉が心に沁みた。
鍛錬された己のみを信じる忍者の生き様には眩しいものを感じた。

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紙の本

仕事に倦きぬ人

2016/05/26 20:43

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

第42回直木賞受賞作。(1960年)。
 言わずとしれた司馬遼太郎の直木賞受賞作である。司馬はこの時36歳。
 受賞の報を聞いて、浴室で頭を洗いながらとめどもなく涙を流したと、「受賞のことば」に記している。その上で「負荷の重さ」を生涯楽しく負いつづけたいと決意の程を記した。
 この時の選評を読むとほとんどの選考委員が絶賛している。
 中でも吉川英治は「このスケールの大きな作家は今後かならず衆望にこたえて新しい領野をみせてくるに違いない。」とその後の 司馬の作家活動を見事に予言し、海音寺潮五郎は「この人のものには、人を酔わせるものがしばしばある」と司馬文学の特長を言い当てている。
 面白いのは小島政二郎の選評で「大きなウソをつく才能」に目を見張ったとある。
 何しろこの長編小説は豊臣秀吉の命を狙う若い伊賀忍者の物語で、その後司馬が史実にそった歴史小説を描いていくが、これは時代小説の範疇にはいるべき作品だ。
 この作品を読めば、司馬遼太郎が大衆小説を心得た作家だということがわかる。

 それはおそらく司馬が歴史小説を書くようになっても変わらない技量であった。
 『燃えよ剣』にしろ『竜馬がゆく』にしろ『坂の上の雲』にしろ、司馬作品の第一の魅力は読んで面白いことだ。
 まさに海音寺のいう「人を酔わせるもの」を司馬は天性のものとして持っていたのであろう。
 この作品が面白いのは、伊賀忍者の掟の中に生きる主人公の重蔵がまるで組織に縛られるサラリーマンのように見えてしまうことだ。
 この小説の発表誌が仏教系の新聞であったことを思うと、司馬は読者としてサラリーマンを想定していなかったであろう。
 「男である以上、(中略)仕事には倦きぬ」という主人公のセリフは司馬自身が持っていた思いであったかもしれない。

 司馬の年譜を読むと、この作品の執筆時期はまだ産経新聞の記者であった。記者として働きながらこれだけの重厚な作品を書き続けることは容易ではなかっただろう。
 この時の司馬こそ「仕事には倦きぬ」人であっただろうし、それは生涯続いていくことになる。

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2004/10/11 18:52

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2005/08/17 03:26

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2005/09/15 19:32

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2005/09/28 21:47

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2005/12/04 18:12

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2006/01/08 15:02

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