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こんな上司が部下を追いつめる 産業医のファイルから みんなのレビュー

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高い評価の役に立ったレビュー

13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/05/29 17:50

若者たちのマナーとプライド

投稿者:メッセージ イン ザ ボトル - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書を読んで、若者たちについての指摘に共感する部分があったので投稿する。
私は人事部門で、社員教育をする仕事をしている。新入社員の採用を統括する責任者でもある。入社してきた者たちの教育が大事だという点では、著者の指摘どおり、年長者の役割はたしかに大きいと思う。場当たり的に「スーパー上司」を演じようと示唆する著作も見かけるが、まったく意味はない。従来以上に、社内教育のありかたが問われている時代だと感ずる。
一方、若者たちの資質、というよりは【素地】に疑問を感ずる機会が少なくない。
2点を指摘しておきたい。マナーとプライドについてである。
当社は首都圏に拠点を置いている。採用は全国で行っている。四国、九州、北陸、東北、北海道など地方に飛んで、入社希望者と会っている採用担当スタッフの意見を聞くと、驚かされる。
入社希望の手を挙げておきながら、平気でアポをすっぽかす若者たちが毎年何人かいるというのだ。
別の会社に決まったのならそれでいい。決まりそうな立場にいるのなら、それもいいだろう。
しかし、約束の日取りまで取り付けておきながら、何の連絡もなくすっぽかされ、そのあとメールを送っても梨のつぶてだと、採用担当スタッフたちは嘆いている。後日、電話をしてみると、「うざい!」とひとことで済まされてしまう。
それはないだろう、と私も思う。
もう一つは、年長者を呼ぶ場合の呼び方だ。英語圏では普通だろうが、「彼は」という言い方を、若者たちはよくする。帰国子女たちは、まず例外なくそう呼ぶ。
偉そうに聞こえてしまうかもしれないが、日本文化に馴染まない呼び方だと、私は違和感さえ感ずる。
語学に堪能であることと、【素地】とは、別次元の話である。
しかも、語学に堪能である者たちは、就職に有利な結果をもたらすことが多い。即戦力になると感ずる採用者が多いのだろう。
語学に秀でているが、中身がない人物は、後年になっても悲劇だが、若者なら余計そうである。仕事そのものができないためだ。
仕事の立ち遅れが、やがては孤立をもたらす。そうなる前に聞けばよいのに、と思うが、著者が指摘するごとく、まったく聞いてこない。
プライドが許さないのだとすれば、本人にとっても、会社にとっても不利益でしかない。
プライドを捨てさせることは、容易ではない。「プライドを傷つけず、捨てさせることは可能だろうか?」などと最近、真剣に考えるようになった。
今のままではダメだと指摘すれば、半数は辞めてしまう。しかし半数は残る。やりたいことができなかったから辞めてしまう、と著者がいう理由とは異なるものの、年齢層はたしかに団塊ジュニアを中心とした層が圧倒的である。
当社でも、長期傷病欠勤になる社員が年々増加している。たしかに20代、30代が多い。読みながら、また読み終えて、いろいろなことを考えさせられた。

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低い評価の役に立ったレビュー

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/06/29 22:16

東●阪や、●成地区の実態を知っていますか?

投稿者:横たわる死したマグロ - この投稿者のレビュー一覧を見る

高校からの知人に勧められて読んでみました。
内容はよくわかりましたし、現代に働く人たちをなんとか救いたいという姿勢には共感できました。
しかし、このような職場復帰を理解してくれる職場が、どれくらいあるのでしょう? わたしはむしろ、その実態を知りたいです。
わたしは以前、金融関係の仕事をしていました。銀行ではない、金融関係の会社です。
人を人と思わない人たちに囲まれて、深夜まで仕事をしました。最後は、金融とは呼べない仕事も「仕事」でした。
でもCMのせいか、そのような業種も、今では普通の会社だと思われています。銀行とのつながりもできてきましたから、公認されたと思っている人たちもたくさんいらっしゃるでしょう。
そうです。公認されてしまったのです。
わたしは、まだマシなほうです。
事例1や事例4に出てきた子たちは、決して少数ではありません。わたしのまわりには、たくさんいました。最後には人格崩壊をしたり、廃人同様になったまま、音信不通の同僚が、数人います。
景気は回復したと言われますが、この本の内容が理解できる人たちは、極々一部の人だけではないでしょうか?
日本の中小企業の比率って、知ってますか? 90%とも95%とも言われます。
わたしがいた会社は、規模からいえば中小とはいえないまでも、もともとは小規模の会社でした。ひとことで言えば、成り上がりです。そこはモラルなど、最初からなく、無理難題が平気でまかりとおる世界で、よくも悪くもお金がすべての世界でした。
ですから、読後感を述べたいと思っても、何も感じないのです。
自分とは別の世界にいる人たちが読む本としか思えません。
著者の方の主張はわかりますが、もっと視野を広げてみてはいかがでしょう?
空前の利益を出した銀行が複数あって、そこと関係している会社に、わたしのいた金融会社があるのです。
今のニッポンの労働をどうかしたい、とお考えなら、そうした闇の部分にまで話を広げていただけないと、何もかわらないと思います。

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38 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

若者たちのマナーとプライド

2006/05/29 17:50

13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:メッセージ イン ザ ボトル - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書を読んで、若者たちについての指摘に共感する部分があったので投稿する。
私は人事部門で、社員教育をする仕事をしている。新入社員の採用を統括する責任者でもある。入社してきた者たちの教育が大事だという点では、著者の指摘どおり、年長者の役割はたしかに大きいと思う。場当たり的に「スーパー上司」を演じようと示唆する著作も見かけるが、まったく意味はない。従来以上に、社内教育のありかたが問われている時代だと感ずる。
一方、若者たちの資質、というよりは【素地】に疑問を感ずる機会が少なくない。
2点を指摘しておきたい。マナーとプライドについてである。
当社は首都圏に拠点を置いている。採用は全国で行っている。四国、九州、北陸、東北、北海道など地方に飛んで、入社希望者と会っている採用担当スタッフの意見を聞くと、驚かされる。
入社希望の手を挙げておきながら、平気でアポをすっぽかす若者たちが毎年何人かいるというのだ。
別の会社に決まったのならそれでいい。決まりそうな立場にいるのなら、それもいいだろう。
しかし、約束の日取りまで取り付けておきながら、何の連絡もなくすっぽかされ、そのあとメールを送っても梨のつぶてだと、採用担当スタッフたちは嘆いている。後日、電話をしてみると、「うざい!」とひとことで済まされてしまう。
それはないだろう、と私も思う。
もう一つは、年長者を呼ぶ場合の呼び方だ。英語圏では普通だろうが、「彼は」という言い方を、若者たちはよくする。帰国子女たちは、まず例外なくそう呼ぶ。
偉そうに聞こえてしまうかもしれないが、日本文化に馴染まない呼び方だと、私は違和感さえ感ずる。
語学に堪能であることと、【素地】とは、別次元の話である。
しかも、語学に堪能である者たちは、就職に有利な結果をもたらすことが多い。即戦力になると感ずる採用者が多いのだろう。
語学に秀でているが、中身がない人物は、後年になっても悲劇だが、若者なら余計そうである。仕事そのものができないためだ。
仕事の立ち遅れが、やがては孤立をもたらす。そうなる前に聞けばよいのに、と思うが、著者が指摘するごとく、まったく聞いてこない。
プライドが許さないのだとすれば、本人にとっても、会社にとっても不利益でしかない。
プライドを捨てさせることは、容易ではない。「プライドを傷つけず、捨てさせることは可能だろうか?」などと最近、真剣に考えるようになった。
今のままではダメだと指摘すれば、半数は辞めてしまう。しかし半数は残る。やりたいことができなかったから辞めてしまう、と著者がいう理由とは異なるものの、年齢層はたしかに団塊ジュニアを中心とした層が圧倒的である。
当社でも、長期傷病欠勤になる社員が年々増加している。たしかに20代、30代が多い。読みながら、また読み終えて、いろいろなことを考えさせられた。

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紙の本

タイムリーな一冊鋭い視線静謐で温かなタッチお勧めです

2006/05/05 10:13

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:風の息 - この投稿者のレビュー一覧を見る

過労死や過労自殺は無残である。遺族の方々の思いは尽きないだろう。決してあってはならないことだ。しかし現実は厳しく、その実数は減らない。本書はそれに真っ向から取り組んでいる。
メンタルヘルスに関する本はたくさんある。しかし多くは精神科医や、カウンセラーたちの意見であり、提案である。過労問題が蔓延している現場からの発信ではないからだろうか。一般論で終わっている。その点、使える本が欲しいと常日頃から感じていた。
本書の書き出しは、公開されているらしい過労現場に焦点を当てている。これを読めば、現場の厳しさ、人間関係の粗雑さがいかに大事かということが、過労と縁遠い人でもよくわかる。
JR福知山線の脱線事故を扱った点もタイムリーだった。職場が劣化するとこうなってしまう、という意味が、痛いほど伝わってきた。
興味深く読んだのは、疲れ果ててしまう脳のからくりだった。
あるいは、それと過労死との接点だった。
現代社会で起きている問題を、現場からのレポートとして、またその解決策として提示された本書は、多くの労働者の参考になるだろう。

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紙の本

この一年に進退を賭けようと決意しました。

2006/06/06 22:17

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:懺悔の値打ちもない - この投稿者のレビュー一覧を見る

国産車から輸入車販売の店に移って14年。同僚たちが月に3台売れば、私は5台売った。キャンペーンをして店を訪れる人が増えれば、売り上げはおもしろいように増えた。
月に12台の契約をしたこともある。そのころには、トップセールスとしての自信があった。
専門的な研修を受けた後、雇われ店長というかたちではあったが、店長になった。
それから2年。売り上げは減少するばかりか、休職者が2名出てきた。ひとり4台のノルマを与えていたから、2名の休職者が出れば、売り上げは数台減る。一年を通しての売り上げ台数が、来年の割り当て評価に直結するこの商売は、セールスが売り上げる台数だけが頼りである。
朝礼でそのことは何度も触れてみたつもりだったが、効果は出なかった。
おととい、朝日新聞の書評欄で、この本を知り、本屋に出向いた。昇格はしたが、遅刻者や欠勤者が出ている上司は一読を、とのコメントが気になった。
……堪えた。
というより、顔から血が引いてゆく思いがした。部下は自動ワーク装置と思い込んでいる上司がいる——との指摘に、肯定するしかなかった。
月に4台売れ! というのは、ノルマであると同時に、自動ワーク装置としての見方をしていること以外の何ものでもないことに気づかされた。
私は上司として、これまで何をしてきたのだろう? 何人もの部下たちが職場を去っていくなかで、それは時代のせいだと結論し、今の若者たちは我慢を知らない、と考えていた。
決定的なコミュニケーション不足を、この本は指摘している。営業マンが10名前後、メカニックその他を入れれば、私の部下は20人ちかくいる。その部下たちの何人と、コミュニケーションが取れていただろう? 私は旗を振っていただけで、誰も見向きもしない状態が、この2年の結果ではなかったか?
明日の朝礼で、私はそのことを語ろうと思う。あなたがたセールスが、これまで思っていたことのすべてを、語ってはもらえないだろうか? 毒のある言い方でもいい。すべてを語って、私に教えてくれないだろうか?
この一年、私はそれをいしずえにして、ゼロからのスタートをしようと思う。結果が出なければ、店長は別の人間に譲ろうと思う。セールスとしての生き方しか、私にはできないのだとしたら、それはそれで仕方ないことなのだから。
もし、もしもの話だが、部下たちが付いてきてくれるのなら、そして楽観的かつ希望的数値がクリアできたのなら、そこで仕切りなおしをしよう。そこから先をどうするかは、そのときあらためて考えればいい。
自分の無知さ加減をこれほど知らされた本はなかった。
今という時期に読めて、掛け値なしによかった、と思う。

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紙の本

めぐり合えたことに感謝し、この本をずっと大事にしたいと思っています。

2006/05/26 19:56

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:寝たきり達磨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

僕は今、フリーターをしています。27歳です。
正社員を経て、ニート状態の日々を2年経験して今に至ります。
正社員生活は、2年持ちませんでした。自分では仕事に馴染もうと精一杯努力したつもりでしたが、体力と気力が付いてゆかず、気が付いたら「うつ病」という診断名が付いていました。
不本意でしたが仕方ないと思い、そこから坂を転がるような、でも何となく悔しいような気持ちで2年を過ごしました。
半年から一年は何もする気が起きず、新聞はもちろん、漫画雑誌さえ手に取る気も起こらない毎日でした。正確に言えば、活字が読めないのです。
今年になってようやく、スポーツ紙程度の内容を読めるようになりました。
そんなとき、新聞で見たこの本の題名が気になって書店で立ち読みし、いずれしっかり読もうと思って買ってみました。
過労事例にある事例4を読んだところで、泣きました。昔の自分を見ているようでとても悲しく、それ以上に悔しさがありました。悔し泣きをしている自分が不甲斐なかったこともあります。
そのあとに、あってはならない上司像が列挙されていました。言い訳はしたくないのですが、身勝手で自分本位の上司に当たったのが運のつきだとあきらめました。
「即戦力になると聞いて期待していたけど、それをまともに受けたオレがバカだったよ。オマエにはやる気さえもないことがよくわかったよ」
上司が何気に言ったその言葉で、僕は堕ちました。
3日かけて読んだあと、まだ機会はあると感じています。
以前していたジョギングも再開するようになり、ぶよぶよしていた体は徐々に戻りつつあります。
もう一度、正社員にトライしてみようと決めました。
難しいかもしれませんが、次回の役員面接で合否が決まります。
ダメだったら、またトライしようと思っています。焦ることはない、マイペースでいいのだから。将来、家庭を持とうと思っている僕は、ニートみたいなままではいけないのだから、という気持ちにさせてくれた本です。
書棚に並べてみました。背表紙にある顔は、かつての僕みたいな情けない顔だなあと思い、少し笑えました。

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紙の本

女性のための本、だと家内は申しております。

2006/05/18 19:18

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:亭主関薄 - この投稿者のレビュー一覧を見る

文藝春秋最新号の広告を見て書店に直行。なかなか見つからず。店員さんに聞いてみたら、ビジネスコーナーにちんまり積んでありました。他の本と一緒に早速購入。週末に読もうと机の上に置いておいたところ、週末になる前にカミサンが読んでしまった。
その感想は、というと、「女性のほうが、読んでいてピーンとくる部分がたくさんあると思う」だって。
そんなものかな、と思って読んでみた。
過労問題がテーマだから「おもしろい」というのは不謹慎かもしれないが、一気に読めたという点からすれば、おもしろかったといってもよいのではないか?
論点がしっかりしているし、ショート事例のバランスもよい。
対策も実際的で、かゆいところに手が届く、といった感じで書かれている。
当方の仕事はシステムエンジニア(SE)。この本にもあるように、職場の実態はかなり危機的。これまで何人が崩れてしまったか? 何人が辞めていったことか? できるだけ情報を入手「しないように」している。だって、明日の自分に自身が持てないから。
泊りがけの仕事をしているSEに寝袋が給付されたという話。SEの仕事先が新宿区であれば、たぶん当社。
でも、だからといって、下から上へ意見する人はいない。JR西日本と同じじゃないか。自己嫌悪。
後日、書店に出向いたカミサンいわく、「あそこ(ビジネス書コーナー)じゃあ、売れない。知名度が上がってゆけば、女性層には絶対受ける! かなりの女性が救われると思う」
男性と女性では、受け取りかたがずいぶん違うものだと思いつつ、読後の意見交換をしてみたいと久々に感じた本だった。

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紙の本

現代に生きるビジネスマンのバイブル的書物

2006/05/11 20:16

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:団塊未満の世代 - この投稿者のレビュー一覧を見る

中間管理職という立場で仕事をしている。部下がいるし、上司もいる。上司として部下を育てるには、よりきめ細やかな神経が求められることを、本書を読んで改めて感じた。
時代性だろうか、良好な人間関係を保つのは容易ではない。
第一部の「職場でいま、何が起きている?」は、それぞれに話題性があり、しかも身近にあることばかりだった。これまで上司として部下に接してきた自分と、この内容を付き合わせると、知らず知らずのうちに、どこかで誰かをへこませていたかもしれない、という気がする。
有能な部下を半年前に失った。病名は大腸ガンだったが、残業に明け暮れる部下に対して、何かをしなければいけなかったのだとこの本から知らされた。痛恨の極みとしか言えない。
第三部にある脳の疲労は、自分でも似た経験があるからよくわかった。思考停止に近い状態になって、やむなく仕事を間引いたことに、当時は後ろめたい気持ちで一杯だったが、説明を読んでいるうち、「あれはあれで正解だったのだ」と、胸のつかえが降りた。
多くのことを考えさせられた一冊だった。
何かに立ち止まったら、そのつど開いてみたい。
私にとって、バイブルになる一冊かもしれない。

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紙の本

斬新な上司と部下論!待望の本です!!

2006/05/04 13:28

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:杜の都住人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 上司と部下について書かれた本は、これまでいろいろ読んできた。多くは経営コンサルタント諸氏の手によるものだった。
 しかし正直な感想を言えば、これは使える! と感じたものはほとんどなかった。理屈はわかるのだが、実践可能だろうか? と疑問に感ずる内容が多く、なかでも上司のノウハウについて書かれた部分はそうだった。
 この本は、縦糸でメンタルヘルスを語り、現代求められるはずのビジネス論を、横糸に組んでいる。だからだろうか、読んでいて納得できる部分が多かった。理想論でもなければ、架空論でもない。現場に根を下ろして問題と取り組んでいる現場の姿が心地よかった。
 「論」に終始していないところもよい。さまざまな経験に加えて、資料や辞書、生のインタビューなどを証拠として織り込み、そこから結論を導き出している。だから理論が空転していない。 納得できる部分が多いというのは、そのあたりが理由だろう。
 現場で即、使える本であり、暗礁に乗り上げた時に手引きとなる本である。

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紙の本

本書が支持されている理由を考えてみました

2006/06/15 13:55

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:森の妖精のごとく - この投稿者のレビュー一覧を見る

いろいろな欄を見ていますが、本書に関する書評は多いですね。
しかもそれぞれの立場の方々が書かれていて、興味深く閲覧させてもらっています。
朝日新聞の書評も読みましたし、個人のホームページで取り上げていらっしゃる方も増えています。そういえば先日、中部地区の地方新聞でも、この本の紹介を見かけました。
でも、それらに負けない中身が濃い意見が、bk1さんの書評には本当に多いと感じます。それだけ話題作なのでしょう。
どうしてこれだけの人たちが、長い意見を書くのでしょうか?
いくつか理由があると思います。
一つ目は、それだけ共通した問題意識を、誰もが抱えているからではないでしょうか。本のはしがきにあるように、現代というビジネスマンにとって受難な時代だからかもしれません。
二つ目は、安易な受けを狙った、ハウツーものではない本だからでしょう。私にも部下がいますから、上司という立場といえば立場になります。しかし私の上司たちは、部下以上にいますから、下の層を形成している上司です。大半の上司たちは、そうした立場にあるのだと思います。
でも、理想的な上司を「演ずる」なんてできませんし、第一無理です。一時的に振舞ってみても、有能な部下たちは簡単に見抜くでしょう。つまり、これでもか、これでもかというように投入されてくる安易な受けを狙った本に、もう飽き飽きしているのです。
三つ目は、書物としてのおもしろさです。
誤解があっては困りますので敢えて書きますが、題名から連想される「問題ある上司がアホだ。とんでもないヤツだ」と書かれている本ではありませんね。
上司の問題点はたしかに指摘されていますが、それを踏み台にしての論旨展開が絶妙だと思います。
それが軽いタッチで書かれているからこそ、読んでいておもしろいと感じることができるのではないでしょうか?
10年くらい前には、同じことをいっていても、小難しい本がたくさんありました。
しかし最近は、逆に軽すぎる本が多すぎると思います。読んでいると白けてしまい、そのうち疲れてしまうのです。
四つめは、どなたかが書かれていましたが、現場からの発信力の強さだと思います。学者さんや作家のみなさんがプロだということはわかりますが、それだけにこのようなテーマには、疎いのではないでしょうか? 普遍的だと思いながら、表面しか見えていないのではないでしょうか?
そこが現場にいる私たちには、歯がゆいのです。そんなことわかってますよ、と言いたくなったり、そんなことがいまさらできるでしょうか? と首を傾げざるをえない著作や意見が多すぎます。
ですから、そのような方々の目にかなった本を書評で知って読んでみても、しっくりこないわけです。
というわけで、少しもこの「本」に関しての書評にはなっていませんが、変わった意見がひとつくらいあってもいいのでは、と思って、投稿させていただきました。
現代に働くみなさん、重圧に負けないよう、がんばりましょう!

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これからの時代を手堅く生きるためには、まず周囲を固めてディフェンシブに

2006/06/14 21:33

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:赤富士の湧き水 - この投稿者のレビュー一覧を見る

バブル以降、空前の採用時代がやってくる。
しかし、その後はどうなるのか?
当社の事情を素直に告白すれば、心配材料のほうが多い。昨年採用した新入社員の約3割が、この6月に辞職していった。
理由がどこにあるのか、私にはさっぱりわからない。
著者が指摘するように、その大半は上司にあるのかもしれない。しかし、それだけではないようにも思う。
価値観の差だろうか? 世代の差だろうか? 環境の差だろうか?
採用担当の私としては、来年、どんな人たちを採ればよいのか途方にくれている、というのが、お恥ずかしながら実情である。
どこかのシンクタンクの人が言っていたが、このような状態が続けば、結果としてパートやフリーターが増加するのは目に見えているという。
しかもそれは、採用する側にとって、悪い話ではない。
けれども、長期的に見た場合、多くの部分にひずみが生ずるのではないか? そこに問題の根がある。
本書は現場論である。長期的動向に関する指摘は、さして見当たらない。それに関して何らかの意見を言う立場に、私はいない。
ひょっとして筆者もそれは自覚しているのでは、という気がしないでもない。
テリトリーを徹底的に厳守する立場を取っているからである。
そうした視点に立てば、本書は重要な問題提起をしているとも思う。
「将来は読めないのだから、さしあたり自らの現場を重視せよ! ふらついている現場から、どういったメッセージを発しても意味はない。まして、現場にいない外部者の刹那的改善論を展開されても、何の効果も期待できない」
読みすぎかもしれないが、著者はそうした視点から現職場の問題点を論じている気がしてならない。
どうすればよいのかは、新入職員を取り入れる我々が、真剣に考えなければならない問題なのだろう。
そんなことを考えさせられた一冊だった。

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精神的な問題を抱えた人への救済と、極度疲労が招く脳へのダメージが、一番の売りです!!!!

2006/06/14 07:04

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:FIFA・ジャパン予選通過を祈願する市民 - この投稿者のレビュー一覧を見る

精神的な問題を抱えて職場から離れていく社員は、私たちの職場でも増加している。しかし、それら社員への対応策はこれまで「不明」だった。厚生労働省から出された指針や手引きを見ても、この時はこうしなさい、とか、こういう状態になったら、こうすればよい、といった具体的施策はどこにも見当たらない。
現場からすれば、何の役にも立たない無用の長物だった。
脳の疲労についてもそうである。極度の疲労がもたらす脳の疲労が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と関係しているなど、私は知らなかった。いや、よく調べれば著者が指摘するようにかかれてはいる。
そこで、著者が引用している書物を書店で確認した。なんと、医学コーナーにある医学専門書である。これでは一般人が知るわけがない。こんなことでいいのか、厚生労働省!
厚生労働省がかかわっている中央災害防止協会も、名ばかりの機関だし、職場でもっとも使われている『労働衛生のしおり』にも、セルフケアやラインケアが大事くらいのことしか書かれていない。
パートや嘱託というかたちであっても、外部にいる専門職人材を自職場で雇うほどの体力は、多くの企業にはないのではないか? トータルヘルスプロモーションプラン(THP)などというものも、どれくらいの企業が実施していることか? 運動処方箋を作る職員を雇うほどの資金があるのは、電力会社など、倒産することのない公共団体だけではないだろうか?
実際には何もしてくれない厚生労働省の施策に対して、本書は大きな風穴を開けたという意味で、快挙であるとともに、拍手を送りたい。

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紙の本

ガイチだ。覚えておられるだろうか?貴殿たちの死は、決して無駄にしないぞ。

2006/06/07 20:32

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:昭和を愛する男同盟有志 - この投稿者のレビュー一覧を見る

大学で同じゼミだった友人を、最近3人失った。
うち2人は自殺だった。1人はノイローゼ状態になって首をつったらしく、もう1人は入線してきた環状線の列車に飛び込んだ。
仕事で悩んでいた、という噂は、聞こえてきていた。友人のひとりが、故人の生前からメール交換をしており、断片的ではあるが、極度の疲労状態にあるようだと言っていた。
残る1人は、日曜の昼前に、自宅で冷たくなっていたことが確認された。突然死だったので解剖になったと、通夜の日に親族から聞かされた。死因は、脳内出血だった。
どちらかといえば痩せ型の、静かな人だった。この3年あまり、ほとんど終電で帰宅しており、休日も自室にこもって仕事をしていたと、未亡人になったばかりのご夫人は語った。
そんなことがあるだろうか?
あり得るという気持ちと、不可思議だという気持ちが、正直半々だった。
6月1日の日経新聞朝刊に、「脳・心疾患の労災最多」という記事が掲載された。過労死は5%増えて157名となり、40代と50代で7割が占められるという。
一方、精神障害の労災請求者も増えて過去最多となり、その数は656名とも報道されていた。
あくまでも想像の域を出ないが、過労による自殺は、なんとなくイメージできる。
それに対して、過労死の像はイメージしにくい。特に、今回の友人を知っている者としては、理解に苦しむところが多かった。
たしかに几帳面で、まじめな男だった。こつこつと、なにごともそつなくこなし、それを積み重ねるといったタイプだった。
だから、過労による自殺だとしたら、それはそれで最大限の譲歩をすれば、どうにか納得もできよう。
けれども、死因が脳内出血であるというなら、自ら命を絶ったわけではない。
そんなとき、この本の存在を知らされた。社内教育に使えるのではないか、という、まったく別の目的から勧められたのだ。
読んでみて、愕然とした。
「肉体的かつ精神的に追いつめられた果てに生じてしまった身体の破綻という点では、過労死も過労自殺も変わらない」と著者は述べている。過労による自殺と、臓器のトラブルは、極めて近い存在だという記述があるのだ。
また、「過労死は肉体疲労だけで論ずることができない。そこには精神的ストレスが大きく関わっている」とも書かれている。
最初に提示されている「過労現場」を読むにつれ、友人たちは、似た環境のなかで、命を削っていったのだろうと思えてならない。
ゼミという、同じ時間を共有した者たちが、知らないところでひとり、ふたりと亡くなっていく現実は、断腸の思いがする。遺族の方々を見るたび、心が裂かれる。定年後に集まって談笑する姿しか思い描けなかった自分が、いたく愚かしい。
景気は上向いているという中で、自殺者は8年連続で3万人を越え、過労による死も減らない。すべての死が仕事によるものではないはずだが、仕事にからむ死は、公表されている以上にあるような気がしている。
第一線の場にいる私たちが、痛みを共有して考えていかなければいけない時が来ていると思う。
ちなみに著者と私は、面識こそないものの、同学年である。
友人たちの冥福を祈るとともに、解決に向けての意見交換など、不本意なしを減らす努力を、社会参加というかたちで、できる範囲でしていこうという気にさせられた本であった。

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ムダな残業を減らすことこそが、過労から身を守る手段、と教えてくれる一冊

2006/05/26 20:38

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投稿者:海底で眠る貝のごとく - この投稿者のレビュー一覧を見る

過剰なノルマや成果主義のせいにする前に、意味のない「だらだら業務」をして能率が落ち、それが効率の悪い残業を生み出し、その過程にモラルの低下が入ってくると、社員は孤立して過労に至り、その最悪の結果として過労による死がある、と説く本書は、単なるビジネス書の域を超えて、秀逸である。
このところ、労働に関する話題は尽きない。ノルマと成果主義、パートやフリーターなど、非正社員と呼ばれる人たちの増加、「人材さん」と呼ばれる人たちを斡旋する派遣会社の台頭、そして過労問題。
いずれも討論するに値する題材である。
これらがすべてブレンドされた社会が、現代だろう。
それが果たして、よい方向に向かっているかどうかは、まだ誰にもわからない。
ただ、どこかがおかしいと多くの人が感じているからこそ、話題が尽きないのだと思う。
では、何から始めればよいのか?
国策は抽象論ばかりで、具体性に書け、現場が見えていない。労働者が置かれている実情や心情がわかっていないと、私には思える。
例えば、残業時間を減らせ! と国は言うが、簡単に減らせるものなら、とうの昔に減っているはずだ。
あるいは、過剰なノルマと成果主義こそが元凶と言ってしまうのは簡単だが、それを導入している会社はたくさんある。「目先の結果だけ見ているから、長期的な育成ができない。だから、人がたくさん倒れるのだ」といった意見も、そこから出てくる。
それはそれで、もっともだろう。
しかし、著者が指摘している「業務にメリハリをつけて、残業はしても、一日の就労時間をしっかりと守り、明日の宿題を一気にまとめて、気持ちよくシャットダウンせよ!」といった指摘は、実際的である。
メリハリをつけることが、なぜ大切なのかが、この本には根拠を添えて書かれてもいる。
こうした認識を共有した上で、では成果主義というシステムに問題はないのか、ノルマは本当に過剰なのかを、各職場で検討すべきではないか?
私の職場でも目標管理制度を導入しているが、成果は出つつあると感じている一方で、うまく稼動していない部署からは、システムを批判する声ばかりが聞こえてくる。
自らの職場の疲弊を、システムの問題や、労働スタイルの変革だけに還元してはいけないと思う。
混沌としている現代に、何ができるかを真剣に考えなければ、改善はないのだから。

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紙の本

これからの職場には、本書と、『若者が働くとき(熊沢誠著)』の二冊を常備せよ。

2006/05/21 20:32

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投稿者:元大学職員 - この投稿者のレビュー一覧を見る

『若者が働くとき』は2006年2月に刊行された。著者の熊沢さんとは年齢が近かったこと、職務内容も似通っていたことから購入し、興味深く読んだ。副題に「使い捨てられも、燃えつきもせず」とあるように、現代に働く若者たちに一定の方向性を持たせた好著である。
一方、この4月に、今回の書が刊行された。二冊を読んだ結論が、今回の書評タイトルである。
熊沢氏はその専門性とキャリアから、現代社会で働く若者たちを、正社員、フリーターなど非正規労働者とに分け、終章ではパネルディスカッションを通して、現状分析をしている。
極めて優れた一冊であるが、敢えて難点を言えば、具体的提案や進言がない。将来を見据えて、経営者や労組、あるいは職業教育の重視などが具体案として掲げられているものの、その可能性や方向性にはいささか疑問が残る。
一方、荒井氏が本書のなかで指摘している若者像は、熊沢氏の指摘と重なる部分がいくつかある。荒井氏の主張からは、25〜35歳の年齢層に、上司としての問題点が集中しているごとく印象を受けるが、それとは別に、新入社員への未熟さも指摘されている。「敷かれたレールの上ではうまく走れるが、レールがないところでは敷く方法がわからない」といった指摘が、親から実子への評価として提示されている。
その親が、熊沢氏の書では、「とかく叱りがちな父親には仕事のことを話せない」と、実子の口から語られているのだ。
「母数が少ないとはいえ、同じような理由で職場を去っていった若者たちが、軒並み団塊ジュニア層であり、その大半が団塊世代だったことは新鮮なショックだった」と荒井氏は言っている。
しかしそれはたぶん、母数の問題でもなければ、偶然でもない。
現在の立場から、わたしも似た話を耳にする機会がかなりある。団塊世代は大学解体を叫びながら、何もしないで学外に去っていった。豊かな時代に育った団塊ジュニアたちは売春の代わりに、援助交際という用語を生み出した。そして仕事という側面を熊沢氏の目でとらえれば、「仕事を、経済的自立に不可欠な営み、としてとらえていない」ということになる。
これからの日本に託された問題はいくつもある。政治はもちろん、経済も医療も福祉もそうだ。その担い手が危うくなっている。熊沢・荒井両者の主張からは、少なくとも「若者は、家庭で教育できない」。熊沢氏は職業教育に主眼を置いている一方、荒井氏は就職した場での、上司による教育に主眼を置いている。だからだろう、荒井氏が求める上司像はハイレベルである。厳しくありながらも、部下を開眼させる熱い愛を持て! と説く。
両者の将来的構想は、方向性がやや異なるとはいえ、視点や論点はまったく矛盾しない、というのがわたしの印象である。
景気の回復に伴って、これから若手を採用する機会はますます増えるだろうし、毎年毎年同じような問題が起こるだろう。
そのときに右往左往しないよう、経営幹部や人事担当者は、この二冊が切実に訴えている内容を熟知しておくとよいだろう。

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紙の本

人事担当者、労務担当者は必読の書!即戦力になります。一般書としてもおもしろいですよ。

2006/05/19 06:26

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投稿者:羅針盤を失くした天女 - この投稿者のレビュー一覧を見る

昨夜、読み終えました。大変、参考になりました。
わたしのいる職場では、この二年ほど欠勤者が増加しています。病気欠勤の大半が精神的疾患で、その大半がうつ病です。
年齢は20代と30代が圧倒的で、著者が指摘しているように若い人たちに増えているという実感があります。
欠勤のあと、無事に復帰した人もいるのですが、再度、再々度の休養に入る人が後を絶ちません。
どうしてそのようになってしまうのか? 何に気をつけて対策を打てばよいのか? 職場復帰にあたって職場やご本人に何を伝えればよいのか?
教材になるような手引書に、やっと巡り合えたと思います。完全にとは言わないまでも、この問題をクリアしていくのが、人事課にいるわたしの職務だからです。
長期休養を終えた場合、たしかに若い人ほど、毎日フルタイムを希望します。多くは金銭的なことが理由になっています。有給もなくなり、傷病手当金を受給されたあとですから、理由はわかります。
仕事場に復帰される場合、就労可能と書かれた診断書をもとに面接をして、体調もすっかり良くなったような印象を受ければ、そのまま職場復帰させていました。
でも、結果的には早かれ遅かれ、また欠勤になってゆくのです。
その理由が、この本を読んでよくわかりました。段階を踏んで復帰させることは不可欠なんですね。
また、通院していた病院やクリニックにそのうち行かなくなってしまう例もかなりいます。しかしそのことを知らされるのは、ふたたびの休養に入る直前なのです。
個人のことだから、あまり踏み込んで聞くのはどうか、という迷いから、そこまで確認する作業をしていませんでした。聞かれるほうの気持ちも辛いのではないか、という思いも正直ありました。
けれども、それも失敗だったことがわかりました。「必要以上の薬を飲みたくない」という気持ちは誰もが持つでしょうが、うつ病や欠勤直後の場合は「つっかえ棒」なんですね。
「うつ病はこころの風邪」なんだから、もう薬は要らないのです、と本人から言われれば、それもそうだと安易に考えて同意していた自分の認識が甘かったと改めて感じ、反省することしきりです。
人事担当者や労務担当者にとって、必読の書だと思います。
「仕事のやり方」「手分け方法」「部下の才能発掘」という、一見するとメンタルヘルスに無関係だと思われたことが、うつ病など、心の病発生の背後に潜んでいる、という指摘も新鮮でした。
ビジネスは戦略的に、職場復帰はマイルドにと思っていましたが、そうした明瞭な線引きは意味の無いことだと悟りました。
はしがきに書かれているように、多くの人が思う存分力を発揮できると実感できるような職場をめざそうと、気持ちを新たにできた一冊でした。思いがけない収穫でした。
何冊かを人事課に用意するつもりです。共通した認識が、わたしの職場には今、求められているのでしょうから。

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紙の本

結果待ちですが、とりあえず感謝です。

2006/05/18 21:56

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投稿者:専業主婦をしたかったオバサン - この投稿者のレビュー一覧を見る

当社は介護サービス、デイケアを業務としている性格上、女性スタッフがおよそ半数、アウトソーサーは大半が女性という職場です。しかしその特性からでしょうか、同性同士や上下・キャリア差からくる軋轢が多く、スタッフの出入りが絶えません。特に、身分が保証されないアウトソーサーに、その傾向があります。
前回の会議で、常勤スタッフの女性に、上司としての自覚が足りないのでは? という意見が出ました。それは従来も何度か出たことがありました。
しかし、そのときは職場を去ってゆく人たちがさほどいなかったこともあり、見送られていました。
現在では、上司と部下、あるいは上司格にいるスタッフと会うとソーサーとが衝突する機会も増え、職場に不安定さが出てきています。
どうすればよいか、がわたしに与えられた宿題でした。そんなとき、この本に出会いました。出合ったきっかけは、新聞広告を見たという同僚と、ラジオのインタビューを聞いたという部下からの意見報告でした。
さっそく購入して読みました。そうなのです。ここに書かれている「すべて」が、当社では見送られ、ないがしろにされていました。そのツケが、今のかたちになって噴出していることを思い知らされました。
この業界は、シルバー産業ともゴールド産業とも言われてきましたが、これからは生き残りをかけた勝負に出ざるをえません。
スタッフに恵まれないとか、教育が未熟だと不平を言っているうちに、社は淘汰されてしまう危険性を秘めているのです。
今、必要なことはコミュニケーションを強化することであり、その論旨に共感したこともあり、この本を会議で紹介し、幹部スタッフに供与することとなりました。わたしの下した結論でもありましたが、上層部の支持があったのもたしかです。
潤滑油が切れかかっている職場に必要な一冊。その思想が隅々まで行き届けば、必ずやよい職場環境になると信じています。
藁にもすがる思いで、この本を推薦しました。
少なくとも、シードはしたつもりです。あとは、芽が出て育ってゆくことを願うばかりです。
この時期に刊行された一冊に、感謝の意を評します。

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