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戻ることのできない過去
2016/08/28 05:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
十代後半の心の傷。何があったのか、自分の知らないところで自分の悲劇が進行し、何かおかしいと気づいた時には、もう遅すぎる。そしていくつかの謎はやはりわからないまま。失われたものは取り戻せない、それでも生きていかなければいけないという寂しさ。
さらば、ふるさと
2016/04/03 17:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ねじまき鳥クロニクル』を読めばロッシーニの『泥棒かささぎ』を、『1Q84』を読めばヤナーチェクの『シンフォニエッタ』を、さらに、村上春樹の訳したレイモンド=チャンドラーの『リトル・シスター』を読めばレオンカヴァッロの『パリアッチ』を聴きたくなるように、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読むと、リストの『巡礼の年』を聴きたくなった。
で、『巡礼の年 第一年 スイス S160 8 郷愁 ル・マル・デュ・ペイ』を聴いてみると、ほんとうに、小説にぴったりな感じがする。この曲を弾いていた「ゆずき」の、高校時代から30歳になるまでの人生に、思いを致さないではいられない。言っても詮無いことだけれど、彼女が望んだように、獣医の道に進めば、違った人生が開けていたんじゃないか、と思う。みんなが、彼女は音楽のほうが似合っている、白雪姫みたいな美しくて優しい娘だから、と思って反対したのは、まちがっていた。30歳になった時、彼女の生命の輝きは既に失われていたという。彼女は20歳の時にたいへんな悲劇に襲われて、それが多崎つくるにも、死の淵を覗くほどの苦しみを与えることになった。
>「航行している船のデッキから夜の海に、突然一人で放り出された」
>「デッキの明かりがどんどん遠ざかっていくのを眺めている。船上の誰も船客も船員も、僕が海に落ちたことを知らない」
でも、とにかく、つくるは、夜の海を泳ぎ切った。
36歳のつくるがたどりついた、フィンランドの夏の森と湖畔の別荘もまた、この曲に合う。そこに到ってやっと、ほんとうは何が起こったのかを語り合い、抱き合うことができた、つくるとえりにも、この曲は合う。
仲の良かった高校生のグループ、男3人、女2人。彼らは夏休みの課題のボランティア活動で知り合い、卒業までボランティアを続けた。子供たちのためにピアノを贈るという目標を立て、実現できたのは、ゆずきの意思に、みんなが協力したからだ。ゆずきは、けがしている犬や猫を助けずにはおれない性格だった。ピアノを演奏することよりも、子供にピアノを教えることのほうに才能があった。
それでも、えりや、よしおは、自分の進学先や就職先が向いていないとわかってから、方向転換に成功しているではないか? なぜ、ゆずきにはそれができなかったのか? 結局、弱かったから、何をやってもどこかでつまずいて、輝きを失ってしまったのではないか?そうだとしても、私自身、進学先が向いていないとわかってからうまく立ち直れなかった過去があるから、ゆずきのことが、とても身につまされる。
故郷というのは、山だの川だの街だのという空間じゃなくて、誰かと心をへだてなく分け合った時間のことなのかもしれない。つくるが、よしおの現在の職場を訪ねていくくだりは、ちょっとおもしろかった。応接室の家具や壁に掛けられた絵、受付の女性、よしおのいる個室の家具など、細かく描写するのは、チャンドラーそっくりだ。だが、マーロウの物語は、ちゃんと結末が付くが、多崎つくるの物語は、中途半端に終わる。愛する人を手に入れることができるのか、できないのか。
>「彼は心を静め、目を閉じて眠りについた。意識の最後尾の明かりが、遠ざかっていく最終の特急列車のように、徐々にスピードを増しながら小さくなり、夜の奥に吸い込まれて消えた。あとには白樺の木立を抜ける風の音だけが残った」
いくら、つくるが、駅をつくる仕事が好きだからって、ねえ。駅で寝るのが好きなわけじゃないだろうに。それでも、『郷愁 ル・マル・デュ・ペイ』にふさわしい終わり方ではある。
既読本だが再読が楽しい。
2020/08/12 15:59
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
リアル社会を舞台にしながら非リアル満載な感じが私ごのみの小説。そして、コレはどういう意味かとか無粋なことを考えずに読めるところもかなり好きである。
...しかし、村上作品は、面白く読みやすいのだが、こうしてレビューしようとすると書きたいとが浮かんでこない、そしてこうゆうざっくりした感想になりがちです。
再読
2016/07/25 07:00
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初に読んだときは、読み応えに物足りなさを感じたが、再読するとやはり村上春樹さんらしい面白さ。
村上さんが描く現実の世界とはまた違う世界。
主人公のつくるが仲の良い友人達4人から拒絶され・・つくるの人生はそこで終わっていたと思っていた。
それでも目の前にある事をこつこつとこなし、16年の歳月が過ぎていた。
恋人の沙羅と出会って、つくるの巡礼の旅が始まる。
名古屋、フィンランドとかつての友人達を訪ね16年前の記憶を辿る。
全く見に覚えのないシロの訴えに、仲間達はつくるを排除する道を選んでしまった。
村上さんの描く世界を読んでいると、つくるの身に覚えがないことも別な世界では実際にあったかもしれないと、思ってしまう。
そんな不思議な世界が楽しめる。
自分の人生は終わったと思っていたつくるも、クロ、アカ、アオもそれぞれ16年の時間を積み重ね確かな足跡を残していた。
歩いてきた時間は確実に積み重なっていた。
そして、これからも巡礼の旅が続く。
一読後再読
2016/02/13 13:21
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投稿者:miracle96dn - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹の小説は高校時代に読んだ、はじめの3部作以来です。紙の書籍だと残りあと何ページぐらいとか、何となく意識しながら読んでいます。場合によっては、残りの分量からその後の展開を予想することさえあります。今回、電子書籍で読んでみました。当初唐突な終り方にとまどいました。その後、本作は推理小説だとのネット上の意見を受け、再読に着手しました。いざ再読をはじめてみると、推理小説的な面への興味よりも、文章の味わい深さに惹かれている自分に気づきました。再読は味読になっています。
…すごい
2016/01/12 17:11
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投稿者:しゅーくりーむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人だけ、色彩をもたない。他の彼らは、色を持っている。
村上春樹さんの作品は、考えさせられます。
また、何度も読みたいと、惹かれていきます。
ぱっと感想が言えない物語
2023/06/27 14:16
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに村上春樹を読みたくなって手に取りました。これ好きです。後半なんと北欧まで行っちゃうんですよ。
このあと、どうなるのか自分なりに考えてみた
2021/11/26 22:43
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
多崎つくるは、突然、高校時代の親密な関係にあった親友グループから追放される、彼にはその理由はわからない。この冒頭の状況に私の心はなぜか疼いた。高校時代、そんな密な関係になった親友はいないし、大学、社会人になってもそうだった。でも、私の心は疼いた。それは、なぜなのだろう。私は常にそのような親密な関係を持ったグループに所属したいと願っていたのではないだろうか、あまり友人のいなかった私は空想の親友グループから常に追放されていたのかもしれない。彼の巡礼は、名古屋へフィンランドへと続く、そして帰国、一番気にかかっていたことの結末が語られないままに話は終わってしまった、つくるのことが好きな私はハッピーエンドを願うが、バッドエンドのほうが面白いかもと底意地の悪い私の本性が囁く
色彩をもたない田崎つくると、巡礼の旅
2019/11/19 21:42
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投稿者:Keito - この投稿者のレビュー一覧を見る
一言で言うと面白かったと思います
彼の作品は低評価のレビューがつくことはありますが個人的には作品によっては面白いと思うものもたくさんある
今回の話は素直に入ってきて心に残る作品に私のなかではなりました
モヤモヤするけど何かいい
2018/06/05 13:29
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投稿者:しんごろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
再読したくて文庫本を購入。絶縁された4人の親友に時を経て会う話!面白いんだけど、何故かモヤモヤ感があるんだよね。まだ書き続けらるんでないかいとか…。今の彼女とどうなっていくとか…うーん、気になるw「休暇と友だちは、人生においてもっとも素晴らしい二つのものだ」は、自分の中では名言wいつかまた絶対に再読すると思う。
人気作
2017/03/12 06:13
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投稿者:キム - この投稿者のレビュー一覧を見る
一度図書館でハードを読んだのですが、文庫本が発売されたのを見て即購入。大学時代に出会った仲間等、登場人物が魅力的です。
質の高い文学作品です
2017/01/15 10:09
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投稿者:かもちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹さんの作品を読むのは20年ぶりです。良い意味でベースや世界観が昔と変わっておらず、懐かしい気分で読みました。でも時代ははかつての70年代ではなく現代を反映しており、新しいワードも頻繁に使われていて、古臭さは感じられません。言葉の一つ一つが丁寧に選択されており、文章も綺麗で、「文学作品」という言葉がぴったりの作品です。
はじめて
2016/03/24 17:10
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投稿者:りんごあめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹の小説は以前から気になってはいたものの、読んだことがありませんでした。
そんな中、本のデザインが気に入ったという単純な理由で購入を決めたのですが、内容もすごく気に入り、あっという間に読みきってしまいました。
文庫本になるのを待っていました
2016/01/31 23:00
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投稿者:うりぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
早く文庫本にならないかと待っていました。
まだ、読んでいる途中ですが、早速村上ワールドに浸かっています。
ずっと浸かっていたいので、寝る前に ちびちびと読んでいます。
つい、先をのぞいてみたくなりますが、あくまで ちびちびと・・・
これが春樹作品かぁ
2017/03/28 09:17
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投稿者:あっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
初の村上春樹作品です。なるほど、読みやすいのですが、何となく男女の関係にねじれがあるのが特徴なんでしょうかね。。。私にはみんな心に色彩を持たない人たちに感じるな。。。