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みんなのレビュー49件

みんなの評価4.5

評価内訳

49 件中 1 件~ 15 件を表示

これからも、この人の作品は読み続けていきたい

2019/06/23 21:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

2月に「犯罪」を読んで以来のシーラッハもの、この物語は実話をもとに描かれているということだ。弁護士・ライネンは有力な弁護士事務所から数多くのスカウトを退けて、個人事務所で刑事事件弁護をスタートさせた若手の弁護士。コリーニ事件の裁判の途中で相手方の法律顧問からおいしい裏取引を持ちかけられるが断る、この時点で彼は裁判には勝てるのではないかという自信があったのかもしれない。ナチス、ユダヤ、ポーランドとドイツが舞台の作品は書く材料には事欠かないようにみえて、処理するのはかなり難しいように思える。が、この作品は低いトーンでこれらの問題をうまくさばいている。これからも、この人の作品は読み続けていきたい。

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思わずポロリ本。シーラッハすげえの一冊。

2018/11/08 22:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る

シーラッハの面白さは「犯罪」で分かっていたつもりでした。
それなのに、前半・中盤・終盤の迫りくる展開で、本を思わず
ポロリと落としてしまいそうになりました。しばし顔を上げ、
心を落ち着かせ、踏みしめるように終幕へと読み進めます。

犯罪と動機、心理背景などを淡々と並べていくようなふりをして、
特定の印象が頭に浮かぶようにするミスリード。
その仕組みを法廷闘争で見せてくれます。

真実は一つではありません。
その意味は、切り口を変えると同じものが全然違った形に
見えるということです。
この感覚は非常に重要ですし、だからこの小説が新鮮な
驚きをもって心を刺激してくれるのです。

社会的に高い地位にある老人が殺されました。犯人はコリーニ。
ホテルでの殺人のあと、ロビーに向かい、フロント係の
若い女に告げます。四〇〇号室であいつが死んでいると。

ライネン弁護士に刑事裁判所から連絡が入ります。
弁護人のいない被疑者がいるから来てくれとのこと。
会ってみると、その男はコリーニと名乗り、続けざまに弁護士は
いらないと言い放ったのでした。

必要最小限のことは答えます。
しかし犯罪につながることは一切口を開きません。
これでは弁護のしようがありません。
読者はコリーニに逃走の意思がなかったことを知っています。
だからライネン弁護士に対する態度から、何かあると気づくわけです。

被害者に落ち度はみられません。むしろ尊敬されています。
そしてライネン自身も深く関わった人物であることが分かり、
謎が深まります。

犯罪には理由があるのです。
人間の心模様が織り込まれているのです。
コリーニ事件の犯人と被害者、弁護士と被害者の代理人、
残された家族。
からまった紐がすべてほどけた瞬間、せつなさとやるせなさ、
謎がみえた開放感が一度に押し寄せて感情がごちゃまぜになります。

評判の高い作品です。
徹底的に削って書いてあるので行間が多く、読んでいるうちに非常に
膨らんできます。なかなか出会えないレベルの一冊だと思います。

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戦争は暗い影を落とす

2018/09/30 17:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る

無駄な展開は一切なく、著者が伝えたいことまで最短経路で走り抜けた作品。法廷ものではあるが、弁護側と検察側の激しい応酬の末に正義を成すような話ではなく、法の正否を問う内容になっています。

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長編でも行間の広さは変わらず

2017/12/31 19:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る

『犯罪』のシーラッハによる初の長編。とはいえ本編は200ページないので<長編>と呼んでよいものやら。テイストは『犯罪』にかなり似ていて、乾いていて硬質な、感情をできるだけ排除した文体。長くなった分は新米弁護士である狂言回しのライネン氏の苦悩に少し踏み込んだせいである気がします。

ドイツは「ニーチェとヘッセの国」という自負があるためあまりエンターテイメント小説が評価されにくい(上質のミステリは北欧から翻訳がどんどん入ってくるので国内であまりミステリを育てる土壌がない)と聞いたことがありますが、なるほどシーラッハがドイツでも受けるのは、ある種の格調の高さを備えているからでしょうか。
語りすぎず、行間が広くて。

きっかけは2001年の5月、ベルリンで起きた殺人事件。
イタリア人で67歳のコリーニと名乗る男が罪を認め、殺人容疑で逮捕された。被害者はドイツ国内大手企業の代表取締役であること、手口が残忍であることから世間にセンセーションを巻き起こす。国選弁護人を引き受けたライネンは、被害者が実は自分の幼馴染の祖父であることを知り弁護人を降りようとするが認められなかった。 いったいコリーニにはどんな動機があるのか・・・という話。
ドイツ、老人、とくれば浮かぶモチーフはひとつですが・・・その悲劇性を過剰に煽っていないところが余計響いたり(“戦時中における合法的な殺人”を裁判で陳述する専門家の内容に戦慄するのは私だけではあるまい)。
この小説がきっかけになって、ドイツ連邦法務局はある委員会を立ち上げたそうだから、もしかしたらそれがシーラッハの目的だったのかもしれない。
そしてそれは見事に達成されたわけだ。そういうところも、ドイツらしい。

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シーラッハにしか描けない珠玉の法廷劇

2017/12/27 20:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る

新米弁護士ライネンとベテラン辣腕弁護士の法廷劇。自分の少年時代の恩人を殺した老人を弁護する苦悩に悩まされるライネンを堅い文章で表現する前半パートから、犯人の動機に隠れた歴史の深い闇が明らかになる後半パートへの転換ぶりが凄まじいです。物語が全く違う側面を見せてきます。

わずか190ページの中に、弁護する苦悩だけでなく、目を背けたくなる歴史と現代社会がどう向き合うべきかを強く訴えかけてきます。肉を削ぎ落した法廷劇の文体に強烈な個性を滲ませて、最後のワンシーンにはしっかり人間の情を描く(瀧井さんの解説も良い)シーラッハならではの作品。

今年のベストミステリでした。

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悲しい歴史に基づく「事件」

2024/08/28 17:50

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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る

映画化されたときに原作を購入。ようやく今ごろきちんと読んだ。
映画も素晴らしかったが、原作は文学としての(活字の)楽しみや感動が得られた。
新米の弁護士カスパー・ライネンが国選弁護人を引き受けたコリーニは、老人を殺害した容疑で逮捕されたが、事件について何も語ろうとしない。その背景にあるのは…。
淡々とした筆致で、負の歴史や人間の闇の部分が明かされていく。一つ一つの言葉が染みわたる。

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裁判のラストがちょっと・・・

2024/06/03 17:57

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ME - この投稿者のレビュー一覧を見る

興味深く読むことができたが、裁判のラストがちょっと不満に感じた。日本だったらそのようなことはないだろうと思う。

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過去といかに向き合うか

2024/01/24 15:42

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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る

弁護士でもある作者による法廷ミステリーなのであるが、それだけでは説明は不十分で、やはり作者の祖父がナチの大物であったこともふまえておきたい。法廷ミステリー、歴史ミステリーという形を借りて過去といかに向き合うかを問うものでもある。

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法廷の内幕

2020/07/30 08:07

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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

ありふれた殺人事件から、ドイツの司法制度や戦争の傷痕に切り込んでいます。若手弁護士のライネンの、真実を追い求める姿に胸を打たれました。

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2018/01/30 14:58

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2018/01/09 22:47

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2018/01/30 15:59

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2018/04/27 09:38

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2018/03/01 00:38

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2018/07/10 19:03

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