漫画「ちはやふる」が読みたくなる見どころ解説6
<三人の関係が崩れる予兆編94首~108首>
ちはやふるストーリー 第94首 - 第103首
※この記事には、ちはやふる ネタバレを含みます。内容を知りたくない方は閲覧をお控えください。
吉野会大会 ― それぞれが越えるべき壁
夏の全国大会を終えて、季節は秋へと変わり、ちはやふる主人公の三人、千早、新、太一らもそれぞれ自身が大きく変わっていきます。
新は、チームで戦うことの価値を素直に受け入れて、地元の福井の高校で、かるた部の発足を呼び掛けます。
一方の千早たちには、ある事件が起こっていました。瑞沢高校の修学旅行日程と、クイーン名人への挑戦をかけた東日本予選の日程が重なっていたのです。どちらを選ぶべきか、千早は選択に苦しみます。
東日本予選の前には、この章の中心となる吉野会大会が控えていました。千早と太一は、新もこの吉野大会には必ず出場してくるという予想から、さらに闘志を燃やします。そして吉野会大会が始まります。
吉野会大会には、かつて最強クイーンの名声を得た猪熊遥(いのくま はるか)も出場していました。猪熊選手との対戦で、千早が得ていくものがあります。かるたは奥が深いものです。
一番の見どころは、誰が勝ってもおかしくないメンバーの中で、いったい誰が決勝へと勝ち進むのかということです。ここは最大の見どころなので、ネタバレ解説したいところですが、あえて控えておきましょう。
クイーン名人へと一歩ずつ近づいて行く千早を描いているのが第94首~第103首です。今回も少しだけネタバレを交えながら、ちはやふるの見どころを登場人物を通してご紹介していきます。
ちはやふるの見どころ・新(あらた)編 新の心境の変化
全国大会個人戦で優勝を果たした新ですが、千早たちに触発され、自分もチームで戦いたいと思うようになります。
しかし、新が通う藤岡東高校には、かるた部はなく、自ら創部するしかないと考えます。その気持ちを実行に移し、全校生徒の前に立って、競技かるた部の発足を呼び掛けるという場面です。
新らしからぬ行動です。競技かるたへの真剣さとチームに対する情熱が伝わるシーンです。
ちはやふるの見どころ・千早と新編 「袴きれいやなって・・・」
ちはやふるにしては、恋愛要素が強い場面です。
クイーン戦を目指し、千早は袴(はかま)での勝負にこだわります。吉野会大会でも袴で出場します。
同じく吉野会大会に出場した新は、千早の袴姿を見て、「きれいやなって・・・」とその姿をほめます。お互いに顔を真っ赤にしているところが微笑ましいです。自分にもこんな時期がありました。
ちはやふるの見どころ・猪熊 遥(いのくま はるか)編 元クイーンの実力
二次元目!より
吉野会大会には、ちはやふる主要メンバーが勢ぞろいしていますが、千早にとっての新たな強敵も出場してきます。
元クイーン・猪熊 遥(いのくま はるか)六段です。ネタバレになりますが、猪熊六段は桜沢先生(前の記事、漫画「ちはやふる」が読みたくなる見どころ解説5<全国大会個人戦の優勝者編84首~93首>をご参照)とクイーン防衛戦で、4戦4勝の五分の実力の持ち主なのです。クイーンよりもさらに"感じ"が良い選手と言われるだけあって、千早の勝負心に火がつかないわけがありません。
ちはやふるの見どころ・名脇役 深作先生編 深作先生の名言
ちはやふるは、エキストラを含めて全キャストに注目していくと、一段と楽しく読むことができます。ここでは名脇役の一人、深作先生の名場面を紹介します。
深作先生とは、千早たちが通う瑞沢高校で古文を教えている先生です。いつも先人の受け売りをすることで生徒にからかわれている先生ですが、「受け売りをするために教師になった」という言葉が「深い」です。
深作先生のこの一言をきっかけに、千早は自分の将来について考えるヒントを得るのです。
ちはやふるの見どころ・太一(たいち)編 ついに自分の型を見つけた太一
千早、太一の恩師でもある「府中白波会」会長の原田先生は、徹底的な「攻めがるた」を教える先生です。
反対にこれまでにいろいろな試合を見てきた太一は、吉野会大会での試合中に「守りがるた」が自分の伸びる道だったことを知ります。
試合の相手は新の兄弟子である村尾さんでした。千早は別の試合でその場には居ませんが、新が見ているこの場面で、太一が実力を十二分に発揮していると言えます。村尾さんとの準決勝に勝った後の、決勝戦の相手には注目です。
ちはやふるストーリー 第104首 - 第108首
※この記事には、ちはやふる ネタバレを含みます。内容を知りたくない方は閲覧をお控えください。
修学旅行と東日本予選大会 ― 「心を動かすために競い合う」こと
ネタバレし過ぎないように気を付けて編集していますが、今回はネタバレを避けられない場面もありますのでご了承ください。
吉野会大会A級決勝が終わりました。強豪らが激突した戦いの長い一日が終わりました。吉野会大会での試合は、それぞれの結果が新と太一の心境を確実に変えていきます。この章では、ついに新が太一に事実上のライバル宣言をします。ちはやふる20巻も見逃せない場面が満載です。
時は流れて、千早たちは修学旅行と東日本予選大会の当日を迎えます。自分の将来を考え始めた千早は、修学旅行に参加することを決めますが、太一と同じクラスの机くんから衝撃的な事実を告げられショックを受けます。
新は、吉野会大会で味わった初めての焦燥感の正体がつかめず、調子を狂わせていました。はたして名人位への挑戦をかけた西日本予選に、新は全力で臨めるのでしょうか。
まさかの千早の出場辞退で、その後の展開はどうなるのかが気になる全国大会東西予選編を解説していきます。今回も少しネタバレを交えた登場人物ごとの見どころです。
ちはやふるの見どころ・新と太一の関係編 事実上のライバル宣言
記憶ブログより
新と太一の関係に明らかに変化を予兆する場面です。
吉野会大会を終え、帰ろうとしているところで、新と太一は偶然に会います。試合中にはお互いが千早を挟んで複雑な気持ちを抱えていました。太一は、千早は二人のものだと思い、新は千早の一番そばに居るのは太一だと思っていました。
ここで新が言った「千早はだれのでもない」という言葉に、これまでの二人の関係が大きく変化し始めます。
ちはやふるの見どころ・新と幼なじみ由宇(ゆう)編 支える人の存在
ちはやふるの恋愛相関図は、千早をめぐるものだけではありません。
吉野会大会以降、新の様子がどこか変わっていたことに幼なじみの由宇(ゆう)は気づいていました。
新を励ますために由宇は差し入れを持っていきます。幼いころからよく知っている関係だからこそ言える言葉をかけ、新自身に「自分の夢」を再認識させます。
「由宇が新の夢のことを一番分かっている」と新に言われたときの、由宇の表情が昔を思い出させます。青春まっさかりの人には申し訳ありません。
ちはやふるの見どころ・千早(ちはや)編 修学旅行を選んだ千早
記憶ブログより
千早たちの瑞沢高校かるた部は、東日本予選大会と修学旅行の日程が重なってしまいます。千早にとってはどちらも大切なものですが、自分の将来のために一度きりの高校修学旅行に参加することを選びます。
しかし、行きの車中で、机くんから衝撃的な事実を告げられます。なんと太一が修学旅行に参加していないというのです。
太一は一人で東日本予選大会へ出場したんだ、と勘づいた千早は、大きなショックを受けます。予選大会を辞退したことと、太一が一人で予選大会へ出場したことは、この後の展開にも大きな影響をもたらしますので、ぜひお見逃しなく。
ちはやふるの見どころ・太一(たいち)編 ついに自分の型を見つけた太一
記憶ブログより
修学旅行と東日本予選大会の選択を迫られた太一は、東日本予選大会へ出場するために、仮病を使って修学旅行に参加しませんでした。
図書館で勉強すると言って家を出た太一は、予選試合会場へ向かいます。しかし、母親にその嘘がバレてしまい、母親は太一を連れ戻そうとします。
太一の母親は、応援に来ていた菫(すみれ)を見つけ、太一の試合が終わったら連絡をくれるよう頼みます。太一の母親に気に入られたかったはずの菫(すみれ)ですが、太一のあまりにも真剣な姿に心を動かされ、太一の母親に対して必死に訴える場面です。
最初は太一に一目ぼれした菫ですが、しだいに真剣に恋をしていっている様子が伝わってきます。
まとめ
ちはやふる第94首から第108首までのあらすじや見どころを解説しました。
冒頭で少し触れましたが、ずっと進展していなかった、千早をめぐる新と太一の関係にもついに決定的な変化が訪れる場面があり、かるただけでなく恋愛ストーリーも盛り上がりを見せる展開です。
それぞれの想いが言動にも表れ始めました。次回以降の展開にどういうふうに繋がっていくのか楽しみです。
以上、漫画「ちはやふる」が読みたくなる見どころ解説6<三人の関係が崩れる予兆編94首~108首>でした。
ライタープロフィール
川添 勤(かわぞえ つとむ)
1968年生まれ。2010年フォロワー数20万人超えの「ハマコーTwitter」をプロデュース。
当時、日本のTwitterフォロワー数ランキングトップテン入りに貢献する。
2011年、故浜田幸一氏の最後の本となる「YUIGON」(ポプラ社)を監修。ベストセラーとなる。
2014年2月、キッザニア日本の創業者住谷栄之資氏の「キッザニア流!体験のすすめ」監修。
2014年10月には10万部を超えるベストセラーとなったゲッターズ飯田の「運命の変え方」に企画協力。
この記事で紹介した漫画
ちはやふる(18)
全国高校かるた選手権も終わり、学校に戻った千早(ちはや)たちはそれぞれの戦果を得て一歩前進する。千早も詩暢(しのぶ)と戦うためクイーン戦予選へ向けて練習に励むが、予選の日は修学旅行と重なっていてショックを受ける。そんな中、ケガをしていた右手もようやく完治。満を持して臨む吉野会大会にはA級として初参加の太一(たいち)、福井から新(あらた)、そしてライバルたちも参戦し大波乱の予感! クイーンになる夢も、将来への道も――深まる秋に千早、新、太一は変わる!!
ちはやふる(19)
秋。名人・クイーン戦予選をまえにしたこの季節。吉野会(よしのかい)大会はついに準々決勝を迎え、千早(ちはや)、太一(たいち)を含め白波(しらなみ)会からは4人が残った。迎え撃つは、福井から参戦の新(あらた)や北央(ほくおう)・須藤(すどう)ら4人。耳がよく、独特な配置で戦う元クイーン・猪熊(いのくま)と当たった千早は、固い相手の自陣に攻めこむことができるのか? より高みを目指す選手たちの意地が、意外な展開を生む。勝者は一人。かつてない局面での対戦に二人は!? 強さも弱さも、持てる力をしぼりだせ!
ちはやふる(20)
吉野会大会A級決勝。元クイーンの猪熊(いのくま)、北央(ほくおう)の須藤(すどう)、そして原田(はらだ)先生。全員が居残り、たった一人の勝者の行方を見定める。同会ながら勝ち上がった千早(ちはや)と太一(たいち)はついに公式戦で――しかも頂上決戦で初対戦! 熱風が舞い、汗が飛ぶ。息苦しくなるほどの二人の戦いの結末は!? 千早に勝ちたい! 太一に負けたくない!! いま戦いの火蓋は切られた――!!
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