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わたしのBOOK MARK

-第7回-ユーグレナ 代表取締役社長 出雲充さん

本は、時に友となり、師となるもの。
人生の転機の支えとなった1冊とは?
時代を拓く注目のビジネスリーダーに聞く連載。
第7 回は、「ミドリムシで世界の食料問題を解決したい」と
チャレンジを続ける出雲充さんです。
文/宮本恵理子 撮影/篠塚ようこ

ミドリムシで世界の食料問題を解決したい壮大な目標を追う力となる、メンターに出会える本

今の私をつくった運命の1冊といえば、この本。2006年にノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行総裁のムハマド・ユヌス先生の自伝です。ユヌス先生は世界最貧国の一つ、バングラデシュの農村で暮らす、自分の名前すら読み書きできない人々に少額のお金を貸し、経済的自立を支援するという取り組みを推進し、850万人もの人々の人生を劇的に変えた方です。

日本語版の初版は1998年発行で、私が大学1年生の時。バングラデシュを旅し、世界の貧困問題の厳しい現実を目の当たりにした私は、帰国後、栄養豊富な夢の食材を探す日々を送っていました。当初、イメージしていたのは子どもの頃に読んだ漫画『ドラゴンボール』に登場するスーパー食材「仙豆」です。後輩(現取締役の鈴木健吾氏)の助言で、微細藻類のミドリムシこそが解決策になるというヒントを得て、ミドリムシの大量培養という挑戦を始めました。
 以後、ミドリムシの大量培養は失敗の連続という壁に当たったり、会社設立直後に経営を揺るがすトラブルに見舞われたりと苦難に直面しながらも、「人と地球を健康にする」という理念を胸に突き進んできました。もうダメか、と膝をつきそうになる度に、読み返したのがこの本です。どんな苦境に立っても、国際的権力から「できるわけない」と制されても、ユヌス先生が諦めず成し遂げた偉業に触れれば、いつでも初心に立ち返って勇気をもらえました。

憧れの神様から「君の名刺をくれ」

バングラデシュを訪問した当時、グラミン銀行でインターンシップをしましたが、ユヌス先生のことは姿を拝むことくらいしかできませんでした。その後、来日の際に講演を拝聴し、何度か名刺をお渡ししましたが、「がんばりなさい」という言葉はいただくものの、私は先生にとって聴衆の一人でしかない。それではあまりにも悔しい。私は何度もこの本を読み返して、チャンスをうかがっていました。
そしてついに2014年、グラミン銀行と当社での共同プロジェクトが開始することに。プレゼンテーションの前にユヌス先生に直接話をするという、またとないチャンスをいただきました。そこで何を話すか私は考えに考え、著書をまた読み返しました。先生は度々、「貧困博物館を作るのが夢だ」と発言しています。つまり、博物館ができるほど貧困が過去のものになる世界を作りたいと。私はこの言葉を受けてこう切り出しました。「ユヌス先生が将来建てる貧困博物館は何階建てですか?」反応は期待以上でした。質問の意図を聞かれ、「1階は貧困の歴史、2階は水問題解消の展示、3階は食料問題解決の展示だとしたら、私は3階のフロアマネジャーにぜひなりたい」と返したところ、ユヌス先生は初めて「君の名刺をくれ」と言ってくれたのです。ずっと憧れていた神様のような方に、ビジネスパートナーとして認めていただいた第一歩。そのきっかけをたどると、この本に行き着きます。ユヌス先生のほかにも私が経営者のメンターとして崇拝している方はいます。日清食品創業者の安藤百福さん、「宅急便」を生んだ小倉昌男さん、リコー三愛グループ創始者の市村清さんなど。しかしながら、この方々は鬼籍に入られていますので、直接お話を伺うことはかないません。故人と直接対話を許されるのは、本の中だけ。だから、本は私にとって非常にありがたいものなのです。そして、私のメンターの中で唯一、本と実在を照らし合わせながら対面できる貴重な存在がユヌス先生。その偉大なる背中を追いながら、私は今日も自分を奮い立たせることができるのです。

HISTORY

1980
広島県に生まれる。東京・多摩ニュータウンの自然の中で遊び育つ。中学・高校は私立駒場東邦中学校・高等学校に進学。高校時代は国連職員を目指していた。
1998
[18歳]東京大学文科三類に入学。大学1年の夏休みに人生初の海外旅行としてバングラデシュを訪問する。現地では、グラミン銀行のインターンシップを経験。
☆ここで出会った!
2000
[20歳] 大学3年で農学部に転向。世界の食料問題を解決する微細藻類として、ミドリムシ(学名ユーグレナ)の研究を始める。
2002
[22歳]大学卒業後、東京三菱銀行(当時)に就職。
2003
[23歳] 銀行を退職し、ミドリムシの研究開発、事業化に専念することを決意。
2005
[25歳]株式会社ユーグレナ設立。同年12月、世界初となるミドリムシの食用屋外大量培養に成功。
2010
[30歳]ミドリムシを原料にしたバイオジェット燃料の開発をスタート。
2012
[32歳]東証マザーズに上場(14年に東証一部に市場変更)。
2017
[37歳] バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント建設を発表。

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