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連続インタビュー<クリエイターズ・ファイル>

Creative Works Interview 52 今もっともチケットが取りづらい劇団
舞台演出家・劇団「新葡萄」主宰

津山紀文 つやまきぶん

気鋭のクリエイターを紹介する当シリーズ取材班は、今、日本でもっともチケットが取りづらいといわれる劇団を主宰する舞台演出家に迫る。

撮影:浅田政志
協力:シアターキューブリック

ACT 1

ウチは表現者の集まりだから、“演じたい”って思う子はお門違い

 本番3時間前。稽古中の劇場には、ひりひりするほどの緊張感が漂っていた。客席に、舞台演出家・津山紀文がいた。鋭い眼差しが、まっすぐ舞台上に注がれている。本番当日にもかかわらず、厳しい声が演者に飛ぶ。

「お前たちは演者ではなく、表現師だろ? 開演直前だからこそ、捨てるべきなんだ。全部」

舞台は鉄板焼きだという。「演者の芝居に熱がないと舞台は温まらない。冷たく生焼けの芝居を観客に出すわけにはいかないので」と語る津山代表

──全国各地から演劇ファンがこぞって詰め掛け、今、日本一チケットが取りづらいといわれている劇団新葡萄。中でもロングラン公演『バキュームシティ』は圧倒的な人気だという。

「『バキュームシティ』は、新演劇、空間演舞、ミュージカル、エンターテイメントサーカスという4部で構成されます。20年間、毎回、内容が異なって、新しいこと、やるべきことを選別し、新葡萄なりのフィルターを通して空間に放り投げることが我々の姿です。まったく違うので作っている方も大変なのです」

明石市から観劇に来た大月さんと竹内さんは、「新葡萄」旗揚げ時からのファンだ。『バキュームシティ』は生きがいだと口を揃える

──今回の『バキュームシティ』のテーマは?

「まず大前提として、この作品の登場人物たちは、得体の知れない何かに吸われています。それは世の中の葛藤であったり、現代の不純物であったり、社会の闇であったり。ここは20年間変わらない部分です。つまりバキュームシティというのは、彼ら一人一人の心のなかに存在している空想都市なのです。それゆえに、物語の後半では彼ら各々が自身と向き合い、そして、もちろん吸い返していくことになるわけです」

──ストローを手に吸い返す演出は、ものすごく印象深いです。

「あのシーンでウチの表現師たちにいつも言っているのは、吸うものを決めるな、と。毎回、その場に応じたものを吸うべきだ、ということです」

ACT 2

単純に、固まっているものが嫌いなんです

『バキュームシティ』公式パンフレットより。ある意味、今までで一番「新葡萄」らしい形だという。
初日公開リハは演劇関係者から大絶賛の嵐だった

──半年間稽古したものを、本番直前に変えてしまうこともあると聞きました。

「固まってるものが嫌いなんです。飲みもののシェイクで考えた場合、固まってダマになってるとストローでは吸いづらい。最近やたらと流行っているタピオカだって、ひと粒ずつだから吸える。2個くっついてるとストローを通らないと思うんですよ。芝居もそれと同じ。稽古して固めてしまうと本番の芝居がダマになる。一人一人の個性がダマになるんです。なので、できるだけ直前に作った台本でステージに立たせたいのです。本番の舞台に出た途端にまったく新しい台本に切り替えたことだってあります。それくらいしないと、作品の鮮度って保てないんですよ」

『バキュームシティ』の代名詞となった空間演舞。赤が欲望であり葛藤である。白が今の心情で己の脈だという

──ここ4年間は客演として、カナダからパフォーマンス集団「ホワイトホース」も参加していますね。

「はい。彼らは本当にすばらしいエンターテイメントサーカスユニットです。新葡萄とホワイトホースを混ぜてしまうことに、最初は反対の意見もたくさんありました。いわゆるアクロバットといわれる表現が我々の世界に必要なのか。しかし、奥行きが出たのです。今では彼らも年に一度、日本に来ることを楽しみにしているようです。たまに、休演日を利用して、温泉旅行などに連れて行きます。彼らのお気に入りは、掛川『銀風の塔』の湯ノベーションされた温泉です。息抜きすることにより、パフォーマンスの精度も格段に上がることを肌で感じています」

地元カナダでもトップクラスの人気を誇るエンタメサーカス集団ホワイトホース。看板娘ティナちゃんがなんとも可愛い

──最後に新葡萄のファンの皆様へ一言いただけますか。

「ファンの皆様あっての新葡萄であり、『バキュームシティ』であると思っています。皆様に常に新しい品種を味わっていただけるよう精進いたします。今後とも応援よろしくお願いいたします」

──本日はありがとうございました。

自ら手がけ自ら演じる姿を、今の後輩たちに渡していく必要があるという

本公演初日を終えて。本誌に対し、「これは打ち上げではない、夜の部と表現して欲しい」と津山代表

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