ブックキュレーターhonto編集員
条理と不条理のはざま。怪奇幻想の雰囲気を味わえる古典ミステリー読み比べ
不可解な現象を合理的解釈に導くのがミステリーだとすると、謎を不条理のまま残し読者に恐怖を味わわせるのがホラーといえるでしょう。19世紀後半から20世紀前半、欧米では心霊主義が流行し、降霊会がお茶会さながら気軽に行われていました。ここでは、こうした世相の影響を受けた、怪奇幻想色の濃いミステリーの古典的名作を紹介します。
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書き出しからオカルト的な雰囲気で、中世の黒魔術の世界に迷い込んだような感覚に包まれます。デスパート家の当主が密室で毒死したのは幽霊の仕業なのか?埋葬された死体が密閉された霊廟から消失した謎は?すべてが解き明かされた後、エピローグでさらなる展開が待っています。ミステリーにホラーの演出を施した名作です。
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黒死荘の殺人
カーター・ディクスン(著) , 南條 竹則(訳) , 高沢 治(訳)
古い幽霊屋敷で、真夜中に降霊会が行われているさなか、静寂を打ち破る鐘の音が響きます。やがて、庭に建つ閉ざされた石室内で心霊学者が血まみれになって死んでおり、現場にはロンドン博物館から持ち出された、呪われた短剣が残されているのが発見されます。幽霊によるものと思われる怪奇現象に、秩序ある解釈を与えた名作です。
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日本探偵小説全集 9 横溝正史集
横溝 正史(著)
『本陣殺人事件』『鬼火』などを収録。『本陣殺人事件』は岡山県の旧家で、婚礼を終えたばかりの新郎新婦が密室で無残な死をとげ、名探偵・金田一耕助が謎を追います。ディクスンの『黒死荘の殺人』に刺激を受けて書かれ、ルルーの『黄色い部屋の秘密』の影響も見られます。併録の『鬼火』は幻想小説として評価が高く必読です。
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パリ郊外の古城で、深夜に令嬢の寝室から悲鳴と銃声が響きます。扉を破り中に入ると、壁には血の手形が残され令嬢は頭から出血し倒れていますが、犯人の姿はありません。18歳の新聞記者ルールタビーユが、論理の輪を綿密に積み重ね謎を解きます。ディクスン・カーが絶賛し、アガサ・クリスティーも影響を受けた名作です。
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ミステリーの女王アガサ・クリスティーによる幻想怪奇小説の短編集です。当時黄金期を迎えていたゴーストストーリーの影響下で書かれた短編を集めています。超自然的な題材を扱っているものの、おどろおどろしい雰囲気というよりは都会的なセンス、整った構成と巧みな心理描写で軽妙な恐怖感を味わえる逸品ぞろいです。
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