酷暑にピッタリ！ノスタルジックな夏の描写が印象的なライトノベル

1日で記憶がリセットされてしまう作家のアキラは、自分からの『引継ぎ』をもとに執筆に勤しむ日々。日記形式で、毎朝自分を受け入れるところから始まる生活が生々しく迫ります。暑さの限界までライダースジャケット、年中ブーツなどの服装描写と、夏のデートのエピソードが秀逸。読了後、物語の奥行きが一気に広がるはずです。

交通事故で生死をさ迷う少年の脳裏を駆ける走馬灯。それは彼自身の人生ではなく、彼にそっくりな少年・悠斗と少女・葉羽の物語でした。冒頭の少年と悠斗を苦しめる、いじめの問題。悠斗が夏休みに1日だけ過ごしたサボテン爺さん宅でのエピソードが強烈で、物語に深い味わいを持たせています。不穏ながらも温かいお話です。

幼いころからいつも一緒だった、志津・陸・悠太の3人。高校生になり悠太が海外留学で離れてしまってからも、その友情は続いていました。ある夏、唐突に帰国してきた悠太に志津と陸は大喜び。けれど、その後とんでもない事実が発覚して・・・!?夏の夜、蛍、恋と友情。キラキラと儚さが凝縮した、青春と強い絆に胸を打たれます。

夏休み、京都の祖母の家で暮らす高校生の圭一。ブルームーンの夜、傘で泉の水をすくっている少女・沙紀と出会います。同い年で少し不思議な魅力のある彼女に惹かれる圭一ですが・・・。ひと夏の恋物語と思いきや、いつの間にか幻想的な世界観へと誘い込まれていきます。運命の恋が、瑞々しくロマンティックに描かれた一冊です。

病気で余命宣告された高校生の詩音。特に感慨もなくとりあえず日記をつける日々だったけど、ある日、初恋の男の子・周と再会してから灰色の日々に変化が訪れます。ある夏休み、図書館や屋上で過ごす彼らの何気なくも一生懸命な日々の描写が鮮烈。謎かけのような構成の、壮絶なる年月をかけた一途な恋の物語です。