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銀行内の事件捜査を描く
2018/01/21 21:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
銀行出身の作家、池井戸潤の描く銀行に勤務する主人公の事件調査簿である。この前にオムニバス形式で『銀行狐』という短編集があった。この短編の中にタイトルと同名の銀行狐があった。この主人公は帝都銀行総務部の調査役で指宿修平調査役である。本編はこの指宿の事件簿である。
内容は8つのエピソードに分かれている。個々に論評する気はないが、行内の部署同士、この場合は指宿の属する総務部と人事部の対立である。8つの中で『特命対特命』が最も面白かった。
調査役レベルで対立することはよくあることかも知れない。解決すればそれで済むのだが、そうでない場合は指揮命令系統の上に上がっていく。するとよくあるケースは派閥である。よくあるというのは、この辺りは読者にはよく見えない。というよりそんなものが幅を利かせている金融機関はもはや生き残れないであろう。どうもピンとこない。
池井戸の銀行小説を読んでいると、行内の人脈が豊かで助けたり、助けられたりで、この人脈がなかれば仕事が回っていかないようだ。銀行自体は定期的に異動があるところなので、人脈形成も自然に出来ていくのかもしれない。
小説の内容は、いずれの短編も鮮やかで、とくに指宿の上と下の両方への配慮が見事である。これなら将来が約束されたも同然のように書かれている。いずれにしても、銀行絡みの池井戸の物語は展開も含めてなかなか楽しませてくれるものだ。
良い本です
2024/08/29 16:02
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
銀行以外の業界にも決して無縁な話とは違うと思いますが、なぜ銀行だと話にリアリティーがあるのかな。銀行の体質でしょうか。
池井戸氏の意外な仕掛けに驚かされる傑作ミステリーです!
2016/08/11 09:09
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、池井戸氏の作品の中でも非常によくできています。帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任されていた指宿修平ですが、彼は、顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金作りといった数々のスキャンダルのもみ消しに毎日奔走します。しかし、この腐敗した組織は、ある罠を用意していたのです。彼はそれとは知らずに奔走の毎日を送ります。果たして、どうなるのか!ぜひとも、本書をお読みください。
数字で評価される世界は厳しくて醜いなあ
2018/05/09 21:02
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
“花咲舞”の原作だと思って買ったのですが、花咲舞は出てきませんでした。でも、さすが池井戸潤、銀行ミステリーで面白く、かつ考えながら読みました。これはあくまで小説だから、現実はどうか知らないけど、数字で評価される世界は厳しくて醜いなあと思わされます。学校も、数字で評価するようになったら(学力テストの点数が何点上がったとか)そうなるだろうなあ。
必ずしもいい解決策があるわけではない
2017/06/29 07:24
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投稿者:とうふ - この投稿者のレビュー一覧を見る
全てが綺麗に終わる訳ではない。そう感じる内容でした。
銀行の腐敗
2015/12/03 03:13
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
銀行内の不正を明らかにすべく密命を託された指宿のかつやくを描く連作短編。銀行出身の池井戸氏が、銀行の恥部を描くのだから期待して読んだが、まさに裏切られることのない面白さだった。とかく銀行は批判の対象にされているし他方、池井戸氏は、そうした恥部を余すところなく明るみに出す頼もしい作家である。今後への期待も大。
不祥事処理を担当する総部部特命
2020/11/29 10:26
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投稿者:林田力 - この投稿者のレビュー一覧を見る
銀行の不祥事処理を描くビジネス小説。不祥事処理を担当する総部部特命担当が主人公。私は顧客に価値を提供することがビジネスという感覚があり、公務員的なスタッフ部門の仕事に感情移入しにくい。
このような設定が支持されることは、推理小説が人気ジャンルであることと同じ理由か。日本人は顧客に価値を提供することよりも、目の前の問題を解決することに熱くなる傾向が強いのか。
人事部と総務部の縄張り争いが描かれる。グローバルなマーケットで顧客から選ばれることが求められる中で、そのようなことをしている場合かと感じてしまう。公務員的価値観が跋扈するならば日本社会の後進性を示すことになる。
主人公の敵側からは総務部特命の調査が過剰であり、それが圧力となって不祥事が起きたと批判される(303頁)。この論理自体は共感できる。公開されたルールに基づいてではなく、総務部特命という権力が恣意的に調査することは昭和的である。主人公を陥れるためにこじつけられたものであるが、主人公側に感情移入しにくい。
銀行の支社長が殺されそうになった事件で刑事が冷ややかに言う。「法律の上で問題なくても、人として許されない行動ってのはあると思うんです。そういう事をして気づかないのは特に銀行さんみたいなエリートに多いんじゃないですか。感情を踏みにじったとしても、銀行の記録には残らない。そして本人も自分が殺されるほどの恨みを買ったとは思っていない」(323頁)。これを刑事が言うかという感じである。こえは自分達の点数稼ぎと保身しか考えない平目公務員の警察官に言うべき台詞だろう。
まさか彼が!?
2016/11/18 11:18
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投稿者:maki - この投稿者のレビュー一覧を見る
特命対特命が良かった!
まさか彼が味方だったとはね~^^
わずかな幸運が私にも舞い降りてくれますように☆彡
それにしても、どこの職場にもやっかいな輩というものはいらっしゃるものなのね^^;
玉石混合の連作短編小説
2014/01/29 20:17
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
銀行の不祥事をテーマにした連作短編集。8話で構成されています。池井戸氏4作目の著作ということで、自分の作風を模索している時期だったのでしょう。凡作と秀作が混在し、登場人物もストーリー構成も何かが足りない残念な仕上がりでした。
まず登場人物の掘り下げが足りません。例えば、第3話から登場する唐木怜は美人で優秀な銀行員という設定です。氷のような女性で徹底すれば良いものを、身近な男性(同僚)と直ぐに関係を持つ尻軽女であり、いかにも中途半端です。肝心な主人公である指宿修平もクールというだけで、人物像は希薄です。いずれも十分に練られていないため、人間としての深みがなく、中途半端な人間像なのです。
全体の雰囲気は、江戸川乱歩賞受賞作である「果つる底なき」を引きずっていて、一様に暗く、爽快感は皆無です。ストーリー自体も、誘拐事件やストーカー騒動や傷害事件等々、変化をつけているように見えますが、根っこは同じような不正行為や逆恨みばかり。しかも、結末は尻切れトンボ。好き嫌いはあるかもしれませんが、私には糸の切れた凧のような中途半端な印象しか残りませんでした。
本作のような試行錯誤を経て、半沢直樹シリーズや下町ロケットといった名作に繋がったという意味では、一読の価値はありますが、爽快感や感動を期待している方は、がっかりするでしょう。同じ連作短編集であれば「不祥事」(講談社文庫)を勧めます。