香君
著者 上橋菜穂子
遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神〈香君〉の庇護のもと、帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。
時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。
『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』の著者による新たなる代表作の誕生です!
香君 上 西から来た少女
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2024/01/04 02:57
引き込まれました
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投稿者:うし - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みやすく、面白かった。主人公が突出した嗅覚を持つ少女で、
オアレ稲という万能の稲に依存した国で、それによっておこる弊害のはなし。
最初から最後まで、引き込まれて読んだ。
読みにくかったり、我慢して読み進めたりすることがなかった。
上下巻ということで、あまり長くないのも読みやすかった。
2023/11/24 19:56
科学の予感
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投稿者:たこい - この投稿者のレビュー一覧を見る
すれた読者的には、この食物連鎖の設定に物語の展開から逆算したような作り込み感を感じてしまったりもしながら読み進めていたし、登場人物の配置にも同様の印象を持ったところはあるのだけど、それでもぐいぐい読ませる物語の力、また「香君」のあり方をめぐる終盤の展開には感銘を受けた。
香君といえる存在の異能がすべてを収拾するのではなく、それがこの世界における仮説と検証のプロセスのトリガーに過ぎず、それから科学が生まれていく予感につながるのが見事。謎がすべて解かれず残っているので、『獣の奏者』のような続編展開もありそう。
2023/11/24 19:55
香りのコミュニケーション
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投稿者:たこい - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファンタジー的世界に生化学的な要素を入れ込む著者の作風。
『鹿の王』ではその世界の医療、薬学などのレベルからウイルスといえる概念が学問として普及していることに違和感があったが、今回は「香り」の持つ植物どうし、あるいは昆虫とにコミュニケーションという概念に、異能的な嗅覚を持つ「香君」という設定を組み合わせることで、科学者視点で読んでも違和感ない物語になっていると感じた。
まだ設定が明かされていない作中の主要作物が農芸化学者的に都合良すぎる印象もなくはないものの、いつもながらテンポのよい物語展開でするする読める。
香君 下 遙かな道
2023/09/30 18:46
壮大な物語も、大団円にて完結します。
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの「香君」は、香りで万象を知る活神のこと。
物語の主舞台となるウマール帝国は、帝国に恭順を示す藩王国を従えて、ひとりの皇帝が国を治め、活神「香君」が庇護を与えるというカタチで発展を遂げてきた。
その根幹にあるのもかつて初代の香君がもたらした「オアレ稲」。
オアレ稲は、土壌の変化や虫害にも強く育てやすく、収穫量も多い奇跡の稲。この稲の栽培により、人々は飢えることなく暮らすことができ、やがて人口も増えていった。
しかし、「オアレ稲」のみに依存し続ける日々に、ある時微かなひび割れが生じ、やがて、大きな厄災となってゆき...。
この厄災をどう収めてゆくのかが物語後半の肝。
そして、物語は、(架空の)草々のチカラを総動員させて紡がれてゆく。
すべては、作家による架空の事象でありながら、そのいちいちを、作家・小橋菜穂子は、多くの文献にあたり、また、研究者に教えを乞うて、植物を学ぶ中から生み出していった。だからこそのリアル。面白さなのでありました。
長い物語は、主人公たちの活躍を夢中に追ううちに、そして、植生の興味も刺激されるうち大団円で完結いたしました。満足です。
下巻の巻末に、作家の読み解いた植物関連本のリストが記載されているのがバリュー。
香君 上 西から来た少女
2023/09/30 18:33
こんどのテーマは「植物」。いつものようにファンタジーの佇まいにてリアル社会に問題を投げかける。
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
テーマは植物。実際、表紙のイメージも、美しい花々に穀物の実りが描かれて、しかも、相変わらずの長編だ。
読み進めるだろうかしら?と思ったのも束の間、いつものようにあっという間に、物語世界に引きずり込まれ、ちゃんとドキドキもハラハラもあり、植物を入り口に、このリアル世界の穀物&食料事情を彷彿させる仕掛けも万全。
上巻からして、相変わらずの読み応えある物語だが、まだほんの序の口。
扱うテーマが壮大すぎる気がして、上下巻のみで、ホントに物語は終焉するのかしらと思いつつ、読んだ端から下巻へと。おすすめは、上下巻2冊を手元に置いて読み始めることでしょうか?
そうじゃないと、先が気になりすぎます。
香君 下 遙かな道
2022/09/11 22:02
若干不満な結末なので、続きがでてほしい
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投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
嗅覚にすぐれたせいで人とは異なる世界を感じられる少女アイシャの物語は、オアレ稲に依存していた帝国にオアレ稲を好んで食べるイナゴ的な虫害が発生したことで危機的状況を迎え、その事態に協力してコトに当たるという姿勢を示すことで活神として祭られた香君という存在を同じ人だと認識させる道を模索していくことに。
話としてはとても面白くて、魅力的な世界観で、夢中で読んだ。
でも未来を良い方に変えていきたいと願う少女アイシャが最後まで孤独で、しかも犠牲的立場に置かれたのは本人が納得していても切ない気持ちになるなぁ。
私は主人公に共感したり感情移入したりして読むタイプなので、最終的に主人公が幸せになるハッピーエンドじゃないと少し不満が残るんだな。
主人公は孤独で犠牲的な立場になったのに、彼女をそこに引きずり出したともいえるサブカップルが幸せになりました、というのはユーマでなくても心配してそれでいいのかと確認してしまいたくなるね。
この世界観で続きを書かれることがあるなら、今度は彼女の孤独が少しでも癒されて幸せを感じられる結末を望むよ。
幸いにも正式に彼女が香君に代替わりしたから、続けやすそうだしね。
香君 上 西から来た少女
2022/09/11 22:00
おもしろかった!
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投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
帝国に繁栄をもたらした奇跡のオアレ稲だが、大量に収穫できる代わりに他の穀物が育たない特色がある。
一つの穀物に頼りきることをよしとせず帝国に恭順しオアレ稲を受け入れなかったせいで多数の餓死者を出して玉座を追いやられた属国の王を祖父を持つ少女アイシャは、王族の出というだけで殺されそうになるが、帝国の視察官に助けられた。
そしてオアレ稲に虫害が起こりつつあり、これに頼りきった帝国や周辺属国に大規模な飢饉が訪れる可能性や、それを対策するのが政治的に困難であることを知らされる。
独自世界観で安定の上橋ファンタジーで面白い。
匂いで万象を知る、というのが面白いな。
シュールストレミングみたいな普通の人でも鼻がもげそうな臭気を嗅いだらアイシャはどうなるんだろう(笑)
続きが気になるところで終わったけど、外には海辺で育たないはずのオアレ稲があり、それは大量に肥料を与えたら海辺でも実らせられるからで、それをもってオゴダは帝国から独立しようとしている、的な展開がくるのかしら。
でもオアレ稲自体が問題なのに気付いてないから結局大事件に発展するとかかな〜?と予想しながら下巻にいこう。
香君 下 遙かな道
2022/08/15 20:24
『香君 下 遥かな道』
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
……飢えの雲、天を覆い、地は枯れ葉て、人の口に入るものなし
オアレ稲に次々と起きる異変
ウマール帝国を揺るがす事態に立ち向かおうとするアイシャたち
香君と皇帝のはざまで苦悩するアイシャは決断する
「この先を、私に預けていただけますか」
香りで万象を知ることができる少女は衆生を救うことができるのか
《『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』の著者の新たなる代表作、誕生!》──上巻帯のコピー
『鹿の王』から7年
圧倒的な世界観とリアリティを感じさせるディテール、魅力的な人物造形と、上橋ワールド全開のファンタジー大作、2022年3月に上下巻同時刊行
あわせて890ページ、物語の力に満ちた完結編
香君 上 西から来た少女
2022/08/14 19:00
『香君 上 西から来た少女』
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつてウマール帝国の建国にかかわり繁栄をもたらした〈香君〉とオアレ稲だったが、虫害発生の予兆は帝国支配の根幹を揺るがす事態に
カギをにぎるのは、囚われの身となったところを藩王国の視察官マシュウに救われたアイシャ
アイシャは香りで万象を知ることができる特殊な能力をもつ少女だった
……私にも、出来ることがあるかもしれない
人々の飢餓と帝国の行く末を憂い、オアレ稲の謎に迫ろうとするが……
《『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』の著者の新たなる代表作、誕生!》──帯のコピー
『鹿の王』から7年
圧倒的な世界観とリアリティを感じさせるディテール、魅力的な人物造形と、上橋ワールド全開のファンタジー大作、2022年3月に上下巻同時刊行
あわせて890ページ、物語の力をたっぷり味わうことができる
香君 下 遙かな道
2022/07/22 08:52
上橋ワールド
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投稿者:うえありひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上橋さんの作品を読むと、ヒトも動物も植物も世界の一部であり、同列の関係で、それぞれが深く影響しあって生きているんだということを深く感じます。
一方、人間社会だけに目を向けると自然とは程遠い有り様。それぞれの思惑が重なり合い、ドロドロだなぁ…と思わずにいられません。それでも希望を持って読み終えることが出来るのが救いだなぁと思います。
香君 上 西から来た少女
2022/07/22 08:29
上橋ワールド
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投稿者:うえありひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これからどうなるのだろう?と不安をかきたてられ、何がどうつながっていくのか手探りで読み進めていきました。初めてタイトルを見た時は「???」と疑問符が浮かびましたが、読めばこれほどしっくりくる名はないなぁと感じます。
香君 下 遙かな道
2022/07/11 21:54
神郷オアレマヅラ
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投稿者:とりまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
オゴダで海辺で育つオアレ稲を見たアイシャ。
オオヨマに負けない稲は希望の稲のはずなのに、香りの声に何か違和感を感じて不安になる。
オオヨマという昆虫は全くのオリジナルの虫なのか、そこだけピンと来ませんでした。
神郷オアレマヅラは、守り人シリーズのサグやナユグ?みたいな世界なのでしょうか。
もし続編が出るのなら、オアレマヅラ側の話や、アイシャの今後がわかる近未来(弟の子孫とか)、または初代の香君の物語が読みたいです。
ジブリでアニメ化したイメージが浮かびました。でも2時間やそこらでは厳しいかな。
香君 下 遙かな道
2022/07/09 08:39
国とは、そこに生きる人とは
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウマール帝国を築いているオアレ稲の危機。
オアレ稲に寄生するオオマヨを餌にして成長する「天炉のバッタ」の大発生。オアレ稲も草木もあらゆる植物を食べ尽くす「天炉のバッタ」。
はたして帝国を救う道はあるのか。
視察官マシュウのウマール帝国のオードセン皇帝への進言は受け入れられるのか?
反対派の富国ノ大臣はどのような手を下すのか?
いよいよクライマックス
食糧、エネルギー、金、どれも国を守るために必要だが、それらを失っても守らなければならないのは人の命だろう。
国の将来を見据えた見識を持つ指導者の存在が重く受け止められる。
香君 上 西から来た少女
2022/07/09 08:21
食糧により築かれた帝国
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
今度の物語は「香り」。
奇跡の稲「オアレ稲」により築かれ支配しているウマール帝国。
優れた嗅覚を持つアイシャは、帝国に消されるのか、それとも帝国の救世主になるのか。
上橋さんの新しいファンタジーは植物、昆虫、香りと楽しみ。
盤石だと思われた帝国にも綻びが見られる。
オアレ稲を食べるオオマヨの発生。
南にあるオゴダ藩王国の野望。
アイシャの活躍に目が離せない。
香君 下 遙かな道
2022/07/02 20:13
一難去ってまた一難
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オアレ稲に発生した害虫、それを克服する新たな品種、そして更なる災害に帝国が揺れます。
帝国の最大の強みである食料支配、しかし弱みと表裏一体であり、中央貴族と地方の藩王国との格差も浮き彫りになっていきます。
事態を収拾するために『香君』が立ち上がる。美しくただ飾りでしかなかった香君の予想外の策戦。
一つの穀物に頼る食料支配の在り方を明らかにし、国の基盤を考え直すきっかけとなります。
設定が秀逸で、現代社会にも通じる問題が内包されてます。いろいろと考えさせられる物語。