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みんなのレビュー909件

みんなの評価4.0

評価内訳

高い評価の役に立ったレビュー

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/09/11 13:53

置き去りの哀しさ

投稿者:AQUIZ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 江戸が舞台の時代物であり、出自通りに人ならぬ妖達が罷り通る和製ファンタジィであり、広義の安楽椅子探偵ものである(実質は、椅子に座るも侭ならぬ病床探偵であるが)。
 古典推理小説の様式を雛形とすれば、あらかた規格外揃いとなりそうな近年のミステリの体裁に近い構造となっている。
 しかし、当シリーズの本質は「置き去りの哀しさ」ではないのだろうか。
 探偵役たる主人公、一太郎は、両親始め、現代社会に置き換えれば大企業である店の一同、揃いも揃っての溺愛が過ぎ、布団に沈んでいるような少年である。
 幼時の一太郎は、今と変わらず寝付いてばかりで、家の回りで友だちと遊ぶにも不自由する有様。家族は誰も優しく、その気になれば贅沢三昧もできる裕福さ。しかし、どこへも行けない。大人になれず死ぬのだろうと、もはや絶望も恐怖も薄い。寝床の中に置き去りにされて、明日の無い一太郎。
 計らいあって、虚弱ながらも長らえた一太郎は、彼を愛する多勢の妖の助力を得る。
 まず、大方の人間に妖の存在は認識されない。
 この構図は、事実とは異なるが多重人格者の物語と重なって見えるのだ。
 水夫を従え、家業を取り仕切ることができる偉丈夫。
 容姿端麗で博学、彼に任せられた店である薬種商を切り盛りできる才覚。
 時に人をからかい、皮肉も云えば、良き同居人とも云える派手好みの男。
 好き放題に、自由に、転げ回ることのできる身体。
 布団に押さえ込まれたまま、一太郎は妖らに逆恨みもしない。自分の一部であるかのように。そうあれば、と思う力や特質が彼らにはあって、しかし、すべてが自分に都合良く運びはしない。
 出会いと別れは、自室から離れられない一太郎ばかりが受け身になって起こるように感じられてしまう。置き去りの哀しさ。手足となり、目となり、耳となる妖らは、決して彼の道具ではないが、心の支えでもある。
 そして、置き去りが約束されているのは、一太郎では実はない。
 いずれ彼が、亡き祖父のように一切を棄てても良いと思えるものに出会い、病も切り抜けて天寿をまっとうしたとして。
 彼を取り巻く妖らは、百年も千年も生き続けるのだ。
 積み重ねるほどに散らばった時の残骸は広がることを知っているのに、こぞって一太郎との関わりを積んでしまう妖ら。
 人外の威力ではない。あっけなく失うことを知り、それでもなお彼を愛そうとした妖らこそが強いのだ。

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低い評価の役に立ったレビュー

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/06/29 19:07

次々と襲われる薬種問屋の謎。身体の弱い廻船問屋の若旦那一太郎が、妖たちの力を借りて事件解決に乗り出すファンタジー時代小説。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作品は、妖たちが見え、彼らに守られている身体の弱い廻船問屋長崎屋の若旦那一太郎を中心とした物語である。
物語を牽引していくのは、長崎屋の薬種問屋を任されている一太郎が、次々と襲われる薬種問屋の事件を、妖たちの力を借りて解決するというミステリー。
物語を創りあげているのは、肯定的に描かれた妖たちと彼らを見ることが出来る一太郎であり、ファンタジー要素の強い作品となっている。


宮部みゆき作品に「震える岩」「天狗風」「あかんべえ」「かまいたち」などの霊や妖が登場するものがあるが、こちらは霊や妖たちは怪異な存在として位置づけられており、その世界は異なる。


廻船問屋長崎屋の若旦那であり、薬種問屋を任されている一太郎は、身体が弱くすぐに寝込むために、両親や、手代の姿を仮りて一太郎を守る二人の妖たちに過保護に扱われている。
にも関わらず、思うところあって夜に家を出た一太郎は、その帰り、人殺しに行きあたった。
薬の香りに惹き付けられたその殺しをした男は、薬を寄こせと一太郎を執拗に追い始める。
一太郎は、鈴の付喪神・鈴彦姫と火の妖怪・ふらり火によって窮地を脱したが、数日後、命をあがなう薬をくれと薬種問屋にやってきた男に襲われた。

物語の始まりは、一太郎が出くわした人殺し。
それにまつわる数々の謎が物語を引っ張っていく。
○首から血を流して死んでいたはずが、首を切り落とされて発見された大工
○大切な大工道具がバラバラに売り払われていたこと
○次々と薬種問屋だけが襲われること
○薬を欲しがり薬種問屋を襲う男が別人であること
など不可解な謎から、身体の弱い一太郎が妖たちの助けを借りて、事件の解決に乗り出す。

このように、妖が肯定されている物語の世界と、ミステリーによる物語を展開させる手段は魅力的なのだが、この作品を手放しで楽しめないものが散見される。
○物語の展開に関わりの少ない、とりとめのないやり取りが多い
○一太郎の身体の弱さが、何度も細かく描かれている
○一太郎の親友で菓子屋の栄吉の、菓子作りの下手な様子が何度も描かれている
○次に行うべきことが分かっているのに、それに手をかけない展開の遅滞
○会話の冗談が作者の頭の中でしか成立していないように感じる
○一太郎が「妖の考えは人間とはずれている」と思っていることは、単なる意見の相違に過ぎない
など、作品づくりの甘さによって、ミステリーにも集中できず、妖と一太郎が創り出す世界にも集中できず、全体的に間延びしたような印象を受けた。

あらすじや物語の設定が魅力的であるだけに残念。
短編にしたら内容が取捨選択されて、物語がシェイプアップするのではないだろうか。

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909 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

次々と襲われる薬種問屋の謎。身体の弱い廻船問屋の若旦那一太郎が、妖たちの力を借りて事件解決に乗り出すファンタジー時代小説。

2010/06/29 19:07

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作品は、妖たちが見え、彼らに守られている身体の弱い廻船問屋長崎屋の若旦那一太郎を中心とした物語である。
物語を牽引していくのは、長崎屋の薬種問屋を任されている一太郎が、次々と襲われる薬種問屋の事件を、妖たちの力を借りて解決するというミステリー。
物語を創りあげているのは、肯定的に描かれた妖たちと彼らを見ることが出来る一太郎であり、ファンタジー要素の強い作品となっている。


宮部みゆき作品に「震える岩」「天狗風」「あかんべえ」「かまいたち」などの霊や妖が登場するものがあるが、こちらは霊や妖たちは怪異な存在として位置づけられており、その世界は異なる。


廻船問屋長崎屋の若旦那であり、薬種問屋を任されている一太郎は、身体が弱くすぐに寝込むために、両親や、手代の姿を仮りて一太郎を守る二人の妖たちに過保護に扱われている。
にも関わらず、思うところあって夜に家を出た一太郎は、その帰り、人殺しに行きあたった。
薬の香りに惹き付けられたその殺しをした男は、薬を寄こせと一太郎を執拗に追い始める。
一太郎は、鈴の付喪神・鈴彦姫と火の妖怪・ふらり火によって窮地を脱したが、数日後、命をあがなう薬をくれと薬種問屋にやってきた男に襲われた。

物語の始まりは、一太郎が出くわした人殺し。
それにまつわる数々の謎が物語を引っ張っていく。
○首から血を流して死んでいたはずが、首を切り落とされて発見された大工
○大切な大工道具がバラバラに売り払われていたこと
○次々と薬種問屋だけが襲われること
○薬を欲しがり薬種問屋を襲う男が別人であること
など不可解な謎から、身体の弱い一太郎が妖たちの助けを借りて、事件の解決に乗り出す。

このように、妖が肯定されている物語の世界と、ミステリーによる物語を展開させる手段は魅力的なのだが、この作品を手放しで楽しめないものが散見される。
○物語の展開に関わりの少ない、とりとめのないやり取りが多い
○一太郎の身体の弱さが、何度も細かく描かれている
○一太郎の親友で菓子屋の栄吉の、菓子作りの下手な様子が何度も描かれている
○次に行うべきことが分かっているのに、それに手をかけない展開の遅滞
○会話の冗談が作者の頭の中でしか成立していないように感じる
○一太郎が「妖の考えは人間とはずれている」と思っていることは、単なる意見の相違に過ぎない
など、作品づくりの甘さによって、ミステリーにも集中できず、妖と一太郎が創り出す世界にも集中できず、全体的に間延びしたような印象を受けた。

あらすじや物語の設定が魅力的であるだけに残念。
短編にしたら内容が取捨選択されて、物語がシェイプアップするのではないだろうか。

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虚弱だけどしたたかで、細くしぶとく生きていく

2007/01/06 21:28

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 タイトルの「しゃばけ」とは何だろうと首を傾げ、色いろと想像してしまいました。我ながら傑作だったのは「塩鮭を咥えた化け猫」。妖怪がたくさん出てくる話という前知識があって、ちょうど書店で同シリーズの「ねこのばば」を見かけたので無理もないと思うのですが、何のことはない「娑婆気」だったのですね。漢字で書いてくれればすぐわかったのに……
 さて時は江戸、江戸有数の廻船問屋の一粒種である「若だんな」一太郎は、体が弱くて外出もままならず、両親から溺愛されています。両親だけでなく店のもの総出で若だんなを心配し甘やかし可愛がり、周囲で評判になるほど。でも誰よりも、「若だんな命!」と燃えているのは、世話係兼お目付け役である二人の妖です。犬神の佐吉と白沢の仁吉。もともと人間とは感性の違う妖である二人は、さらに度を越した若だんな至上主義のため、周囲から浮いていることもしばしば、若だんなをハラハラさせています。他にどっさり出てくる妖怪たち(屏風のぞき、家鳴など)も、個性豊かで自由気ままに振舞っています。
 本作では、偶然人殺しを目撃してしまった若だんなが、馴染みの妖怪たちと事件解決に乗り出すのですが、この若だんな、粗筋を読む限りでは春の陽だまりのような人という印象がありました。おっとり、のほほんとしてひたすら良い人なのだろうと。どうしてどうして、一筋縄ではいきません。何度も死を間近に感じたゆえか、シニカルでドライな一面も持っていて、文句を言いつつも甘やかされた立場を上手く利用している喰えない奴なのです。佐吉、仁吉との関係にしても、彼らを無条件に信頼し全てを預けているというわけでもなく、妖としての一面を垣間見せる彼らと対する緊迫した場面は見ものでした。
 物語も推理仕立ての人情話と思いきや、妖怪も人間も結構みんな身勝手で、その身勝手さが積み重なって、事件の結末はズンと胸に重いものでした。けれど全体としては愉快で温かく、江戸の風情もたっぷり楽しめる小説です。1巻目は長編ですが、連作短編風にいくらでも続いていきそうです。私が気になるのは、とっても才能がない菓子屋の後取り息子、栄吉。頭が良く商売の才覚もありそうなのに体の弱い一太郎といい、丈夫だけど菓子造りの才能がからきしない栄吉といい、親御さんの悩みは尽きません。

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紙の本

次作に期待

2005/12/20 22:46

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る

病弱で何かにつけてはよく寝込む、江戸でも有数の廻船問屋の一人息子、一太郎の周りには、店の手代の二人をはじめなぜか妖(あやかし)のものたちが大勢姿をみせる。たまの外出のときに人殺しを目撃したことから、周囲で不思議な事件が何度かおこる。一太郎は、妖たちといっしょに事件を調べはじめるが・・・。
時代小説、ミステリ、捕り物帳、ファンタジー小説などの良いとこ取りをしたような内容、出てくる妖怪たちと一太郎との会話も楽しく、また、人殺しとなぜ一太郎の周りに妖怪が現れるのかという謎に引き込まれ、なかなかにおもしろい。のですが、大きな不満が。せっかく出てくる妖怪が、あんまり活躍しない。やることといったら、寝込んでばかりであまり外出できない一太郎のかわりに情報を集めてくるくらい。これじゃああまりにもったいないような気がするのですが・・・。シリーズ化されているようですので、次作以降に期待します。

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ファンタジーノベル大賞の中の平均作。だから、期待しすぎてはいけません。反動で、次回作以降を読むことができなくなります、私のように・・・

2005/07/19 20:08

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

《廻船問屋長崎屋の一人息子の一太郎は、家族に内緒の他出の帰り道、人殺しの現場に出会い、下手人に顔を見られてしまう。彼を守るために、妖怪たちが立ち上がる》
タイトルもですが、カバーデザインが面白いですこういった下手うまの装丁、どこかで見かけた気がしますねする。話は、江戸時代を舞台にした妖怪談です。妖怪自体は、昔ほど特殊な存在ではなくなった今日此の頃ですが、彼等に守られる生き方と言うのが新鮮です。ファンタジーノベルに新しい風が吹くのでしょうか。
一太郎は、江戸でも屈指の廻船問屋長崎屋の一人息子で十七歳。兄を早く亡くし、両親から大切に育てられてきました。しかし体が病弱で、すぐに寝付いてしまいます。そんな彼が両親にも内緒で出かけた先からの帰り道、付喪神の鈴彦姫と語るうちに見てしまった殺しの現場。ほうほうの態で帰った彼を迎えたのは、祖父が彼の守りにと幼い時につけた二人の妖(あやかし)仁吉と佐助でした。
幼少の時から、彼らと育った一太郎にとって、妖は身近な存在でした。しかし、それを知るものは、いません。病弱な一人息子を気遣う父の籐米兵衛と母親のおたえ。江戸の町に相次ぐ殺人事件。薬を求めるような犯人の不思議な言動。捕まえても、別のところに起きる似通った事件。甘味屋の三春屋で修行中の幼馴染 栄吉とお春を巻き込みながら、一太郎に迫る魔の手。妖といえども手が出ない相手に混乱が続きます。
13回ファンタジーノベル大賞優秀賞作品だそうです。漫画家でもある著者が、小説に挑んだ作品。妖(あやかし)の世界が、馴染みとなってしまった今では決して目新しい話ではありません。事件そのものも、宮部みゆきの作品を思わせるところがあって、「どこかで読んだ」気がします。坊ちゃんの成長振りというのも、人の心を動かすほどではありません。妖怪も、仁吉と佐助以外は魅力がありません。ただし、文章が読みやすいのと、妖怪の存在が既に読者にとって身近なせいか、それなりに楽しむことが出来ます。ただ大賞の『クロニカ』のオリジナリティには遠く及ばない、そういっておきましょう。

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江戸の妖しいミステリ。

2008/07/08 16:29

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る

ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞の本作、期待を持ってページを開く。
うーん簡単に言ってしまうと、妖怪モノとミステリが合わさった作品。
絵本レベルのミステリではなく、それなりに練って書かれた物だとは分かる。
けれども。やはりミステリに妖怪はご法度な気がする。
「妖怪が憑り付いていたから」とか妖怪ならではの理由、
ってのはやっぱりなんだかどうも、頂けない。時代物のミステリというのは
その時代だから許される的な物が基本にあるので、さらに妖怪の能力が、
となってしまうとやはりすっきり納得できなくなってしまう。

それでは妖怪モノであるかと取れば、妖怪そのものにあまり魅力が無い。
二人のメインの妖怪はそれなりに存在感を出してるけれど、何せ人間の姿で
人間の名前を表に出して、異様な程のパワーを出すわけでもなし。
さらには人間に殴られて、気絶したりもして。
細身の優男と大型の大丈夫でキャラ分けしているようだけど、
どうも文脈からそれを感じられないし、他の妖怪に至っては影すら薄い。
主人公の若旦那も周りを取り巻く登場人物も、これまた魅力に乏しい感じ。
もう少しキャラクタを立ててもらったら、物語に入り込み易いかも。
ただどうやら主人公若旦那にはまだ隠された力がありそうで、次作以降
キャラクタも面白さも、加速していくのかもしれないけれど。

それからどうも、テンポが気になる。物語の始まりに、
登場人物の関係がはっきりしないうちにどんどん話しが進んでしまい、
最初の殺人が起きてしまう。読んでる側はまだ??なうちに事件が
起きてしまうので、どうも物語りに入りこめない。
と思えば妖怪達の力関係を説明するシーンでは、それだけに
10ページを費やしてみたり。さらさらと読んでしっくり来る感、
に乏しい感じ。ただ各章の初めのページに描かれた妖怪達が、
すごく可愛いかったw。そのイラストのおかげで、
色んな意味で物語を読み進めるのに、役立ちました。

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妖(あやかし)より恐ろしいのは人間

2006/08/20 11:20

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る

「しゃばけ」シリーズの第1作。実に愉快で面白い。こんなに面白いシリーズを逃していたなんて…。
さあ、大江戸妖怪ファンタジーの開幕です。
廻船問屋問屋長崎屋の跡取り息子の一太郎。17歳にして薬種問屋を任されている。しかし、一太郎は生まれながらにして身体が滅法弱い。いつも寝込む日々。その一太郎に寄り添うように守るのは犬神と白沢。一太郎には、人間には決して見えない妖怪たちの姿が見える。そんな一太郎が遭遇する殺人事件。
一太郎が備えている特殊能力「妖怪が見える」というのが楽しい。生き物だけではなくどんなものにも精霊が宿っているという、江戸ならではの考え方が斬新です。これが、この物語のキーになっています。
妖怪たちがまた可愛い。鈴についている彦姫、屏風のぞき、鳴家(やなり)などなど。そして、いつも側にいる、犬神と白沢もまた妖怪の上に立つ兄貴分。それより上の一太郎はまさに妖怪を束ねる王子。わたしはアニメ「怪物くん」を思い出してしまいました。
さて、なぜ若だんな一太郎には妖怪が見え、妖怪が身を守っているのか。それは、彼の出生の秘密に絡んでいるのです。これが第2のキー。
そして、若だんな一太郎が事件の謎を解いていくうちに徐々にわかっていく生い立ち。どうしても逃れることができない運命に、立ち上がっていくのです。
いつも寝込んでいる若だんなが闘うラストは、すごくかっこいい。まさに妖(あやかし)を束ねるプリンス。わたしはてっきり、江戸を舞台にした推理小説と思っていましたが、こういう展開だったとは…。
娑婆気とは、俗世間における、名誉・利得などのさまざまな欲望にとらわれる心のことだそうです。図らずも小説の中で妖たちがいう、「妖より恐ろしいのは人間」という言葉が最後まで心に残ります。
さて、このシリーズの開幕の作品は、まだまだいろんな謎を残してくれています。これから徐々に明らかになっていくことでしょう。
そしてもう一つ、カバーの作者柴田ゆうさんの表紙が実にマッチしていて、かわいい。
本作品は、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。なるほどとうなづける1作です。

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楽しめた

2021/01/31 08:22

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る

同じ著者の『けさくしゃ』を以前読んで全然面白くなかったのですが、新潮文庫100冊に入っていたので読みました。こちらは意外と最終版まで謎が謎のままで、結末が気になりましたし、『けさくしゃ』と違って著者が読者を無理やり楽しませようとするあざとさがなくて、素直に楽しめました。

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楽しいシリーズ。

2015/08/31 13:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:eri - この投稿者のレビュー一覧を見る

楽しさ、可愛さ、騒々しさと同時に、ひやりとした感覚も楽しめる本だと思います。感覚の違いも面白く、時折はっとさせられました。

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道具立てはおどろおどろしいですが・・・

2005/05/16 22:51

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふぉあぁ - この投稿者のレビュー一覧を見る

漆黒の闇に包まれた夜、わずかな灯火(ともしび)の影にはなにかが潜んでいるように感じてしまう。
昔の人々は 人知の及ばぬ物の怪と当たり前のように 隣り合わせに過ごしていたのかも知れません。
そんな江戸時代でも この物語の主人公 廻船問屋の若旦那 一太郎は特別な存在だったのです。
すぐに寝込んでしまうほど体の弱い一太郎には、しっかりものの手代が二人 彼の面倒を見るためにと言いながら、まるで監視をするかのようにいつも付き従っています。 が なんと、この佐助と仁吉は、実は妖(あやかし)が人の姿をしているものなのです。
ある夜、手代の目をごまかして外へ出て行った一太郎は人殺しの現場に居合わせてしまいます。 そして事件に巻き込まれた一太郎は、妖たちと事件の解決のために知恵を絞っていくのです...。
妖、殺人と道具立ては おどろおどろしいですが、物語はなぜか ほのぼのとした ちょっと温かな雰囲気につつまれています。
この本を読み終わったときには、心地よい優しい風に包まれたような気分になっていました。
さぁ続編を買わなくちゃ。

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紙の本

「若だんな」と「一太郎」の「妖」隠し?

2005/02/04 12:42

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:真琴 - この投稿者のレビュー一覧を見る

そう、あの映画に似ているのだ。
身の回りの物は、長年大事にしていると「付喪神(つくもかみ)」になれるらしい。
長年大切にされ、付喪神になれた茶器。
親方には大切にされてきたが、人間の勝手によって壊され、付喪神になれない墨壷。

主人公「一太郎」は廻船問屋の若だんな。生まれた時から体が弱く、両親からは赤ちゃん以上に甘やかされ、自由な外出もままならい。
その若だんなに仕えているのが、手代(お店の使用人)である「佐助」「仁吉」の2人。実は名の知られる妖怪なのだ。
2人以外にも、顔は怖いが気の弱い子鬼の妖怪「鳴家」、派手な身なりでふすまから抜け出てくる「屏風のぞき」など個性的な妖怪達が若だんなと同居している。
妖怪同士で相性の良し悪しはあるが、若だんなを守るという気持ちはみな同じ。

ある日若だんなはある事件に巻き込まれ、妖怪達に協力してもらい犯人探しを始めるが、佐助や仁吉よりも上位の妖怪「見越の入道様」に出会う。そして入道様は、妖怪達にも心を開き正直に接し、優しく強い心を持つ若だんなの味方になる。

逞しく成長していく若だんな。心優しいい妖怪達。力ある入道様。付喪神の意味。

どうでしょう? 似ていませんか?

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電子書籍

すごいな

2023/12/04 18:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みぽこぽこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

随分前に読んだけど、また読みたくなって。
シリーズの最近発売されたものを読んでから、ふと1番最初に戻ってみた。
やっぱり、これがシリーズの中で1番面白い。
それがデビュー作なんてすごいな。

最近の話は、比較的穏やかで血生臭くなくて、可愛らしい。私は、このデビュー作のような、妖と人間が馴れ合っていない方が好きかな。

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電子書籍

妖怪もの

2022/01/04 20:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

しかし、捕物帖の要素もあります。捕物帖っていっても、安楽椅子探偵の一太郎ですが……。全体的にどこか、水木しげるの世界も投影されているようですね。賞を取った作品だけのことは、あります

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妖怪ファンタジー

2019/05/11 21:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る

江戸の町を背景にしたミステリー仕立ての妖怪ファンタジーで、ヒットの要素が詰まった大江戸人情推理帖。
 病弱な大店の若だんなの一太郎は、生まれた時から妖怪たちに守られて暮らしています。そんな一太郎が殺人現場に出くわすところから物語は始まります。その後、不可解な連続殺人事件に発展し・・・。そもそも、一太郎を何故妖怪達は守っているのでしょうか。そして、徐々に明らかになる一太郎の出生の秘密。日本ファンタジーノベル大賞受賞も納得の快作でした。
 既にシリーズ化されていますので、毎月1巻毎読んでいこうかなと思いました。

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紙の本

妖が普通の存在として扱われる不思議な世界は実に興味深い

2017/05/23 23:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

妖が普通の存在として扱われる不思議な世界は実に興味深いのだが、妖の社会実態そのものが余り描かれていないためまだピンとこない。若旦那中心の流れで、なかなか本題に収斂しないもどかしさも気になった。連続する不可解な殺人事件が「妖になりそこねた」=「なりそこない」によるものらしいと推測してからの展開は速やかで楽しめた。そして、若旦那が実は人間と妖との間に生まれたという誕生の秘密が明かされてお仕舞。まだ、面白さが十分に伝わってこないけど、もう少し妖の世界を覗いてみたい気持ちにさせられました。

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紙の本

シリーズ読み返し中です

2017/04/29 20:39

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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

今になって読み返してみると親切すぎる説明的なセリフが多いですね。それでも 体が弱くて世間知らずだが 芯はしっかりな若だんなと周囲のみんなの魅力がいっぱい!

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