漫画「ちはやふる」が読みたくなる見どころ解説1<序章編1首~17首>

ちはやふるストーリー 第1首 – 第5首

※この記事には、ちはやふるのネタバレを含みます。内容を知りたくない方は閲覧をお控えください。

主人公・千早と新との出会い ― 競技かるたへの情熱が芽生え始めます

 「ちはやふる」主人公の綾瀬千早(あやせ ちはや)は、明るく元気な小学校6年生の女の子です。表裏のない、とても素直な性格の持ち主で、誰とでも仲良くできるけれど、思ったことをそのまま口に出してしまうところが長所であり短所です。

千早には、1歳年上の姉の千歳(ちとせ)がいます。千歳は、自他ともに認める「すごい美人」で、ミスコンにも出場し、度々メディアにも取り上げられていました。

千早にとって、千歳は自慢の姉です。「お姉ちゃんが日本一になるのが私の夢」だと千早はずっと思っていました。

ひょんなことから千早は、同じクラスの転校生・新(あらた)と関わるようになります。大人しくて無口な新でしたが、じつは彼には意外な特技=物語の主題になっている「小倉百人一首の競技かるた」があったのです。

千早は、新との出会いをきっかけに、競技かるたに魅了され情熱を傾けていきます。

物語の序章である第1首からテンポよく展開します。ここから、第1首~5首の中の見どころを登場人物ごとにご紹介していきます。

前回の記事、「漫画でわかる競技かるたを描く青春ドラマ「ちはやふる」の徹底解剖」に書いておきました、「登場人物相関図」をご覧いただくと、全体のストーリーがより分かりやすくなっています。

ちはやふるの見どころ・千早(ちはや)編 「私が出会ったのは・・・」

二次元目!より

千早は、新に出会って競技かるたの魅力にはまっていきますが、ちはやふる単行本1巻で、自分自身も「あたしが出会ったのはかるたじゃない」「新の情熱だ」と語っています。

その後、高校生になってからも、いつも千早は新を思い浮かべます。恋愛一色のストーリーにはならない「ちはやふる」ですが、ちはやふる単行本20巻以降は、千早と新の距離感にも変化が現れます(アニメでは3期)。

小学生の千早と新の言動にも、「もしかして?」と思わせる伏線(のようなセリフ)があったりしますので、最新刊まで一度読んでから読み返してみるという、また違った楽しみ方もできます。

ちはやふるの見どころ・新(あらた)編 「チームになってみたくて」

二次元目!より

千早、新、太一は、かるた会「府中白波会」を訪れます。「府中白波会」の会長の原田先生も「子供は、友達がいないと続けられないんだ」と語っていましたが、幼いころからかるたに慣れ親しんだ新にとっても、千早と太一が初めての友達であり仲間でした。

とある経緯から、新はかるた会で木梨浩(通称:ヒョロくん)と試合をすることになります。新は、千早と太一の三人チームで試合をしようと言います。

新の大活躍により、三人は試合に勝つことが出来ました。試合後、「新ひとりの方が楽に勝てたんじゃないか」と投げかける太一に、新は「チームになってみたくて」と答えるのです。口数の多くない新の気持ちが凝縮された一言です。

この時の対戦相手の木梨浩(通称:ヒョロくん)は、後に競技かるた名門校の北央高校へ進学し、千早たちが創部するかるた部とライバルとして戦うことになります。

ちはやふるの見どころ・太一(たいち)編「勝つんだろ3人で」

ブログだったより

千早と新は、かるた会へ入会し、競技かるたに取り組むことに意気込みを見せます。しかし太一は、「塾があって毎回来るのは・・・」と、入会こそするものの少し戸惑っていました。

そんな時、かるた会に「市大会」の知らせが掲示されます。小学6年生で出られる最後の大会に千早は出場しようと、新と太一に声を掛けます。

いつも小学生とは思えぬほど落ち着いている太一が、「勝つんだろ、3人で」と、チームでの試合に意気込みを見せます。器用でどこか冷めている太一からは想像しがたい姿でした。太一も徐々にかるたに対して熱を入れていくのです。

ちはやふるストーリー 第6首 - 第11首

千早と新と太一の関係の変化 ― それぞれの進む道

※この記事にはネタバレを含みます。内容を知りたくない方は閲覧をお控えください。

 かるたを通じて千早・新・太一の三人は絆を深めていきます。しかし、三人にもそれぞれが進む別々の道が待っていました。

小学校卒業後、新は祖父の容体が変化したために地元福井へ戻ることになってしまいました。

太一も小学校卒業後は、名門中学校への進学を決めていて、千早たち三人は別々の道を進むことがここで決定しました。小学校の卒業式で、千早は「かるたを続けていればきっとまた会える」と信じて三人で約束を交わします。

新と太一と別々の中学校では、かるた仲間に出会えず、寂しい思いをしながらも千早は、ひとりで競技かるたに青春をかけることを止めませんでした。

高校へ進学し、太一が同じ高校へ進学していたことを知った千早は、太一に「かるた部をつくろう!」と声を掛けます。消えていない競技かるたへの情熱をぶつけるシーンです。

最初は「青春全部かけたって新より強くなれない」と、かるたに真剣に向き合うことを避けていた太一ですが、千早のひたむきな姿勢に次第に心を動かされます。

小学校を卒業してから地元の福井へ帰っていた新を、千早と太一が訪ねます。ところが、かるたへの情熱をすっかり失い、変わってしまった新がそこにはいました。

新に何があったのか、新の情熱を取り戻すことができるのかについては、以降の展開にご注目下さい。

ちはやふるの見どころ・千早(ちはや)編 新を思う気持ち

アフィリええっとより

小学校卒業以来、会えていなかった千早と太一は、同じ高校に進学していたことで再会します。

太一と再会した千早は、自身の昇級をどうしても新に伝えたくて、福井にいる新に電話をかけます。ところが、新からの言葉は「かるたとかもうやっていないから」でした。千早は、太一と共にさっそく福井へ向かいます。

福井で千早たちは新に再会できるのですが、やはり新は、ある出来事をきっかけに心を閉ざしてしまっていました。千早と太一は諦めて東京へ帰ろうとします。

帰りの列車の車中、千早は、自分を呼ぶ新の声をかすかに聞き取ります。そして窓の外をのぞくと、そこには自転車で列車を追う新の姿がありました。

新の姿を見て、千早は「新がかるたを嫌いになったんじゃなくてよかった」と嬉し泣きをします。新ともう一度かるたをやりたい気持ちが強かったことがうかがえます。

前回の記事、「漫画でわかる競技かるたを描く青春ドラマ「ちはやふる」徹底解剖」の相関図を見て頂いた方にはお分かりかと思いますが、このシーンで千早が太一に抱き着くというのが、千早の性格が純粋であり、反対に太一にとっては複雑な場面です。男性によっては「残酷」なシーンですね。

ちはやふるの見どころ・新(あらた)編 「神様はおれじゃない」

二次元目!より

千早と太一の二人を巻き込むほどの、かるたへの熱い情熱を抱いていたはずの新は、ある事件をきっかけにかるたを辞めていました。じつは、新がかるたをやめてしまったのは、かるたを始めるきっかけをくれた祖父の死でした。悲しい出来事から自分を責めていたのでした。

福井を訪ねた千早が、新に宛てて書いていた手紙の中に、「新をかるたの神様みたいに思っています」という言葉がありました。それを見た新は、自分が「かるたの神様」と慕っていた祖父のことと小学校時代にかるたに打ち込んだ自分たち三人のことを思い出します。

新はまたかるたへの情熱を取り戻すことが出来るのか、そして千早と太一に再び会えるのかが注目のポイントです。見えない未来に思いをめぐらして、自分はどうするのかを悩むのは、まさに「青春」そのものです。

ちはやふるの見どころ・太一(たいち)編 「一緒につくってやるよ」

PUNIPUNI JAPANESE STOREより

新と福井で再会し、新の真意を感じて「新がかるたを嫌いになったんじゃなくて良かった」と涙を流す千早に、太一が言った言葉です。

太一は子どもの頃からずっと千早のことを想っていました。しかし千早が新を想うことを知りながら、「新はかならず戻ってくるから」と、一緒にかるた部を創設しようと応える太一の姿が素敵すぎます。

後に千早とともにかるた部を創部し、太一はかるた部の部長に任命されます。かるた部の部長としてチームの精神的な柱となる太一ですが、こうして自分の気持ちをおさえることが出来る太一に好感が持てるのは自分だけでしょうか。

希望をかけたぶんだけ失望が増えていくのですが、でも目の前の期待に応えることが自分の希望につながるのではないかという心理まで読むのは、読みすぎでしょうか。

ちはやふるストーリー 第12首 - 第17首

かるた部員それぞれの葛藤とチームの結束

※この記事にはネタバレを含みます。内容を知りたくない方は閲覧をお控えください。

千早と太一が進学した瑞沢高校で創設したかるた部は、かなちゃん、西田くん(肉まんくん)、駒野くん(机くん)の三人の新メンバーを迎え総勢五人になります。

新メンバーも主人公に負けず劣らずの個性豊かな人物ばかりです。個性あふれるメンバー自身それぞれの葛藤と、チームでの勝利を目指して、気持ちを一つにしていく姿は、まさに本格的スポ根漫画です。

瑞沢高校かるた部は、団体戦での全国大会出場を目指し、強豪ひしめく東京都予選に臨みます。そして決勝戦へ勝ち進みます。全国大会東京都予選大会でも、登場人物それぞれの過去をも呼び起こすドラマが待ち受けているのでした。

ちはやふるの見どころ・太一(たいち)編 「・・・・」

すごないマンガがすごい!より

全国大会出場を目指し、瑞沢かるた部は合宿を行うことになりました。合宿の夜は千早の誕生日が重なったことで、メンバーはサプライズで千早の誕生日を祝います。

いつものノリで太一に「ケーキをあげるふり」をする千早の手をとり、食べかけのケーキを太一が食べてしまうシーンがあります。

この場面での太一の表情は、あえてはっきりと描かれていないので、読み手の想像をかきたてられます。三人の関係が変わっていく印象深いシーンです。

じつはこの前後には、太一が千早にとっての新の存在を感じてしまう描写があり、どきどきしながらもある意味切ないシーンです。

ちはやふるの見どころ・チームになっていく瑞沢かるた部

良きマンガ求ム!より

全国大会出場を目指す瑞沢高校かるた部は、ついに東京都予選大会の日を迎えます。

強豪ひしめく大会で、思うように勝てない新メンバーや、かるたに全力を注がなかったブランクを悔やむメンバー、エースとしての重圧に苦しむ千早など、それぞれの葛藤を乗り越えていく成長シーンが描かれています。

試合をしながらそれまでの自分に打ち勝ち、「本物の」チームへと変化していく様子は、ちはやふる3巻でお楽しみください。

ちはやふるの見どころ番外編・強豪「北央学園」との腐れ縁

東京都予選大会での決勝戦の相手は、全国大会常連校の北央学園でした。北央学園かるた部メンバーとは、この試合をきっかけに良きライバルとなり、常に切磋琢磨していく関係となっていきます。

ちはやふるに登場する人物は、全員キャラが濃く、主人公以外のサブキャラクターやエキストラ的なキャラクターもそれぞれ人気があります。その中でも人気が高いのは、ひときわ異色の個性を放つ「ヒョロくん」こと木梨浩です。

木梨浩は千早、新、太一が初めてチームで試合した相手で、高校生になっても局面に現れてくる人物です。

「ヒョロくん」というあだ名に違わぬヒョロっとした独特の動きと、対戦相手のオーダーをタロットで当ててしまう不思議な特技を持っています。

まとめ

ちはやふるのネタバレを覚悟して、見どころを交えながら、第1首から第17首までのストーリーを出来るだけ分かりやすく解説してみました。

ちはやふるは、序章からあらすじ展開が速く、エキストラまでも含めて全員が濃い登場人物で構成されています。

書き切れませんでしたが、千早と新と太一の幼なじみ三人の相関図の変化を予感させる数々の伏線も張ってあります。

次回は、第18首からの見どころを解説していきます。瑞沢高校かるた部の創部メンバーたちは、高校二年生に成長します。新入生を迎えて、よりチームとして成長していく瑞沢高校かるた部の姿と、あい変わらず複雑な千早・新・太一の関係の変化をお楽しみください。

以上、漫画「ちはやふる」が読みたくなる見どころ解説<序章編~1首から17首>でした。

ライタープロフィール

川添 勤(かわぞえ つとむ)

1968年生まれ。2010年フォロワー数20万人超えの「ハマコーTwitter」をプロデュース。
当時、日本のTwitterフォロワー数ランキングトップテン入りに貢献する。
2011年、故浜田幸一氏の最後の本となる「YUIGON」(ポプラ社)を監修。ベストセラーとなる。
2014年2月、キッザニア日本の創業者住谷栄之資氏の「キッザニア流!体験のすすめ」監修。
2014年10月には10万部を超えるベストセラーとなったゲッターズ飯田の「運命の変え方」に企画協力。

この記事で紹介した漫画

ちはやふる(1)

まだ“情熱”って言葉さえ知らない、小学校6年生の千早(ちはや)。そんな彼女が出会ったのは、福井からやってきた転校生・新(あらた)。おとなしくて無口な新だったが、彼には意外な特技があった。それは、小倉百人一首競技かるた。千早は、誰よりも速く誰よりも夢中に札を払う新の姿に衝撃を受ける。しかし、そんな新を釘付けにしたのは千早のずば抜けた「才能」だった……。まぶしいほどに一途な思いが交差する青春ストーリー、いよいよ開幕!!

ちはやふる(2)

千早(ちはや)が出会った転校生・新(あらた)は、小倉百人一首競技かるたという特技があった。千早は、誰よりも速く、夢中に札を払う新に衝撃を受ける。しかし、そんな新を惹きつけたのは千早のずば抜けた「才能」だった。同級生の太一も加わり挑んだ団体戦。別れの切なさを知った卒業式……。高校生になった千早は、離れていても、三人のかるたへの情熱は変わらないと信じていたが――!? 千早たちの切なる想いがきらめく第2巻!!

ちはやふる(3)

千早(ちはや)は、転校生・新(あらた)が、小倉百人一首競技かるたの札を払う姿に衝撃を受け、同級生の太一(たいち)とかるたを始める。卒業で離れてしまっても、新のかるたへの情熱は変わらないと信じる千早は、新との再会の日のため、強くなることを太一と誓い合う。そんな二人の情熱に導かれた新たな仲間とともに、瑞沢高校かるた部が動き出した。団体戦での全国大会出場を目指し、強豪ひしめく都予選にのぞんだ千早たちは!?

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