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翻訳夜話 みんなのレビュー

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一般書

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みんなのレビュー127件

みんなの評価4.0

評価内訳

127 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

翻訳が好きで好きでたまらない

2001/02/14 16:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:経済セミナー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 論文・レポートの必要に迫られて、翻訳に一度や二度悪戦苦闘した経験は、ほとんどの読者がお持ちであろう。また翻訳は労多くして、見返りの少ない仕事とも言われる。苦労して成し遂げた訳文の誤訳・迷訳を指摘され、あげくの果てに原文で読んだほうがましだと言われたときのショックときたら……。「翻訳=憂鬱な仕事」と考えている読者が大半なのではなかろうか。
 でも、そんな人にこの本を一読することを是非すすめたい。レイモンド・カーヴァー全集の翻訳をはじめ、翻訳家としても旺盛な仕事をしている作家・村上春樹氏と、オースターの翻訳などで知られる東大教授・柴田元幸氏が翻訳という「仕事」の面白さを生き生きと語り合っている。
 いわゆる文芸翻訳と社会科学系の翻訳とはいろいろと違いがあるかもしれないけれど、「翻訳というのは言い換えれば、『もっとも効率の悪い読書』のことです。でも実際に自分の手を動かしてテキストを置き換えていくことによって、自分の中に染み込んでいく」(村上氏)という点は、寸分変わらないのではないか。翻訳に取り組むわれわれの姿勢に少なからずよい影響をもたらすであろう本である。(C)日本評論社

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紙の本

キュウリみたいにクール

2001/02/09 00:05

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nory - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本当だったら翻訳者を目指すような人しか読まないような内容かもしれないけれど、何といってもこのふたりが作った本なのだ。読まないわけにはいかないだろう。

 翻訳というのは、経験がものをいう職人の作業と同じものだ。コツコツと一歩ずつ進み、けっして出しゃばらず、常に一定のクオリティを保たなければならない。この本では、その裏技のようなものも書かれている。(『しぐさの英語表現辞典』は使える、というようなこと)

 『海彦山彦』では春樹さんがオースターを、柴田さんがカーヴァーを訳していてとても興味深く読めた。でもやっぱり、海は海彦、山は山彦だなと思った。訳者のテキストに対する思い入れやスタイルの違いからか、文章を読む勢いが微妙に変わってしまうのだ。こうやって比べてみると、よくわかるからおもしろい。

 春樹さん訳の『ライ麦畑でつかまえて』は本人もやりたがっているし、読者も待望しているところなのだけど、いろんなからみがあってなかなか難しいらしい。でももし出版されるとしたら、私の予想では題名は「キャッチャー・イン・ザ・ライ」でしょう。『キュウリみたいにクール』な訳になることは間違いない。

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紙の本

共同作業の問題

2012/01/22 22:17

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

けっこう話題になった本だったから、本屋の店頭で眺めてみたが、そのときは迷ったものの買うのはやめた。その後、複数の友人たちがほめるのを聞いて、またまたぐらつき、結局買って読んでみた。が、読み終わってみると、やはり店頭の勘は正しく、自分にとっては買うほどのことはなかった、というのが個人的な結論。
 
企画としては面白いと思う。小説家である村上春樹と、アメリカ文学者である柴田元幸は、それぞれ翻訳が好きで経歴も長い。友人でもあるその二人が、柴田の東大での授業や、若手翻訳家たちの集会などで、縦横に翻訳について語り合うというものである。それぞれが得意とする作家を二人で訳し比べてみる、という内容も含まれている。

だからまあそれなりに面白かったのだが、それはいわば雑誌の読み物程度の魅力で、二人のそれぞれの著書を既にけっこう読んでいる私としては、期待はずれだった。期待が大きすぎたのかもしれない。しかし、二人はそれぞれ個人の著書では、翻訳についてももっといいこと、深いことを書いていると思う。たとえば村上の素晴らしい紀行文である『遠い太鼓』では、翻訳についてのより切実な声が聞こえる。それなのに対談し、大勢で話し合っている二人は、それを深め掘り下げるよりも、肝心のところを互いに消し合ってしまっているように見える。

思うに、彼らの翻訳観には(特に村上)単に技術的ではない哲学のようなものがあって、それはどうも対談のような形では十分には出てこないのだ。何よりもそれは、彼らが最終的に語り部ではなく、物書きだからだと思う。

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電子書籍

作家であり

2021/08/02 23:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

翻訳もする村上春樹と、アメリカ文学の研究者の対談を本におこしたものです。お二人ご、なかなか、深いお話をなさってますね。でも、読んだことの無い本についての部分は、あまり、興味を持てませんでした

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紙の本

両氏の翻訳の秘密や翻訳に対する姿勢、両者の違い

2016/08/23 10:47

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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る

作家かつ翻訳家の村上春樹氏と翻訳家の柴田元幸氏のフォーラムでの対談及び出席者の質疑応答、また、レイモンド・カーヴァーとポール・オースターの同作品の両氏の翻訳が載っている。両氏の翻訳の秘密や翻訳に対する姿勢、両者の違いなどがわかって大変興味深かった。

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紙の本

翻訳家にはなれなかったが

2002/06/23 17:28

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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

学生時代、何冊かのペーパーバッグを買ったことがある。まるごと英語である。そのうちのほとんどが向こうのポルノ小説だった。ポルノ小説を買ったのは、自分の興味がある物語だったら翻訳しようという意欲が続くみたいなことを聞いたからだが(そして、大急ぎで自分の名誉のために、一冊だけ真面目な小説があったことを付け加えておこう。サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の原書だ)、もちろんそのことで僕は翻訳家になったわけでもないし、なれもしなかったはずだ。たんに気まぐれにすぎなかった。でも、この本の村上春樹さんの翻訳についての話を聞いていると、僕の英語の勉強方法はまちがっていなかったと思われる。ただ、根気と運命が、たぶん違っていたのだろう。
ちなみにサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は就職してから翻訳本で、しっかり読んだことも付け加えておく。

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紙の本

名人二人の競演

2001/06/24 22:19

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投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る

 3回のフォーラムと二人の競訳からなっている。1回目は柴田元幸の大学のクラスの生徒を相手に、2回目は翻訳学校の生徒を相手に、3回目は上級編ということで実際に訳書もある若い翻訳者たちを相手に行っている。
 競訳ではレイモンド・カーヴァーとポール・オースターの短編をそれぞれが翻訳している。
 村上春樹は翻訳の上達には自分が惚れ込むことのできるテキストを見つけることだという。村上春樹にとって、それがカーヴァーやフィッツジェラルドということになるのだろう。しかし、一般の人がそれを見つけるのは難しいのではないだろうか。
 競訳におけるカーヴァーの翻訳は、当たり前かもしれないが、もう圧倒的に村上春樹の方がいい。オースターの翻訳はいい勝負だと思う。
 文芸翻訳を目指す人は必読だと思うけど、村上春樹の言うことはちょっとレベルが高いと忠告しておく。

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紙の本

翻訳とはなにか

2001/04/17 18:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:55555 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 村上春樹は創作が終ると、その穴を埋めるかのように翻訳にのめり込む。
 柴田元幸は大学で学生を教える傍ら、翻訳をする。
 そんな数十年来の付き合いの二人が翻訳について語ったこの本。確かに翻訳については多く語られているが、技術的なことや実際的なことについては余り多く触れられておらず、そんな話を望む人には勧められないが、村上春樹や柴田元幸や翻訳が好きな人には面白いのではないか。

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紙の本

捨ててこそ浮かぶ自我あり翻訳道

2001/02/11 16:42

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投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 少し前から翻訳をしてみたいと思うようになっていた。たとえばロレンスとかワイルドの短編などを休日の午後、たっぷりと時間のあるときに楽しみながら翻訳することで、他人の脳を使って遊んでみたいと考えるようになっていた。その思いが少しずつ高まり、私の英語力に見合った「手頃な」素材を物色しかけた矢先、本書にめぐりあった。初級編、中級編、上級編と段階的に進んでいく(?)二人の翻訳名人の芸談義と競訳(村上がオースターを訳し、柴田がカーヴァーを訳す)を憧憬と陶酔をもって読み終えて、その思いがますます嵩じてきた。

 本書で村上が「翻訳的自我」(211頁)という言葉を使っていたのが面白かった。そこへ到るまでの発言を、前後の脈略抜きに思いだせるまま抽出しておくと、村上はまず「翻訳とはエゴみたいなものを捨てることだと、僕は思うんです。」(63頁)と語り始める。──昔、印刷術のないころには、現実的な必要に応じた写経や写本を通じて「人々は物語の魂そのもののようなものを、言うなれば肉体的に自己の中に引き入れていった。魂というのは効率とは関係のないところに成立しているものなんです。翻訳という作業はそれに似ていると僕は思うんですよね。翻訳というのは言い換えれば、「もっとも効率の悪い読書」のことです。でも実際に手を動かしてテキストを置き換えていくことによって、自分の中に染み込んでいくことはすごくあると思うんです。」(111頁)──「僕が感じるのは、翻訳をしているときには一つの仮面を被るというか、ペルソナを被るみたいなところがあって、…自分の立場の置き換えみたいなのが常に行われていて、それは、精神治療的な見地から言っても意味のあることなんじゃないかという気がしなくはないんです。」(198頁)──「翻訳というのは、極端に濃密な読書であるという言い方もできるかもしれない。」(199頁)──「僕が言いたいのは、自己表現的な部分は、柴田さん本人が思っているよりは強いんじゃないかということなんです。無意識的にというか、まるで自分の潜在的人格を愛するように…」(210頁)──「柴田さんの「翻訳的自我」と、まで言ってしまうと言いすぎかもしれないけど、でもくっきりとしたものは見えてきますよね。」(211頁)

 捨ててこそ、浮かぶ自我あり、翻訳道。──西田幾多郎も書いている。《自己の真摯なる内面的要求に従うということ、すなわち自己の真人格を実現するということは、客観に対して主観を立し、外物を自己に従えるという意味ではない。自己の主観的空想を消摩しつくして全然物と一致したるところに、かえって自己の真要求を満足し真の自己をみることができるのである。》(『善の研究』第三篇第十一章)

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紙の本

ベストセラーだが、内容が万人向けとは思えない

2000/12/01 14:42

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投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「片手間」以上の翻訳をしている作家・村上春樹。オースターの翻訳でお馴染み、「柴田くん」こと東大助教授・柴田元幸。本書は、ふたりの対談と質疑応答を中心に、翻訳の奥深さを明かしてゆく。
 第1部は、東大の教養学部生を相手に。第2部は、翻訳学校の生徒を相手に。途中、レイモンド・カーヴァーとポール・オースターの同じ短編をふたりがそれぞれ訳し、それを受けて第3部では若き翻訳者を相手にしている。ふたりの話や質問の内容は、もちろんページが進むにつれて、高度かつ技術的になってゆく。柴田もいい聞き役として、村上の文章観や翻訳観を引き出している。
 翻訳そのものに興味を持っている人、村上の熱烈なファン、柴田の仕事のファンであれば、全編を楽しく読めるであろう。そうでない人にとって、ほんとうに面白いのは第1部。ここでは質問が漠然としているだけに、村上春樹の文章観がいちばん強く、広く表れている。「書いたものは読み直さないが、英語に訳された自分の小説は距離を持って読める」など、普段のインタビューからはなかなか見えてこない作家・村上の真意が垣間見える。
 本書の売れ行きは順調であるが、内容は万人向けとは思えない。それだけ、村上春樹と柴田元幸のネームバリューがすごいということか。

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紙の本

日本一ハッピーな翻訳家に、翻訳とは癒しなりと教わった

2007/06/12 23:31

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mikan - この投稿者のレビュー一覧を見る

まず私個人のことを書いてしまうと、翻訳家になりたいと思ったことはないし、最近では小説もほとんど読みません。実は村上春樹の翻訳小説も読んだことはありません。それでも偶然この本を手にとってみたら、とてもおもしろかった。そして癒されました。

「テキストの文章の響きに耳を澄ませれば、訳文のあり方というのは自然に決まってくるものだと、僕は考えています」「誰かと何かと、確実に結びついているという。そしてその結びつき方はときとして「かけがえがない」ものであるわけです」

…そう、こういうのが読みたかったのよ!他人の言葉への目配りなく自意識だけが並ぶ文や、身の丈に合わない仰々しい言葉ばかりの文に疲れを感じる今日このごろ。他人の言葉を好きになって、自分の中の感覚とすりあわせながら聞きとろうとしている人、他者の言葉をこつこつと置き換えていくことが癒しだと感じる人の言葉は、理屈ぬきに読んで嬉しいものでした。

そういった翻訳の根っこの話とは別に、実際のテクニックの話も面白かった。「僕」と訳すか「俺」と訳すか?ダジャレの翻訳はどう処理するか?etc.。英文和訳に無縁に生きてきた私にはかなり意外なトピックでした。

さて、この本は、翻訳学校の生徒さんや若手翻訳者たちとの質疑応答などでできているのですが、読み終えてみると、実際に翻訳で頑張っている人たちは村上春樹のようにハッピーに翻訳するだけではなかなか済まんのだろうな…というのも感想です。

村上春樹はプロとして自分の文体やリズムを持っているし、自分の文に合う作家も自分でわかる、好きな作家を好きなペースで訳せば発行してもらえて読者がついて、お金も入る(自前のエッセイ・短編よりずっと安いとのことですが)、そして何より、翻訳で得たものを本業・小説に活かすことができる…翻訳で食べていこうとする普通の人には絶対にありえない環境なわけで…。ただ、そんな生活レベルの話を脇に置いてみると、翻訳の仕事の核の部分には、他人の言葉に無心で取り組むハッピーさがあるんだな、というのは初めて知りました。これは、他のお仕事にはなかなかないかもしれません。

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紙の本

翻訳海彦山彦

2020/08/04 15:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上&柴田の黄金コンビが、翻訳家の卵&若手的な方々向けに行った3回のフォーラムの記録集。参加者の質問に対して、対談形式で答えるその内容は、翻訳に関しての初級・中級・上級編という感じもあって読み応えがある。しかし、この本でいちばんのおススメは、ポール・オースターとレイモンド・カーヴァーの村上&柴田競訳コーナー「海彦山彦」だと思う。巻末には英語原文と、柴田版オースターと村上版カーヴァーも同時収録という徹底サービスぶりだ。
読者は、まず、ざっと読んで、次に比較読み、時々原文に当たるという、じっくり読みが可能で、翻訳家が違うとほんとにこんなに違うんだぁ...という発見、それ自体が面白い。

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電子書籍

良かったです

2018/09/29 09:18

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投稿者:晴耕雨読なわたし - この投稿者のレビュー一覧を見る

翻訳本は訳者でほんとうに大きく違いますよね
オースター最近は読んでなかったけれど十代の頃したしんでました。
好きなお二人の諸本でした。

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紙の本

翻訳家を目指す人あるいは春樹&柴田ファン

2003/02/11 19:54

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投稿者:りゅう - この投稿者のレビュー一覧を見る

 翻訳の細かい話にはついていけないところがあるが、その他の部分つまり具体的には東大教養部の学生との話とかは面白いと思う。小説家としての姿勢と翻訳家としての姿勢云々などは、なるほどなあと素人なりに思うのである。
 村上春樹あるいは柴田元幸ファンにとっては、いわば生の声を聞くことができるわけで、それだけでもうれしい一冊であろう。
 そして、近刊のサリンジャーの「ライ麦……」を楽しみにさせる一冊でもある。

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紙の本

翻訳家を目指す人はぜひ読んでおきたい新書

2002/02/23 14:19

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投稿者:古祇  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 言わずと知れた翻訳家・柴田元幸氏と、小説家であり趣味で翻訳をしている・村上春樹氏の共著。ほとんどは、このふたりの対談で構成されている。以下に内容を紹介する。

 (1)村上春樹氏まえがき

 (2)東大助教授である柴田氏の授業に、村上氏を迎えて行なわれた対談。途中、東大生たちからの質問を交え、村上・柴田両氏が、翻訳に挑む姿勢や、翻訳に対する愛情を語る。

 (3)翻訳学校の生徒たちと、村上・柴田両氏による質問会。例えば、原文による「私」は、そのまま「私」と訳すのか、それとも「僕」か「俺」なのか、など、翻訳における実践的なお二人の考えが聞ける。

 (4)両氏の「競訳」。カーヴァーの『Collectors』とオースターの『Auggie Wren’s Christmas Story』をおふたりがそれぞれ訳す。おなじ物語なのに、それぞれの訳を読み比べてみると、雰囲気や登場人物像が微妙に違っている。翻訳は裏方と言えども、訳には訳者の「色」はしっかり出るものなのだなあ、と感じた。

 (5)若い翻訳家(岸本佐和子・坂口緑・畔柳和代・都甲幸治・前山佳朱彦・岩本正恵)と両氏の対談。(4)に関するディスカッションや、翻訳を進めていくうえでのそうれぞれの思いが熱く語られる。

 (6)柴田元幸氏あとがき

 (7)(4)の原文

 新書なのでサイズは小さめ。しかし、翻訳のことだけでなく、村上氏は小説家としての自身のことを語るなど、村上ファンも必見の充実ぶり。内容が濃いので読み応えがある。また、これから翻訳家を目指す人たちの参考書にもなると思う。
 両氏の主な翻訳書は以下の通り。読んでみるとこの新書の奥深さがさらによく解る。

 村上春樹 『レイモンド・カーヴァー全集』、ジョン・アーヴィング『熊を放つ』、マイケル・ギルモア『心臓を貫かれて』、ほか多数

 柴田元幸 ポール・オースター『幽霊たち』『偶然の音楽』、スティーブン・ミルハウザー『イン・ザ・ペニー・アーケード』、リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』、レベッカ・ブラウン『体の贈り物』、ほか多数

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