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紙の本
二十世紀からの先見の明
2021/05/22 11:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:帛門臣昂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文学、政治学、哲学にまで影響を及ぼした作品なだけあって、時代の流れを言い合ってているような箇所が多い。恐ろしくなるほどだ。
かなり量が多いので、まとまった時間を割いて読むことをおすすめする。
紙の本
いつの間にか読者が主体になる本
2021/03/16 21:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:lily - この投稿者のレビュー一覧を見る
深い傷を残す本でした。
冒頭からほとんど救いのあるシーンがなく、主人公と仲間とが手を組むところでようやくストーリー展開へ希望が持てます。
結局二人の計画は破綻し、二人は捕らえられ、離ればなれになって拷問を受けます。
しかし、次第に登場人物に感情移入し始めていたわたしを突き放したのは拷問のシーンではなく、本の最後の一文でした。
ページをめくるごとに重苦しさを感じるような本ですが、読んで損はないでしょう。
紙の本
反共の教科書
2020/09/28 10:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とも - この投稿者のレビュー一覧を見る
初版(原書)は1948年か9年の出版と聞く。70年も前の作品であるが、いまだに読み継がれるのには、魅力が存分にあるからだろう。
反共主義者のバイブル・教科書的な書籍として扱われてきたこともあったというが、なるほど、それも良くわかる。
誰もがモバイル端末を持ち、それをいつでも何処でも利用できる現代は、この「一九八四年」に書かれた社会そのものではないか。誰もが監視員となり、なにか問題を起こせば、SNSに拡散させる。それも画像や動画付きで。
帰宅すればディスプレイが備え付けられ、街中には防犯カメラ、更には「スマートスピーカー」がテレスクリーンの代わりとなっている。違うのは、カメラがないだけである。
「ビッグブラザーがあなたを観ている」とは作中の言葉であるが、現代なら「ネットがあなたを観ている」とでも言い換えられようか。
発刊された70年前には想像でしかなかった超監視社会が、現代社会そのものを現しているのは不気味である。
余談ではあるが、解説がかなり長いのは、本編の背景にあるものを見せるためには必要なんだろう。かなり長いので、本編よりもある意味疲れた。
紙の本
逃げられない監視社会
2020/09/08 07:44
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投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
街のどこにでも国民を監視するカメラやマイクが置かれているという国の話。
中流から下流の住民は日々厳しくなっていく配給の中でなんとかやって行ってる。
でも、話の重要なところはそこではなく、社会に反発する、正確には思考を手放さないようにしようと言う主人公の行動。
最終的には、そうなったか。と思わざるをえない。
紙の本
起こりうる未来をどう考えるか
2020/04/29 10:06
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投稿者:UMA1001 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今後起こりうる可能性もある世界を、皮肉を込めた描写で迫ってくる。こうはなりたくないと思いながらも知らないほうが幸せなこともある。
原文でなければ著者の思いがなかなか伝わらない部分もあるように思えた。
電子書籍
1949年に出版された、全体主義国家を描いた小説
2020/03/20 18:08
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投稿者:akihiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦の終戦が1945年、その4年後の1949年に出版された小説の新訳版です。1949年は中華人民共和国が成立した年でもありますが、この頃に全体主義国家を描いた小説である本書が米英などで読まれていたのは興味深いと思いました。
ただ、純粋に物語を楽しむ目的で読むと評価が分かれそうな気がします。また、電子書籍版を読みましたが、少し行間が狭くて読みづらい感じを受けました。
紙の本
世界が違って見えてくる
2019/07/01 23:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あずきとぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1949年に発表された近未来小説の新訳版である。
1984年は、執筆年から見た近未来である。
世界は三つの超大国により分割され、その一つオセアニアでは、ビッグ・ブラザーの主導する党が独裁体制を敷き、イギリス社会主義の名の下に全体主義を強いていた。
すべての政治・経済活動は、党の支配下で行われ、党の掲げる主義・教義に反する言動は厳しく罰せられ、物資は配給制で窮乏がちである。
街には、ビッグ・ブラザーを称える巨大ポスターが並び、街角のみならず個人の住居各部屋にまでテレスクリーンという監視・喧伝装置が備えられている。
反体制分子の摘発には、党本体はもちろん、一般の党員やその家族なども取り組んでおり、夫婦・親子間においても疑心暗鬼な関係が生じている。
こうした政治体制に不満を持つ党員ウィンストン・スミスの辿る運命が描かれるのだが、その展開は単純なヒロイック・ファンタジー的なそれとはならない。
(ややネタバレだが)本作は、一部のハリウッド映画に見られるような、平凡に暮らす一般人が並外れた能力を発揮して英雄的活躍をするという形式の作品ではない。
主人公ウィンストン・スミスは、シルベスタ・スタローンでもなければ、ジャッキー・チェンでもない。
したがって、本作の読後に痛快なカタルシスを望んでいると肩透かしを食らうことになるだろう。
率直に言って、物語は暗く重苦しい空気に包まれていて、気軽に読み進められる作品ではない。
これから読まれる人は、少し心して当たられるよう進言する。
何故、こんなにも暗く重苦しく感じられるのか。
一つには、前述のような党による市民支配の具体的な手段・方法がとてもリアルだからだという点が挙げられる。
洗脳・矯正・粛清の描写が実に生々しい。
興味深かったのは、党の思想統制の一環として、「ニュースピーク(new speak)」という言語(体系)の導入・普及が描かれているところだ。
複雑な意味を持つ単語を廃し、出来る限り浅く単純な意味の単語へと集約していくのだが、言葉の含意が浅く制限されてしまうと、複雑で深い文章も成立し得ず、結果的に深い思想が駆逐され、代わりに単純で分かりやすい党の方針などが浸透しやすくなるのだ。
言葉を扱う作家らしい視点だと感心したが、ふと現実に立ち返ってみると、この言葉の単純化は身の回りにいくらでもあり、商品の宣伝などはまだ良いが、政府や政党のプロパガンダにおいてもこうした例は見られ、作品を読みながら戦慄を覚える。
作品発表当初もスターリン率いるソヴィエト共産党が、また文化大革命下の中国政権が作品に比定されてきた。
しかし、ここで共産主義(社会主義)政権だけを問題視するのは、偏った見方である。
第二次大戦を引き起こしたかのナチス・ドイツ政権にも同様の比定はし得る。
何となれば、現在の自由主義各国の政治体制においても、本作品に描かれている支配体制に通ずるものを見出すことさえ出来るのだ。
作品中で描かれる独裁体制や全体主義について、現実の我が身に振り返ってどう照らすのかは読者それぞれの自由だが、人はどのようにして自由を奪われるのか、洗脳されていくのかといった点は、ぜひとも心に留めていきたいものだ。
読後、周囲を見渡すと、世界が違って見えてくるかも知れない。
それだけの力を備えた深大な作品である。
紙の本
思考を止めてはいけない
2018/01/18 23:24
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
絶対的な監視社会で歴史改竄の職務に就く役人の抵抗を描くディストピア小説。メディアを使って思考力を奪い、敵国を作ることで国内のストレスを発散させる手法といい、後半部の性根を作り替える拷問シーンといい、70年前に練られた構想とは思えません。まさしく古典SFの傑作。
自分の頭で考えること、正気を保つことの難しさは不朽のテーマだとつくづく思わされました。
紙の本
考えさせられる
2017/04/22 07:40
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ハッピー - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本のなかでは、現実に起こりうることが書かれており、とても現代の私達が考えさせられる内容になっています。
ぜひ読んでおきたい本です。
電子書籍
監視社会を考える土台として
2017/04/16 23:19
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょひょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
監視社会を考える上での土台となる書、ということで電子書籍で通読。
未来である1984年を舞台に恐ろしい監視社会を描いたディストピア小説だが、人工知能の進歩が著しい現在(2017年)においては、このような社会の創設も技術的には可能なのではないかと感じてしまう。
希望のない結末も、このテーマとしては仕方がないのだろう。
小説の世界を楽しむというよりも、半ば「読む」ことを目的としていたので、その意味では満足。
ただ、原文の英語を観ていないので、原文の問題なのか翻訳の問題なのか分からないが、文章はぎこちなく読みずらい。
電子書籍も行間が詰まっていて少し読みずらかった。
紙の本
この宇宙の、どこかの「独裁政治」下で、秘密裏に読んだとしたら笑い死にしそうだ。
2017/03/03 01:25
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オカメ八目 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この宇宙の、どこかの「独裁政治」下で、秘密裏に、本書を入手し、秘密裏に読めたら、多分、笑い死ぬかもしれない。 また、どこかの宗教や、秘密の団体が唱える理想のように、人や人間て、人や人を、また、人間や人間を、そんなにまで、好きでも、増してや愛してもいないのでは?ーーーーそんな地をはうような恐怖があるので、その感覚が本書と、どこか、地下水脈で通じてたりする。 ただし、そうした恐怖を持ちつつも、あまり酷くは、落胆してない人向きの本だろう。
紙の本
中国化した英国
2016/07/02 08:47
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去は現在の状況に合致するように変えられる世界、洗脳によるイデオロギー強化は人類統治の手段として手を変え品を変え生き続けていることを再認識させられるある意味戦慄の書。
紙の本
こ
2016/05/25 13:34
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽにょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここに書かれている世界が今後こないといえるのか。このままいくと日本の将来の姿になるのではないか。単なるSF小説と言い切れない悲しさを読んで思う。
紙の本
この独自の世界に入り込もう
2016/04/30 00:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねったいぎょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
SF小説の中でも、かなり個性的な印象を受けました。この独自の世界を考えついて小説にしたのがすごいと思いました。全体主義社会を批判しているというよりは、周りを見て同じような生き方をしている人たちを批判しているのかなと思いました。もちろん、誰を批判しているわけでもないのかもしれず、それは読者がどう感じるかでしょう。深く考えずに、この世界に入り込んで一気に読むのが正しいのかもしれません。
紙の本
苦々しい結末
2016/03/30 22:39
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藤玉琴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
個人が組織に抵抗することの困難さがノンフィクションのように描かれている。圧倒的な力にたいして、如何に抵抗し、如何に勝利するか、オーウェルは解答を書いていないがヒントは与えてくれている。