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読了後にタイトルを見て、その意味を知る内容でした
2020/11/03 01:04
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Nagi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「1週間後、地球に小惑星が衝突し、人類に逃げ延びる道はない」
あらすじにあるとおりの世界で、4人(読むほうから見ると5人と感じますが)の主要人物が、どのような思いで「最期の日」を迎えるか、というお話なのですが、ハリウッド映画のあれやこれのように、
「少ないながらも人類は生き残る」
「衝突を回避する」
といった方向の「人類」にとっての救いはないお話です。
それもひとつのハッピーエンドなのだとは思うのですが、本作では「人類」ではなく、「個」の救いを感じさせるお話、という感想になりました。
本の紹介にあるとおり、
「幸せについて問う」
物語です。
直球で述べてしまえば、
「どう感じながら最期を迎えるか」
ということを考えさせられる物語でした。
読書前は、上記の世界観を紹介文で読んで、新井素子さんの『ひとめあなたに…』みたいなお話なのだろうかと思っていたのですが、新井さんの作品が主に若者視点だったのに対し、凪良さんのこの作品は、老若男女問わず、多くの世代にまたがって「我がこと」として考えさせられるお話だったように思います。
主要人物の友樹と静香、信士は、血の繋がった家族です。
男勝りで気丈な静香以外、父と息子は、日常だった平穏な世界で「生きづらさを感じる」という次元ではない過酷な状況の中で過ごしていたのですが、小惑星が等しく地球上の万物を滅ぼす事態になり、初めて「何か」のスイッチが入ります。
逆に、静香は初めて自分の選択に不安や後悔を抱き、それによってこの一家は「シャングリア」であり「パーフェクトワールド」であり「エルドラド」を手に入れます。
サブタイトルにつけられたそれらは、どれも「理想郷」の意味。
極限状態に追い込まれたときに、こういう自分でありたい、と思わせる3人でした。
この作品に登場する、いわゆるモブも、本当に千差万別で生々しい人間を描いていました。
どうせあと1ヶ月で死ぬのだから、と我欲に走る人も入れば、あと1ヶ月ならと、少しでも自分の生きた証である家業で飢えた人の腹を満たしていこうと決める蕎麦屋の老夫婦がいたり、大好きなアーティストと一緒に最期を迎えたい、とライブ会場へ決死の覚悟で集結する人がいたり…主要人物に関わる人が登場するたびに、自分ならどこに位置する人間になるだろうか、と問いかけられる気分で読み進めていました。
過去には決して戻れないし、後悔は先に立たない。
だからこそ、今この瞬間を悔いのないように「生きていく」と行動で伝えてくる主要人物たちは、読むこちら側に何を押し付けてくるわけでもないのに、日々の自分を振り返らせてきます。
小惑星の衝突なんてフィクションの世界だ、と心のどこかで思っているのかもしれないけれど、さすがに小惑星の衝突はさておき、明日も普通に朝を迎えられるとは限らない、ということにも気づかされます。
たとえば、交通事故などであれば、後悔する暇もなく命を奪われて、死んだことに気付けないまま現世をさまよってしまう(かもしれない)こともある。
自分だけは大丈夫と意識すらしていない中で、疫病によって数日の間に命を落としてしまうかもしれない。
そのとき、思い残すことを1つでも減らせるよう、今を大切に生きなくては、と姿勢を正される気分で読了しました。
文字数がどれだけあっても語り尽くせないほど思う処感じる処があるのですが(路子のお話など)、まずは作品で直に感じていただければ、と思います。
小冊子特典付きの初版で購入できたので、それも含めて本当に素晴らしい作品でした。
滅ぶからこそ
2021/02/23 03:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kurage - この投稿者のレビュー一覧を見る
一か月後に世界が滅ぶことが決定事項になってからの、町が次第に荒廃していく様子が生々しかったです。
リレー小説のように登場人物がバトンタッチして繋がっていく構成も面白くて、一気に読めました!
他の方も感想に書かれていますが、世界が滅ぶのが覆されないからこそ、見えてくるものとか、わかるものとかあるんだなと読み終わってタイトルの意味を考えさせられる話でした。
感動しました
2021/01/15 11:02
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:owls - この投稿者のレビュー一覧を見る
話題の作者さんですが、今回初めて読みました。読み始めるととまらない…。色々かかえて、不器用に生きる人たちが、滅亡を前に、無法地帯とかした場所で、たくましく生き始める様子に、どんどんひきこまれていきました。状況は悲惨になっていくのに、終盤になるにつれ、不思議なほど、希望のようなものを感じはじめ…読み終わるときには感動しました。なんだか、今の世界と重ねてしまい、生きることについて、考えさせられるな、と。
新しい価値観の提示
2020/10/21 12:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DTS - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分が持つ既存の価値観を揺さぶれるような読書体験。終わりが見える中で生き抜こうとする人々の姿が胸に突き刺さります。読了後、一週間ほどフワフワとした感慨が抜けませんでした。凪良さんの作品はいつも期待を裏切りません。
夢中で読みました。
2020/11/02 15:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Sota - この投稿者のレビュー一覧を見る
後半は、ストーリー展開が気になって、夜更かしして、最後まで読んでしまいました。
面白かったです!
ラストが良かったですね。
懐かしのバンド名もいっぱい出てきたし。ただ、微妙に、好きなバンドとはズレてたから、それが残念だったかな。
終わる世界が救いだと感じる人がこれを読んで救われてほしい。
2021/04/07 19:41
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投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1ヶ月後に小惑星が地球に衝突し人類が滅びると宣言されてから、その一ヶ月を4人の視点から描く短編連作。
混乱と絶望から暴動が起こり、当たり前に人が死に、世紀末の中で見出す希望とはなにか。
4人の中で静香以外はそれまでの人生をどこか鬱屈して満たされない気持ちを抱えて生きていて、それぞれきっと「なんで生きてるのか」「死んだ方が楽なのに」と思っていた。
死が希望なのか、絶望なのか。
初回限定でつけた小冊子の5人目、雪絵視点よりも、書店で限定配布してたスペシャルブックの作者メッセージのがわかりやすかったなぁ。
凪良さんは一般文芸作品しか読んでないんだけど、今までの一般文芸作品もそれまでのBL作品も、社会的にマイノリティな立場に晒される人達の複雑な愛の形を描いていたけど、今回はもっとずっとドロドロと捩くれた生き方を、なんとか綺麗に描こうとしたって感じだった。
人類滅亡なんて絶望の中だからこそようやく見いだせる鬱屈とした希望でしか救われない。
正直今までの凪良作品以上に問題作で、良し悪しを語れない。
終わる世界が救いだと感じる人がこれを読んで救われてほしい。
まぁ正直、そこまで体当たりしたかったのなら「破光教」とかいう謎の宗教団体はいらなかったと思うけどね。
頭のおかしい宗教団体がわかりやすい悪役になるよりも、隣人が突然絶望から暴徒に変わって一ヶ月すら待ちきれずにテロ行為に走る方が臨場感あったと思う。
他はリアリティあるのにそこだけ創作感が強くて残念。
自分だったら残りの1ヶ月を誰と一緒にどう生きるのか
2021/03/26 12:03
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
「1ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」
あなたならどう生きる?何をする?何を食べたい?
誰と一緒にいたい?
それとも自殺する?
四人の生き様と出会いを読みながら、読者は自ら考えさせられる。
父と母が子供達(一人は家族ではないけど)を安全に生きられる為に全力を尽くす。
子供達も両親に守られながら安心に暮らす。
そんな四人が幸せな家族に見える。
父も母も、恵まれない家庭で暮らし、平凡で幸せな家庭を夢見ていた。
そんな夢が地球滅亡が間近に迫って、子供達の為に出来ることを懸命にやっていて実現できる。
そしてもう一人のLocoは幸せの頂点にいるはずなのに、読んでいて痛い。
成功を夢見て懸命に努力してきたはずなのに、何処で間違っていたのだろう。
そんなLocoも家族と親友に助けられて、昔のメンバーと最後の大阪ライブにのぞむ。
どんな生き方をしていても、最期にもう少し生きていたかったと思いたい。
すごいとしかいえない
2020/10/31 16:41
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投稿者:トッポギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
幸せってなんだろうと考えさせられました
自分のシャングリ・ラは、、
2022/04/03 06:55
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投稿者:Pana - この投稿者のレビュー一覧を見る
あと1ヶ月で、死ぬのがわかっている状況で、世界に住む人々が残りの人生、誰とどこで、何をして人生を終えたいか考え進んでいく物語。
皆が混乱し、街はめちゃくちゃになる中でも、ネットが使える状況が維持されている。それは、誰かが働いてくれている、その働いてくれている人にとって、誰かのために仕事することがシャングリ・ラなんだなと思った。
危機が迫ると、過激な宗教が流行るなど、コロナ萬延が続く現在、フィクションであるはずなのに、とても生々しく感じた。
本屋大賞で話題の凪良ゆうさん
2021/11/03 07:24
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年の本屋大賞グランプリを獲得して話題の凪良ゆうさんですが本作が初読みでした。地球最後の日に向けた日々というのは過去にもある設定ですが、何気ない日常の切り取り方みたいなところが上手いですね。
恐竜を滅ぼしたレベルの隕石衝突まで一か月。
2021/08/08 20:01
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生活に絶望している男子、男子の母親、両親の愛情が信じられない美少女、野良犬のように生きてきたチンピラが、最期の一か月で本当に欲しかったものを手に入れていく。
あと一か月で死ぬと分かると社会は崩壊。略奪放火自殺殺人、生きるために何でもあり。
絶望の中に一筋の光を見出せる。
生きることに対する納得の仕方を選びとる醍醐味
2021/04/10 18:39
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投稿者:せきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
読者が感情移入できるキャラクター造形が巧みで飽きさせない。上手い作品だなと思う。
相対的な幸福、またはそれに至る思考過程を読者に掲示しているように感じる。
おそらく色恋が軸になっていて、幸福論にもなっているのでは。
読書をあまりしない人にも小説の面白さを伝える意味でオススメの作品。
ちょっとアウトロー
2021/02/18 04:03
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「一ヶ月後、隕石で人類滅亡」の宣告を受け、限られた瞬間を最期まで生きる理由を模索する破壊力ある4編からなる連作。序盤の全く穏やかではない日常が、その後の展開により平穏だったと錯覚が起きるほど作品の世界観に慣らされゾッとした。狂った中でも輝くユーモラスな拗らせ方がとても魅力的だった。不思議な感覚が残るちょっとアウトローな世界
面白かったです
2021/01/23 17:44
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投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
小惑星が地球に激突するまであとひと月。残された時間が少ないことを知った登場人物たちは、それまでの抑圧された日々を捨て、真摯に自らの人生に向き合い、残りの日々を濃密に過ごし始めます。幸せについて考えさせられる一冊でした。
明日死ねたら楽なのに
2021/04/08 23:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「明日死ねたら楽なのに」
そう思ったことのない人なんかいないだろう。
その明日が見えた時、
確かにそれが希望になる。
期限が区切られた方が頑張れる。
そんな人がいたっていい、と思わせてくれた。